食道がんの深さによる分類

食道壁の構造
食道壁の構造を簡単に紹介すると、内側から粘膜、粘膜筋板、粘膜下組織、固有筋層(輪状筋、縦走筋)、外膜という順に構成されています。厚さは約4mm。
がんは、内側の粘膜から発生していき、進行するにつれて外側へ浸潤していきます。また、食道の外側から発生するのもについては、がんとは呼ばず、「肉腫」として区別されています。
がんの深達度による分類
がんのもっともよく使われる分類が、深達度による分類です。よく「早期がん」や「進行がん」などと耳にすることも多いかと思われます。
「早期がん」とは、がんが粘膜層のごく浅いところにとどまっているがん(表在がん)のうち、リンパ節転移がみとめられないものをさします。
一方の「進行がん」とは、がんが粘膜下層より深く達してしまったものをいいます。固有筋層まで達していると、転移しているケースが多くなり、食道の外にまで広がってしまった場合は、完全に他へ転移しています。また、食道の内腔すべてががんに侵食されていることもあります。
「末期がん」という分類は医学的にはありません。末期がんは、一般的には、進行がんの中でも、とくにひどい病状の場合に呼ばれるようです。
発生からみた分類
発生からがんを分類する方法もあります。粘膜を形成する扁平上皮から発生するがんを「扁平上皮がん」、粘膜の内部の腺組織から発生するがんを「腺がん」と呼びます。
日本での食道がんは、扁平上皮がんの発生が9割以上を占めています。
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胃がん薬物療法:抗がん剤治療

(1) 手術療法で切除しきれない場合
転移があって切除できない場合や、手術後に再発した場合、抗がん剤が試されます。さまざまな抗がん剤が開発されており、腫瘍縮小効果の高い薬剤も出てきています。しかし、いったん小さくなった腫瘍もまた再燃しますから、完全に治ることはほとんど期待できません。副作用は必ずといってよいほど出ますから、効果と副作用をよく見極めながら抗がん剤治療を続ける必要があります。
有望な薬剤の組み合わせとしては、フルオロウラシル+シスプラチン、メソトレキセート+フルオロウラシル、エトポシド+アドリアマイシン+シスプラチン、シスプラチン+イリノテカンなどをあげることができます。
(2) 再発を予防する化学療法(補助化学療法)
手術で切除できたと思われる場合でも目に見えないがんが残っていてあとで育ってくるのが再発です。これを予防する目的で行われるのが補助化学療法です。手術のすぐあとですし、治ってしまっている可能性もありますから、あまり副作用の強い薬は使えません。普通、飲み薬の抗がん剤が用いられます。
補助化学療法が本当に再発を減らす効果があるのかどうか、これまで十分な証拠がありませんでしたが、日本全国の100余りの病院が協力して行った臨床試験で、病期IIとIIIの胃がん手術後にTS-1という経口抗がん剤を1年間服用すると再発が減るという結果が出ました。今後は、これが標準的な治療として行われるようになると考えられます。
(3) 手術の前に行う化学療法(術前化学療法)手術で切除できると思われるがんでも、まず抗がん剤で小さくしておいてから手術するほうが、より確実に切除できるかもしれません。あるいは、そのままでは切除できないかもしれないがんも、抗がん剤で小さくなれば切除できるかもしれません。これをめざして行うのが術前化学療法です。
術前化学療法がまったく効果がなかった場合、単に手術が遅れるだけでなく副作用で手術の条件が悪くなることさえありえます。したがって術前化学療法を行うかどうかは、科学的根拠にもとづいて慎重に決定する必要があります。
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