骨髄や脾臓など造血器のがんともいうべき白血病は、
高齢化とともに増加していています。
頻度は低いですが、発症すると命にかかわることが多いのです。
白血病に強いと定評のある病院を紹介します。
●都立駒込病院(東京都)
都立駒込病院血液内科は、白血病などの難治性血液疾患に対する造血幹細胞移植総数が800例を超える。これは全国屈指の移植数だ。
移植はドナー(提供者)の造血幹細胞をどこから採取するかで3種類に分かれる。
骨盤から採取する骨髄移植、新生児のへその緒から取り出す臍帯血(さいたいけつ)移植、
腕の静脈から採取する末梢血移植の3つだ。このほかに、保存していた自分の造血幹細胞を
移植する自家移植もある。
「当科は日本で行えるすべての移植法について豊富な経験を持っています。その経験を
もとに患者さんに最適な移植法を選択して、最良の医療の提供を目指しています」と
坂巻壽部長。
造血幹細胞移植は患者さんがよい状態(寛解期)のときに行えば、70%ほどの長期生存が
得られるという。しかし、白血病患者すべてに移植を行った方がよいわけではない。
「白血病のタイプによっては、化学療法と移植の成績が同じぐらいのものもあります。
移植が本当に必要なのかどうかを正確に見分けることが重要です」(坂巻部長)
●国立がんセンター中央病院(東京都)
国立がんセンター中央病院の造血幹細胞移植グループは、日本で最も早くからミニ移植に取り組み、昨年度までに白血病やリンパ腫などを中心に300例以上の実績を持つ。通常の骨髄移植などでは、移植前に大量の抗がん剤や放射線を用いてがん細胞を消滅させる。しかし、これに伴う臓器への障害もあり、移植は55歳ぐらいまでの患者に限られている。
「ミニ移植とは、抗がん剤の投与量を減らして副作用を軽くし、70歳くらいまでの高齢者や、若くても心臓などに障害のある患者にも移植ができるようにした治療法です」と田野崎隆二医長。
治療の考え方も、従来の移植とは少し違うようだ。抗がん剤でがん細胞を総攻撃するという考え方ではなく、むしろ造血幹細胞の移植と同時に、患者の体内に入るリンパ球などの免疫細胞を利用して治療する方法である。
「ただし、ドナーのリンパ球は患者さんの正常組織を攻撃して重い合併症も引き起こすため、とくに体力の衰えた方の移植には細心の注意が必要です」(田野崎医長)
●兵庫医科大学病院(兵庫県)
兵庫医科大学病院血液内科は、白血病などに対する造血幹細胞移植を約25年間で450例以上実施という全国有数の実績を持つ。
「とくに難治の白血病治療に対して、HLA(白血球の型)半合致血縁骨髄移植などの新しい移植法を開発し、積極的な治療を行っています」と小川啓恭教授。 通常の骨髄移植では、HLAが一致した血縁のドナーを用いて治療を行う。
しかし、血縁にHLA一致ドナーが見つけられないことも多い。そこで、HLAが半分しか一致していない血縁ドナーからの移植を可能にしたのが、
HLA半合致血縁骨髄移植である。
「HLA半合致血縁骨髄移植は、抗腫瘍効果が高く、病気が進行した状態(非寛解期)の患者さんでは、従来のHLA一致移植よりも、むしろ良好な成績が得られる可能性が
あります」(小川教授)
また、高齢者(50~60歳)や臓器障害を持っている人には、移植前処置を緩和したミニ移植も行っている。HLA半合致血縁移植とミニ移植を併用した「HLA半合致ミニ移植」は先進的な移植法として注目されている。現在、厚生労働省の班研究(小寺班)として、
多施設共同で、その有用性を確認する臨床試験を行っている。
■病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●東京都立駒込病院 血液内科 坂巻壽部長(電話)03・3823・2101(東京都)
造血幹細胞移植総数800例で全国屈指。うち、非血縁者のドナーによる骨髄移植240例。
豊富な移植経験をもとに最適な治療法を選択
●国立がんセンター中央病院 造血幹細胞移植グループ
薬物療法部・高上洋一部長 内科・田野崎隆二医長(電話)03・3542・2511(東京都)
日本で最も早くからミニ移植に取り組む。白血病を中心に300例以上の実績を持つ。
臍帯血移植も数多い
●慶応義塾大学病院 血液内科 岡本真一郎診療部長(電話)03・3353・1211(東京都)
患者さんにやさしいチーム・包括医療を重視。年間50~60例の造血幹細胞移植を行う。
すべての移植に対応できる設備と経験を持つ
●虎の門病院 血液科 谷口修一部長(電話)03・3588・1111(東京都)
間の移植数約150例で全国トップクラス。50~70歳代でも受けられる臍帯血ミニ移植法を
開発し、治療法の確立と普及を目指す
●神奈川県立がんセンター 血液科 丸田壱郎部長(電話)045・391・5761(神奈川県)
根治を目指した造血幹細胞移植を行う。1985年以来移植数350例。無菌病室20床。
化学療法と移植医療を病態に応じて実施
●名古屋第一赤十字病院 造血細胞移植センター 小寺良尚センター長
(電話)052・481・5111(愛知県)
骨髄移植のパイオニア。移植総数1000例超え年間移植数約70例で全国屈指。
綿密な医療計画と最新治療法で患者さんの社会復帰に努力
●京都大学病院 血液・腫瘍内科 石川隆之講師(電話)075・751・3111(京都府) 放射線部、検査部など中央診療部門との密な連携で治療効果と安全性を確保。
化学療法と移植を有機的に組み合わせた治療を行う
●大阪府立成人病センター 血液・化学療法科 平岡諦部長
(電話)06・6972・1181(大阪府)
化学療法で治しにくい白血病229例に対し、早い時期の移植(非血縁、臍帯血を含む)で
5年生存率70%以上を得ている
●兵庫医科大学病院 血液内科 小川啓恭教授(電話)0798・45・6886医局(兵庫県)
難治性の白血病にHLA(白血球の型)が半分しか一致していない血縁ドナーからの移植、
臍帯血移植などを積極的に行う
●九州大学病院 第一内科 血液グループ 原田実根教授
(電話)092・641・1151(福岡県)
初診時に遺伝子解析を含む検討を行い、化学療法、自己造血幹細胞移植、
同種造血幹細胞移植を選択し、最適な治療を行っている
口腔がんに強い病院ベスト10
口の中にできる口腔がんは厄介だ。なかでも最も多い舌がんは、あごの下など首周辺のリンパ節に転移する怖いがんである。口腔がんで定評のある病院を紹介します。
●東京医科歯科大学病院(東京都)
東京医科歯科大学病院放射線科では、舌がん(1~2期)の小線源治療を年間60~70例
行っている。これは日本ではナンバーワン、世界でもトップクラスの実績だ。
この小線源治療は、放射線を出す小さな粒(放射性金シード線源)を舌に10~20個
永久的に埋め込んだり、約4センチの放射性セシウム針を10本ほど舌に一時的に刺して
行う放射線治療である。
「高齢者やがんが小さい場合には、粒を用います。がんが大きくて、体力のある人には
針を使います。放射線によるあごの骨への障害を防ぐために、舌とあごの間にマウスピース
(スパーサ)を装着します。病院の歯科医と連携して、オーダーメードのマウスピースを作製
しています。そのため、放射線障害はほとんどありません」と渋谷均教授。
外来通院でマウスピースを作製してから、2~3週間入院して治療を受ける。放射線を
出す粒や針を入れるのに要する時間は30分ほど。針は5~7日後に抜く。治療後のケアを
きちんと行ったあと退院となる。
「小線源治療の5年生存率は、舌がん1期は84%、2期では76%です。手術を行った場合と
ほぼ同じです」(渋谷教授)
小線源治療は舌がんのほかに口腔底がん、歯肉がん、頬粘膜がん、中咽頭がんにも
行っている。
●愛知県がんセンター中央病院(愛知県)
愛知県がんセンター中央病院の放射線治療部は、十数年前から、進行した舌がんや
歯肉がん、口腔底がん、頬粘膜がんなどに「動注化学放射線療法」と呼ばれる治療を
行っている。この治療は、特に舌がんで良好な成績を挙げている。
「2002年までの進行した舌がん(3、4期)40例の2年局所制御率は62%でしたが、
2003年以降はシスプラチンを動脈内投与し、同時にその中和剤を静脈投与する方式に
変え、32例(3、4期)の2年制御率は80%に改善しています。従来の放射線単独療法では
制御出来なかった進行舌がんの治療成績は、手術とほぼ同じになりつつあります」
(不破信和部長)
動注化学療法は、局所麻酔をして耳の前にある浅側頭動脈から細い管(カテーテル)を
挿入して、この管を舌動脈に挿入し、抗がん剤を少量ずつ持続的に注入する。治療時間は
1時間30分程度で高齢者にも治療できる。
「動注化学療法は全身化学療法に比べて、より高い局所効果が得られます。また、
抗がん剤の副作用も少ないのが特徴です」と不破部長。
放射線治療も同時に行い、総治療期間は6週間ほど。
●千葉県がんセンター(千葉県)
千葉県がんセンターの放射線治療部は、舌がんや頬粘膜がんなどの口腔がんに
強度変調放射線治療(IMRT)を2001年から開始した。これまでに進行した舌がん、
歯肉がんなどの口腔がん40例にIMRTを実施し、全国トップクラスの治療数を持つ。
「IMRTはがんの複雑な形に合わせて、放射線照射の強度を変えてピンポイントに照射
できます。そのため、従来の放射線治療では問題となりがちな、唾液の分泌低下などを
軽減することが可能です。IMRTでは患者さんの大半は治療して1年前後で唾液の分泌が
認められます。生存率でも手術をした場合とほぼ同じ成績です」と幡野和男部長。
IMRTは照射前の準備に時間がかかる。コンピューターで照射量を計算し、試し照射を
何度も繰り返して、正確な照射を行う。IMRTの入院期間は1カ月ほど。
「早期の舌がんなどには小線源治療も行っています。頭頚科とのカンファレンスで、
患者さんに最適な治療方針を決めます」(幡野部長)
■病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●北海道がんセンター 放射線科 西尾正道統括診療部長
(電話)011・811・9111(北海道)
低い線量を出す物質(小線源)を用いて治療を行っているため、放射線障害が少なく、
治癒率は高い。日本で最も進行例を多く扱う
●国立がんセンター東病院 頭頚科 林隆一医長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
口腔がんに対しては手術治療が中心。手術件数は年間100例を超え根治性と同時に
QOLを保持。進行例では再建外科を積極的に導入
●千葉県がんセンター 放射線治療部 幡野和男部長(電話)043・264・5431(千葉県)
頭頚科とのカンファレンスで治療方針決定。IMRTなどの外部照射や小線源治療を
駆使して治療成績の向上を図っている
●東京医科歯科大学病院 放射線科 渋谷均教授(電話)03・3813・6111(東京都)
舌がんの小線源治療の年間症例数世界ナンバーワン・クラス。歯科医との連携で
放射線障害を予防。5年生存率は手術とほぼ同等
●東京医療センター 放射線科 萬篤憲医長 耳鼻咽喉科 藤井正人医長 口腔外科 大鶴洋医長 (電話)03・3411・0111(東京都)
耳鼻咽喉科、口腔外科と強い連携。口腔がん年間50例。放射線で臓器温存。
舌がんなどの口腔がんの小線源治療は400例の実績
●癌研有明病院 頭頚科 川端一嘉部長 (電話)03・3520・0111(東京都)
舌がんなどの口腔がんの年間手術件数は100例を超え、そのうちマイクロサージェリーに
よる口腔再建手術は年間30~40例の実績
●神奈川県立がんセンター 頭頚部外科 久保田彰部長
(電話)045・391・5761(神奈川県)
進行がんでも超選択的な抗がん剤の動脈内投与と放射線の同時併用療法により
縮小手術を可能にして機能温存を目指す治療を工夫
●信州大学病院 放射線科 鹿間直人助教授(電話)0263・35・4600(長野県)
早期舌がんを中心にセシウム針を用いた組織内照射を行っている。治療方針の決定は
耳鼻科や口腔外科と一緒に行っている
●愛知県がんセンター中央病院 放射線治療部 不破信和部長
(電話)052・762・6111(愛知県)
行がんには抗がん剤を選択的に動脈内投与する動注化学放射線療法を行う。
舌がんでは手術と変わらない成績を得られつつある
●九州大学病院 放射線科 中村和正講師 (電話)092・642・5705外来(福岡県)
放射線を出す物質(小線源)を用いて、早期舌がんを切らずに治療する。
1~2期の5年生存率91%と良好
●東京医科歯科大学病院(東京都)
東京医科歯科大学病院放射線科では、舌がん(1~2期)の小線源治療を年間60~70例
行っている。これは日本ではナンバーワン、世界でもトップクラスの実績だ。
この小線源治療は、放射線を出す小さな粒(放射性金シード線源)を舌に10~20個
永久的に埋め込んだり、約4センチの放射性セシウム針を10本ほど舌に一時的に刺して
行う放射線治療である。
「高齢者やがんが小さい場合には、粒を用います。がんが大きくて、体力のある人には
針を使います。放射線によるあごの骨への障害を防ぐために、舌とあごの間にマウスピース
(スパーサ)を装着します。病院の歯科医と連携して、オーダーメードのマウスピースを作製
しています。そのため、放射線障害はほとんどありません」と渋谷均教授。
外来通院でマウスピースを作製してから、2~3週間入院して治療を受ける。放射線を
出す粒や針を入れるのに要する時間は30分ほど。針は5~7日後に抜く。治療後のケアを
きちんと行ったあと退院となる。
「小線源治療の5年生存率は、舌がん1期は84%、2期では76%です。手術を行った場合と
ほぼ同じです」(渋谷教授)
小線源治療は舌がんのほかに口腔底がん、歯肉がん、頬粘膜がん、中咽頭がんにも
行っている。
●愛知県がんセンター中央病院(愛知県)
愛知県がんセンター中央病院の放射線治療部は、十数年前から、進行した舌がんや
歯肉がん、口腔底がん、頬粘膜がんなどに「動注化学放射線療法」と呼ばれる治療を
行っている。この治療は、特に舌がんで良好な成績を挙げている。
「2002年までの進行した舌がん(3、4期)40例の2年局所制御率は62%でしたが、
2003年以降はシスプラチンを動脈内投与し、同時にその中和剤を静脈投与する方式に
変え、32例(3、4期)の2年制御率は80%に改善しています。従来の放射線単独療法では
制御出来なかった進行舌がんの治療成績は、手術とほぼ同じになりつつあります」
(不破信和部長)
動注化学療法は、局所麻酔をして耳の前にある浅側頭動脈から細い管(カテーテル)を
挿入して、この管を舌動脈に挿入し、抗がん剤を少量ずつ持続的に注入する。治療時間は
1時間30分程度で高齢者にも治療できる。
「動注化学療法は全身化学療法に比べて、より高い局所効果が得られます。また、
抗がん剤の副作用も少ないのが特徴です」と不破部長。
放射線治療も同時に行い、総治療期間は6週間ほど。
●千葉県がんセンター(千葉県)
千葉県がんセンターの放射線治療部は、舌がんや頬粘膜がんなどの口腔がんに
強度変調放射線治療(IMRT)を2001年から開始した。これまでに進行した舌がん、
歯肉がんなどの口腔がん40例にIMRTを実施し、全国トップクラスの治療数を持つ。
「IMRTはがんの複雑な形に合わせて、放射線照射の強度を変えてピンポイントに照射
できます。そのため、従来の放射線治療では問題となりがちな、唾液の分泌低下などを
軽減することが可能です。IMRTでは患者さんの大半は治療して1年前後で唾液の分泌が
認められます。生存率でも手術をした場合とほぼ同じ成績です」と幡野和男部長。
IMRTは照射前の準備に時間がかかる。コンピューターで照射量を計算し、試し照射を
何度も繰り返して、正確な照射を行う。IMRTの入院期間は1カ月ほど。
「早期の舌がんなどには小線源治療も行っています。頭頚科とのカンファレンスで、
患者さんに最適な治療方針を決めます」(幡野部長)
■病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●北海道がんセンター 放射線科 西尾正道統括診療部長
(電話)011・811・9111(北海道)
低い線量を出す物質(小線源)を用いて治療を行っているため、放射線障害が少なく、
治癒率は高い。日本で最も進行例を多く扱う
●国立がんセンター東病院 頭頚科 林隆一医長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
口腔がんに対しては手術治療が中心。手術件数は年間100例を超え根治性と同時に
QOLを保持。進行例では再建外科を積極的に導入
●千葉県がんセンター 放射線治療部 幡野和男部長(電話)043・264・5431(千葉県)
頭頚科とのカンファレンスで治療方針決定。IMRTなどの外部照射や小線源治療を
駆使して治療成績の向上を図っている
●東京医科歯科大学病院 放射線科 渋谷均教授(電話)03・3813・6111(東京都)
舌がんの小線源治療の年間症例数世界ナンバーワン・クラス。歯科医との連携で
放射線障害を予防。5年生存率は手術とほぼ同等
●東京医療センター 放射線科 萬篤憲医長 耳鼻咽喉科 藤井正人医長 口腔外科 大鶴洋医長 (電話)03・3411・0111(東京都)
耳鼻咽喉科、口腔外科と強い連携。口腔がん年間50例。放射線で臓器温存。
舌がんなどの口腔がんの小線源治療は400例の実績
●癌研有明病院 頭頚科 川端一嘉部長 (電話)03・3520・0111(東京都)
舌がんなどの口腔がんの年間手術件数は100例を超え、そのうちマイクロサージェリーに
よる口腔再建手術は年間30~40例の実績
●神奈川県立がんセンター 頭頚部外科 久保田彰部長
(電話)045・391・5761(神奈川県)
進行がんでも超選択的な抗がん剤の動脈内投与と放射線の同時併用療法により
縮小手術を可能にして機能温存を目指す治療を工夫
●信州大学病院 放射線科 鹿間直人助教授(電話)0263・35・4600(長野県)
早期舌がんを中心にセシウム針を用いた組織内照射を行っている。治療方針の決定は
耳鼻科や口腔外科と一緒に行っている
●愛知県がんセンター中央病院 放射線治療部 不破信和部長
(電話)052・762・6111(愛知県)
行がんには抗がん剤を選択的に動脈内投与する動注化学放射線療法を行う。
舌がんでは手術と変わらない成績を得られつつある
●九州大学病院 放射線科 中村和正講師 (電話)092・642・5705外来(福岡県)
放射線を出す物質(小線源)を用いて、早期舌がんを切らずに治療する。
1~2期の5年生存率91%と良好
胆道がんに強い病院ベスト10
胆道がんは肝臓で作られた胆汁の通り道にできるがんで、その発生部位によって「胆管がん」と「胆のうがん」に大別される。進行がんで発見されることが多いため、胆道がん全体の約3割は手術ができないといわれるが、このがんの治療で定評がある病院はどこなのか。
●順天堂大学順天堂医院 (東京都)
順天堂大学順天堂医院肝胆膵外科は、胆道がんの中で治療の難しい肝門部胆管がんと
上部胆管がんに対して、安全性の高い手術で全国トップクラスの実績を持つ。
「肝切除を必要とする肝門部胆管がんと上部胆管がんに対して、術前に門脈塞栓術を行って
から拡大手術をしています。十数年間で約100例に実施し、入院死亡例は1例だけ。
それも胆道がん以外の原因によるものです。かなり大きな手術も安全に行うことが
できます」(川崎誠治教授)
門脈塞栓術とは手術で切除する側の肝臓に栄養を送る血管の門脈をふさいで、
肝臓を小さくして、残す側の肝臓の機能を高めておこうというもの。
例えば、拡大手術で肝臓の右葉を切除するときは、右葉に栄養を送る門脈をふさいで
委縮させる。局所麻酔で2時間ほど。この塞栓術の2、3週間後に肝切除を含む拡大手術を
行う。
「がんが血管や神経に浸潤していれば、その切除が必要になるし、すい頭十二指腸切除も
加わる場合もあります」(川崎教授)
拡大手術は10時間以上かかるが、術前の門脈塞栓術を含むさまざまな工夫で、手術の
安全性はかなり向上したという。
●名古屋大学病院(愛知県)
名古屋大学病院消化器外科1は、胆道がんの年間手術数79例(05年)で全国トップ
クラスの実績を持つ。また、胆道がんの診療合計数、手術合計数でも抜群の実績だ。
「1970年代から胆道がんの治療に積極的に取り組んでいます。胆管がん、胆のうがん
ともに、現時点では治療法の第一選択である手術を行えるように努めています」と
二村雄次教授。
三十数年間で胆管がんは合計605例診療して手術合計数475例、胆のうがんでは
合計355例診療して手術合計数239例に上る。
「肝門部胆管がんは治療の難しいケースが多いにもかかわらず、当科での手術合計数は
352例に達しています。世界的にも豊富な症例数です」(二村教授)
この肝門部胆管がん手術全体の5年生存率は22%と良好な成績だ。マンパワーを
必要とする手術後の管理も綿密に実施し、治療成績の向上に努めている。
●国立がんセンター東病院(千葉県)
胆道がんの初診患者数は年間80~90例で全国有数だ。内科、外科、放射線科との
緊密な連携で最適な治療を目指す。
「胆道がんは胆管、胆のう、乳頭部と部位によって病態が異なります。進行度もさまざまで
病状に応じた治療選択が必要です」と肝胆膵内科の古瀬純司医長。
手術のできない進行した胆道がんには化学療法を行う。最近では、内服薬の
テガフール・ウラシルと注射薬の塩酸ドキソルビシンの併用療法で効果を上げている。
「この2剤併用療法は、従来のテガフール・ウラシル単独療法よりも、がんの縮小効果が
2倍以上になることがわかってきました」(古瀬医長)
胆道がんに対する化学療法をしっかり行える病院は数少ない。同病院はそこでも
リーダー的な役割を果たす。
がんが大きくなって胆汁の通り道の胆管をふさぐと閉塞性黄疸(おうだん)を起こす。
そこで、ステント留置法にも力を入れる。ふさがった場所にステントと呼ばれる金属製の
筒を留置して、胆管を広げて胆汁の流れを改善する治療だ。
「積極的な治療と同時にQOL向上にはステント留置なども大切です」と古瀬医長。
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●手稲渓仁会病院 消化器病センター 真口宏介センター長
(電話)011・681・8111(北海道)
正確な進展度診断により胆管がんの60%以上が手術適応となる。切除不能の場合、
放射線・化学療法、胆管ステンティングを行う
●国立がんセンター東病院 肝胆膵内科
古瀬純司医長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
外科、放射線科との緊密な連携で、切除、化学療法、QOLへの配慮を含め最適な診断と
治療選択を行う。治験など臨床試験も積極的
●千葉大学病院 肝胆膵外科
宮崎勝教授 (電話)043・222・7171(千葉県)
胆道がん年間手術約40例。血管合併切除や門脈塞栓術を併用した積極的な外科切除で
高い根治率。化学療法との集学的治療も行う
●東京大学病院 肝胆膵外科 幕内雅敏教授 (電話)03・3815・5411(東京都)
胆道がん年間切除25例。難易度の高い胆道がんに対し安全性と根治性を追求する
治療(門脈塞栓術等)で拡大切除し治療成績向上
●順天堂大学順天堂医院 肝胆膵外科
川崎誠治教授 (電話)03・3813・3111(東京都)
肝門部胆管がん、上部胆管がんの手術数約100例のうち入院死亡1例のみ。
肝機能を維持する門脈塞栓術などで手術の安全性を向上
●国立がんセンター中央病院 外科肝胆膵外科グループ
島田和明医長 (電話)03・3542・2511(東京都)
胆道系の閉塞をきたし黄疸を発生した場合でも迅速に対応している。高度な技術を要する
肝門部胆管がんの手術件数も全国有数
●慶応義塾大学病院 一般消化器外科
島津元秀講師 (電話)03・3353・1211(東京都)
3次元画像を駆使して胆道がんの浸潤範囲を正確に診断するため、取り残しのない手術が
多い。他院で切除不能な進行がんも治癒
●名古屋大学病院 消化器外科1
二村雄次教授 (電話)052・741・2111(愛知県)
安全面に十分配慮したうえで拡大肝切除、動脈・門脈の合併切除再建、
肝膵十二指腸切除を常に実施し、治療成績の向上に努めている
●奈良県立医科大学病院 放射線治療・核医学科
玉本哲郎講師 (電話)0744・22・3051(奈良県)
放射線科と連携し、手術困難症例に放射線療法(小線源、定位放射線)と
IⅤR(ステント、動注化学)を併用した集学的治療を行う
●九州がんセンター 消化器内科
船越顕博医長(電話)092・541・3231(福岡県)
遠隔転移を有する胆道がんに、UFT、アドリアシンの組み合わせ療法を班会議で
共同治験中。近々、保険適応予定の抗がん剤も使用
●順天堂大学順天堂医院 (東京都)
順天堂大学順天堂医院肝胆膵外科は、胆道がんの中で治療の難しい肝門部胆管がんと
上部胆管がんに対して、安全性の高い手術で全国トップクラスの実績を持つ。
「肝切除を必要とする肝門部胆管がんと上部胆管がんに対して、術前に門脈塞栓術を行って
から拡大手術をしています。十数年間で約100例に実施し、入院死亡例は1例だけ。
それも胆道がん以外の原因によるものです。かなり大きな手術も安全に行うことが
できます」(川崎誠治教授)
門脈塞栓術とは手術で切除する側の肝臓に栄養を送る血管の門脈をふさいで、
肝臓を小さくして、残す側の肝臓の機能を高めておこうというもの。
例えば、拡大手術で肝臓の右葉を切除するときは、右葉に栄養を送る門脈をふさいで
委縮させる。局所麻酔で2時間ほど。この塞栓術の2、3週間後に肝切除を含む拡大手術を
行う。
「がんが血管や神経に浸潤していれば、その切除が必要になるし、すい頭十二指腸切除も
加わる場合もあります」(川崎教授)
拡大手術は10時間以上かかるが、術前の門脈塞栓術を含むさまざまな工夫で、手術の
安全性はかなり向上したという。
●名古屋大学病院(愛知県)
名古屋大学病院消化器外科1は、胆道がんの年間手術数79例(05年)で全国トップ
クラスの実績を持つ。また、胆道がんの診療合計数、手術合計数でも抜群の実績だ。
「1970年代から胆道がんの治療に積極的に取り組んでいます。胆管がん、胆のうがん
ともに、現時点では治療法の第一選択である手術を行えるように努めています」と
二村雄次教授。
三十数年間で胆管がんは合計605例診療して手術合計数475例、胆のうがんでは
合計355例診療して手術合計数239例に上る。
「肝門部胆管がんは治療の難しいケースが多いにもかかわらず、当科での手術合計数は
352例に達しています。世界的にも豊富な症例数です」(二村教授)
この肝門部胆管がん手術全体の5年生存率は22%と良好な成績だ。マンパワーを
必要とする手術後の管理も綿密に実施し、治療成績の向上に努めている。
●国立がんセンター東病院(千葉県)
胆道がんの初診患者数は年間80~90例で全国有数だ。内科、外科、放射線科との
緊密な連携で最適な治療を目指す。
「胆道がんは胆管、胆のう、乳頭部と部位によって病態が異なります。進行度もさまざまで
病状に応じた治療選択が必要です」と肝胆膵内科の古瀬純司医長。
手術のできない進行した胆道がんには化学療法を行う。最近では、内服薬の
テガフール・ウラシルと注射薬の塩酸ドキソルビシンの併用療法で効果を上げている。
「この2剤併用療法は、従来のテガフール・ウラシル単独療法よりも、がんの縮小効果が
2倍以上になることがわかってきました」(古瀬医長)
胆道がんに対する化学療法をしっかり行える病院は数少ない。同病院はそこでも
リーダー的な役割を果たす。
がんが大きくなって胆汁の通り道の胆管をふさぐと閉塞性黄疸(おうだん)を起こす。
そこで、ステント留置法にも力を入れる。ふさがった場所にステントと呼ばれる金属製の
筒を留置して、胆管を広げて胆汁の流れを改善する治療だ。
「積極的な治療と同時にQOL向上にはステント留置なども大切です」と古瀬医長。
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●手稲渓仁会病院 消化器病センター 真口宏介センター長
(電話)011・681・8111(北海道)
正確な進展度診断により胆管がんの60%以上が手術適応となる。切除不能の場合、
放射線・化学療法、胆管ステンティングを行う
●国立がんセンター東病院 肝胆膵内科
古瀬純司医長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
外科、放射線科との緊密な連携で、切除、化学療法、QOLへの配慮を含め最適な診断と
治療選択を行う。治験など臨床試験も積極的
●千葉大学病院 肝胆膵外科
宮崎勝教授 (電話)043・222・7171(千葉県)
胆道がん年間手術約40例。血管合併切除や門脈塞栓術を併用した積極的な外科切除で
高い根治率。化学療法との集学的治療も行う
●東京大学病院 肝胆膵外科 幕内雅敏教授 (電話)03・3815・5411(東京都)
胆道がん年間切除25例。難易度の高い胆道がんに対し安全性と根治性を追求する
治療(門脈塞栓術等)で拡大切除し治療成績向上
●順天堂大学順天堂医院 肝胆膵外科
川崎誠治教授 (電話)03・3813・3111(東京都)
肝門部胆管がん、上部胆管がんの手術数約100例のうち入院死亡1例のみ。
肝機能を維持する門脈塞栓術などで手術の安全性を向上
●国立がんセンター中央病院 外科肝胆膵外科グループ
島田和明医長 (電話)03・3542・2511(東京都)
胆道系の閉塞をきたし黄疸を発生した場合でも迅速に対応している。高度な技術を要する
肝門部胆管がんの手術件数も全国有数
●慶応義塾大学病院 一般消化器外科
島津元秀講師 (電話)03・3353・1211(東京都)
3次元画像を駆使して胆道がんの浸潤範囲を正確に診断するため、取り残しのない手術が
多い。他院で切除不能な進行がんも治癒
●名古屋大学病院 消化器外科1
二村雄次教授 (電話)052・741・2111(愛知県)
安全面に十分配慮したうえで拡大肝切除、動脈・門脈の合併切除再建、
肝膵十二指腸切除を常に実施し、治療成績の向上に努めている
●奈良県立医科大学病院 放射線治療・核医学科
玉本哲郎講師 (電話)0744・22・3051(奈良県)
放射線科と連携し、手術困難症例に放射線療法(小線源、定位放射線)と
IⅤR(ステント、動注化学)を併用した集学的治療を行う
●九州がんセンター 消化器内科
船越顕博医長(電話)092・541・3231(福岡県)
遠隔転移を有する胆道がんに、UFT、アドリアシンの組み合わせ療法を班会議で
共同治験中。近々、保険適応予定の抗がん剤も使用
皮膚がんに強い病院ベスト10
皮膚がんで最も多いのは基底細胞がんだが、転移はほとんどしない。
怖いのはメラノーマ(悪性黒色腫)だ。悪性度が高い上に、非常に転移もしやすい。近年増えている皮膚がんで、高い評価を受けている病院です。
●国立がんセンター中央病院(東京都)
国立がんセンター中央病院の皮膚科は、年間約230例以上の皮膚がんの治療を行う。
このうち約100例は、メラノーマだ。年間の皮膚がんの治療数、メラノーマの治療数ともに
全国トップだ。
「メラノーマは外科手術が中心です。軽い人は腫瘍の周囲1センチ、重い人は2~3センチ
切除します。手術時にはセンチネル(見張り)リンパ節生検を行っています。このリンパ節を
調べて転移がなければ、その先のリンパ節切除はしません。センチネルリンパ節生検を
行うことで、むくみなどの術後の障害を未然に防ぐことができます」と山崎直也医長。
メラノーマには、術後の再発防止にインターフェロンβと抗がん剤を用いた治療を行う。
リンパ節転移のない軽症の場合(2期)は、インターフェロンβだけ10日間用いる。
リンパ節転移のある場合(3期)には、インターフェロンβのほかに3剤の抗がん剤による
併用療法を5日間行う。退院後もこの再発防止治療を定期的に繰り返す。
「メラノーマの1期の5年生存率は100%、2期なら約90%、3期でも約60%です。
生存率も術後のQOL(生活の質)も格段に向上しています」(山崎医長)
●信州大学病院(長野県)
信州大学病院皮膚科は、90年から皮膚の病変を大きく拡大して観察するダーモスコピーと
呼ばれる診断法を取り入れ、皮膚腫瘍の診断精度を向上させている。皮膚病変にゼリーを
塗ってガラス板で圧迫し、光を当てて拡大して見る診断法だ。
「皮膚がんの中でも、悪性度が高く転移しやすいメラノーマ、局所で無制限に増殖する
基底細胞がん、良性の脂漏性角化症(老人性イボ)、母斑(ホクロ)は、鑑別が難しく誤診
されることがまれではありません。通常の視診では正診率は75~80%ほどですが、
当科ではダーモスコピー診断などを用いて正診率を90%以上に向上させています」と
斎田俊明教授。
同科の皮膚腫瘍の診断精度の高さは全国最高レベルと評価されている。とくに、日本人に
多い足底のメラノーマの早期病変のダーモスコピーを解明した研究は国際的に注目されて
いる。正確な診断のうえに、皮膚がんに対して手術から化学療法まで適切に行えるように
エキスパートが協力して診療にあたっている。
「メラノーマについては遺伝子治療や温熱免疫療法などの先進的治療法の開発にも
取り組んでいます」(斎田教授)
●九州大学病院(福岡県)
九州大学病院の皮膚科では、進行期のメラノーマに対し、樹状細胞療法と呼ばれる治療に
取り組んでいる。
「2002年から進行したメラノーマ13例に臨床試験として行っています。副作用が少なく、
今後の治療法として期待できます」と師井洋一講師。
樹状細胞は免疫の司令官と呼ばれる細胞だ。がん細胞を攻撃する免疫機能に指令を
出して働かせる役割を持つ。その樹状細胞を患者の血液中から取り出して、患者の
がん細胞を加えて培養し、再び体内に戻す――という治療法である。
「培養中に、この患者さんのメラノーマを攻撃するようにと樹状細胞に覚え込ませます。
がん細胞だけに作用するため、効率がよく、しかも患者の体への負担が少ないという利点が
あります。現時点では目覚ましい効果とはいえませんが、さまざまな工夫を行っています」と
師井講師。
現在、この臨床試験を行っているのは同科を含めて全国で7~8施設だけである。
■病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●北海道大学病院 形成外科 山本有平教授 古川洋志助手
(電話)011・716・1161(北海道)
センチネルリンパ節生検や抗がん剤感受性試験を導入し、皮膚がんの集学的外科治療を
行う。形成・美容外科手術を応用しQOL向上
●埼玉医科大学病院 皮膚科 田口理史講師(電話)049・276・1111(埼玉県)
メラノーマなどの皮膚がんに年間20例を超えるセンチネルリンパ節生検を行って良好な
手術成績。ダーモスコピーによる診断も行う
●国立がんセンター中央病院 皮膚科 山崎直也医長(電話)03・3542・2511(東京都)
患者さんにやさしいチーム・包括医療を重視。年間50~60例の造血幹細胞移植を行う。
すべての移植に対応できる設備と経験を持つ
●虎の門病院 皮膚科 大原國章部長(電話)03・3588・1111(東京都)
年間症例数約150例。的確な診断と十分な説明、高度で経験豊富な手術手技を持つ。
早期・軽症例には外来手術も行う
●信州大学病院 皮膚科 斎田俊明教授(電話)0263・35・4600(長野県)
日本の皮膚腫瘍学の中心的施設。診断から治療まで専門医が揃っている。
とくにメラノーマの研究は国際的に高く評価されている
●静岡県立静岡がんセンター 皮膚科 清原祥夫部長(電話)055・989・5222(静岡県)
すべての皮膚がんに対し進行度に応じてあらゆる治療を提供。部位的に手術が難しい
症例には陽子線療法も積極的に行っている
●浜松医科大学病院 皮膚科 瀧川雅浩教授(電話)053・435・2111(静岡県)
難治性のメラノーマに対して、自らのT細胞を活性化する経皮免疫療法を行う。副作用、
苦痛もほとんどなく良好な成績
●名古屋大学病院 皮膚科 富田靖教授(電話)052・741・2111(愛知県)
昨年の皮膚がん手術数149例(メラノーマ39、有棘細胞がん25、基底細胞がん35等)で
全国有数。センチネルリンパ節生検34例実施
●九州大学病院 皮膚科 師井洋一講師(電話)092・641・1151(福岡県)
日本初の高度先進医療・センチネルリンパ節生検を皮膚悪性腫瘍全般に施行中。進行期
メラノーマに樹状細胞療法を行っている
●熊本大学病院 皮膚科 影下登志郎助教授(電話)096・344・2111(熊本県)
メラノーマの症例数は全国トップクラス。進行度に応じた手術や化学療法を実践。
センチネルリンパ節生検は3D画面で行う
怖いのはメラノーマ(悪性黒色腫)だ。悪性度が高い上に、非常に転移もしやすい。近年増えている皮膚がんで、高い評価を受けている病院です。
●国立がんセンター中央病院(東京都)
国立がんセンター中央病院の皮膚科は、年間約230例以上の皮膚がんの治療を行う。
このうち約100例は、メラノーマだ。年間の皮膚がんの治療数、メラノーマの治療数ともに
全国トップだ。
「メラノーマは外科手術が中心です。軽い人は腫瘍の周囲1センチ、重い人は2~3センチ
切除します。手術時にはセンチネル(見張り)リンパ節生検を行っています。このリンパ節を
調べて転移がなければ、その先のリンパ節切除はしません。センチネルリンパ節生検を
行うことで、むくみなどの術後の障害を未然に防ぐことができます」と山崎直也医長。
メラノーマには、術後の再発防止にインターフェロンβと抗がん剤を用いた治療を行う。
リンパ節転移のない軽症の場合(2期)は、インターフェロンβだけ10日間用いる。
リンパ節転移のある場合(3期)には、インターフェロンβのほかに3剤の抗がん剤による
併用療法を5日間行う。退院後もこの再発防止治療を定期的に繰り返す。
「メラノーマの1期の5年生存率は100%、2期なら約90%、3期でも約60%です。
生存率も術後のQOL(生活の質)も格段に向上しています」(山崎医長)
●信州大学病院(長野県)
信州大学病院皮膚科は、90年から皮膚の病変を大きく拡大して観察するダーモスコピーと
呼ばれる診断法を取り入れ、皮膚腫瘍の診断精度を向上させている。皮膚病変にゼリーを
塗ってガラス板で圧迫し、光を当てて拡大して見る診断法だ。
「皮膚がんの中でも、悪性度が高く転移しやすいメラノーマ、局所で無制限に増殖する
基底細胞がん、良性の脂漏性角化症(老人性イボ)、母斑(ホクロ)は、鑑別が難しく誤診
されることがまれではありません。通常の視診では正診率は75~80%ほどですが、
当科ではダーモスコピー診断などを用いて正診率を90%以上に向上させています」と
斎田俊明教授。
同科の皮膚腫瘍の診断精度の高さは全国最高レベルと評価されている。とくに、日本人に
多い足底のメラノーマの早期病変のダーモスコピーを解明した研究は国際的に注目されて
いる。正確な診断のうえに、皮膚がんに対して手術から化学療法まで適切に行えるように
エキスパートが協力して診療にあたっている。
「メラノーマについては遺伝子治療や温熱免疫療法などの先進的治療法の開発にも
取り組んでいます」(斎田教授)
●九州大学病院(福岡県)
九州大学病院の皮膚科では、進行期のメラノーマに対し、樹状細胞療法と呼ばれる治療に
取り組んでいる。
「2002年から進行したメラノーマ13例に臨床試験として行っています。副作用が少なく、
今後の治療法として期待できます」と師井洋一講師。
樹状細胞は免疫の司令官と呼ばれる細胞だ。がん細胞を攻撃する免疫機能に指令を
出して働かせる役割を持つ。その樹状細胞を患者の血液中から取り出して、患者の
がん細胞を加えて培養し、再び体内に戻す――という治療法である。
「培養中に、この患者さんのメラノーマを攻撃するようにと樹状細胞に覚え込ませます。
がん細胞だけに作用するため、効率がよく、しかも患者の体への負担が少ないという利点が
あります。現時点では目覚ましい効果とはいえませんが、さまざまな工夫を行っています」と
師井講師。
現在、この臨床試験を行っているのは同科を含めて全国で7~8施設だけである。
■病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●北海道大学病院 形成外科 山本有平教授 古川洋志助手
(電話)011・716・1161(北海道)
センチネルリンパ節生検や抗がん剤感受性試験を導入し、皮膚がんの集学的外科治療を
行う。形成・美容外科手術を応用しQOL向上
●埼玉医科大学病院 皮膚科 田口理史講師(電話)049・276・1111(埼玉県)
メラノーマなどの皮膚がんに年間20例を超えるセンチネルリンパ節生検を行って良好な
手術成績。ダーモスコピーによる診断も行う
●国立がんセンター中央病院 皮膚科 山崎直也医長(電話)03・3542・2511(東京都)
患者さんにやさしいチーム・包括医療を重視。年間50~60例の造血幹細胞移植を行う。
すべての移植に対応できる設備と経験を持つ
●虎の門病院 皮膚科 大原國章部長(電話)03・3588・1111(東京都)
年間症例数約150例。的確な診断と十分な説明、高度で経験豊富な手術手技を持つ。
早期・軽症例には外来手術も行う
●信州大学病院 皮膚科 斎田俊明教授(電話)0263・35・4600(長野県)
日本の皮膚腫瘍学の中心的施設。診断から治療まで専門医が揃っている。
とくにメラノーマの研究は国際的に高く評価されている
●静岡県立静岡がんセンター 皮膚科 清原祥夫部長(電話)055・989・5222(静岡県)
すべての皮膚がんに対し進行度に応じてあらゆる治療を提供。部位的に手術が難しい
症例には陽子線療法も積極的に行っている
●浜松医科大学病院 皮膚科 瀧川雅浩教授(電話)053・435・2111(静岡県)
難治性のメラノーマに対して、自らのT細胞を活性化する経皮免疫療法を行う。副作用、
苦痛もほとんどなく良好な成績
●名古屋大学病院 皮膚科 富田靖教授(電話)052・741・2111(愛知県)
昨年の皮膚がん手術数149例(メラノーマ39、有棘細胞がん25、基底細胞がん35等)で
全国有数。センチネルリンパ節生検34例実施
●九州大学病院 皮膚科 師井洋一講師(電話)092・641・1151(福岡県)
日本初の高度先進医療・センチネルリンパ節生検を皮膚悪性腫瘍全般に施行中。進行期
メラノーマに樹状細胞療法を行っている
●熊本大学病院 皮膚科 影下登志郎助教授(電話)096・344・2111(熊本県)
メラノーマの症例数は全国トップクラス。進行度に応じた手術や化学療法を実践。
センチネルリンパ節生検は3D画面で行う
すい臓がん強い病院ベスト10
すい臓がんは難治がんの最たるものといわれる。
見つかったときはすでに進行していることが多く、
すい臓がんと診断されて手術ができるのは30%に過ぎない。
そのすい臓がん治療で成果を挙げている病院はどこなのか。
●東海大学病院(神奈川県)
東海大学病院消化器外科は、外科、放射線科、内科などのチーム医療で好成績を
挙げている。手術ができたすい臓がんの5年生存率は約25%、手術数も年間約50例で、
いずれも全国トップクラスを誇る。同科の今泉俊秀教授はすい臓の手術をこれまで
1000例以上経験している。
「すい臓の頭の部分(すい頭部)にできたすい臓がんには、すい臓、胆のう、胆管、
十二指腸を切除して、残ったすい臓、胆管などを腸とつなぐすい頭十二指腸切除術を
行います。手術時間は平均約4時間半と非常に短く無輸血です。再発予防のために
術中照射にも取り組んでいます」と今泉教授。
術中照射とは手術中に、がんを切除した後、がんのあったところに放射線を照射する
治療だ。外科手術室から放射線治療室に患者を移動させて、約5分間放射線を照射する。
退院後は外来で、ジェムザール(一般名ゲムシタビン)を中心にした化学療法を続ける。
週1回ずつ3週間注射して1週間休みを繰り返す。約6カ月間行う。
「最近ではほかの経口抗がん剤も試みて、治療成績の向上に努力しています」(今泉教授)
●大阪府立成人病センター(大阪府)
すい臓がんは肝臓に転移しやすいが、大阪府立成人病センターの消化器外科は、98年に
肝転移の予防に有効な術後2―チャンネル化学療法を世界に先駆けて開発したことで
知られる。この療法は手術後に、肝臓につながる肝動脈と門脈の2つの血管から抗がん剤を
注入して、肝転移を予防するという治療法だ。
現在、同科では手術前に放射線療法でがんの進行を抑えたうえで手術を実施し、術後
2―チャンネル化学療法を加えた治療法などにも取り組み、進行すい臓がん(ステージⅣ)に
対しても40%以上の術後5年生存率を誇る。
「すい臓がんは、手術をしても局所再発や肝転移が高い確率で起こります。そこで、
局所再発予防を目指した術前放射線療法や、肝転移予防に有効な術後2―チャンネル
化学療法を組み合わせることで、手術後の5年生存率を向上させてきました」と
石川治副院長は言う。
また、すい臓がんの早期診断のための検診システムも世界に先駆けて導入し、
早期微小すい臓がんの発見に取り組む。
「早期のすい臓がんで手術を行った場合、5年生存率はほぼ100%です」(石川副院長)
●名古屋大学病院(愛知県)
名古屋大学病院の消化器外科2は、81年に肝臓につながる門脈(静脈)に浸潤した
進行すい臓がんに対する門脈合併切除術式を開発したことで知られる。
「それまでは門脈への浸潤を伴うすい臓がんは切除困難で、手術を行うことが
できませんでした。新しい術式の開発で、手術が安全に行えるようになりました」と
中尾昭公教授。
この新術式の登場と普及によって、手術のできるすい臓がんの症例数が増加し、
その安全性も飛躍的に上昇したという。 また、術後の再発予防を目的にした抗がん剤の
感受性試験でも治療実績を持つ。手術時に切除したがん細胞の一部をシャーレに移し、
その中に抗がん剤を入れて培養し、効かない抗がん剤、効く抗がん剤を調べる検査である。
「この検査で個々の患者さんに最も効果的な抗がん剤を選び出して、術後の
補助化学療法を行っています。こうしたオーダーメード治療で成績の向上に努めています」
(中尾教授)
最近では遺伝子研究を応用した抗がん剤の感受性試験にも取り組んでいる。
すい臓がんは難治がんの最たるものといわれる。
見つかったときはすでに進行していることが多く、
すい臓がんと診断されて手術ができるのは30%に過ぎない。
そのすい臓がん治療で成果を挙げている病院はどこなのか。
●東海大学病院(神奈川県)
東海大学病院消化器外科は、外科、放射線科、内科などのチーム医療で好成績を
挙げている。手術ができたすい臓がんの5年生存率は約25%、手術数も年間約50例で、
いずれも全国トップクラスを誇る。同科の今泉俊秀教授はすい臓の手術をこれまで
1000例以上経験している。
「すい臓の頭の部分(すい頭部)にできたすい臓がんには、すい臓、胆のう、胆管、
十二指腸を切除して、残ったすい臓、胆管などを腸とつなぐすい頭十二指腸切除術を
行います。手術時間は平均約4時間半と非常に短く無輸血です。再発予防のために
術中照射にも取り組んでいます」と今泉教授。
術中照射とは手術中に、がんを切除した後、がんのあったところに放射線を照射する
治療だ。外科手術室から放射線治療室に患者を移動させて、約5分間放射線を照射する。
退院後は外来で、ジェムザール(一般名ゲムシタビン)を中心にした化学療法を続ける。
週1回ずつ3週間注射して1週間休みを繰り返す。約6カ月間行う。
「最近ではほかの経口抗がん剤も試みて、治療成績の向上に努力しています」(今泉教授)
●大阪府立成人病センター(大阪府)
すい臓がんは肝臓に転移しやすいが、大阪府立成人病センターの消化器外科は、98年に
肝転移の予防に有効な術後2―チャンネル化学療法を世界に先駆けて開発したことで
知られる。この療法は手術後に、肝臓につながる肝動脈と門脈の2つの血管から抗がん剤を
注入して、肝転移を予防するという治療法だ。
現在、同科では手術前に放射線療法でがんの進行を抑えたうえで手術を実施し、術後
2―チャンネル化学療法を加えた治療法などにも取り組み、進行すい臓がん(ステージⅣ)に
対しても40%以上の術後5年生存率を誇る。
「すい臓がんは、手術をしても局所再発や肝転移が高い確率で起こります。そこで、
局所再発予防を目指した術前放射線療法や、肝転移予防に有効な術後2―チャンネル
化学療法を組み合わせることで、手術後の5年生存率を向上させてきました」と
石川治副院長は言う。
また、すい臓がんの早期診断のための検診システムも世界に先駆けて導入し、
早期微小すい臓がんの発見に取り組む。
「早期のすい臓がんで手術を行った場合、5年生存率はほぼ100%です」(石川副院長)
●名古屋大学病院(愛知県)
名古屋大学病院の消化器外科2は、81年に肝臓につながる門脈(静脈)に浸潤した
進行すい臓がんに対する門脈合併切除術式を開発したことで知られる。
「それまでは門脈への浸潤を伴うすい臓がんは切除困難で、手術を行うことが
できませんでした。新しい術式の開発で、手術が安全に行えるようになりました」と
中尾昭公教授。
この新術式の登場と普及によって、手術のできるすい臓がんの症例数が増加し、
その安全性も飛躍的に上昇したという。 また、術後の再発予防を目的にした抗がん剤の
感受性試験でも治療実績を持つ。手術時に切除したがん細胞の一部をシャーレに移し、
その中に抗がん剤を入れて培養し、効かない抗がん剤、効く抗がん剤を調べる検査である。
「この検査で個々の患者さんに最も効果的な抗がん剤を選び出して、術後の
補助化学療法を行っています。こうしたオーダーメード治療で成績の向上に努めています」
(中尾教授)
最近では遺伝子研究を応用した抗がん剤の感受性試験にも取り組んでいる。
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●手稲渓仁会病院 消化器病センター
真口宏介センター長(電話)011・681・8111(北海道)
すい臓がん延べ症例数400例。超音波内視鏡を中心にした診断に力を入れ、
手術適応には的確な手術、切除不能には化学療法等を選択
●東北大学病院 肝胆膵外科
砂村眞琴助教授(電話)022・717・7000(宮城県)
治癒切除をめざして補助化学療法、放射線療法、免疫療法を併用。
抗がん剤の感受性に基づいた個別化治療を導入し、外来治療も重視
●千葉県がんセンター 消化器外科
浅野武秀部長(電話)043・264・5431(千葉県)
重粒子線治療を組み合わせた治療、ヨーロッパすい臓がん研究グループとの
国際共同研究、腫瘍溶解ウイルス研究等で治療成績を向上
●東京女子医科大学病院 消化器外科
羽鳥隆講師(電話)03・3353・8111(東京都)
すい臓がんの年間手術数60~70例。臓器機能の温存を考えながらがん病巣を
積極的に切除し、術後化学療法、免疫療法等で生存率向上
●東京都立駒込病院 肝胆膵外科
岡本篤武副院長 鶴田耕二部長 放射線科 唐澤克之部長
(電話)03・3823・2101(東京都)
局所進行すい臓がんに対して、術中照射と術後照射、血行の改善、抗がん剤の動注療法で
2年近い生存期間を記録している
●国立がんセンター中央病院 肝胆膵内科
奥坂拓志医長(電話)03・3542・2511(東京都)
すい臓がんの化学療法、放射線療法で実績があり、治療者数は全国トップ。
標準治療のほか、新しい治療の開発を積極的に行っている
●東海大学病院 消化器外科
今泉俊秀教授(電話)0463・93・1121(神奈川県)
熟練した外科医の手術、術中照射、外来の化学療法を組み合わせたチーム医療を実践。
術後5年生存率約25%と好成績を挙げる
●名古屋大学病院 消化器外科2
中尾昭公教授(電話)052・741・2111(愛知県)
進行すい臓がんに対する門脈合併切除術式を開発し、その症例数も多い。
オーダーメードの術後補助化学療法で成績向上に努める
●大阪府立成人病センター 消化器外科
石川治副院長(電話)06・6972・1181(大阪府)
術前放射線療法や肝転移防止に有効な術後2―チャンネル化学療法などを開発し、
すい臓がん切除成績を画期的に向上させてきた
●九州がんセンター 消化器内科
船越顕博医長(電話)092・541・3231(福岡県)
局所進行すい臓がんに対しては抗がん剤前投与と化学放射線療法を組み合わせて行う。
遠隔転移にはゲムシタビンを中心とした化学療法を実施
見つかったときはすでに進行していることが多く、
すい臓がんと診断されて手術ができるのは30%に過ぎない。
そのすい臓がん治療で成果を挙げている病院はどこなのか。
●東海大学病院(神奈川県)
東海大学病院消化器外科は、外科、放射線科、内科などのチーム医療で好成績を
挙げている。手術ができたすい臓がんの5年生存率は約25%、手術数も年間約50例で、
いずれも全国トップクラスを誇る。同科の今泉俊秀教授はすい臓の手術をこれまで
1000例以上経験している。
「すい臓の頭の部分(すい頭部)にできたすい臓がんには、すい臓、胆のう、胆管、
十二指腸を切除して、残ったすい臓、胆管などを腸とつなぐすい頭十二指腸切除術を
行います。手術時間は平均約4時間半と非常に短く無輸血です。再発予防のために
術中照射にも取り組んでいます」と今泉教授。
術中照射とは手術中に、がんを切除した後、がんのあったところに放射線を照射する
治療だ。外科手術室から放射線治療室に患者を移動させて、約5分間放射線を照射する。
退院後は外来で、ジェムザール(一般名ゲムシタビン)を中心にした化学療法を続ける。
週1回ずつ3週間注射して1週間休みを繰り返す。約6カ月間行う。
「最近ではほかの経口抗がん剤も試みて、治療成績の向上に努力しています」(今泉教授)
●大阪府立成人病センター(大阪府)
すい臓がんは肝臓に転移しやすいが、大阪府立成人病センターの消化器外科は、98年に
肝転移の予防に有効な術後2―チャンネル化学療法を世界に先駆けて開発したことで
知られる。この療法は手術後に、肝臓につながる肝動脈と門脈の2つの血管から抗がん剤を
注入して、肝転移を予防するという治療法だ。
現在、同科では手術前に放射線療法でがんの進行を抑えたうえで手術を実施し、術後
2―チャンネル化学療法を加えた治療法などにも取り組み、進行すい臓がん(ステージⅣ)に
対しても40%以上の術後5年生存率を誇る。
「すい臓がんは、手術をしても局所再発や肝転移が高い確率で起こります。そこで、
局所再発予防を目指した術前放射線療法や、肝転移予防に有効な術後2―チャンネル
化学療法を組み合わせることで、手術後の5年生存率を向上させてきました」と
石川治副院長は言う。
また、すい臓がんの早期診断のための検診システムも世界に先駆けて導入し、
早期微小すい臓がんの発見に取り組む。
「早期のすい臓がんで手術を行った場合、5年生存率はほぼ100%です」(石川副院長)
●名古屋大学病院(愛知県)
名古屋大学病院の消化器外科2は、81年に肝臓につながる門脈(静脈)に浸潤した
進行すい臓がんに対する門脈合併切除術式を開発したことで知られる。
「それまでは門脈への浸潤を伴うすい臓がんは切除困難で、手術を行うことが
できませんでした。新しい術式の開発で、手術が安全に行えるようになりました」と
中尾昭公教授。
この新術式の登場と普及によって、手術のできるすい臓がんの症例数が増加し、
その安全性も飛躍的に上昇したという。 また、術後の再発予防を目的にした抗がん剤の
感受性試験でも治療実績を持つ。手術時に切除したがん細胞の一部をシャーレに移し、
その中に抗がん剤を入れて培養し、効かない抗がん剤、効く抗がん剤を調べる検査である。
「この検査で個々の患者さんに最も効果的な抗がん剤を選び出して、術後の
補助化学療法を行っています。こうしたオーダーメード治療で成績の向上に努めています」
(中尾教授)
最近では遺伝子研究を応用した抗がん剤の感受性試験にも取り組んでいる。
すい臓がんは難治がんの最たるものといわれる。
見つかったときはすでに進行していることが多く、
すい臓がんと診断されて手術ができるのは30%に過ぎない。
そのすい臓がん治療で成果を挙げている病院はどこなのか。
●東海大学病院(神奈川県)
東海大学病院消化器外科は、外科、放射線科、内科などのチーム医療で好成績を
挙げている。手術ができたすい臓がんの5年生存率は約25%、手術数も年間約50例で、
いずれも全国トップクラスを誇る。同科の今泉俊秀教授はすい臓の手術をこれまで
1000例以上経験している。
「すい臓の頭の部分(すい頭部)にできたすい臓がんには、すい臓、胆のう、胆管、
十二指腸を切除して、残ったすい臓、胆管などを腸とつなぐすい頭十二指腸切除術を
行います。手術時間は平均約4時間半と非常に短く無輸血です。再発予防のために
術中照射にも取り組んでいます」と今泉教授。
術中照射とは手術中に、がんを切除した後、がんのあったところに放射線を照射する
治療だ。外科手術室から放射線治療室に患者を移動させて、約5分間放射線を照射する。
退院後は外来で、ジェムザール(一般名ゲムシタビン)を中心にした化学療法を続ける。
週1回ずつ3週間注射して1週間休みを繰り返す。約6カ月間行う。
「最近ではほかの経口抗がん剤も試みて、治療成績の向上に努力しています」(今泉教授)
●大阪府立成人病センター(大阪府)
すい臓がんは肝臓に転移しやすいが、大阪府立成人病センターの消化器外科は、98年に
肝転移の予防に有効な術後2―チャンネル化学療法を世界に先駆けて開発したことで
知られる。この療法は手術後に、肝臓につながる肝動脈と門脈の2つの血管から抗がん剤を
注入して、肝転移を予防するという治療法だ。
現在、同科では手術前に放射線療法でがんの進行を抑えたうえで手術を実施し、術後
2―チャンネル化学療法を加えた治療法などにも取り組み、進行すい臓がん(ステージⅣ)に
対しても40%以上の術後5年生存率を誇る。
「すい臓がんは、手術をしても局所再発や肝転移が高い確率で起こります。そこで、
局所再発予防を目指した術前放射線療法や、肝転移予防に有効な術後2―チャンネル
化学療法を組み合わせることで、手術後の5年生存率を向上させてきました」と
石川治副院長は言う。
また、すい臓がんの早期診断のための検診システムも世界に先駆けて導入し、
早期微小すい臓がんの発見に取り組む。
「早期のすい臓がんで手術を行った場合、5年生存率はほぼ100%です」(石川副院長)
●名古屋大学病院(愛知県)
名古屋大学病院の消化器外科2は、81年に肝臓につながる門脈(静脈)に浸潤した
進行すい臓がんに対する門脈合併切除術式を開発したことで知られる。
「それまでは門脈への浸潤を伴うすい臓がんは切除困難で、手術を行うことが
できませんでした。新しい術式の開発で、手術が安全に行えるようになりました」と
中尾昭公教授。
この新術式の登場と普及によって、手術のできるすい臓がんの症例数が増加し、
その安全性も飛躍的に上昇したという。 また、術後の再発予防を目的にした抗がん剤の
感受性試験でも治療実績を持つ。手術時に切除したがん細胞の一部をシャーレに移し、
その中に抗がん剤を入れて培養し、効かない抗がん剤、効く抗がん剤を調べる検査である。
「この検査で個々の患者さんに最も効果的な抗がん剤を選び出して、術後の
補助化学療法を行っています。こうしたオーダーメード治療で成績の向上に努めています」
(中尾教授)
最近では遺伝子研究を応用した抗がん剤の感受性試験にも取り組んでいる。
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●手稲渓仁会病院 消化器病センター
真口宏介センター長(電話)011・681・8111(北海道)
すい臓がん延べ症例数400例。超音波内視鏡を中心にした診断に力を入れ、
手術適応には的確な手術、切除不能には化学療法等を選択
●東北大学病院 肝胆膵外科
砂村眞琴助教授(電話)022・717・7000(宮城県)
治癒切除をめざして補助化学療法、放射線療法、免疫療法を併用。
抗がん剤の感受性に基づいた個別化治療を導入し、外来治療も重視
●千葉県がんセンター 消化器外科
浅野武秀部長(電話)043・264・5431(千葉県)
重粒子線治療を組み合わせた治療、ヨーロッパすい臓がん研究グループとの
国際共同研究、腫瘍溶解ウイルス研究等で治療成績を向上
●東京女子医科大学病院 消化器外科
羽鳥隆講師(電話)03・3353・8111(東京都)
すい臓がんの年間手術数60~70例。臓器機能の温存を考えながらがん病巣を
積極的に切除し、術後化学療法、免疫療法等で生存率向上
●東京都立駒込病院 肝胆膵外科
岡本篤武副院長 鶴田耕二部長 放射線科 唐澤克之部長
(電話)03・3823・2101(東京都)
局所進行すい臓がんに対して、術中照射と術後照射、血行の改善、抗がん剤の動注療法で
2年近い生存期間を記録している
●国立がんセンター中央病院 肝胆膵内科
奥坂拓志医長(電話)03・3542・2511(東京都)
すい臓がんの化学療法、放射線療法で実績があり、治療者数は全国トップ。
標準治療のほか、新しい治療の開発を積極的に行っている
●東海大学病院 消化器外科
今泉俊秀教授(電話)0463・93・1121(神奈川県)
熟練した外科医の手術、術中照射、外来の化学療法を組み合わせたチーム医療を実践。
術後5年生存率約25%と好成績を挙げる
●名古屋大学病院 消化器外科2
中尾昭公教授(電話)052・741・2111(愛知県)
進行すい臓がんに対する門脈合併切除術式を開発し、その症例数も多い。
オーダーメードの術後補助化学療法で成績向上に努める
●大阪府立成人病センター 消化器外科
石川治副院長(電話)06・6972・1181(大阪府)
術前放射線療法や肝転移防止に有効な術後2―チャンネル化学療法などを開発し、
すい臓がん切除成績を画期的に向上させてきた
●九州がんセンター 消化器内科
船越顕博医長(電話)092・541・3231(福岡県)
局所進行すい臓がんに対しては抗がん剤前投与と化学放射線療法を組み合わせて行う。
遠隔転移にはゲムシタビンを中心とした化学療法を実施
皮膚がんに強い病院ベスト10
皮膚がんで最も多いのは基底細胞がんだが、
転移はほとんどしない。怖いのはメラノーマ(悪性黒色腫)だ。悪性度が高い上に、非常に転移もしやすい。皮膚がんで、高い評価を受けている病院を紹介します。
●国立がんセンター中央病院(東京都)
国立がんセンター中央病院の皮膚科は、年間約230例以上の皮膚がんの治療を行う。
このうち約100例は、メラノーマだ。年間の皮膚がんの治療数、メラノーマの治療数ともに全国トップだ。
「メラノーマは外科手術が中心です。軽い人は腫瘍の周囲1センチ、重い人は2~3センチ切除します。手術時にはセンチネル(見張り)リンパ節生検を行っています。このリンパ節を調べて転移がなければ、その先のリンパ節切除はしません。センチネルリンパ節生検を行うことで、むくみなどの術後の障害を未然に防ぐことができます」と山崎直也医長。
メラノーマには、術後の再発防止にインターフェロンβと抗がん剤を用いた治療を行う。
リンパ節転移のない軽症の場合(2期)は、インターフェロンβだけ10日間用いる。
リンパ節転移のある場合(3期)には、インターフェロンβのほかに3剤の抗がん剤による併用療法を5日間行う。退院後もこの再発防止治療を定期的に繰り返す。
「メラノーマの1期の5年生存率は100%、2期なら約90%、3期でも約60%です。
生存率も術後のQOL(生活の質)も格段に向上しています」(山崎医長)
●信州大学病院(長野県)
信州大学病院皮膚科は、90年から皮膚の病変を大きく拡大して観察するダーモスコピーと呼ばれる診断法を取り入れ、皮膚腫瘍の診断精度を向上させている。皮膚病変にゼリーを塗ってガラス板で圧迫し、光を当てて拡大して見る診断法だ。
「皮膚がんの中でも、悪性度が高く転移しやすいメラノーマ、局所で無制限に増殖する基底細胞がん、良性の脂漏性角化症(老人性イボ)、母斑(ホクロ)は、鑑別が難しく誤診されることがまれではありません。通常の視診では正診率は75~80%ほどですが、当科ではダーモスコピー診断などを用いて正診率を90%以上に向上させています」と
斎田俊明教授。
同科の皮膚腫瘍の診断精度の高さは全国最高レベルと評価されている。とくに、日本人に多い足底のメラノーマの早期病変のダーモスコピーを解明した研究は国際的に注目されている。正確な診断のうえに、皮膚がんに対して手術から化学療法まで適切に行えるようにエキスパートが協力して診療にあたっている。
「メラノーマについては遺伝子治療や温熱免疫療法などの先進的治療法の開発にも取り組んでいます」(斎田教授)
●九州大学病院(福岡県)
九州大学病院の皮膚科では、進行期のメラノーマに対し、樹状細胞療法と呼ばれる治療に取り組んでいる。
「2002年から進行したメラノーマ13例に臨床試験として行っています。副作用が少なく、今後の治療法として期待できます」と師井洋一講師。
樹状細胞は免疫の司令官と呼ばれる細胞だ。がん細胞を攻撃する免疫機能に指令を出して働かせる役割を持つ。その樹状細胞を患者の血液中から取り出して、患者のがん細胞を加えて培養し、再び体内に戻す――という治療法である。
「培養中に、この患者さんのメラノーマを攻撃するようにと樹状細胞に覚え込ませます。
がん細胞だけに作用するため、効率がよく、しかも患者の体への負担が少ないという利点があります。現時点では目覚ましい効果とはいえませんが、さまざまな工夫を行っています」と師井講師。
現在、この臨床試験を行っているのは同科を含めて全国で7~8施設だけである。
■病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●北海道大学病院 形成外科 山本有平教授 古川洋志助手
(電話)011・716・1161(北海道)
センチネルリンパ節生検や抗がん剤感受性試験を導入し、皮膚がんの集学的外科治療を行う。形成・美容外科手術を応用しQOL向上
●埼玉医科大学病院 皮膚科 田口理史講師(電話)049・276・1111(埼玉県)
メラノーマなどの皮膚がんに年間20例を超えるセンチネルリンパ節生検を行って良好な手術成績。ダーモスコピーによる診断も行う
●国立がんセンター中央病院 皮膚科 山崎直也医長(電話)03・3542・2511(東京都)
患者さんにやさしいチーム・包括医療を重視。年間50~60例の造血幹細胞移植を行う。
すべての移植に対応できる設備と経験を持つ
●虎の門病院 皮膚科 大原國章部長(電話)03・3588・1111(東京都)
年間症例数約150例。的確な診断と十分な説明、高度で経験豊富な手術手技を持つ。
早期・軽症例には外来手術も行う
●信州大学病院 皮膚科 斎田俊明教授(電話)0263・35・4600(長野県)
日本の皮膚腫瘍学の中心的施設。診断から治療まで専門医が揃っている。
とくにメラノーマの研究は国際的に高く評価されている
●静岡県立静岡がんセンター 皮膚科 清原祥夫部長(電話)055・989・5222(静岡県)
すべての皮膚がんに対し進行度に応じてあらゆる治療を提供。部位的に手術が難しい症例には陽子線療法も積極的に行っている
●浜松医科大学病院 皮膚科 瀧川雅浩教授(電話)053・435・2111(静岡県)
難治性のメラノーマに対して、自らのT細胞を活性化する経皮免疫療法を行う。副作用、苦痛もほとんどなく良好な成績
●名古屋大学病院 皮膚科 富田靖教授(電話)052・741・2111(愛知県)
昨年の皮膚がん手術数149例(メラノーマ39、有棘細胞がん25、基底細胞がん35等)で全国有数。センチネルリンパ節生検34例実施
●九州大学病院 皮膚科 師井洋一講師(電話)092・641・1151(福岡県)
日本初の高度先進医療・センチネルリンパ節生検を皮膚悪性腫瘍全般に施行中。進行期メラノーマに樹状細胞療法を行っている
●熊本大学病院 皮膚科 影下登志郎助教授(電話)096・344・2111(熊本県)
メラノーマの症例数は全国トップクラス。進行度に応じた手術や化学療法を実践。
センチネルリンパ節生検は3D画面で行う
転移はほとんどしない。怖いのはメラノーマ(悪性黒色腫)だ。悪性度が高い上に、非常に転移もしやすい。皮膚がんで、高い評価を受けている病院を紹介します。
●国立がんセンター中央病院(東京都)
国立がんセンター中央病院の皮膚科は、年間約230例以上の皮膚がんの治療を行う。
このうち約100例は、メラノーマだ。年間の皮膚がんの治療数、メラノーマの治療数ともに全国トップだ。
「メラノーマは外科手術が中心です。軽い人は腫瘍の周囲1センチ、重い人は2~3センチ切除します。手術時にはセンチネル(見張り)リンパ節生検を行っています。このリンパ節を調べて転移がなければ、その先のリンパ節切除はしません。センチネルリンパ節生検を行うことで、むくみなどの術後の障害を未然に防ぐことができます」と山崎直也医長。
メラノーマには、術後の再発防止にインターフェロンβと抗がん剤を用いた治療を行う。
リンパ節転移のない軽症の場合(2期)は、インターフェロンβだけ10日間用いる。
リンパ節転移のある場合(3期)には、インターフェロンβのほかに3剤の抗がん剤による併用療法を5日間行う。退院後もこの再発防止治療を定期的に繰り返す。
「メラノーマの1期の5年生存率は100%、2期なら約90%、3期でも約60%です。
生存率も術後のQOL(生活の質)も格段に向上しています」(山崎医長)
●信州大学病院(長野県)
信州大学病院皮膚科は、90年から皮膚の病変を大きく拡大して観察するダーモスコピーと呼ばれる診断法を取り入れ、皮膚腫瘍の診断精度を向上させている。皮膚病変にゼリーを塗ってガラス板で圧迫し、光を当てて拡大して見る診断法だ。
「皮膚がんの中でも、悪性度が高く転移しやすいメラノーマ、局所で無制限に増殖する基底細胞がん、良性の脂漏性角化症(老人性イボ)、母斑(ホクロ)は、鑑別が難しく誤診されることがまれではありません。通常の視診では正診率は75~80%ほどですが、当科ではダーモスコピー診断などを用いて正診率を90%以上に向上させています」と
斎田俊明教授。
同科の皮膚腫瘍の診断精度の高さは全国最高レベルと評価されている。とくに、日本人に多い足底のメラノーマの早期病変のダーモスコピーを解明した研究は国際的に注目されている。正確な診断のうえに、皮膚がんに対して手術から化学療法まで適切に行えるようにエキスパートが協力して診療にあたっている。
「メラノーマについては遺伝子治療や温熱免疫療法などの先進的治療法の開発にも取り組んでいます」(斎田教授)
●九州大学病院(福岡県)
九州大学病院の皮膚科では、進行期のメラノーマに対し、樹状細胞療法と呼ばれる治療に取り組んでいる。
「2002年から進行したメラノーマ13例に臨床試験として行っています。副作用が少なく、今後の治療法として期待できます」と師井洋一講師。
樹状細胞は免疫の司令官と呼ばれる細胞だ。がん細胞を攻撃する免疫機能に指令を出して働かせる役割を持つ。その樹状細胞を患者の血液中から取り出して、患者のがん細胞を加えて培養し、再び体内に戻す――という治療法である。
「培養中に、この患者さんのメラノーマを攻撃するようにと樹状細胞に覚え込ませます。
がん細胞だけに作用するため、効率がよく、しかも患者の体への負担が少ないという利点があります。現時点では目覚ましい効果とはいえませんが、さまざまな工夫を行っています」と師井講師。
現在、この臨床試験を行っているのは同科を含めて全国で7~8施設だけである。
■病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●北海道大学病院 形成外科 山本有平教授 古川洋志助手
(電話)011・716・1161(北海道)
センチネルリンパ節生検や抗がん剤感受性試験を導入し、皮膚がんの集学的外科治療を行う。形成・美容外科手術を応用しQOL向上
●埼玉医科大学病院 皮膚科 田口理史講師(電話)049・276・1111(埼玉県)
メラノーマなどの皮膚がんに年間20例を超えるセンチネルリンパ節生検を行って良好な手術成績。ダーモスコピーによる診断も行う
●国立がんセンター中央病院 皮膚科 山崎直也医長(電話)03・3542・2511(東京都)
患者さんにやさしいチーム・包括医療を重視。年間50~60例の造血幹細胞移植を行う。
すべての移植に対応できる設備と経験を持つ
●虎の門病院 皮膚科 大原國章部長(電話)03・3588・1111(東京都)
年間症例数約150例。的確な診断と十分な説明、高度で経験豊富な手術手技を持つ。
早期・軽症例には外来手術も行う
●信州大学病院 皮膚科 斎田俊明教授(電話)0263・35・4600(長野県)
日本の皮膚腫瘍学の中心的施設。診断から治療まで専門医が揃っている。
とくにメラノーマの研究は国際的に高く評価されている
●静岡県立静岡がんセンター 皮膚科 清原祥夫部長(電話)055・989・5222(静岡県)
すべての皮膚がんに対し進行度に応じてあらゆる治療を提供。部位的に手術が難しい症例には陽子線療法も積極的に行っている
●浜松医科大学病院 皮膚科 瀧川雅浩教授(電話)053・435・2111(静岡県)
難治性のメラノーマに対して、自らのT細胞を活性化する経皮免疫療法を行う。副作用、苦痛もほとんどなく良好な成績
●名古屋大学病院 皮膚科 富田靖教授(電話)052・741・2111(愛知県)
昨年の皮膚がん手術数149例(メラノーマ39、有棘細胞がん25、基底細胞がん35等)で全国有数。センチネルリンパ節生検34例実施
●九州大学病院 皮膚科 師井洋一講師(電話)092・641・1151(福岡県)
日本初の高度先進医療・センチネルリンパ節生検を皮膚悪性腫瘍全般に施行中。進行期メラノーマに樹状細胞療法を行っている
●熊本大学病院 皮膚科 影下登志郎助教授(電話)096・344・2111(熊本県)
メラノーマの症例数は全国トップクラス。進行度に応じた手術や化学療法を実践。
センチネルリンパ節生検は3D画面で行う
腎臓がんに強い病院ベスト10
腎臓は、腰のすぐ上の高さの背骨の両側に1個ずつある。
腎臓がんはある程度大きくならないと自覚症状がほとんど表れず、早期発見の機会を失いやすい。治療の選択肢が広がり、腎臓を残す手術も行われるようになっているが、腎臓がんの治療で定評がある病院は?。
●関西医大病院(大阪府)
関西医科大学病院の泌尿器科は、日本で最も早く腎臓がんに腹腔鏡手術を導入した
病院の一つとして知られる。92年からこれまでの腹腔鏡手術実績は150例以上に上り、
全国有数だ。
通常の腎臓がんの開放手術では、腹部を15~20センチと肋骨(ろっこつ)の一部を
切開するなど、身体への負担が大きい。しかし、腹腔鏡手術は腹に小さな穴を開け、
内視鏡や超音波メスなどを挿入して、モニターの画面を見ながら行う。開放手術に比べて、
身体への負担が軽く、術後の痛みが少なく、入院期間も短いなどのメリットがある。
「腹腔鏡下の根治的腎摘除術はこれまで120例以上行っていますが、大きな合併症は
経験していません。また、ほとんどの患者さんが、開放手術に移行することなく、
腹腔鏡手術を終えています」と松田公志教授。
一般的にがんの直径が4センチ以下の小さな腎臓がんでは、腎臓の一部を温存する
腎温存手術が行われる。この場合も通常は腹を切開する開放手術が行われる。
しかし、同科では99年から、腹腔鏡手術の熟練医が、腹腔鏡下での手術を始めた。
「すでに30例以上に行っています」(松田教授)
●東京医科歯科大病院(東京都)
東京医科歯科大学病院の泌尿器科は、98年にミニマム創内視鏡下手術を開発し、
これまでに200例以上の腎臓がんに行っている。ミニマム創内視鏡下手術とは、
腹を大きく切開する開放手術と腹腔鏡手術のそれぞれの長所を生かし、短所の
克服を目指して開発されたものだ。
「この手術は腎臓を取り出すための5センチ前後の小さな1つの傷で行います。
この“傷”から内視鏡を使いますが、モニター画面だけでなく、直接体の中も見えるため、
全体を見ながら安全に行うことができます。腎臓がんの進み具合や出血などの
緊急事態にも、傷のサイズを大きくすることですぐに対応でき安全です」(木原和徳教授)
手術時間は2、3時間。輸血はまずしない(1%程度)。翌日には十分な歩行ができ、
食事もできる。この手術の対象患者や手術代は、開放手術とほぼ同じ。術後の5年生存率も
開放手術、腹腔鏡手術と同じだ。
「2000年からは腎温存手術もミニマム創内視鏡下手術で行っています。200例のうち
約30例に行い、良好な治療成績です」と木原教授。
●東京女子医大東医療センター(東京都)
東京女子医科大学東医療センター泌尿器科は、腎臓がんの年間手術数40例以上で
全国有数だ。
「がんの直径が10センチ未満なら腹腔鏡手術、4センチ未満なら腎温存手術が可能です。
開放手術ならがんの大きさに関係なく行えます。患者さんと相談し、治療法を選択します」と
中澤速和助教授。
これらの手術では腎動脈や腎静脈を遮断しながら行う血流遮断法、がんの周囲を
マイクロ波凝固装置などで凝固させて行う無阻血法、臓器を氷で冷やす冷却法などを
用いて、安全に行う。局所に限局した腎臓がん(がんが被膜を超えず直径4センチ以下)
なら術後の5年生存率は98%、手術例全体でも78%ほどと好成績だ。
ただし、腎臓がん患者の6人に1人は転移がある。この場合にはインターフェロンによる
免疫療法を行う。2~4週間に1回ペースで外来通院。自宅で週3回、自己注射を続ける。
「肺転移だけの場合は約40%に有効です。大きな副作用もないようです。肺以外の転移を
含む場合など、全体の奏効率(がんが消失または縮小)は22%ほどです。生存期間も
延びています」(中澤助教授)
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●札幌医科大学病院 泌尿器科
塚本泰司教授 (電話)011・611・2111(北海道)
病状やクオリティーオブライフを考慮し、開放手術(腹膜外到達法による)や
腹腔鏡手術(腎部分切除を含む)を積極的に行う
●東京女子医科大学東医療センター 泌尿器科
中澤速和助教授 (電話)03・3810・1111(東京都)
腹腔鏡手術にも積極的。中澤助教授の腹腔鏡手術の延べ数は150例を超え全国有数。
転移症例にはインターフェロンで良好な成績
●東京医科歯科大学病院 泌尿器科
木原和徳教授 (電話)03・3813・6111(東京都)
腎臓がんに対して開放・腹腔鏡手術を中心とした各種の治療を実施。10~20年以上の
長期にわたる経過観察を重視している
●仙台社会保険病院 泌尿器科
庵谷尚正主任部長 (電話)022・275・3111(宮城県)
開放手術と腹腔鏡手術の短所を克服したミニマム創内視鏡下手術を開発。
200例以上の実績。全国への普及活動に積極的に取り組む
●新潟県立がんセンター新潟病院 泌尿器科
北村康男部長 (電話)025・266・5111(新潟県)
年40~70例の腎細胞がん、年10~20例の腎盂がんの手術。看護師、手術部スタッフの
協力で標準治療を踏まえた安全・確実な手術を提供
●名古屋大学医学部付属病院 泌尿器科
小野佳成助教授 (電話)052・741・2111(愛知県)
日本で最初に腎臓がんに対する腹腔鏡手術を行い、現在までに400例以上の
手術実績がある。開放手術と同等の治療成績を挙げている
●大阪府立成人病センター 泌尿器科
宇佐美道之部長 (電話)06・6972・1181(大阪府)
04年の手術数51例。早期には腎機能温存及び低侵襲性腹腔鏡下手術、進行例では
拡大根治的手術を含めた集学的治療で成績向上に努力
●関西医科大学付属滝井病院 泌尿器科
松田公志教授 (電話)06・6992・1001(大阪府)
より侵襲の小さな治療を目指す。比較的大きな腎臓がんには腹腔鏡下根治的腎摘除術、
4センチ以下には腹腔鏡下腎部分切除術を行う
●愛媛県立中央病院 泌尿器科
菅政治部長 (電話)089・947・1111(愛媛県)
腹腔鏡手術に積極的に取り組む。腎尿管がんに対する年間の腹腔鏡手術数は45例。
腎部分切除などで腎機能の温存も図る
●九州大学病院 泌尿器科
内藤誠二教授 (電話)092・642・5615外来(福岡県)
腹腔鏡下根治的腎摘除術や腎機能を温存する腎部分切除術で実績。進行がんには
インターフェロンと樹状細胞併用療法を開発、実施中
腎臓がんはある程度大きくならないと自覚症状がほとんど表れず、早期発見の機会を失いやすい。治療の選択肢が広がり、腎臓を残す手術も行われるようになっているが、腎臓がんの治療で定評がある病院は?。
●関西医大病院(大阪府)
関西医科大学病院の泌尿器科は、日本で最も早く腎臓がんに腹腔鏡手術を導入した
病院の一つとして知られる。92年からこれまでの腹腔鏡手術実績は150例以上に上り、
全国有数だ。
通常の腎臓がんの開放手術では、腹部を15~20センチと肋骨(ろっこつ)の一部を
切開するなど、身体への負担が大きい。しかし、腹腔鏡手術は腹に小さな穴を開け、
内視鏡や超音波メスなどを挿入して、モニターの画面を見ながら行う。開放手術に比べて、
身体への負担が軽く、術後の痛みが少なく、入院期間も短いなどのメリットがある。
「腹腔鏡下の根治的腎摘除術はこれまで120例以上行っていますが、大きな合併症は
経験していません。また、ほとんどの患者さんが、開放手術に移行することなく、
腹腔鏡手術を終えています」と松田公志教授。
一般的にがんの直径が4センチ以下の小さな腎臓がんでは、腎臓の一部を温存する
腎温存手術が行われる。この場合も通常は腹を切開する開放手術が行われる。
しかし、同科では99年から、腹腔鏡手術の熟練医が、腹腔鏡下での手術を始めた。
「すでに30例以上に行っています」(松田教授)
●東京医科歯科大病院(東京都)
東京医科歯科大学病院の泌尿器科は、98年にミニマム創内視鏡下手術を開発し、
これまでに200例以上の腎臓がんに行っている。ミニマム創内視鏡下手術とは、
腹を大きく切開する開放手術と腹腔鏡手術のそれぞれの長所を生かし、短所の
克服を目指して開発されたものだ。
「この手術は腎臓を取り出すための5センチ前後の小さな1つの傷で行います。
この“傷”から内視鏡を使いますが、モニター画面だけでなく、直接体の中も見えるため、
全体を見ながら安全に行うことができます。腎臓がんの進み具合や出血などの
緊急事態にも、傷のサイズを大きくすることですぐに対応でき安全です」(木原和徳教授)
手術時間は2、3時間。輸血はまずしない(1%程度)。翌日には十分な歩行ができ、
食事もできる。この手術の対象患者や手術代は、開放手術とほぼ同じ。術後の5年生存率も
開放手術、腹腔鏡手術と同じだ。
「2000年からは腎温存手術もミニマム創内視鏡下手術で行っています。200例のうち
約30例に行い、良好な治療成績です」と木原教授。
●東京女子医大東医療センター(東京都)
東京女子医科大学東医療センター泌尿器科は、腎臓がんの年間手術数40例以上で
全国有数だ。
「がんの直径が10センチ未満なら腹腔鏡手術、4センチ未満なら腎温存手術が可能です。
開放手術ならがんの大きさに関係なく行えます。患者さんと相談し、治療法を選択します」と
中澤速和助教授。
これらの手術では腎動脈や腎静脈を遮断しながら行う血流遮断法、がんの周囲を
マイクロ波凝固装置などで凝固させて行う無阻血法、臓器を氷で冷やす冷却法などを
用いて、安全に行う。局所に限局した腎臓がん(がんが被膜を超えず直径4センチ以下)
なら術後の5年生存率は98%、手術例全体でも78%ほどと好成績だ。
ただし、腎臓がん患者の6人に1人は転移がある。この場合にはインターフェロンによる
免疫療法を行う。2~4週間に1回ペースで外来通院。自宅で週3回、自己注射を続ける。
「肺転移だけの場合は約40%に有効です。大きな副作用もないようです。肺以外の転移を
含む場合など、全体の奏効率(がんが消失または縮小)は22%ほどです。生存期間も
延びています」(中澤助教授)
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●札幌医科大学病院 泌尿器科
塚本泰司教授 (電話)011・611・2111(北海道)
病状やクオリティーオブライフを考慮し、開放手術(腹膜外到達法による)や
腹腔鏡手術(腎部分切除を含む)を積極的に行う
●東京女子医科大学東医療センター 泌尿器科
中澤速和助教授 (電話)03・3810・1111(東京都)
腹腔鏡手術にも積極的。中澤助教授の腹腔鏡手術の延べ数は150例を超え全国有数。
転移症例にはインターフェロンで良好な成績
●東京医科歯科大学病院 泌尿器科
木原和徳教授 (電話)03・3813・6111(東京都)
腎臓がんに対して開放・腹腔鏡手術を中心とした各種の治療を実施。10~20年以上の
長期にわたる経過観察を重視している
●仙台社会保険病院 泌尿器科
庵谷尚正主任部長 (電話)022・275・3111(宮城県)
開放手術と腹腔鏡手術の短所を克服したミニマム創内視鏡下手術を開発。
200例以上の実績。全国への普及活動に積極的に取り組む
●新潟県立がんセンター新潟病院 泌尿器科
北村康男部長 (電話)025・266・5111(新潟県)
年40~70例の腎細胞がん、年10~20例の腎盂がんの手術。看護師、手術部スタッフの
協力で標準治療を踏まえた安全・確実な手術を提供
●名古屋大学医学部付属病院 泌尿器科
小野佳成助教授 (電話)052・741・2111(愛知県)
日本で最初に腎臓がんに対する腹腔鏡手術を行い、現在までに400例以上の
手術実績がある。開放手術と同等の治療成績を挙げている
●大阪府立成人病センター 泌尿器科
宇佐美道之部長 (電話)06・6972・1181(大阪府)
04年の手術数51例。早期には腎機能温存及び低侵襲性腹腔鏡下手術、進行例では
拡大根治的手術を含めた集学的治療で成績向上に努力
●関西医科大学付属滝井病院 泌尿器科
松田公志教授 (電話)06・6992・1001(大阪府)
より侵襲の小さな治療を目指す。比較的大きな腎臓がんには腹腔鏡下根治的腎摘除術、
4センチ以下には腹腔鏡下腎部分切除術を行う
●愛媛県立中央病院 泌尿器科
菅政治部長 (電話)089・947・1111(愛媛県)
腹腔鏡手術に積極的に取り組む。腎尿管がんに対する年間の腹腔鏡手術数は45例。
腎部分切除などで腎機能の温存も図る
●九州大学病院 泌尿器科
内藤誠二教授 (電話)092・642・5615外来(福岡県)
腹腔鏡下根治的腎摘除術や腎機能を温存する腎部分切除術で実績。進行がんには
インターフェロンと樹状細胞併用療法を開発、実施中
膀胱がんに強い病院ベスト10
膀胱は尿を一時的にためておく袋状の器官。膀胱がんの90%は膀胱の内側をおおっている粘膜層に発生する。
治療後の生存率が比較的高いがんだが、繰り返し発生しやすいという問題があるし、転移すると生存率は著しく低下する。このがんの治療で定評がある病院はどこなのか。
●国立がんセンター中央病院(東京都)
国立がんセンター中央病院泌尿器科は、膀胱がんの全摘手術数が年間54例(04年)で全国トップである。また、膀胱全摘術を受けた患者に対し、自然に近い形で排尿ができる尿路変向術も数多くこなし、実績を持つ。
膀胱全摘術後の尿路変向術には自然排尿型代用膀胱と回腸導管がある。前者は小腸の一部を切り取り、袋状に縫い合わせて尿をためる新しい袋(新膀胱)を作り、尿道とつなげるものだ。後者は膀胱の代わりに小腸の一部の回腸を尿路として用い腹壁まで尿を誘導、腹壁に採尿具を装着して尿を出す再建手術である。
「尿道にがんが再発する危険が少ない患者さんで、ご本人が希望される場合には自然排尿型代用膀胱を作ります。全摘と同時に行う手術で6時間くらいかかります」(藤元博行医長)
自然排尿型代用膀胱は見た目もよく、患者の満足度は高いようだという。自然排尿型代用膀胱ができない場合には尿道も摘除し、回腸導管を行う。これも全摘と同時に取り組み、5、6時間かかる手術だ。
●新潟県立がんセンター新潟病院(新潟県)
新潟県立がんセンター新潟病院泌尿器科は、膀胱がんの年間の新規患者数が85人でトップクラス。その70~80%はがんが膀胱内の粘膜やその下の粘膜下層にとどまる表在性の膀胱がんだ。
この表在性の膀胱がんには内視鏡を用いた経尿道的切除を行う。尿道から細長い電気メスを膀胱内に挿入して、がんを削り取る手術である。手術時間は1時間程度。入院期間は3、4日。同科はこの経尿道的切除を年間209件(04年)実施し、この切除数でもトップクラスだ。
「表在性の膀胱がんは膀胱内の新たな部位に再発しやすいので、内視鏡手術を繰り返すこともあります。また、再発予防のために、手術後、膀胱内に結核の予防接種で使われるBCGや抗がん剤を注入することもあります」(小松原秀一臨床部長)
膀胱壁の深部、壁外、リンパ節などに進行した場合は開腹手術を行う。また、進行したり転移して手術ができない場合には抗がん剤治療を行う。「4種類の抗がん剤を併用するMVAC療法(エムバック)などを行います」と小松原臨床部長。
●筑波大学病院 泌尿器科(茨城県)
筑波大学病院泌尿器科は、患者のQOL(生活の質)の保持に重点を置き、筋層にがんが入り込んだ浸潤性膀胱がんを対象に、膀胱を温存する放射線化学療法で先駆的な役割を果たす。
「膀胱を温存する放射線化学療法は、90年から現在まで52例に実施しています。再発の恐れが少ない患者に対して行ってきました。この治療で膀胱を温存した患者の5年生存率は76%です。5年無再発生存率は65%です。いずれも膀胱全摘術による5年生存率や5年無再発生存率よりも優れています」(赤座英之教授) 膀胱を温存する放射線化学療法は最初に内視鏡手術でがんを切除し、その後、放射線治療と抗がん剤治療を併用する。放射線は週5回ずつ8週間、同時に2種類の抗がん剤を3週間ごとに3回、局所動注する。
米国で発表されたデータでも、浸潤性膀胱がんに対する放射線化学療法は手術に近い成績が得られているという。
「近い将来、膀胱を温存する放射線化学療法は手術と同等の治療法になる可能性があります」(赤座教授)
■病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●札幌医科大学病院 泌尿器科 塚本泰司教授(北海道) (電話)011・611・2111
標準的な治療法を提示し、膀胱がんの進行度、患者の希望に応じて治療方法を決定する。
自然排尿型の尿路再建も数多く手がける
●自治医科大学付属病院 泌尿器科 森田辰男教授(栃木県) (電話)0285・44・2111
膀胱がんの手術は年間120例、膀胱鏡検査は年間1000例を超える。
病期に応じた標準的治療を提供。新規抗がん剤の化学療法も行う
●筑波大学病院 泌尿器科 赤座英之教授(茨城県) (電話)029・853・3571
浸潤性膀胱がんに対して膀胱を温存する放射線化学療法で先駆的な役割を果たす。
他科との連携によるチーム医療を大切にしている
●国立がんセンター中央病院 泌尿器科 藤元博行医長(東京都)(電話)03・3542・2511
年間(04年)の膀胱全摘手術数54例で全国一。的確な判断と高い技術力を持ち、
取りこぼしをなくし、生存率の向上を目指す
●東京医科大学病院 泌尿器科 橘政昭教授(東京都) (電話)03・3342・6111
浸潤性の膀胱がんには膀胱全摘術を適応せざるを得ないが、自然排尿型尿路変更術や
勃起神経温存による機能温存手術を心掛けている
●新潟県立がんセンター新潟病院 泌尿器科 小松原秀一臨床部長(新潟県)
(電話)025・266・5111
年間新規患者数は85人とトップクラス。内視鏡手術と膀胱摘除手術、抗がん剤治療を
要する進行がんに的確な治療方針を提示できる
●小牧市民病院 泌尿器科 松浦治部長(愛知県) (電話)0568・76・4131
膀胱外に浸潤した場合も動注併用の全摘手術で完治を目指す。排尿効率のよい新しい
型の代用膀胱を造設し、術後のQOLを向上
●大阪府立成人病センター 泌尿器科 宇佐美道之部長(大阪府) (電話)06・6972・1181
昨年の膀胱全摘術数26例。自然排尿型尿路変向や男性機能温存等、QOL保持にも
重点を置き、放射線化学療法での膀胱温存にも対応
●日本赤十字社和歌山医療センター 第1泌尿器科 林正部長(和歌山県)
(電話)073・422・4171
05年の膀胱全摘術数は28例。うち80代が3例、90代が2例。
短時間(平均3時間37分)で安全な手術を行っている
●原三信病院 泌尿器科 山口秋人副院長(福岡県)(電話)092・291・3434
泌尿器科常勤医12人。膀胱がん新患は過去26年で1201人の実績。
年間(05年)の膀胱全摘術は16例、内視鏡手術は244例
治療後の生存率が比較的高いがんだが、繰り返し発生しやすいという問題があるし、転移すると生存率は著しく低下する。このがんの治療で定評がある病院はどこなのか。
●国立がんセンター中央病院(東京都)
国立がんセンター中央病院泌尿器科は、膀胱がんの全摘手術数が年間54例(04年)で全国トップである。また、膀胱全摘術を受けた患者に対し、自然に近い形で排尿ができる尿路変向術も数多くこなし、実績を持つ。
膀胱全摘術後の尿路変向術には自然排尿型代用膀胱と回腸導管がある。前者は小腸の一部を切り取り、袋状に縫い合わせて尿をためる新しい袋(新膀胱)を作り、尿道とつなげるものだ。後者は膀胱の代わりに小腸の一部の回腸を尿路として用い腹壁まで尿を誘導、腹壁に採尿具を装着して尿を出す再建手術である。
「尿道にがんが再発する危険が少ない患者さんで、ご本人が希望される場合には自然排尿型代用膀胱を作ります。全摘と同時に行う手術で6時間くらいかかります」(藤元博行医長)
自然排尿型代用膀胱は見た目もよく、患者の満足度は高いようだという。自然排尿型代用膀胱ができない場合には尿道も摘除し、回腸導管を行う。これも全摘と同時に取り組み、5、6時間かかる手術だ。
●新潟県立がんセンター新潟病院(新潟県)
新潟県立がんセンター新潟病院泌尿器科は、膀胱がんの年間の新規患者数が85人でトップクラス。その70~80%はがんが膀胱内の粘膜やその下の粘膜下層にとどまる表在性の膀胱がんだ。
この表在性の膀胱がんには内視鏡を用いた経尿道的切除を行う。尿道から細長い電気メスを膀胱内に挿入して、がんを削り取る手術である。手術時間は1時間程度。入院期間は3、4日。同科はこの経尿道的切除を年間209件(04年)実施し、この切除数でもトップクラスだ。
「表在性の膀胱がんは膀胱内の新たな部位に再発しやすいので、内視鏡手術を繰り返すこともあります。また、再発予防のために、手術後、膀胱内に結核の予防接種で使われるBCGや抗がん剤を注入することもあります」(小松原秀一臨床部長)
膀胱壁の深部、壁外、リンパ節などに進行した場合は開腹手術を行う。また、進行したり転移して手術ができない場合には抗がん剤治療を行う。「4種類の抗がん剤を併用するMVAC療法(エムバック)などを行います」と小松原臨床部長。
●筑波大学病院 泌尿器科(茨城県)
筑波大学病院泌尿器科は、患者のQOL(生活の質)の保持に重点を置き、筋層にがんが入り込んだ浸潤性膀胱がんを対象に、膀胱を温存する放射線化学療法で先駆的な役割を果たす。
「膀胱を温存する放射線化学療法は、90年から現在まで52例に実施しています。再発の恐れが少ない患者に対して行ってきました。この治療で膀胱を温存した患者の5年生存率は76%です。5年無再発生存率は65%です。いずれも膀胱全摘術による5年生存率や5年無再発生存率よりも優れています」(赤座英之教授) 膀胱を温存する放射線化学療法は最初に内視鏡手術でがんを切除し、その後、放射線治療と抗がん剤治療を併用する。放射線は週5回ずつ8週間、同時に2種類の抗がん剤を3週間ごとに3回、局所動注する。
米国で発表されたデータでも、浸潤性膀胱がんに対する放射線化学療法は手術に近い成績が得られているという。
「近い将来、膀胱を温存する放射線化学療法は手術と同等の治療法になる可能性があります」(赤座教授)
■病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●札幌医科大学病院 泌尿器科 塚本泰司教授(北海道) (電話)011・611・2111
標準的な治療法を提示し、膀胱がんの進行度、患者の希望に応じて治療方法を決定する。
自然排尿型の尿路再建も数多く手がける
●自治医科大学付属病院 泌尿器科 森田辰男教授(栃木県) (電話)0285・44・2111
膀胱がんの手術は年間120例、膀胱鏡検査は年間1000例を超える。
病期に応じた標準的治療を提供。新規抗がん剤の化学療法も行う
●筑波大学病院 泌尿器科 赤座英之教授(茨城県) (電話)029・853・3571
浸潤性膀胱がんに対して膀胱を温存する放射線化学療法で先駆的な役割を果たす。
他科との連携によるチーム医療を大切にしている
●国立がんセンター中央病院 泌尿器科 藤元博行医長(東京都)(電話)03・3542・2511
年間(04年)の膀胱全摘手術数54例で全国一。的確な判断と高い技術力を持ち、
取りこぼしをなくし、生存率の向上を目指す
●東京医科大学病院 泌尿器科 橘政昭教授(東京都) (電話)03・3342・6111
浸潤性の膀胱がんには膀胱全摘術を適応せざるを得ないが、自然排尿型尿路変更術や
勃起神経温存による機能温存手術を心掛けている
●新潟県立がんセンター新潟病院 泌尿器科 小松原秀一臨床部長(新潟県)
(電話)025・266・5111
年間新規患者数は85人とトップクラス。内視鏡手術と膀胱摘除手術、抗がん剤治療を
要する進行がんに的確な治療方針を提示できる
●小牧市民病院 泌尿器科 松浦治部長(愛知県) (電話)0568・76・4131
膀胱外に浸潤した場合も動注併用の全摘手術で完治を目指す。排尿効率のよい新しい
型の代用膀胱を造設し、術後のQOLを向上
●大阪府立成人病センター 泌尿器科 宇佐美道之部長(大阪府) (電話)06・6972・1181
昨年の膀胱全摘術数26例。自然排尿型尿路変向や男性機能温存等、QOL保持にも
重点を置き、放射線化学療法での膀胱温存にも対応
●日本赤十字社和歌山医療センター 第1泌尿器科 林正部長(和歌山県)
(電話)073・422・4171
05年の膀胱全摘術数は28例。うち80代が3例、90代が2例。
短時間(平均3時間37分)で安全な手術を行っている
●原三信病院 泌尿器科 山口秋人副院長(福岡県)(電話)092・291・3434
泌尿器科常勤医12人。膀胱がん新患は過去26年で1201人の実績。
年間(05年)の膀胱全摘術は16例、内視鏡手術は244例
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