現在、生体肝移植にかかる費用はレシピエントが約1,000~1,500万円前後、ドナーの費用は約200~250万円程度です。レシピエントは手術日から退院日までの費用、ドナーは手術前の検査から手術後退院するまでの費用に関して、病気によって保険が利くものと利かないものがあります。
【保険が利く病気は】
・先天性胆道閉鎖症
・進行性肝内胆汁うっ滞症
・アラジール症候
・パッドキァリー症候群
・先天性代謝性肝疾患
・肝硬変(15歳以下の患者のみ)
・劇症肝炎(15歳以下の患者のみ)
・肝細胞癌(ミラノクライテリア;3cm3個以内もしくは5cm単発で遠隔転移がない)
となっています。
残念ながら上記以外の病気の患者さんは、全て自費となります。肝移植の費用は全て治療費であるため、患者さんが助からなかった場合でも支払っていただかなくてはなりません。
肝移植の費用は病気によっても違ってきますが、個人によってもかかる費用が異なります。これは手術時間・ICUでの治療や期間・退院までの期間など、患者さんによって個人差が出てくるからです。
したがって、移植前においてはどの程度費用がかかるかは、おおよそのことしかわかりません。手術後の経過によっては2000万円以上かかることもあり得ます。医療費の支払いに関して、原則は月末締めの翌月10日請求で一括払いとなっております。支払い方法、その他保険取扱い等に関しましては、医事課担当者並びにソーシャルワーカーによる説明があります。
全てのレシピエントもドナーも一旦退院すれば、退院後の医療費は保険が利くようになります。レシピエントは免疫抑制剤を飲み続けなければならず、それらの費用も移植後かかりますが、退院後は高額医療の申請が行えます。
移植が成立した際のドナーの費用は、本来レシピエントに請求されますが、退院後、外来での医療費はドナー本人の保険を使用するため、ドナーの方に請求されることとなります。
ドナーの検査を行ってドナ―にならなかった人についても、その方の保険で医療費が請求されます。そのような場合は誰が医療費の支払いをするかについては、移植前に家族内で十分話し合っておいて下さい。