卵巣がんの病期(ステージ)

卵巣がんのステージは下記の通りです。
・I期
がんが片側、もしくは両側の卵巣にだけに留まっている状態。
卵巣表面にがんが認められる場合、腹水の細胞診断で悪性と判断された場合、被膜破綻、いずれかの場合がI期となります。
・II期
がんが卵巣の周囲(骨盤内の卵管、子宮、直腸、膀胱など)の腹膜に転移している状態。
腹膜とは、内蔵の表面を包んでいる膜のことで、腹膜と腹壁の内側の膜がひとつながりになり、腹腔と呼ばれる大きな袋を作っています。
IIa期: がんは子宮・卵管の両方もしくは片側へ広がっています。
IIb期: 骨盤内のその他の膀胱・直腸など骨盤内組織に広がっています。
IIc期: がんが骨盤にある組織に進展し、腹水や腹腔洗浄液が悪性細胞陽性のもの。
・III期
がんが卵巣の周囲(骨盤内)の腹膜だけではなく、骨盤外の上腹部や後腹膜リンパ節に転移している状態。
後腹膜とは、大動脈、下大静脈、腎臓、尿管などがある場所です。
IIIa期: がん細胞が腹膜の表面に広がっている状態。
IIIb期: 腹膜に広がっているがんが直径2cm以下の状態。
IIIc期: がんがリンパ節に転移し、腹膜に広がっているがんが直径2cm以上の状態。
・IV期
卵巣がんが腹腔外に転移しているか、あるいは肝臓に転移している状態。
I、II期は手術で完全に切除できます。
しかし、III、IV期は手術だけでは完全に取り除くことができません。
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肺がんの緩和治療

肺がんの症状を和らげるためのものが、緩和治療です。呼吸困難に対して行うステント治療やレーザーによる焼灼療法も緩和療法です。
痛みを和らげる緩和治療というと、末期がん患者のためのものと思われがちですが、実はがんと診断されたら、すぐに緩和治療が考慮されるようになってきています。
現在では、放射線治療や新しい抗がん剤が次々に開発されていますが、これに伴って治療に伴う痛みは実は増加しているのです。
抗がん剤を使う場合、効果はあるのに痛みのせいで治療を中断せざるをえないという状況もあります。だから、がんと診断された初期の段階から苦痛にどう対処するのかどいうことも医師には求められているのです。
ステント治療は、肺がんが大きくなって太い気道に狭窄が生じると、空気がうまく通らなくなって、少し動くだけで息切れを起こしたりします。
こういう場合に、ステントという細い筒状の器具を気道に入れてやることで解決しようという治療方法です。
ステントは、シリコン製と金属製があります。シリコン製のものは、形が決まっていて、あらかじめレーザーなどで気道を広げておいて挿入します。
金属製のものは開閉できますから、閉じた状態で挿入したあとに開いて固定するのです。ステントを入れると、呼吸困難のほか、激しい咳や息切れなどの症状の改善が期待されます。
焼灼療法というのは、気道をふさいでいるがんをレーザー光線で焼くのです。光線力学的治療に使うレーザーよりも出力の大きな高出力レーザーを用います。
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C型肝炎治療法

C型肝炎の治療法には、C型肝炎ウイルスを体の中から排除して感染からの治癒を目指す原因療法と、肝機能を改善して肝炎の悪化、進展予防のための対症療法があります。
原因療法(インターフェロン療法)
主役はウイルスの増殖を抑える働きを持つインターフェロンです。C型肝炎ウイルスを体内から排除することを目指します。ウイルスを排除できると、肝炎から肝硬変や肝がんに、あるいは代償性肝硬変から非代償性肝硬変や肝がんへと進む危険性を大幅に少なくすることができます。いくつかの種類がありますが、いずれも注射剤です。抗ウイルス薬(飲み薬)と組み合わせて使う場合もあります。
対症療法(肝庇護(かんひご)療法)
ウイルスを体内から排除する効果はありません。進展の予防、肝炎の沈静化を目的として肝機能〔AST(GOT)とALT(GPT)〕を改善します。
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食道がん(食道癌)の治療:腹部食道がんの外科手術

腹部食道がんの場合には、左側を開胸して腹部食道と食道とつながる胃の噴門部という部分を切除して、残った食道と胃をつなぎ合わせる手術が行われます。
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胃の病気:胃ポリープ

胃ポリープとは、胃の粘膜上皮に局所的に隆起した病気です。
ポリープには最も多い過形成性ポリープをはじめ、胃底腺ポリープ、特殊なポリープとして腺腫、家族性大腸腺腫症などがあります。
過形成性ポリープ
過形成性ポリープの発生は30歳以上で年代と共に増加する傾向にあり、腸上皮化生との関連はあまりなく、がん化することはまれです。
高さが高くなり、大きさが増したりして進行していきます。普通、直径2~3センチどまりです。非常に赤く、表面にイチゴのような顆粒状の凹凸があります。出血やびらんも多くみうけられます。
胃底腺ポリープ
胃底腺ポリープは、胃底腺の粘膜に発生し、数個以上発生します。女性に多く、胃底腺の粘膜は萎縮せず、状態が良好なことが特徴です。
粘膜の変化は、胃の大彎曲を中心とした胃壁に多く見られます。数ミリ程度の半球状のポリープで、表面は滑らかで、特に色の変化はなく、多発します。
腺腫
腺腫は、高齢者で腸上皮化生をもつ、かなり萎縮した粘膜にみられます。男性に多く男女比は4:1です。
高齢者の萎縮性粘膜にみられ、形はドーム型、平たいもの、花壇状など様々です。灰白色で整った凹凸があります。
症状
胃もたれや不快感、食欲不振などの症状がみられることがありますが、多くは同時に発症している慢性胃炎によるものです。過形成性ポリープの場合は、出血により貧血をおこすことがあります。
検査
X線検査
粘膜の状態やポリープ表面の凹凸の状態を観察します。
内視鏡検査
ポリープの観察だけでなく、場合により生検(せいけん)(組織を採取して病理(びょうり)検査をする)をして、ポリープの詳細な情報を得ます。
治療
過形成性ポリープの場合、小さなものは放置可能で年1回の経過観察をし、2センチ以上の大きいものは内視鏡的治療により切除します。
胃底腺ポリープは一般的に放置して心配ないといわれています。
腺腫の小さなものは、半年~1年に1回の検査で経過観察します。大きなもの(2センチ以上)や、がんとの識別がはっきりしないものは、内視鏡的治療により、粘膜の切除をします。
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腎臓の病気:腎硬化症

良性腎硬化症
高血圧は身体中の動脈硬化の原因となりますが、腎臓は身体中で最も血管の多い臓器の1つですから、動脈硬化によって血液の流れが悪くなり、徐々に腎の傷害が進行し、慢性腎不全の原因となります。
腎硬化症で慢性腎不全になった患者は、同時に腎臓以外の動脈硬化も進行しているため、生命にかかわる心筋梗塞や脳卒中などの危険が高い重篤な病状と考えられます。
悪性腎硬化症
比較的若年者で、最低血圧が130mmHg以上の状態が続くと、身体の中の動脈で唯一外から見える眼底網膜の細動脈の病変が進行し、うっ血乳頭(網膜の乳頭部の浮腫)が見られる緊急病態です。
効果的な降圧薬が無い時期には、ほとんどの患者さんが脳卒中や心不全で死亡したため、悪性高血圧と言う名前が付けられていますが、癌のような病気ではなく、最近では強力な降圧療法により、悪性ではなくなったと言えます。
しかし、早急に血圧を下げなければ、死を招く病気であり、死亡しなくても腎不全の原因となります。重篤な高血圧により、頭痛、むかつき、視力低下、全身倦怠などの症状で受診される患者さんが多いようです。
重症の高血圧が発症する原因には腎臓が関与しています。血圧が著明に上昇すると、腎臓はみずからの臓器を保護するために血管が収縮し、中を流れる血圧を下げようと反応します。
腎臓の血流が減少すると腎臓から、血圧を上げるホルモンであるレニンが分泌され、全身の血圧はさらに上昇し悪循環となるわけです。
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胃の病気:悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、リンパ球ががん化した悪性腫瘍でまれな病気です。
人間の体には血管と同じようにリンパ管が全身にありますが、リンパ管の中には細菌やウイルスと戦うリンパ球を含んだリンパ液が流れています。
リンパ節はリンパ管に沿って、全身、特にわきの下、首、足の付け根などに存在し、リンパ液を貯蔵したり濾過したりしています。悪性リンパ腫では、全身のリンパ節が腫れたり、臓器に腫瘤ができます。
胃に発生するリンパ腫にはB細胞リンパ腫、MALT(マルト)リンパ腫があります。
B細胞リンパ腫:
エイズや臓器移植後など免疫の働きが著しく低下した状態で発生します。リンパ球にはT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)があり、それぞれT細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、NK細胞リンパ腫があります。B細胞リンパ腫は低悪性度リンパ腫です。
MALTリンパ腫:
B細胞リンパ腫の1つで低悪性度です。唾液腺、甲状腺、消化管などの粘膜に関連するリンパ組織に発生します。ヘリコバクター・ピロリ菌という細菌と関連しているといわれています。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
日本人に多い中悪性度のリンパ腫です。小腸、大腸に発生するリンパ腫の中で最も多いリンパ腫です。
バーキットリンパ腫
小腸や大腸に発生し、若年者に多く発生する高悪性度リンパ腫です。バーキットリンパ腫は卵巣や乳腺で発症することもあり、多くの患者さんで腹部に巨大腫瘤を伴います。
わきの下、首、足の付け根などのリンパ節が腫れます。一般に痛みはありません。全身に拡がった場合は体重減少、寝汗、発熱、全身の倦怠感などの症状がでます。
生検
腫れたリンパ節など病巣の組織の一部をとりだし、病理組織検査によって顕微鏡で悪性リンパ腫であるかどうか、また、悪性度を調べます。
X線検査、CT検査、超音波検査、MRI検査:
病巣部位がどこまで拡がっているかを調べます。
血液検査:
白血球、赤血球、血小板の数値の変動および腎臓、肝臓の機能を調べて治療に耐えられるかどうか判断します。
化学療法:
抗がん剤を用いてリンパ腫細胞を殺す治療法です。通常個々のリンパ腫に対して感受性の高い薬を数種類組み合わせて2~3週間単位で投与します。
放射線療法:
悪性リンパ腫は放射線に感受性が高いといわれています。放射線療法のみの治療、または、化学療法と組み合わせた治療を行います。
造血幹細胞移植:
正常な血液を回復させる移植法です。全身に放射線を照射した後、赤血球、白血球、血小板などのもとである「造血幹細胞」を移植します。移植された造血幹細胞からは新しい健康な血球ができます。事前に自分の幹細胞を凍結保存しておき移植する方法と、兄弟や他人から骨髄移植する方法があります。標準的な治療法で効果がなかったり、再発した場合に、造血幹細胞移植を併用して化学療法の効果をあげる方法などが試みられています。
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