肝臓がんの治療-経皮的エタノール注入療法

経皮的エタノール注入療法とは超音波画像でがんの位置を確認しながら体外から100%エタノール、 すなわち純アルコールを肝臓がんの部分へ注射して、アルコールの化学作用によりがん組織を死滅させる治療法です。 エタノールにはタンパク質を凝固させる作用があり、エタノールを注入された癌細胞は瞬時に固まって壊死します。
 問題点としては体内の直接見えない部分にあるがんの位置をいかに正確に把握しエタノールを接触させられるか、 がん以外の部分へのエタノールの接触を最小限にとどめ副作用を抑えられるかが重要になってきます。
 エタノールは正常な肝細胞も破壊してしまうため、多量のエタノールを注入してしまうと広範囲にわたり肝細胞が 壊死してしまい肝臓の機能が失われてしまいます。また、肝がんが超音波画像で見えにくい場合や、 がんが肝臓内部の重要な血管に接している場合にはアルコール注射が安全かつ十分にできないこともあり、すべての場合で可能とは限りません。
 一般にがんの直径が3cm以下で、がんの個数は3個以下がこの治療の対象とされています。しかし、 よい効果が得られるのは2cm以下のもので、2cmを超えるとアルコールとの接触が完全に行うことができない場合もあり、治療成績は落ちます。
 黄疸や腹水が見られるほど肝機能が低下している患者さんに対しても治療ができない場合があります。
 エタノール注入療法は癌の大きさや個数に応じて複数回の治療を行うことになります。副作用は塞栓術に比べて軽微で3-4日毎に治療を行うことができます。