卵巣の腫瘍は、細胞検査や生検などによって手術前に診断を行なうことができません。
卵巣がんが非常に進行した場合、例えば腹水が多量に貯留してその腹水を採取することができた時や、体の外側からとどくところまで病気が進んでしまって、その場所から病変の一部を採取できるようになった場合は例外です。
多くの場合は、手術の前に、その性格を推定診断しなければなりません。そのために最も有効な所見は何かというと、その腫瘤が嚢胞性か充実性かを知ることです。
診察の所見でも画像診断の所見でもかまいませんが、腫瘍の内腔が均一に液体で満たされている嚢胞性の場合はほとんどが良性腫瘍であるのに対して、腫瘍の実質が認められる充実性の場合には70%が悪性、15%が境界悪性腫瘍、すなわち85%が悪性の性格をもつ腫瘍です。
充実性の部分が、均一のパターンを呈するものは莢膜細胞腫や線維腫といった良性腫瘍のことが多いのですが、不均一のパターンの場合には悪性腫瘍の頻度がきわめて高くなります。