すい臓がんには特有の症状がないといわれる一方で、慢性すい炎の症状との類似性が指摘されています。
すい臓がんの診断を下すには、それが慢性すい炎でないことを明らかにすることが必須条件となります。
慢性すい炎の場合、発病後から禁酒を中心とする食生活をしっかりと自己管理できれば、予後はさほど悪くないといわれます。
しかし、0~5パーセントと、わずかであるとはいえ、慢性すい炎からすい臓がんへと移行することもありますので、慢性すい炎の発症初期に適切な治療を受けることが重要です。
突然、上腹部、特にみぞおちに激痛が走る、急性すい炎と異なり、慢性すい炎の場合は、常に症状のあるものと、年に数回という頻度で急性すい炎のような発作を起こすものの、その間はこれといった症状はない、という二つのタイプがあります。
慢性すい炎の症状は、病気の初期と、病気がかなり進行してしまった時期ではかなり異なります。
病気の初期には、上腹部の激痛があるのがふつうで、急性すい炎に似ています。
しかし病気の進行とともに痛みはかえって緩和します。
代わって問題となるのは、消化吸収障害や抑うつ症状です。
消化吸収障害は体重の減少をもたらします。
症状自体は、すい臓がんと非常によく似ていることから、症状だけではいずれとも識別できません。
診断には超音波検査、Ⅹ線CTなどの画像診断法が必要となります。
特に、内視鏡的水管造影法とすい管造影法が有効とされます。