胃がんの超音波内視鏡検査(EUS)は組織の構造が変化する部位で、音波が跳ね返ってくる現象(エコー)を利用して、跳ね返りの強さや部位を画像として映し出す検査です。
体表からの超音波検査では胃や腸の中の空気や腹壁、腹腔(ふくくう)の脂肪、骨が、エコーをとらえて画像にする際に妨げになることがあります。
また、体表からのエコー検査では検査目的とする対象臓器近辺までの画像を得るために超音波の減衰が少ない比較的低周波数の超音波により検査を行いますが、低周波数の超音波検査では分解能に限界があり、高い分解能を持った詳細な画像情報が必要となるがんの壁深達度(へきしんたつど)診断などには適しません。
その欠点を改良したものが、超音波内視鏡検査です。超音波内視鏡は、内視鏡先端部にエコーを送受信する「超音波振動子」を兼ね備えた内視鏡です。
超音波内視鏡検査では、超音波が胃など体腔内に溜まったガスを透過できない為、超音波振動子と観察部位との間に水を介在させて対応(脱気水充満法等)をしています。
胃壁の表面を観察する内視鏡検査に異なり、また、粘膜下の状態をエコー像として観察する役割を果たします。5~30MHzという比較的高い周波数の分解能に優れた超音波内視鏡検査により、粘膜上皮(じょうひ)の病巣(びょうそう)だけでなく、病巣がどのくらいまで深く進展しているか、リンパ節の転移や、周りの臓器への浸潤(しんじゅん)などについての詳細な情報を得ることができます。
その結果、内視鏡的治療が適応するかどうかの判断、進行性胃がんの場合はどこまで切除するかの境界線を決めるうえでの重要な情報を得ることができます。