わが国における、肺がんの罹患数は67,890人(2000年推定値)、死亡数は59,922人(2004年確定数)であり、それぞれ、3番目、1番目に多いがんである1),2)。死亡数は、過去20年間に2.2倍に増加し、現在も増加傾向にある。特に、男性においては死亡数で1993年に胃がんを抜いて1位を占めるようになった。
1年間の罹患率(人口10万人あたり)は、男性40歳代、50歳代、60歳代、70歳代でそれぞれ15.1、53.3、169.7、452.2、女性40歳代、50歳代、60歳代、70歳代でそれぞれ8.6、24.5、56.4、109.2であり(2000年推計値)、年齢と共に増加する
。男性は女性に比べて1.8-4.1倍罹患率が高いが、男女とも50歳以上では、1年あたりの罹患率が男性で1,876人に1人以上、女性で4,082人に1人以上となる。50歳の人が死ぬまでに肺がんに1度でも罹患する確率(累積罹患率)は男性7.8%、女性3.1%で、50歳の人が肺がんで死亡する確率(累積死亡率)は男性6.8%、女性2.7%である。
大阪府地域がん登録(1993-96年)によると3)、肺がんと診断された時点での病巣の広がりは、「限局」が18%、「領域リンパ節転移あり」が36%、「遠隔転移あり」が33%、「不明」が13%、また、各ステージでの5年相対生存率は、「限局」が57%、「領域リンパ節転移あり」が14%、「遠隔転移あり」が2%と報告されている。早期に診断されるほど、高い5年生存率が期待できる。