肺がんの症状を和らげるためのものが、緩和治療です。呼吸困難に対して行うステント治療やレーザーによる焼灼療法も緩和療法です。
痛みを和らげる緩和治療というと、末期がん患者のためのものと思われがちですが、実はがんと診断されたら、すぐに緩和治療が考慮されるようになってきています。
現在では、放射線治療や新しい抗がん剤が次々に開発されていますが、これに伴って治療に伴う痛みは実は増加しているのです。
抗がん剤を使う場合、効果はあるのに痛みのせいで治療を中断せざるをえないという状況もあります。だから、がんと診断された初期の段階から苦痛にどう対処するのかどいうことも医師には求められているのです。
ステント治療は、肺がんが大きくなって太い気道に狭窄が生じると、空気がうまく通らなくなって、少し動くだけで息切れを起こしたりします。
こういう場合に、ステントという細い筒状の器具を気道に入れてやることで解決しようという治療方法です。
ステントは、シリコン製と金属製があります。シリコン製のものは、形が決まっていて、あらかじめレーザーなどで気道を広げておいて挿入します。
金属製のものは開閉できますから、閉じた状態で挿入したあとに開いて固定するのです。ステントを入れると、呼吸困難のほか、激しい咳や息切れなどの症状の改善が期待されます。
焼灼療法というのは、気道をふさいでいるがんをレーザー光線で焼くのです。光線力学的治療に使うレーザーよりも出力の大きな高出力レーザーを用います。