肺がんの分類

細胞の形態による分類
 肺がんと一口でいっても実はいろいろな種類のがんがあります。
それらは顕微鏡でみたがん細胞の形態から大きく分けると、腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんなどに分類されます。
           一番多いのは腺がん
 腺がんは肺の末梢に発生するがんの代表的なもので、非喫煙者の女性もかかるがんです。
 肺がんの60%の多くを占め、肺がんでは最も頻度の高いがんです。しかも近年この腺がんの増加が著しいことが問題となっています。腺がんははっきりした原因の判っていないがんと考えられていましたが、近年この腺がんにも喫煙と関係のないがんと、喫煙が関係しているがんがあることが判って来ました。
          次に多いのが扁平上皮がん
 扁平上皮がんは喫煙と関連の深いがんで、非喫煙者はまずかからないがんです。
圧倒的に男性に多く、肺がんの約20%を占めます。後の項で述べる肺門(肺の心臓に近い部分で、比較的太い気管支の部分)型肺がんの代表的なものですが、肺野(肺の末梢の部分)に発生することも多く、扁平上皮がんの60%は末梢発生です。がんが発生したその場所で発育する性格が比較的つよく、転移の足が遅く、完全に切除できると治癒の可能性が高いがんです。また放射線治療も有効ながんです。
             その他の肺がん
 小細胞がんは発育が早く、小さなうちから転移をおこしやすいがんとして有名です。
幸い肺がんの15%程度にしかすぎません。発育が早いために発見されたときにはすでに進行しており、治療として手術が考慮されることは少なくなります。検診での早期発見による2次予防の難しい肺がんです。
 肺門付近にできやすく、喫煙との関連もあり男性に多いがんです。抗がん剤や放射線療法が非常に有効なことが治療上の特徴で、この点で他の肺がんとは治療上の対応が異なり、手術よりも抗がん剤の治療が主体になることの多い肺がんです。
 大細胞がんは肺がんの約5%を占めますが、発育が比較的早いという以外あまりはっきりした特徴はありません。
 この4種類以外にも肺がんはありますが、特殊で稀ながんということになります。

肺がん検診の現状

昭和62年から老人保健法により、各市町村で肺がん検診が導入されています。
 1991年には、肺がん検診受診者数は550万人を超え、このうち2,200人が肺がんと診断されています。
 多くの市町村で、早期発見や禁煙指導などの健康教育、講習会やパンフレット配布を行っています。その他、肺がんをなくす会などの団体による検診も行われています。
 検診で発見された肺がんの比率は、全肺がんの10%未満ですが、咳、痰、血痰などの自覚症状で発見された肺がんに比べ、検診で肺がんが発見された場合の病期は早期のものが多い結果となっています。
 肺がん検診は、一般的には胸のレントゲン写真と喀痰細胞診と呼ばれる痰の検査により行われております。
 最近は、ヘリカルCTと呼ばれる肺のX線断層検査が約15秒間で行われるようになり、より小さな肺がんも発見されるようになっています。
 肺の奥のほうにできる肺がんは(肺野型)、レントゲン写真でよく発見されます。喫煙ともあまり関係がないので、40歳以上の方は、年1回は少なくとも検査する必要があります。
 一方、肺の入口にできる肺門型のがんは喫煙と深く関係しています。レントゲン写真に映りにくいのですが、痰の中にがん細胞がこぼれ落ちてくることが多いので、痰の細胞検査で早期に発見することができます。
 特に50歳以上の重喫煙者の方は、肺の入口の部分のがんにかかる率も高いので、痰の細胞診も定期的に行う必要があります。
 検診で肺癌が発見された患者さんの方が,自覚症状はあってから受診された患者さんより,明らかに長生きできています.
 ちなみに,別の病気で病院に通院中に発見された患者さんも,自覚症状がないうちに発見できているため,長生きしておられます。
 検診で早期発見される場合,70歳以上の高齢者より,60歳代までの方のほうが,早期発見により長生きできる可能性が高い結果がでました。
 これは,70歳以上の高齢者では,早期に肺癌が発見されても,高齢のために手術や抗癌剤治療ができないこと,肺癌を治療しても,別の病気で亡くなっておられる方が多いためです。

抗癌剤による化学療法

化学療法はすべての病期の小細胞癌に対する最も一般的な治療です。
 しかし、非小細胞癌は小細胞癌に比べて抗がん剤が効きにくく、抗がん剤のみでがんが治ってしまうことはまれです。
 非小細胞癌に対する抗がん剤による化学療法の多くは臨床試験の形で実施されています。
 化学療法は、多くの場合静脈注射や点滴静脈注射で行いますが、まれには飲み薬のこともあります。
 外科療法・放射線療法が局所治療と呼ばれているのに対し、化学療法は全身治療と呼ばれています。
 薬が血液の中に入り、血流に乗って全身をめぐり、肺のみならず、肺の外に拡がった癌細胞も殺すことができるからです。
 小細胞癌の場合、使用する抗がん剤は1種類ではなく、通常は2種類以上を使用します。
 治療期間は、通常、16~24週間かかります。非小細胞癌に対しては標準的な化学療法は確立されておらず、臨床試験の計画書に準じて行われます。
 抗癌剤による治療は単独で行われることもありますが、放射線療法や外科療法と併用することもあります。
 一般的にいくつかの抗癌剤を組み合わせる多剤併用療法が用いられていますが、抗癌剤には強い副作用もあり、熟練した病院で治療を受ける必要があります。
 非小細胞癌によく用いられる薬剤は、シスプラチン、マイトマイシン-C、ビンデシン、 イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、ゲムシタビン、カルボプラチンなどです。
 一方、小細胞癌には多種の抗癌剤が有効であり、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、イリノテカン、イフォマイドなどが主に用いられています。
また、非小細胞癌で再発した方に新たに飲み薬でイレッサが用いられています。

肺がんの治療 放射線療法

放射線療法
 X線や他の高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺すものです。非小細胞癌の場合、手術できないI期からIIIa期、胸水を認めないIII期、小細胞がんの場合は限局型が対象となります。
 肺癌の場合、通常は身体の外から患部である肺やリンパ節に放射線を照射します。一般的に1日1回週5回照射し、5~6週間の治療期間が必要です。
 最近では、1日2回週10回、あるいは1日3回週15~21回照射する多分割照射も試みられています。
 また、放射線治療は脳にがん細胞が転移するのを防ぐために使われます。これを予防的全脳照射と呼びます。予防的全脳照射は正常の脳の機能を損なう恐れがまれにあり、治療終了後数年以降に記憶力低下などの精神神経症状があらわれることがあります。
 放射線療法には、広く一般的に用いられているリニアックと、癌病巣のみを集中的に治療する陽子線治療、重粒子治療もあります。

肺がん治療の副作用と対策

がんに対する治療は、がん細胞のみならず、同時に正常な細胞も障害を受けることは避けられませんので、副作用・後遺症を伴います。
 肺がんも同様であり、特に、小細胞がんは急速に進行し致命的になりうるので、この病気に対する治療は強力に行う必要があり、そのため副作用も強くあらわれることがあります。
 医師はできるだけ副作用を軽減すべく努力しますが、治療に伴い種々の副作用があらわれることがあります。
1)外科療法
肺を切除した結果、息切れや、手術後半年~1年間の創部痛を伴うことがあります。そのため手術後はライフスタイルを変える必要のある場合がまれにあります(詳しくは「肺手術後の呼吸訓練」、「呼吸困難」を参照して下さい)。
2)放射線療法
主な副作用は、放射線による一種の火傷(やけど)で、放射線治療中および治療の終わりころから症状が強くなる肺炎、食道炎、皮膚炎です。肺炎の初期症状は、咳・痰の増加、微熱、息切れです。通常、ステロイドホルモン剤を服用します。
 しかし、炎症が強く出た場合、長い間咳や息切れが続くことがあります。胸のレントゲン写真では、黒く映っていた肺が白くなり、侵された肺は小さくなります。
 これを放射線肺線維症(はいせんいしょう)と呼びます。食道炎の症状は、特に固形物の通りが悪くなり、強い場合は痛みを伴います。
 食道炎に対しては、一時放射線治療の延期・中止を行い、痛みを伴う場合は食事・飲水制限をして、痛み止め剤の服用や栄養剤の点滴静注をします。かゆみを伴う皮膚炎(発赤や皮がむける)に対しては、軟こう剤を使用します。
3)抗癌剤による化学療法
用いる抗癌剤の種類によって異なり、また個人差もありますが、治療中の主な副作用は、貧血、白血球減少による感染、血小板減少による出血傾向、吐き気・嘔吐、食欲不振、下痢、末梢神経障害(手足のしびれ)、肝機能障害、腎障害、脱毛、疲労感などです。その他、予期せぬ副作用も認められることがあります。
 強い白血球減少に対しては感染を防ぐため、白血球増殖因子(G-CSF)と呼ばれる遺伝子工学でつくられた白血球を増やす薬を連日皮下注射します。

肺癌の種類と広がり(扁平上皮癌)

皮膚や粘膜など体の大部分をおおっている組織である扁平上皮に よく似た形をしているがんのことです。
扁平上皮癌は、タバコとの関係がきわめて濃厚で、大部分は肺の入り口に 近い肺門部にでき、肺がん全体の25~30%を占め、2番目に多いがんです。
 別名タバコ癌ともいわれることがあります。
 癌が気管支の中で広がって気管支を塞いで呼吸困難が突然起こったり、喘息のような症状が表れることがあります。
 また直接、骨や心臓、大動脈に広がることの多い癌です。
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肺癌の種類と広がり(腺癌)

肺癌は、癌細胞を顕微鏡で見ることによって、4つの組織型に分類されます。
組織型によって、性質やできる場所が異なります。
 また治療法も大きく分けて、小細胞癌と非小細胞癌(腺癌・扁平上皮癌・大細胞癌)で異なります。 まれにその他の癌も1%ほどあります。
             腺癌
 唾液の出る唾液腺や胃液の出る胃腺などの腺組織とよく似た形をしている癌のことです。
 腺癌は、多くの場合、肺の奥のほうのこまかく枝分かれした先にできます。
 女性やタバコを吸わない人にできる肺癌の多くがこの腺癌です。
 またタバコを吸う人にも最近この腺癌が増えてきています。
 肺がん全体の半数程度を占め、肺癌の中で最も多い種類の癌です。血液の流れに乗って他の臓器に転移することの多い肺癌です。
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