検尿による早期発見
腎臓病といってもさまざまな病気があります。中には腎臓結石や急性腎炎などで肉眼的血尿(目でみて血尿とわかる)を呈する場合や、ネフローゼ症候群で浮腫(むくみ)を呈する場合があり、患者さんもあわてて病院に駆け込みます。しかし、腎臓病のほとんどは無症状であることが多いのです。これを早期に発見する最も簡単で有効な方法が検尿で、わが国では大半の方が健診で受けておられます。
なぜ検尿をするのか
この理由は、無症状でも検尿での異常が見つかることがあり、いろんな病気の手がかりとなるからです。腎臓病の大部分は検尿の異常を伴っていますから、症状のない腎臓病を見つけるには検尿がとくに重要です。
しかし最近の検尿に使われている試験紙はさまざまな検査をしてくれます。したがって検尿の異常を指摘されたからといってかならずしも腎臓病とは限りません。いったいどのような異常があったのか、ちゃんと聞いておく必要があります。そこでまず検尿で異常を指摘された場合、どの様な病気が予想され、どの様に対応すべきか、最も気になる点について説明します。
どのような尿を検査するのか
尿といっても朝一番の尿もあれば、激しい運動後の尿もあります。また、高い熱の出ている時、あるいは女性であれば生理中の時もあります。女性の場合、生理中はさけるのが原則です。
一般に腎臓に病気のある場合には、安静時にも異常を認めることが多いので、学校健診などでは、朝一番の、いわゆる早朝尿を検査します。これで異常が見つかれば、腎臓病の可能性があるからです。もちろん、激しい運動の後や、高い熟の出ている時の検尿も大事で、ふだん正常でもこのような時に異常となる場合があり、隠れている腎臓病を見つけることができることがあります
試験紙による検尿でなにがわかるのか
一般的な検尿は試験紙を尿につけて、いろいろな成分を分析します。腎臓病の検査としては、蛋白、血尿、白血球などが最も重要です。
排尿後、時間とともに変化する成分もあれば次の日でも変わらないものもあります。できるだけ新鮮な尿で検査するのが無難です。
試験紙の種類にもよりますが、尿の濃さ(尿比重)、PH、蛋白、血尿、糖、ケトン体、ウロビリノーゲン、白血球などがわかります。尿の濃さ(非常に濃い尿では健常人でも蛋白が陽性と判断される場合がある)も参考にします。
糖やケトン体は主に糖尿病の検査です。もし尿に糖がおりた場合には、糖尿病のくわしい検査をする必要があります。ウロビリノーゲンは肝臓の検査で(±)が正常です。これが異常な場合には血液検査などによって肝臓を調べる必要があります。