[どんな病気か]
広義には、胃壁(いへき)から内腔(ないくう)に突出した限局性の隆起を胃(い)ポリープといいます。狭義には、胃粘膜上皮(いねんまくじょうひ)から発生した良性の腫瘍(しゅよう)のことをいいます。
胃ポリープは、上皮過形成による胃過形成性(いかけいせいせい)ポリープと、腸上皮に似た異型上皮からなる胃腺腫(いせんしゅ)(胃異型上皮腫(いいけいじょうひしゅ))とに分類されます。
胃ポリープ自体の大部分は、無症状です。まれにポリープからの出血や巨大ポリープによる噴門(ふんもん)(胃の入り口)や幽門(ゆうもん)(胃の出口)の狭窄症状(きょうさくしょうじょう)をおこします。
がんとの鑑別やがん化が問題となるので、ポリープの除去、または長期間の経過観察が必要となります。
胃過形成性ポリープのがん化は、きわめて少ないのですが(15年間の観察で1%以下)、胃腺腫は15年間の観察で10%ががん化します。
[検査と診断]
上部消化管X線検査で、胃の隆起性病変が疑われれば、内視鏡検査が行なわれます。
内視鏡下の生検(せいけん)(組織の一部を切り取って病理学的診断をすること)で、がん、肉腫(にくしゅ)、粘膜下腫瘍(ねんまくかしゅよう)(「胃粘膜下腫瘍」)などと鑑別し、胃過形成性ポリープか胃腺腫かが決定できます。
[治療]
胃過形成性ポリープの大部分は、6か月から1年に1回、内視鏡を用いた経過観察を行なえばよいのですが、可能であるならば、内視鏡下で高周波電流を用いたポリープ切除(ポリペクトミー)、粘膜切除術(EMR)、レーザー照射などで除去します。
除去したポリープは、顕微鏡を用いて組織学的に検査することができるため、診断もかねることができます。
胃腺腫は、これらの方法で積極的に除去することが望ましいのですが、もし除去できない場合は、3か月から1年に1回、内視鏡下の生検をくり返しながら経過観察をします。
もし、切除したポリープにがんがあっても、がんの深さ(深達度)が浅い粘膜固有層であれば、経過観察のみでよいのですが、粘膜下層以下に達する深い場合は、外科手術を追加して行ないます。