小腸の輸入脚の部分に内容物がたまり、胃のほうに逆流して胆汁を嘔吐する胃切除後症候群です。
治療
輸入脚症候群は、食事療法を行います。脂肪を制限し、高たんぱく、高エネルギー、ビタミン、ミネラルを多く含む食品を選びます。1回の食事量を少なくして、食後、安静を保つようにしましょう。
食欲がなく、体重の減少が著しい時は、点滴で栄養を補う場合もあります。
輸入脚症候群は、再建術が起因となっているものなので、ビルロートⅡ法をⅠ法やルーワイ吻合物などに変更する手術が選択されることがあります。再建術の変更によって、輸入脚の内圧を減少させます。
予防・日常生活の注意点
自分のからだの状態を把握する
胃切除後症候群は適切な治療によって、ある程度軽減させることが出来ますが、大きな鍵を握るのは、患者本人の術後管理です。
切除前のからだの状態、切除方法、そして術後の回復度によって、症状の現れ方は個人差がでます。自分にはいつどうような症状がでやすいのか、何を食べた時、何を飲んだ時に起こるのかきちんと把握し、それに合わせた食習慣をつくることが大切です。
胃切除後症候群全体についていえることですが、食べ物は十分に噛むようにします。
歯を丈夫に保ち、胃の代わりに口でしっかり攪拌(かくはん)するつもりで、一口50回を目標に、少しずつゆっくりと食べましょう。十分噛むことは、下痢の予防にもなります。
暴飲暴食は厳禁です。1回の食事量については、自分の適量を把握しましょう。
食べ過ぎないように、常に腹6~7分目を目安にします。
からだに取り入れるエネルギーと消費するエネルギーのバランスをとり、ウォーキングなど適度な有酸素運動を続けて骨量と筋肉量を増やし、体重の増加を図ることも大切です。
胃がんの手術の場合、精神的ダメージも相当大きいはずです。術後も何となく違和感がついてまわり、しばしば不定愁訴として現れます。だるさや脱力感は、心身的な症状として現れることもあります。
胃の切除手術を受けた以上、胃切除後症候群を回避するのは難しいことです。何らかの症状は必ず現れるものだと自覚して、1日も早く、自分なりの対処法をみつけるようにしましょう。