前立腺がんと前立腺肥大症は症状が似ているため、前立腺肥大症から前立腺がんに進行すると考えている人がいますが、そもそも前立腺がんと前立腺肥大症は発症部位もメカニズムも異なります。
前立腺がんは前立腺の外側に位置する外腺に発症しやすく、一方、前立腺肥大症は尿道を取り巻く内腺に多く発症します。このどちらも腫瘍に変わりありませんが、決定的な違いは前立腺肥大症が良性の腫瘍であるのに対し、前立腺がんは悪性の腫瘍である事です。この良性と悪性の違いは、転移するかしないかで判断します。
前立腺肥大症を発症すると、頻尿や排尿障害などの症状が現れるようになりますが、放っておいても生命に危機を及ぼすようなことはありません。しかしながら、前立腺がんは周囲の骨盤や脊椎、リンパ節に転移するため、放っておくと死に至ります。実際、前立腺がんで死亡する人の3人に2人は骨転移を起こしています。