癌の進行は、時には激しい痛みを伴う場合があります。
すい臓がんの場合、すい臓の周りには肝臓へ続く肝動脈、腸へ続く上腸間膜動脈、門脈が張り巡らされているので、そこを経路に癌が入り込み、肝臓などへ早い時期に転移してしまう場合があります。
癌が発見された時には、すでに手遅れとなって手術不可能な状態になっています。
このような場合の治療は、出来る限り痛みから解放してあげる治療になることが多いのです。
癌の痛みは、想像を絶するものがあります。
痛みにより、不安や焦りが生じ、医療への不信感や治療への意欲が損なわれることもあります。
そのため、痛みを緩和させる治療を重視する動きが高まってきました。
日本は、痛みを我慢することが良いとされる風潮があります。
これは家族や周りへの遠慮や配慮からくるものなのでしょう。
我慢をすれば痛みは更に増し、更に強い薬を使うことになり、痛みもなかなか治まりません。
これは決して良い状態ではありません。
痛いものは痛い、と患者が言える環境を周囲は作ってあげることが大事です。
痛みへの対処として、放射線や神経ブロック、消炎鎮痛薬、モルヒネ、向精神薬などが使われます。
すい臓がんの場合、症状が現れない結果、手遅れになることが多く、ターミナルケアの一環としてこれらの治療が積極的に行われる場合があります。