逆流性食道炎の治療には、薬の服用が最も一般的ですが、薬を服用しても症状が改善しなかったり、食道裂孔ヘルニアの場合には、外科的な手術が行われることもあります。
手術では、食道側にはみ出した胃を正しい位置に戻し、緩くなった食道と胃の境目を締めるように縫合します。
胸や腹部に開けた穴から内視鏡を挿入して行う、ニッセン法という手術方法は広く行われている方法です。
しかしこの方法は、開腹して行う手術ですから、全身麻酔と1週間程度の入院期間が必要なため、体への負担が大きい方法でもあります。
現在では、開腹せずに口から挿入した内視鏡などで手術をする方法もあり、手術時間も短時間で済み、入院期間も3日程度と負担が少ないことが魅力です。
ただし、この手術については健康保険が適用になってから、まだ日が浅く実施している医療機関が限られるなど、課題が多いことも事実です。
こうした手術による治療は、胃酸が逆流する原因を根本的に取り除くことができますから、短期間で症状を改善したい場合には、最も効果的な方法です。
特に、若い方で逆流性食道炎を患っている場合には、PPIなどの強い薬を長期間服用することによる副作用も気になるところですから、手術を検討してみても良いでしょう。
一方で、開腹や内臓の縫合などによるダメージは避けられませんので、その点のリスクも理解する必要があります。
胃や腸の手術に比べて、食道の手術は技術を要すると言われます。
治療方法の選択は、患者自身の意思が尊重されるべきですが、正しい知識を持たずに手術などの重大な選択をすることは危険ですから、担当医とよく相談して決めるようにしましょう。
また手術で症状が改善しても、生活習慣自体に逆流性食道炎を誘発する要素を抱えたままでは、症状が再発することもあります。
その点では、手術をした場合も同様に生活改善を併せて行っていくことが大切になるのです。