肺がんは移転しやすい

肺は、たくさんの血管やリンパ管がはりめぐらされているため、がん細胞が血管やリンパ管に入り込みやすく、転移がおこりやすい臓器です。
 とくに、脳や骨などに転移しやすいため、肺がんは手術による治療が困難で、やっかいながんと言われています。
 その他にも、リンパ節、胸膜、副腎、肝臓などにもよく転移するようです。
    肺がんの転移のタイプには、胃以下のようなものがあります
            タイプ 1           
           血行性転移
            
  血液の流れにのってがん細胞が広がるものです。発生部位から離れた臓器に転移を起こします。
            タイプ 2
          リンパ行性転移
            
     リンパ液のながれにのって広がるものです。
            タイプ 3
             播種
             
 がんのかたまりから、小さながん細胞がはがれおち、散らばります。播種は胸膜や髄膜へおこります。

肺がん治療 病院ランキング

       肺がん治療 ランキング1位
病院名
国立がんセンター中央央病院
東京都中央区築地5-1-1  地図・交通
(代表)03-3542-2511
担当科名 ◎が肺がんランキング対象
◎ 呼吸器外科
○ 呼吸器内科
○ 肺診断グループ
○ 呼吸器内視鏡グループ
○ 放射線治療グループ
肺がん症状・治療・生存率 などの情報
肺がん5年生存率 (PDFファイル)
肺がんの化学療法
ヘリカルCTや顕微鏡CTの記述
セカンドオピニオン
がん予防・検診研究センター
肺がん検診では、胸部ヘリカルCTと喀痰細胞診を実施(3万4650円)。
総合検診+PET(男性18万9000円、女性22万5750円)
がん予防・検診研究センターで行う。
PETは、CTで肺に腫瘍が見つかったが、悪性か良性かの診断が難しい場合などは
有用性が高い。
コメント
日経病院ランキング書籍では、副院長の貴重なコメントが書かれています。
「がんは緊急手術でないため、術後30日以内に患者が死亡した割合(手術死亡率)は技術レベルの基準になる」。
(手術死亡率データの詳細は、書籍で確認してください)
ちなみにですが、日経ランキング本での国立がんセンター中央病院の評価は、
肺がん以外は低くなっています。
但し、これは肺がん以外の治療成績のアンケート回答が
無回答(無効)だったことが原因のようです。
これに対して、中央病院側が反論しているので取り上げておきます。
中央病院側の反論
関連設備
リニアック。小線源治療装置。PET。
国立がんセンター中央病院 : 肺がんランキング等まとめ
日経 : 肺がん治療、関東1位(全国2位)。
宝島 :
講談 : 肺がん名医がすすめる全国30病院にノミネート
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肺がん治療 ランキング2位
病院名
埼玉県立がんセンター
埼玉県北足立郡伊奈町小室818番地  地図・交通
(代表)048-722-1111
担当科名 ◎が肺がんランキング対象
◎ 胸部外科
○ 呼吸器科
肺がん症状・治療・生存率 などの情報
ここまで進んだ肺癌の内科治療
肺がん5年生存率
埼玉県立がんセンター : ランキングまとめ
日経 : 肺がん治療、関東2位(全国3位)。
     がん治療総合評価はAAAの全国4位!
宝島 :
講談 :
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肺がん治療 ランキング3位
病院名
神奈川県立がんセンター
神奈川県横浜市旭区中尾1-1-2  地図・交通
(代表)045-391-5761
担当科名 ◎が肺がんランキング対象
◎ 呼吸器外科
○ 放射線科
肺がん症状・治療・生存率 などの情報
5年生存率(ページ下段)。
セカンドオピニオン
神奈川県立がんセンター : 肺がん関連情報
肺門型早期肺がんに対しては光線力学的治療装置(レーザー治療)による
非切除的な根治療法が導入。
ゲフィチニブ(イレッサ)が認可されている
神奈川県立がんセンター : ランキングまとめ
日経 : 肺がん治療、関東3位(全国5位)。
     がん治療総合評価はAAAの全国2位!
宝島 : 肺がん治療、関東7位(全国21位)。
講談 : 名医がすすめる病院にノミネート
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肺がん治療 ランキング4位
病院名
西群馬病院
群馬県渋川市金井2854番地  地図・交通
(代表)0279-23-3030
担当科名 ◎が肺がんランキング対象
◎ 呼吸器外科
○ 呼吸器内科
○ 放射線科
肺がん症状・治療・生存率 などの情報
5年生存率
セカンドオピニオン
肺がん検診(1万0500円)
西群馬病院 : 肺がん関連情報
肺がん検診では、ヘリカルCTと喀痰細胞検査を実施。
西群馬病院 : ランキングまとめ
日経 : 肺がん治療、関東4位(全国7位)。
宝島 : 肺がん治療、関東9位(全国26位)。
講談 :
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肺がん治療 ランキング5位
病院名
東海大学医学部附属病院
神奈川県伊勢原市望星台  地図・交通
(代表)0463-93-1121
担当科名 ◎が肺がんランキング対象
◎ 呼吸器外科
肺がん症状・治療・生存率 などの情報
呼吸器外科専用HP
5年生存率(小細胞肺がんは省いている)
肺がん検診(CTと喀痰検査で1万500円)
東海大学医学部附属病院 : 肺がん関連情報
胸腔鏡下手術が得意。二窓法を開発。
東海大学医学部附属病院 : ランキングまとめ
日経 : 肺がん治療、関東5位(全国9位)。
宝島 : 肺がん治療、関東3位(全国14位)。
講談 : 名医がすすめる病院にノミネート

肺がんの周期(ステージ)

肺がんの診断がつけられたなら、次にどのくらい病気が広がっているか(ステージ)を決定することが非常に重要になってきます。
  具体的には、肺の原発腫瘍の広がり(T)リンパ節転移(N)遠隔転移(M)のそれぞれについて点数をつけ、その組み合わせでI期からIV期のステージが決められています。
 一般的に、I期からIII期の一部までが手術の対象と考えられています。
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肺がんの症状

肺がんの初期症状にはせき、胸痛、喘鳴、息切れ、血痰、声がれ、顔や首のむくみなどがあります。
 太い気管支から発生するがんは初期症状に咳、血痰などがあらわれて、症状が進むと呼吸困難や呼吸するとヒューヒュー・ゼーゼーとなる症状があらわれます。
 肺胞に発生しやすい腺がんは初期は無症状ですが、進行してがんが大きくなると気管支の圧迫や浸潤によって咳、血痰、呼吸困難、喘鳴などの症状がみられます。
 肺組織内にがんが存在するだけでは痛みを感じませんが、胸膜や胸壁、横隔膜などへ浸潤すると胸痛や背中の痛みを感じます。
 肺がんがリンパ節転移すると、縦隔リンパ節が腫大して嚥下障害や声のかすれ、顔のむくみ、咳、呼吸困難となります。
 その他の症状には、他のがんの症状と同様に疲労感、食欲不振、体重減少などがみられます。
 痛みが出たときなどは要注意で進行がんが初期症状の場合があります。
 咳が続くときもあれば、たんの中でも透明な痰の中に糸状の血又は血の塊が混ざっている時は肺がんの可能性が非常に高いことも多いみたいです。

肺がんとタバコ

肺がんは治りにくいがんの代表であり、肺がんによる死亡を減らしていくためには、まず予防することが重要です、肺がんにならないようにする(一次予防)には、なんと言っても禁煙が重要です。
 喫煙者の肺は黒く汚れています。
 日本では他の先進国と比べて男性の喫煙率が高いのが特徴です。
 一方、女性の喫煙率は低いのですが、近年若い女性の喫煙率が上昇していることが問題となっています。
 一日喫煙本数×喫煙年数を喫煙指数といい、これが400以上の方は肺がんのハイリスクグループとされます。
 たばこの量肺がんになる危険(リスク)には相関関係があります。
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  一日20本吸う人は非喫煙者にくらべておよそ10倍程度肺がんで死亡しやすいことがわかります。
 また、最近は非喫煙者の肺がんも少なくありませんが、その際、他人の吐いたたばこの煙を吸うことによって肺がんになりやすくなることも知られています。
 夫がヘビースモーカーの場合、妻の肺がんの危険は2-3倍程度上昇するといわれています。
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新しい肺がんの治療

分子標的治療
 1980年ころから急速に進歩した分子生物学によって明らかにされてきたがん細胞の増殖・浸潤・転移などの生物学的特徴を裏付ける遺伝子とその蛋白質を,標的とした治療戦略のことです。
 肺がんではイレッサ(ZD1839)が,最も注目されています。
  EGFRは,細胞膜表面に存在する上皮増殖因子(EGF)のレセプターのことで,イレッサはEGFRの特異的チロシンキナーゼ阻害剤です。
 2002年の夏から市販されるようになりましたが、従来の抗ガン剤が無効な例に対して、20%程度の腫瘍縮小、50%程度の症状緩和がもたらされます。
 また、特に日本人の女性の腺がんに限ると、50%程度で縮小がおこると報告されています。
  その他,イレッサと同様にEGFRを標的としたタルセバやモノクローナル抗体のC225やEGFRと相同性を有するHER2/neuに対する抗体で乳がんの治療に用いられているハーセプチンや数種類の血管新生阻害剤など有望な治療薬の卵があります。
           免疫治療
 肺がんに対して標準的治療として確立したものはありません。現在,研究が進んできています。
          遺伝子治療
 まだ,一般臨床の前段階のものです。p53という腫瘍抑制遺伝子をウイルスベクターに組み込ん
でがん細胞に導入します。
         光線力学的治療
 太い気管支に存在する小さな早期がんに対して,腫瘍親和性光感受性物質(Photofrin)を投与し,出力の弱いレーザーでがんを選択的に壊滅させます。
       重粒子線治療,陽子線治療
 元来,物理学研究用の大型加速器から得られる陽子線や重粒子線をがんに照射する治療法です。陽子線や重粒子線は,がん病巣にその効果を集中でき、周囲の組織に強い副作用をひきおこすことなく、十分な線量を照射することができます。

肺がんの化学療法

肺がんは、小細胞がん、非小細胞がん(にわけられ、小細胞癌は転移が早く、発見段階で目に見えなくても、他の部位に転移している可能性が高いため、摘出手術は行わず、抗がん剤の治療対象となります。
 対して、非小細胞がんは、摘出手術、化学療法の両方をがんの進行状況に応じて視野に入れます。
 小細胞がんは、呼吸器系のがんで唯一、抗がん剤に対して高い奏効率(効き目)を示します。また、小細胞がんに比して、非小細胞がんへの抗がん剤の奏効率は低いです。
 抗がん剤の種類はたくさんありますが、肺がんの場合、基本はプラチナ誘導体+その他(イリノテカンなど)の抗がん剤の二剤投与が基本です。プラチナ誘導体には、シスプラチン、カルボプラチンがあり、腎機能のいい人は前者を、悪い人は後者を選択します。
 抗がん剤の副作用としては、嘔吐、骨髄抑制、脱毛、二次発がん(抗がん剤そのものが、がんのもとになり、がんが起こる。)、粘膜症状、消化器症状などがほとんどの抗がん剤で共通に起こります。また、プラチナ誘導体では、これ以外に腎機能の障害が起こります。
  
 副作用が現れる時期は一般的に白血球の数の減少はやや早く、脱毛は中間、二次発がんは遅く、消化器毒性は、早く、腎機能障害は中間で起こってきます。

肺がんの化学療法

ここ数年のうちに抗がん剤が数種類発売になり、従来ビンデシン、マイトマイシンなど限られた薬剤しか使用できなかった時代とは様相を異にしています。
 新薬剤は今までの薬剤よりわずかながらも抗腫瘍効果が優れていることは実証されています。
 シスプラチンまたはカルボプラチンと、これらの薬剤と組合わされて投与されることが普通です。
 抗がん剤の副作用には薬物アレルギー、消化器症状(嘔気・嘔吐)、血液毒性(白血球減少・貧血・血小板減少)、肝障害、肺障害、腎障害・心毒性、末梢神経障害(しびれ)、便秘・下痢などがあります。

肺がんの診断

症状や検診で肺がんの疑いがもたれると、いろいろな検査が行われます。
 1)肺がんであるかどうか
 2)肺がんであるとするとどのくらい進行しているか
 3)1)2)で計画される治療に耐えるだけの体力があるかについての検査が組み合わせて行われます。
 具体的には
 画像検査:胸部X線写真、CT(コンピュータ断層写真→胸、腹 、MRI(核磁気共鳴)→脳、シンチグラム→骨
 内視鏡検査:気管支ファイバースコープ(気管支鏡)
 生検(組織をとる):細胞診、気管支鏡下、CT下、喀痰
などがあります。
 とくに脳、他の部の肺、肝、副腎、骨などへの転移の有無を調べることが重要です。
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肺がんの初期症状

肺がんの初期症状ははかぜに似ており、無症状のことも多いので注意が必要です。
 肺がんになると気管支などに炎症が起きやすいため、せきが続くようになります。
 かぜでもないのにせきが止まらない、タバコを吸うとひどくなるなどの場合は、早めに診察を受けたほうがいいでしょう。
 血たんは、病巣部や周囲の血管が破れて出血するために起こります。
 また、がんが発育すると、閉塞性肺炎を起こすために発熱します。
 さらに進行すると、がん性胸膜炎無気肺を起こし、息が苦しく、ときには早期がんでも、呼吸困難を感じることがあります。
 また、胸の痛みもあります。
 鎮痛剤が効かなくなったり、肩周辺にまで痛みが広がるようなら、胸膜の外まで浸潤している恐れがあります。

肺がんと抗がん剤

肺がん抗がん剤 による治療で回復させようとする場合、一般的には小細胞癌に効果が高く、非小細胞癌には効果が薄いとされています。
抗がん剤の効き目があまりない非小細胞癌は、腺がんや扁平上皮がん、大細胞がん、腺扁平上皮がんなどの総称で、肺がんの80%から85%を占めます。
大して、抗がん剤が効きやすい小細胞癌は、15%から20%程度でしかありません。
そのため、腺がんや扁平上皮がんなどの非小細胞癌の場合には、初期の段階であれば手術療法を用いるのが一般的です。それに対して、小細胞癌の治療の中心は 抗がん剤 を用いる化学療法です。
もちろん、それぞれの場合で症状の進行の状態や転移の進み具合、全身状態などを考慮に入れて治療方針を決定することになります。
小細胞癌についてですが限局型と進展型に大別されます。
 限局型の場合には、抗がん剤による化学療法が中心となり、そこに手術療法や放射線治療を組み合わせることがあります。
 進展型になると、抗がん剤を用いるほか、放射線治療を単独で用いる場合もあります。
 非小細胞癌の場合は原則として、ステージが0期の場合には化学療法は用いません。
 ステージがⅠ期になると、手術を行った後に抗がん剤を用いる術後化学療法を用いることがあります。
 Ⅱ期も同様です。ⅢA期においては、術後化学療法のほかに、手術の前に抗がん剤を用いる術前化学療法や、放射線治療抗がん剤の合併療法を行うことがあります。
 ⅢB期になると、抗がん剤放射線治療の合併療法のほか、抗がん剤による化学療法を単独で用いることもあります。
 もっとも末期のステージに当たるⅣ期では、抗がん剤を単独で用いる場合があります。