治療実績名医と呼ばれる以上、これまでの実績が十分なものである必要があります。いくら潜在的には実力があっても、結果を残していなければ実力を証明する方法がありません。これまでに多くの女性を救ってきた治療実績があるのなら、それに見合うだけの実力があると考えることができます。
高い技術例えば手術を行う際、癌細胞を取り残さないことが再発防止に向けての重要な対策になります。一方で、多くの女性が切除範囲を狭くしてほしいと希望しています。その両者の要望に応えて最適な手術を行うだけの技術を持っていることは、乳がんの名医であるための大切な条件でしょう。
豊富な経験乳がんには様々な症状があります。たとえば、炎症性のものやしこりの有無、石灰化をはじめ、転移の仕方、患者さんの体質等、個別に事情は異なります。経験を積むことによって、それぞれの状況に適切な対応ができるようになり、見落としを防ぐことが期待できます。いくら多くの情報を吸収しても、机上の空論では意味がありません。実際に多くの患者さんを治療した経験があってこそ、名医になれます。
最新治療への精通医療の分野では日々研究が進み、技術が刷新されています。抗がん剤の種類も増え、副作用が少ない薬剤や、抗がん剤の副作用を抑えることができる薬もあります。そうした新しい情報を積極的に吸収している専門医を主治医にできれば、治療における選択肢が増えます。最新治療は国内での認可が下りるかどうか、十分な検証がされているかという問題を抱えていますので、すぐに適用できるとは限りません。しかし、乳がんの名医であれば、常に最新の情報の動向について精通していることが求められるでしょう。患者さんが乳がんの最新治療について調べて質問しても、まったく的を得た回答が返ってこないのでは信頼関係を築くことができませんし、名医と認めることはできないでしょう。
精神的なケア癌になったという事実が患者さんとしてはショックですし、手術で乳房を切除するようなことになれば、術後の精神的なダメージもあります。そうした面を気遣えることも、乳がんの名医であるために必要な資質でしょう。機械を修理しているのではないのですから、相手の心中を察する能力は必須です。専門医はもちろん、看護士をはじめとした病院のスタッフにも求められる資質です。
十分な対話患者さんは分からないことだらけです。名医に依存して丸投げしてしまう方もいますが、乳がんの治療についてしっかり話し合いを持つのが本来あるべき姿です。専門医としても、相手が素人であるという驕りを持たず、対等な立場で患者さんの言葉に耳を傾け、十分に対話することが求められます。治療方針を決める際には、症状の改善だけではなく、予後のQOL(生活の質)の向上についても考えるべきですので、症状は同じでも、ホルモン療法を検討すべき場合もあれば、積極的に手術を行うべき場合もあります。そうした判断のためにも、対話は欠かせません。