食道アカラシア

食道アカラシアの主な症状
 食道アカラシアは、噴門(フンモン)という食道と胃の継ぎ目が痙攣(ケイレン)によって開かなくなって、食べ物を食道から胃に送り込むことができなくなる病気です。食べたものが食道にたまり、食道はしだいに拡張していきます。
横になると、食道にたまった食べ物が口の中まで逆流してきます。ただ、食べ物自体の重みでゆっくりと胃に入っていくため、食事が胃に運べずに体重が減ってしまうのは全体のほぼ半数です。食道壁内の筋層が肥厚(ヒコウ)し、粘膜にも炎症が起こるため、そこから癌(ガン)が発生する頻度も高くなることが報告されています。
 固形物は飲み込めるのに、水分が飲み込みにくくなるのが代表的な自覚症状ですが、逆流、胸やけ、胸痛を伴うことが多いため、胃・食道逆流症と間違って診断されることもあります。
はっきりとした原因はわかっていませんが、各種ウイルスや麻疹ウイルスとの関連性も指摘されています。
食道アカラシアの検査方法
 胃・食道逆流症と間違えられやすいため、鑑別を行うために、胸部X線検査や心電図のほか、食道造影検査で食道の形態を、また内視鏡検査で食道の内腔を食道内圧検査で食道の動きを観察します。
「食道内圧検査」とは?
 圧力計を備えたチューブ(マノメーター)を鼻または口から食道に挿入して食道内の圧力を測定する検査です。食道の収縮によって食べ物が正常に胃の中に送られているかどうかがわかります。

           
食道アカラシアの治療方法
 噴門(フンモン)での通貨障害を改善させるため、専用のバルーンで噴門を拡張する治療が広く行われています。食道アカラシアに対するバルーン拡張術の有効性は32~98%と報告されています。また、1年後の有効率が75%との報告もあります。
しかしながら、若い人では、比較的効果が不十分な場合が多いため、腹腔鏡による食道切除術を行う場合もあります。
また、噴門の緊張を和らげるために薬物療法を行い、一時的に症状を改善させる場合があります。使用される薬剤はカルシウム拮抗薬や亜硝酸薬をはじめ、抗コリン薬、テオフィリン、モルヒネ、リドカインなどがあります。
ただし、薬物療法のみの治療では、効果が不十分なことが多いことから、拡張術を行うまでの補助療法や拡張術を行えない場合の治療法として考えられています。
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