胃がんは進行するにつれて、近辺のリンパ節だけでなく遠くのリンパ節へも転移していきます。胃の周囲にある臓器へも浸潤していくこともあります。そこで、胃の切除だけではがんを治療できない場合には、周辺臓器の一部や、第3群リンパ節まで取り除くことが検討されます。これを拡大手術と呼びます。
ただし、切除範囲が広くなるということは、その分身体にかかる負担も尋常ではなくなります。かえって体の状態を悪くする可能性もあるために、拡大手術はよく検討しておこなわれます。
胃と共に切除される可能性のある部位
脾臓(ひぞう)
脾臓は、古くなった赤血球や白血球を処理する機能をもつ臓器です。成人の場合には、切除してもとくに体に問題はないという報告がありますが、取らないほうがよいという見方もあります。しかし、がんが浸潤している場合には切除はやむを得ません。
膵臓(すいぞう)
膵臓の切除は、膵尾部(すいびぶ)という箇所を切除する方法が取られてきました。ただし、最近では合併症のことを考慮してなるべく切除は避けられています。
第3群リンパ節
第2群リンパ節に転移が確認される場合には、腹部の大動脈の近くにある第3群リンパ節を切除することがあります。ただし、リンパ節の切除は、術後の回復が困難になる可能性があることや、技術的に難しい面もあり、その効果もはっきりとは解明されていません。
他に切除される部位には、十二指腸、胆管、大腸の一部、肝臓の一部などがあります。いずれも高度の進行胃がんの場合に検討されます。