リンパ節へがん細胞が転移しているかを知るにはリンパ節を切除して調べてみないとわかりません。リンパ節というのは30~50個くらいあり、腋窩リンパ節廓清によりリンパ節を20個ほど切除する方法もありますが、腋窩リンパ節廓清は、むくみなどの後遺症を伴います。
がん細胞がリンパ節へ転移する際に、一番最初にがんが転移するリンパは決まっているとされ、そのリンパ節を調べてがん細胞が転移していなかったら、他のリンパ節へも転移していない可能性が高く、リンパ節郭清を行わなくともよくなるのです。
これを調べる方法が、センチネルリンパ生検法というものです。
センチネルリンパ節とは、がん細胞の侵入を監視しているリンパ節です。がん細胞は一番最初にセンチネルリンパネル節へ転移する可能性がとても高いのです。
検査の方法は、色素とアイソトープをしこりの周辺に注射で注入し、それらがセンチネルリンパ節についたころあいに、脇に少しの切開をしてセンチネルリンパ節を探します。
見つけたセンチネルリンパ節を摘出し、がん細胞の転移がないかを調べます。この検査でセンチネルリンパ節に転移がない場合、腋窩リンパ節廓清をする必要がなくなってきます。
このセンチネルリンパ生検によって半数近くの患者さんがリンパ節郭清による後遺症をもたずにすんでいるそうです。
センチネルリンパ生検法でがん細胞がないからといって、リンパ節への転移の可能性は0%ではないですが、転移していない可能性は非常に高くなります。
わきの下にしこりがなくリンパ節へ転移しているかわからない場合、腋窩リンパ節廓清で20個ほどリンパ節をとるより、後遺症の少ないセンチリンパネル生検法で転移の有無を調べるほうがリンパ節の切除が最小限で済み、体への負担がすくないと言えるでしょう。
しこりが大きかったり、皮膚までがん細胞が出ていたり、脇のリンパが腫れているなど、転移の可能性が初めから高い場合は、リンパ節郭清を行った方がよいでしょう。