肺がんの症状
肺がんは、症状が出る前に健康診断などで発見されることもありますが、多くは4週間以上続く咳(せき)、喀痰(かくたん)、血痰(けったん)、発熱、呼吸困難、胸痛などの呼吸器の症状をきっかけに発見されます。
まれに、胸膜への転移(胸水貯留)や脳転移の症状(頭痛、吐き気、嘔吐)、骨転移(腰痛や胸痛)などで見つかることもあります。
気管・気管支に発生するタイプの肺がんは、血痰や咳、呼吸困難などの症状が出やすく、早期に発見されることも多いのですが、肺の末梢に発生するタイプの肺がんは、がんが大きくなるまで無症状のことが多く、要注意です。
検査と診断
まず肺がんは、胸部単純X線写真による異常の発見が診断のきっかけになります。
次に、胸部CTを撮影して、肺における異常な影の厳密な位置とほかの臓器への広がりの程度、リンパ節転移の有無を調べます。
確定診断のためには、がん細胞の証明が必要です。まず、痰を採取してがん細胞の有無を調べる喀痰細胞診を行いますが、これは陽性になる確率が低いため、たとえ陰性でも気管支鏡検査による生検(組織の一部を採取して調べる検査)が必要になります。また、CTで観察しながら経皮的針生検でがん細胞を採取する方法もあります。
喀痰細胞診、気管支鏡検査などでがん細胞が証明されなかった場合は、CT画像の病変の大きさや特徴から強く肺がんが疑われるならば、全身麻酔で胸腔鏡下肺生検を実施して確定診断を行います。
なお、気管支鏡検査の合併症として術後の気胸(ききょう)および肺炎、出血があるので、85歳以上の人、日常生活動作(ADL)が低下している人、心臓疾患の既往のある人は、術前に医師から検査のリスクについて説明を聞き、納得したのち受けるようにしてください。
これらの検査で肺がんと診断された場合、転移の有無を調べる検査をします。一般的には脳MRI(CT)、腹部造影CT、骨シンチグラフィを行います。さらに、手術適応などの面からFDG―PETという検査を実施する場合もあります。
また、血液中の腫瘍マーカーは、組織型の推定や治療効果の判定、再発の診断に役立ちます。
高齢者において肺がんの診断を進めていくうえで重要なことは、少々時間がかかっても、身体への負担を考慮して負荷の少ない検査(以前の画像との比較、喀痰細胞診)を実施していくことです。