人工透析の方法:血液透析

血液透析は、体内にたまった老廃物を、1回に4~5時間かけて人工腎臓で除去し、血液をきれいにする方法です。
腕の動脈側と静脈側に針を刺し、チューブを通して血液を体外に取り出して、ダイアライザーと呼ばれる透析器に送って血液を浄化します。そして、きれいになった血液を静脈に戻します。
ダイアライザーは、直径0.2ミリほどの半透膜でできた中空糸を約1万本束ねたもので、周囲には透析液が流れています。血液が中空糸を通り抜けるとき、血液中の老廃物や水分、塩分、電解質などは透析液に移動して不要なものは取り除かれます。
血液透析のブラッドアクセスについて
血液透析を効果的に行うには、毎分約200ミリリットルの血液をダイアライザーに循環させる必要があります。これだけの血流量を確保するためには、血液の取り出し口をつくらなければなりません。
これを「ブラッドアクセス」といいます。
ブラッドアクセスは患者の命の綱であるため、これを良好な状態で維持することはきわめて重要となります。
シャントを長持ちさせるための条件
低血圧に注意する
穿刺の失敗をしない
感染症対策を怠らない
血流の保持に注意する  
内シャント
長期間の透析治療が必要になるとき、手首近くの動脈と静脈を手術でつないで血管を太くします。これを「内シャント」といいます。”シャント”とは短絡という意味です。
患者によっては静脈の血管が細い場合がありますが、そのときは人工血管を使います。
内シャントを長期間使用していると、血管が詰まって血液が流れなくなる異常が出てくるため、耳をあてて血液が流れているかを音で確認する必要があります。
なお、動脈と静脈をチューブでつないで皮膚の外に設置する「外シャフト」という方法もありますが、感染症を引き起こすことが多いので、現在ではほとんど用いられていません。
ダブルルーメンカテーテル
患者の血管の状態によっては、足の付け根の大腿動脈にカテーテルを刺してブラッドアクセスにする方法があります。
首に近い内頸静脈、鎖骨下静脈にカテーテルを刺すこともあります。
動脈直接穿刺
内シャントが詰まった患者には、前腕の動脈に針を刺してブラッドアクセスにすることもあります。他に心疾患を合併している場合に検討されます。
血液透析のデメリット(問題点)
透析治療のほとんどを占めている血液透析ですが、いくつかの問題点も存在します。血液透析を受ける人は前もって把握しておくとよいかもしれません。
毎回3~5時間の透析をする必要がある
針を刺すときに痛みがあり、跡もできやすい
透析中に頭痛、吐き気、筋肉のけいれんなどが起こる場合がある
食事制限・水分制限が厳しくなる
長期の透析は合併症を引き起こすおそれがある

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