肺がんを分類すると腺がんや扁平上皮がん、大細胞がんの総称である非小細胞がんと、小細胞がんに分かれます。
この中でもっとも多いのは腺がんで、肺がんの男性の40%、女性の70%を占めています。次に多いのが扁平上皮がんで、男性の40%、女性の15%ほどの割合です。
小細胞がんは全体の15~20%ほど、そして大細胞がんはおよそ5%です。こうしてみると、肺がんは腺がんを始めとした非小細胞がんが多いことが分かります。以下でそれぞれの特徴について見ていきましょう。
腺がん
肺がんの中で最も多く見られるもので、唾液腺や胃腺などの腺組織と似た形をしています。肺の奥の方の細かく枝分かれした末梢部分に発生する肺野型ことがほとんどです。タバコによる影響は、他のタイプに比べると弱い傾向があり、無症状の段階でも検査によって発見できることがよくあります。
特に女性に多い傾向があります。肺がんの中でも、腺がんは進行のスピードが様々ですので、一概に速いか遅いかということはできません。
扁平上皮がん
皮膚や粘膜を覆っている扁平上皮という組織に似た形をしており、大部分は肺の入り口に近い肺門部に発生します。タバコとの関係が深く、血痰等の症状が出やすいため、これが原因で発見されることが多くあります。
大細胞がん
癌細胞が大きいもので、他のタイプに分類できないものが入っていることもあるため、あまり同質的なものばかりではありません。増殖のスピードは速いものの、自覚できる症状がなかなか出ないため、診断時には進行していることもあります。
小細胞がん
癌細胞が小さいもので、他の組織型よりも進行が早く、脳や骨、リンパ節、肝臓、副腎などに転移しやすいという特徴を持った悪性度が高い癌です。肺門部にできることが多く、タバコとの関係が比較的強いとされています。
放射線治療や抗がん剤が効果的という特徴があります。およそ80%は癌細胞が種々のホルモンを産生していることも、このタイプの特徴でしょう。
上記が肺がんを腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がんに分類した場合の、それぞれの特徴です。どの組織型に属するかによって、同じ肺がんでも性質が異なりますので、自分の症状を知るために役立つことと思います。
非小細胞がんと小細胞がんでは、治療に使われることの多い抗がん剤の種類も変わってきます。多くの方は腺がんに該当すると思いますが、自分がどの組織型に該当するのか、すでに発症している方は確認しておきましょう。治療の際には、それぞれの組織型や症状の進行度、転移の状態にあった治療法を選択する必要があります。