乳がんには痛みがある
かつては乳がんの症状として痛みは起こらないものとされていましたが、実際には一部の患者さんは痛みを訴えることがあります。乳腺症によって引き起こされている可能性は十分あるものの、痛みがあるから乳がんではないという判断は禁物です。そのために早期発見の機会を逃してしまうことがありますので、軽く考えずに必ず検査を受けるようにして下さい。
しこりの痛みがある一方で、炎症性乳がんによる痛みもあります。炎症性乳がんの場合には、熱を持っているような感覚を伴う場合もあります。この場合には、乳房がオレンジの皮のように腫れて、外観上も特徴的ですので、患者さんとしても異常を察知しやすいでしょう。ただし、初期症状の段階で現われるものではありませんので、進行してしまっていることを覚悟しなくてはなりません。一刻も早く専門医の検査を受け、治療を開始するようにしましょう。
古い情報に惑わされてしまい、乳がんには痛みがないという思い込みをもたないでください。誤った情報によって、実態から遠ざけられてしまうのは危険です。早期発見のチャンスを無駄にしないためにも、異常を感じたら病院で検査を受けましょう。
また、乳房だけではなく、転移によって引き起こされる痛みもあります。骨転移であれば、肩や腰、背中などが痛くなることがありますし、肝臓の転移でも進行すると黄疸や痛みが出ることがあります。
乳がんの治療後の痛み
手術の際に腋窩リンパ節郭清を行った場合には、腕や肩の痛みやしびれ、むくみが残ることがあります。また、放射線治療や抗がん剤の副作用により苦痛が出る場合もありますので、事前に主治医から話を聞いておきましょう。
検査に伴う痛み
検診でマンモグラフィを受ける時には、乳房を挟み込むことになるため、若干の痛みを伴います。また、乳管鏡検査や細胞診断・組織診断の際にも多少の痛みがあります。ただし、これらは深刻なものではありませんので、あまり大げさに考える必要はないでしょう。それよりも、検診によって早期発見できることのメリットの方がはるかに大きいと言えます。
乳がんの痛みのコントロール
転移による症状なのか、原発巣の症状であるのか、進行の程度等、様々な状況を加味する必要があります。骨転移に放射線治療を用いることで緩和する場合もありますし、骨転移ならビスホスフォネートのように鎮痛剤を用いることもあります。鎮痛剤はモルヒネのほかにも新しい薬剤が開発されています。