初期のうちには食道がんの自覚症状はほとんどありません。そのため、この時期に発見される場合には、検診によって見つかることが多くなります。この段階で治療を開始することができれば、治癒できる可能性が高く生存率も高くなります。
進行した食道がんは自覚症状として、食事の時に喉に痛みやイガイガした感じが残ったり、熱い物を食べた時(飲んだ時)に胸がしみる、固形物が飲み込みづらいといった兆候が現われるようになります。さらに進行していくと、食べ物がつかえる度合いがひどくなり、やがては飲み物さえ喉を通らなくなることもあります。
食事の場面以外では、声が嗄れることによって症状を自覚するケースもあります。また、転移が起きている場合にはそれによって生じた兆候で気付くこともあります。たとえば、肺転移の場合には呼吸困難や咳といったものがあります。転移がある状態になると、一般に予後が悪いことが多くなります。
喫煙習慣のある方は食道がんになりやすいのですが、自覚症状は喉に関するものが多いため、タバコの影響で喉の調子が悪いだけと錯覚してしまうこともあります。長く続くような場合には、特に要注意だと考えておいてください。
残念ながら、自覚できる時には進行してしまっていることが多くなりますので、早期発見の期待は薄くなります。それでも、病院を受診しておくのは少しでも早いほうが望ましいので、迷ったら念のため病院に足を運びましょう。