肺がんはさまざまな場所へ転移しますが、よくあるのが骨・脳・肝臓の3つです。
骨転移
骨は肺がんが転移しやすい場所のひとつです。
がん細胞が骨に転移するメカニズムや、転移により表れる症状を紹介していきましょう。
まずは骨がどのように形成されるのかを説明します。
骨はいつも同じ状態にあるわけではありません。破骨細胞によって古くなった骨が破壊され、かわりに新しい骨が作られることで形成されています。
肺のがん細胞は、血液やリンパの流れにのって、さまざまな場所に移動します。
がん細胞が骨に届くと、自分たちが増殖するスペースを確保するために、破骨細胞に「骨を壊せ」と命令を出します。
骨が壊れて隙間ができると、そこにがん細胞が入り込んで、骨から出る物質でどんどん増殖してしまいます。がん細胞が増えると骨が弱くなるため、腰痛、喉の渇き、眠気といった症状が表れます。ひどくなると骨髄骨折麻痺を起こし、手術などの治療が必要になることもあります。
脳転移
肺がんの転移でもっとも恐ろしいのが脳転移です。
肺癌のがん細胞は多くの場合、血液を通って硬膜に転移します。
脳に転移が起きると、痙攣や麻痺、感覚障害、精神症状、眩暈などが起こります。
舌がうまく回らなくなって会話が困難になったり、まっすぐ歩けなくなったり、人格が変わってしまう人もいます。
がん細胞が増殖すると、頭痛、吐き気、嘔吐などの症状が出てきます。
もし手足が痺れたり、背中が痛くなったり、首が硬くなったりといった症状がみられる場合は、がん細胞が髄液に侵入した可能性が高いです。
脳は抗がん剤が届きにくい場所なので、治療は外科手術や、ガンマナイフによる放射線治療を行わなければなりません。ただし最初に癌ができた場所の治療が済んでいる場合、転移した腫瘍が1つの場合など、これらの治療を行うにはさまざまな条件をクリアしている必要があります。
肝転移
肝臓も肺がんの癌細胞が転移しやすい場所です。
他の臓器からがん細胞が移動して起こる肝癌のことを、転移性肝ガンといいます。
肝臓にがんが転移しても、すぐには症状が表れません。
しかし進行するにつれて、お腹にしこりができたり、黄疸や浮腫などの症状が表れてきます。全身がだるくて、動くことが億劫になる人もいます。
肺がんは血液を介して転移するという性質があるので、肝転移が起きたときは、ほぼ体の隅々までがん細胞がまわっている可能性が高いです。