他の癌と比較しても、食道がんは死亡率が高い部類に入ります。したがって、症状があるなら早期発見し、治療を開始することが必要です。悪化してから見つけるよりも、早めに対処することが生存率を向上させるための鉄則です。
年齢で見ると、40歳代後半以降になると増加し、男性は女性のおよそ5倍の罹患率となっていますので、男性は特に注意が必要です。食道がんの原因としては、飲酒と喫煙が関係していますので、両方に当てはまる方はリスクが高いことを意識してください。また、熱い物をそのまま飲み込むことも、罹患率を高くすると考えられています。
初期症状のうちは目立った兆候がほとんどありません。検診によってこの段階で発見できれば、早期がんであることが多いため、根治できる可能性が高い状態と言えます。進行していくと、食べ物を飲み込む時にしみることや、食べ物がつかえる感覚が出るようになります。他にも、咳や声のかすれといった症状が出る場合があります。
残念ながら、食道がんの症状が出るようになっている状態では、すでに進行してしまっていることが多くなります。したがって、初期症状を見逃さないためには、何も兆候がなくても人間ドックや健康診断を受けておき、体の状態をチェックしておく必要があります。
検査の方法としては、レントゲンや内視鏡、超音波検査、CT、MRI、PET、腫瘍マーカーなどがあり、それぞれに向き不向きがあります。検査によって食道がんであることが分かったら、ステージを判定する必要があります。食道がん取扱い規約によってステージ分類の基準が示されていますが、この他にもTNM分類が使われることがあります。日本と欧米を比較すると、細胞の種類(日本では扁平上皮がんが多いが、欧米では腺がんが多い)などがことなりますので、分類の仕方も多少異なります。
取扱い規約の分類では、0期から4期にステージが分かれ、4期が最も進行したもので、末期のケースもあります。ステージが4期になると他の臓器や原発巣から離れたリンパ節にまで転移している状態になります。
当然ながら、早期のステージは末期に近づいた場合よりも生存率が高い傾向があります。また、生存率は病院によっても差がありますので、食道がんの名医がいる病院を選んでおきたいものです。
治療は内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線治療が中心となります。外科手術による機能障害や、それぞれの治療による副作用といった負の側面についても、事前によく把握しておきましょう。症状の改善は重要ですが、闘病生活においては副作用に悩まされることも多くあります。その時になって戸惑わないようにあらかじめ理解を深めておく必要があります。
食道がんの治療法を始めとした基本的な知識を得るなら、ガイドラインを読んでみるのもお勧めです。ガイドラインによって理解を深めておけば、不要な心配をしなくて済みます。実像が見えないことが恐怖心をあおる要因でもあるのですから、まずは正しい知識を持っておくことが大切です