高額な医療費の負担を軽くするために、健康保険には高額療養費制度が設けられています。これは2006年10月から施行された制度で、月ごとに一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分がもどってくるという内容になっています。
同じ月に、同じ医療機関に支払った医療費が対象となり、外来と入院とを別にして計算します。(計算式は所得によって異なっています。)
また、1年間に4回以上高額療養費制度を利用する場合には、4回目からの自己負担額は定額となります。一般世帯で4万4400円、高額所得世帯は8万3400円となります。
自己負担限度額(70歳未満、2006年)
一般世帯
8万100円+(かかった医療費-26万7000円)×1%
高額所得世帯
(15万円+(かかった医療費-50万円)×1%
生活保護世帯など
3万5400円
なお、入院中の食事代や差額ベッド代、診断書などの書類作成費用は、高額療養費の対象とはなっていません。
また、月ごとの計算になるので、入院の日数が同じでも複数月にわたる場合は、払い戻し額が違ってくることに注意しましょう。払い戻し申請は、原則として本人がする必要があります。
70歳以上の人は、70歳未満の人と自己負担限度額が異なります。70歳以上で一般所得の人が外来にかかった場合、ひとつの医療機関で同月に1万2000円以上支払うことはありません。
入院の場合も、同じようにして4万4400円を超えることはありません。(ただし、食事代や差額ベッド代は除く。)
当座の支払い費用を貸し付ける制度なども
当座の支払いにあてる費用を無利子で貸し付ける制度もあります。貸付額は高額療養費として払い戻される額の8割相当になります。
また、同じような制度として、受領委任払いがあります。これは、高額療養費の分は保険者が医療機関に納めて、本人は最終的な自己負担分だけを医療機関の窓口に納める方法です。
差額ベッド代も大きな費用となる
治療費以外に大きな出費となるのが、入院時の差額ベッド代(室料差額)です。都市部の個人病院の場合、4人以上の部屋でも1日あたり数千円かかるところが多くあります。個室になると、どこの病院でも1日あたり1万円~5万円かかるようになります。
ただし、症状によって病院から個室に入るように指示された場合は、全額自己負担とはなりません。本人が個室を希望した場合は、全額自己負担となってしまいます。
他にかかる費用として、通院のための公共交通機関の料金、車のガソリン代、駐車料金などがあります。遠方からくる人は、宿泊料も考慮しなければなりません。
退院後には、かかりつけ医に紹介状を書いてもらう場合がありますが、その際には文書作成料がかかります。抗がん剤の副作用で脱毛が起こった場合には、かつらを買うための費用も発生します。