がん細胞の特異構造を標的としてはたらき,正常細胞への影響はないとする分子標的治療薬の研究が進んでいます。
エルロチニブは2007年に承認された非小細胞肺がんの治療薬で作用メカニズムはイレッサと同様で,がんの増殖に関わるがん細胞の表面にあるEGFR(上皮増殖因子受容体)チロシンキナーゼを標的とし,そのはたらきを阻害します。
副作用として,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬で特徴的に現れるものに皮疹などの皮膚障害があります。イレッサでも発現しますが,発現率はタルセバのほうが高く,ほとんどの患者に見られます。
イレッサ同様,間質性肺疾患も見られ,その副作用の発症率は国内の臨床試験では4.9%で、その他,下痢,口内炎などの副作用も見られます。
タルセバはすい臓(膵臓)がんに対する臨床試験の結果,効果が得られたとして,中外製薬が2009年膵臓がんに対する効能・効果追加の承認申請を厚生労働省に行いましたが,臨床試験中のため保険の適用が受けられません。
中外製薬によるタルセバの説明会において,国内フェーズ2試験で重大な副作用の間質性肺炎の発現率が8.5%(106例中9例)に上っており,かなり厳重な体制でやってく必要があると発表されています。