食道内に入れるステント
がんが食道内で大きくなり、食べたものが飲み込みにくくなってしまったり、通り道を塞いでしまうことがあります。
そのときに、「ステント」という管状の医療器具を食道内に入れて、食べ物の通り道を確保する治療がおこなわれる場合がありますが、これを食道ステント挿入術といい、手術ではがんを取り除くことができない場合、がんが遠くの臓器に転移してしまっている場合、抗がん剤などの他の治療法を駆使しても効果が認められなかった場合などに実施されます。
ステント治療は、がんの根治を目的とするものではなく、症状を改善する目的で行われています。とくに、治る可能性の低いようながんでは、患者さんの生活の質を向上させることが優先されます。
【ステント治療の条件】
食べ物が飲み込みにくい
食事を自分で食べようとする意志がある
一人で行動でき、寝たきりの状態でない
食道の入り口にがんができていない
ステント治療の問題点
ステント治療は、患者さんの胸などを切り開く手術ではないので、大きな体力的負担がかかる心配はありません。
ステントを食道に挿入した直後は、違和感や痛みを感じることがあります。また、気管支を圧迫して呼吸がしにくくなったり、胃の近くにステントを置くと、逆流性食道炎を引き起こしてしまうことがあります。
いくつかの問題点はありますが、多くは口から食事ができるようになるため、メリットは大きいといえます。