慢性膵炎の原因はアルコールが全体の半分以上を占め、その他、特発性(原因不明のもの)や胆石などです。
慢性膵炎は、膵臓のあちこちに炎症が長期間にわたって繰り返し起こることによって膵組織の石灰化や線維化が起こり、最終的には膵臓の本来の働きが失われる恐い病気です。
慢性膵炎の代表的な症状は上腹部痛で、腹部から背中へ抜けるような痛みが続いたり、アルコールを飲んだり、脂っこいものを食べた後上腹部のあたりがジクジク痛むなどの症状が見られます。
代償期(治療をすると十分膵臓の機能が維持できる時期)にはこのような痛みを繰り返しますが、病気が進行して非代償期(石灰化、線維化が進み、治療をしても膵臓の機能が回復しない時期)
になると痛みはあまり感じなくなり、消化吸収障害による体重減少やインスリン欠乏による二次性糖尿病を引き起こします。
慢性膵炎の診断としては、血液中のアミラーゼやリパーゼなどの膵酵素を測定しますが、膵臓に石灰化や線維化が認められない代償期においても、膵酵素は必ずしも高値を示すとは限らず、また病態が進行した非代償期になるとむしろ低値を示すようになります。画像診断としては、超音波やCTなどで膵臓の線維化や膵石の有無を調べますが、画像診断で異常が見つかった時には病態は既にかなり進行している場合が多いといわれています。従って、代償期の慢性膵炎では、腹痛などの症状や病歴、飲酒歴などの門診とともに頻回のアミラーゼ検査が必要とされています。