食道がんは、他のがんと比べて死亡率が高いことが知られています。
そして食道がんの症状には、逆流性食道炎と同じ症状が見られることが多いのです。
飲食時にしみたり、飲み込めずにつかえる、声がかすれるなどが代表的な食道がんの症状ですが、どれも逆流性食道炎の症状でもあります。
ただし、食道がんの場合は自覚症状がある場合には、既にがんが進行していることが多いです。
食道がんの主だった原因として挙げられるのが、飲酒や喫煙など食道に負担をかける行為です。
また、逆流性食道炎を悪化させたまま治療をしないでいると、食道がんの原因になることがありますので、注意が必要です。
これは、食道の粘膜が胃酸の刺激を受け続けることによって、胃の粘膜に似た組織に変わるバレット食道という症状に関係しています。
欧米では逆流性食道炎の患者が多いことに比例して、食道がんの原因にもバレット食道の症状を持つ方が多いという報告があります。
現在日本では、食道がん自体はそれほど患者数が多くなく、またバレット食道から食道がんを発症するケースも欧米に比べて少なくなっています。
しかし、逆流性食道炎をうったえる方が増加している背景を考えると、今後はバレット食道が原因の食道がんが増える可能性が高いのです。
バレット食道になると、もとの食道粘膜の状態に戻すことは非常に難しくなります。
バレット食道と診断されたら、定期的に内視鏡の検査を受けることが重要です。
上でも触れたように、食道がんは自覚症状がでてからでは手遅れな場合もありますから、がんの早期段階での発見が最も有効な治療と言えます。
しかしバレット食道になる前に、逆流性食道炎を放置せずに治療することが、何よりも大切なことは忘れてはいけません。