乳がんの病期(ステージ)

乳がんという診断がついた場合、がんが乳腺の中でどの程度広がっているか、遠隔臓器に転移しているかについての検査が行われます。乳がんの広がり、すなわち乳房のしこりの大きさ、乳腺の領域にあるリンパ節転移の有無、遠隔転移の有無によって大きく5段階の臨床病期(ステージ)に分類され、この臨床病期に応じて治療法が変わってきます。
0期
乳がんが発生した乳腺の中にとどまっているもので、極めて早期の乳がんです。これを「非浸潤(ひしんじゅん)がん」といいます。
I期
しこりの大きさが2cm(1円玉の大きさ)以下で、わきの下のリンパ節には転移していない、つまり乳房の外に広がっていないと思われる段階です。
II期
IIa期とIIb期に分けられます。
IIa期: しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節への転移がある場合、またはしこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がない場合。
IIb期: しこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がある場合。
III期
「局所進行乳がん」と呼ばれ、IIIa、IIIb、IIIc期に分けられます。
IIIa期: しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節に転移があり、しかもリンパ節がお互いがっちりと癒着していたり周辺の組織に固定している状態、またはわきの下のリンパ節転移がなく胸骨の内側のリンパ節(内胸リンパ節)が腫れている場合。あるいはしこりの大きさが5cm以上でわきの下あるいは胸骨の内側のリンパ節への転移がある場合。
IIIb期: しこりの大きさやわきの下のリンパ節への転移の有無にかかわらず、しこりが胸壁にがっちりと固定しているか、皮膚にしこりが顔を出したり皮膚が崩れたり皮膚がむくんでいるような状態です。炎症性乳がんもこの病期に含まれます。
  IIIc期: しこりの大きさにかかわらず、わきの下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移のある場合。あるいは鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある場合。
IV期
遠隔臓器に転移している場合です。乳がんの転移しやすい臓器は骨、肺、肝臓、脳などです。
再発乳がん
乳房のしこりに対する初期治療を行った後、乳がんが再び出てくることを「再発」といいます。通常は他の臓器に出てくること(「転移」と呼びます)を指し、IV期の乳がんとあわせて「転移性乳がん」と呼びます。手術をした乳房の領域に出てくることは「局所・領域再発」と呼んで区別します。