大腸がんとポリープ

大腸がんの内視鏡検査を行うと、ポリープが見つかることがあります。50歳代の人の半分は大腸内にポリープが見つかるといいます。
ポリープというのは、腸内にできる、腫れたコブで、それ自体が悪性であるものではありませんが、大腸がんは、ポリープが刺激などを受けて悪性化して発病するということが多いですので、基本的にはポリープが見つかった場合、その場で切除するのが一般的です。
日本人のガン患者の割合でも大腸がんというのは非常に多いことが知られていますので、40代、50代になったら定期的に内視鏡検査を受けてみたほうが良いです。
ポリープを取り除いておけば大腸がんを予防できますし、ポリープの組織を検査してガンが見つかったりした場合でも、早い段階で見つかると比較的大腸がんは完治しやすいと言います。
ポリープにガンが見つかったとしても小さなものであればリンパ節への転移の可能性も低く、そのときの除去で処置完了となる場合が多いです。
5年生存率も90%以上と大腸がんは転移を伴うステージに入っていなければ治りやすいガンと言えるでしょう。

大腸内視鏡検査による大腸がんの検査費用

大腸内視鏡検査を行うには、どのくらいの費用がかかるかというと、病院や検査内容によっても違いがありますので、検査のみで何も問題がなければ大体保険適用の3割負担で7,500円くらいで可能です。
実際にはこの費用に加えて初診料や診察料などの費用もかかりますので実際には10,000円程度と考えておけばよいでしょう。
また、大腸内視鏡検査によりポリープなど腫瘍が見つかった場合、大きなものでなければ、その場で切除するのが良いと思いますが、その場合には追加でもう1万円くらいの費用負担となります。
特に、50代を過ぎるとポリープが見つかる確率は格段に高まりますので、基本的に大腸内視鏡検査時にはポリープが見つかることを想定しておいたほうがよいでしょう。
便潜血検査で陽性になって精密検査として大腸内視鏡検査を受診する場合にも、痔でなければ何かしら胃腸に炎症を起こしている場合が想定できますので、検査以外の費用がかかることを覚悟しておきましょう。

大腸がんの検査方法「内視鏡検査」

大腸がん検査の内視鏡は、挿入する際、曲がった状態で押し込む時に痛みを感じます。
内視鏡を押し込むことになるため、時には苦痛を伴い、かなり長時間の検査になってしまう場合もあります。
内視鏡医であれば誰でもわかっていることですが、検査の痛みをなくすためには、挿入する時に大腸を直線化し、変な力が加わらないように挿入していくようにします。
しかし、実際は大腸の曲がり方や長さには個人差があるため、医師の経験と技術が大変重要になってきます。
また、腸の狭窄もチェックできます。
腫瘍などができたことにより、腸の細く狭くなっている部分がないかを調べます。
超音波検査というのもあります。
大腸がんが大腸壁のどの辺まで進行しているかとか、リンパ節へ転移していないかなどを調べる時に用いられます。
内視鏡の先端に超音波の探触子というものを取り付けて検査しますので、がんの小さな広がりもすべて分かるのです。
また、がん細胞が他の臓器へ転移しているかとか、骨盤内に広がっているかなどを調べるには、CTやMRなどの画像検査が必要です。

大腸がんの検査方法「腫瘍マーカー検査」

腫瘍マーカー検査というのは、がん細胞が体内にある場合に増える物質の量を確認する検査で、一般的に大腸がんでは【CEA】と【CA19-9】と呼ばれる腫瘍マーカーが使われます。
腫瘍マーカー検査は、便潜血検査と同じように比較的簡単にできる検査のひとつなので、大腸がんのみならずさまざまな癌の検査方法として広く実施されています。
ただし、腫瘍マーカーは癌だけでなくその他の病気で増加する場合もあることや、早期がんなどでは腫瘍マーカーの数値が上がらないことも多いことなどから、腫瘍マーカー検査のみで癌の確定診断ができるとは限らず、あくまでも診断の補助材料として捉えておくのが良いと思われます。

大腸がんの検査方法「便潜血検査」

便潜血検査というのは、大腸がんや大腸ポリープ等による出血を見つけるために実施される検査です。
痔による出血などでも陽性反応が出ますし、早期の大腸がんでは出血が見られない場合も多いことから、早期大腸がんを確実に発見する決め手となる検査とは言い切れず、確実な診断は大腸内視鏡検査をはじめとする精密検査を受ける必要があります。
ただ実際問題として、検査費用や身体への負担も少なからず生じることなどから、定期的に大腸内視鏡検査を行っている人は少ないですし、便潜血検査を受診することによって大腸がんの死亡率が減少しているという統計結果もあることから、まずは便潜血検査を定期的に受診するのが最善策であると言えます。

大腸がんの生存率

大腸がんの生存率で顕著なのは他のガンにくらべて初期の場合100%に近い生存率であるということです。
大腸がんは早期発見で完治しやすいガンといえるでしょう。
5年生存率
デュークスA   がんが大腸壁内に留まるもの   95%
デュークスB  がんが大腸壁を貫くがリンパ節転移のないもの   80%
デュークスC   リンパ節転移のあるもの   70%
デュークスD   腹膜、肝、肺などへの遠隔転移のあるもの   25%

大腸がんとポリープの違い

ポリープと大腸がんの違いは何でしょうか。
ポリープが悪化すると、必ずがんになると思っている人も多いかと思いますが、ポリープはすべてが大腸がんになるわけではありません。
ポリープは大きく分けて、炎症性ポリープ、過形成性ポリープ、腺腫性ポリープの3種類があります。
炎症性ポリープは、腸の中で炎症をおこす病気(大腸炎など)が、治るときに粘膜が隆起して起こるものです。
また、過形成性ポリープも粘膜の細胞が増えすぎてポリープ状になるもので、高齢者にも多くみられるようです。
なので、炎症性ポリープ、過形成性ポリープは大腸がんになる恐れはありません。
この中でがんになる恐れのあるポリープは、腺腫性ポリープです。
この腺腫性ポリープですが、ポリープの中では、1番できやすいポリープなんで、がんというイメージが
強いのかもしれません。
腺腫性ポリープにも、良性、悪性があります。悪性のものが、がんですが、良性でも、そのポリープの大きさが5ミリ以上になってしまうと、がんになってしまうかもしれません。
ポリープが、悪性のものと診断されても、ポリープ状だと、まだ早期の場合が多く、完治もしやすいです。
進行したがんは、ポリープの形ではなくなってしまいます。

大腸がんと年齢・性別

大腸がんは年齢・性別の違いで、発生率の違いはあるんでしょうか。
大腸がん全体の男女の比率では、男性1.6:女性1.0と、男性の方が多く発症しています。
大腸がんのうちの、直腸がんは男性に多いですが、結腸がんは女性に多いです。
男性だけで見てみると、大腸がんは胃がんに次いで第2位になっています。
女性の場合は、大腸がんはがんのなかでも第1位です。
女性も、男性も、がん全体でみると大腸がんの発生率は高いです。
また、年齢別に見ると、大腸がんは男女ともに、60歳代の方の発症率が高くなっています。
次に、70歳代、50歳代と続きますが、年齢が高くなるにつれて、大腸がんの発症率も高くなっています。
大腸がんの大きな原因のひとつは食生活といわれています。高齢者より若い人たちの方が、脂肪分の多い生活をしているともいえます。

大腸がんセルフチェック

□幸いものが好きである。
□野菜はあまり食べない。
□早食いの習慣がある。
□酒はほとんど毎日飲む。
□食事の時間が不規則である。
□魚より肉類が好きでよく食べる。
□食事のバランスはあまり気にしない。
□タバコを吸っている。
□ストレスがたまっている。
□大腸の検査は受けたことが無い。
□運動はほとんどしない。
□睡眠不足など不規則な日常生活をしている。
□便の形がばらばらである。
□便が黒っぽく感じる。
□便秘がちである。
 
8個以上当てはまった方は要注意です。

大腸がんの原因「運動不足」

運動不足の人は大腸がんになりやすいのは確実なようです。加えて内臓脂肪の多い人はリスクが高くなります。
内臓脂肪が増えると動脈硬化やガン発生を抑制するアディポネクチンの生成をしにくくなって、そこに肉食がさらに重なると上皮細胞を脂や肉を食べた際などに発生する発がん物質に攻撃されて、上皮細胞の遺伝子が傷つき、ガン化するのです。
逆に運動することで内臓脂肪が少なくなりアディポネクチンが活発に生成され、さらに運動によって腸の動きが活発になり、便の便通時間が早くなるので発がん物質や胆汁酸と腸壁が接触する時間が短くなり、その結果がんの発生率が低下するといった考えがあります。

大腸がんの原因「遺伝」

大腸がんも遺伝によるリスクが認められてます。
祖父母、両親、兄弟姉妹、子どもに大腸がんの患者がいる場合は、いない人よりも大腸がんにかかる率が高くなります。
大腸がん患者の5~7%には、同一家系内に大腸がんの患者がいます。
大腸がんのなかでも”家族性大腸腺腫症”とよばれる病気がもとになって発病するものは、遺伝が原因です。
大腸に少なくとも100個以上の腺腫(ポリープ)が発生する病気で、幼児期に腺腫ができはじめ、思春期を過ぎる頃から大腸がんを合併します。
放置すると大腸がんのために死亡することになるので、大腸がんが発生する前に、大腸をすべて取り去る手術をしなければなりません。
他に大腸がんになりやすいケースは、潰瘍性大腸炎にかかったことのある人、子宮がんに対して下腹部に放射線照射治療を受けたことのある人などです。

大腸がんの原因「酒とたばこ」

酒に含まれているエタノールは分解されてアセトアルデヒドになります。
酒を飲むと顔が赤くなる、気分が悪くなる、頭痛がする、などの原因物質です。
さアセトアルデヒドが分解される際に出る活性酸素によって、細胞の中の核酸(DNA)を作るのに必要な葉酸という物質が壊されてしまいます。
これによってDNAの合成や傷ついたDNAの修復がうまく行かず、がんになるとも考えられています。 
たばこの煙には、多くの発がん性物質が多く含まれています。
たばこを吸っていると、たばこの煙が触れる「のど」や気管、肺以外に、直接触れない大腸の粘膜からも発がん性物質が検出されます。これによってがんが発生しやすくなると考えられています。

大腸がんの原因「食生活」

大腸がんの原因で一番多いと指摘されているのが食生活と言われています。
近年の食生活の欧米化が原因であると指摘がありますが、なぜ欧米化の食事が大腸がんになりやすい傾向があるかといえば、食物繊維不足による便秘が上げられます。
便が長い時間腸内に留まることは大腸に負担がかかりいわゆる、腸内環境も悪化してきます。
日本の女性のガン死亡の1位が胃がんから大腸がんになったことからもその傾向がうかがえます。
脂肪を消化するとき、胆汁の分泌が増えると、腸内で細菌が胆汁酸を分解するときに発がん性物質ができるといわれます。

前立腺がんの最新治療

前立腺がんの最新治療は十分に臨床によって効果が実践されていない場合や、薬品の認可が日本では下りていない場合、実施できる病院が限られるなど様々な問題がありますので、前立腺がんの最新治療を受けたいと希望しても、それが叶わないこともあります。
最新治療としては、凍結療法や免疫療法、高密度焦点式超音波治療があります。
凍結療法凍結手術療法とも呼ばれ、前立腺がんの癌細胞を凍らせて破壊します。
免疫療法患者さんの免疫力を高めることで、癌に対する抵抗力を高める方法です。
高密度焦点式超音波治療高エネルギーの超音波を集中させることによって高温を発生させ、前立腺がんを治療する方法です。
また、ホルモン療法の効果が薄れて前立腺がんの症状がぶり返す再燃と呼ばれる状態への対策に使われる最新治療としては、間欠療法や交代療法があります。間欠療法はPSA値の動きを見ながら断続的にホルモン療法を行うものであり、ホルモン療法の項目で詳しく触れていますので、ここでは交代療法について説明します。
交代療法ホルモン療法に用いる抗アンドロゲン剤を変更してみる方法です。抗アンドロゲン剤を切り替えても効かなくなってしまったら、今度はホルモン療法に抗がん剤を加えることで効果を得ることができます。
さらに、従来は効き目が薄いとされていた抗がん剤についても、タキソテールという抗がん剤が開発されたことによって状況が変わってきました。日本ではまだ未承認の方法ですが、海外で行われている前立腺がんの最新治療の研究として、サリドマイドとタキソテールの併用療法と、高用量ビタミンDとタキソテールの併用療法があります。
まず、サリドマイドとタキソテールの併用療法ですが、それぞれを単独で用いるよりも、併用することによって生存期間の延長と再発の予防効果があることが認められました。また、ビタミンDは癌細胞の細胞周期を止める効果や分化を誘導する作用が明らかになっており、タキソテールと併用することでより一層効果が上がったという報告があります。
前立腺がんの最新治療としては、これらの併用療法はまだ不明な点も残されていますが、今後に期待をつなぐという意味では、有望なものと言えるでしょう。

前立腺がんの治療「化学療法」

化学療法は抗癌剤による治療で、内分泌療法が無効な場合にも行われます。
化学療法が前立腺癌患者の生存期間を延長したとの報告はみられず、主に症状緩和に用いられます。
副作用は、骨髄毒性、吐き気・嘔吐、肝障害、腎障害、脱毛などです。

前立腺がんの治療「内分泌療法」

内分泌療法には精巣摘出術、エストロゲン剤、LH-RHアゴニスト、抗アンドロゲン剤があり、以前は精巣摘出術がよく行われていましたが、最近ではLH-RH アゴニスト単独あるいは抗アンドロゲン剤との併用が主流となっています。
副作用・合併症はそれぞれの内分泌療法により異なりますが、主なものとして、性機能低下、ほてり、乳房腫脹などがみられます。また、内分泌療法に対する抵抗性ができ、2~3年で効かなくなることが問題となっています。

前立腺がんの治療「放射線療法」

放射線療法は、放射線を使って癌細胞を殺す治療法で、手術ができない患者さん、進行癌、骨転移のある患者さんなどに行われます。
技術的な進歩により治療成績が向上しており、最近、放射線療法の見直しが進んでいます。
合併症は放射線による一種のやけどで、排尿痛、血尿、皮膚のただれ、直腸からの出血などがみられることがあります。

前立腺がんの治療「前立腺全摘除術」

前立腺がんの治療には、手術療法や放射線療法の局所療法と、内分泌療法や化学療法の全身療法があります。
前立腺全摘除術はT2までの早期癌の患者さんに行われ、ほぼ根治が期待できます。
前立腺、精嚢を切除し、膀胱と尿道をつなぎます。麻酔は全身麻酔と局所麻酔の2本立てで行われます。この手術の合併症としては、尿失禁と性機能障害が主なものです。
以前はよくみられた尿失禁も、最近では日常生活に支障をきたすようなものは稀になっています。性機能障害、勃起不全はほぼ必発といえますが、早期に限っては性機能に関係する神経を傷つけずに摘出する方法もあります。

前立腺がんになりやすい人

年齢: 50歳以上の剖検(死亡時の解剖)では3割、80歳以上であれば6~8割に小さな前立腺がんが見つかるといわれています。
遺伝: 血縁者に前立腺がんの患者さんがいると、危険率は高くなります。
職業: カドミウム(たばこの煙やアルカリ乾電池に含まれる成分)を扱う、電池製造工場労働者などはリスクが高いといわれています。
ビタミン: ビタミンDの活性化(紫外線・日光をあびることによる)やビタミンAが前立腺がんの抑制に関わっているかもしれないという説もあります。
食事: 脂肪(油)、特に動物性脂肪を多くとることは前立腺がんの危険因子として有名です。具体的にはチーズ、卵、豚肉などです。逆に、大豆(みそ・納豆・とうふなど)、緑黄色野菜、トマト、緑茶などは前立腺がんを抑制するといわれています。

前立腺がんにならないため

前立腺がんの原因は不明なので、下記のような生活を心がける。
 ○ 彩り豊かな食卓にして、バランスのとれた栄養をとる
 ○ 毎日、変化のある食生活を心がける
 ○ おいしい物も適量に、食べ過ぎは避け、特に脂肪を控えめにする
 ○ 大豆をよく食べることはいいかもしれないと言われている
 ○ お酒はほどほどに、健康的に楽しむ
 ○ たばこは吸わないように、特に、新しく吸い始めない
 ○ 緑黄色野菜をたっぷりととる
 ○ 適度にスポーツをする

和食で前立腺がんを予防

昔は、日本人は、当たり前のように毎食味噌汁を飲み、おかずに大豆製品の豆腐や納豆を食べていました。現代では、朝食はパンにコーヒー、昼は洋食メニューかそば、夜はアルコールといった食生活に慣れてしまい、大豆製品を取る機会が少ない人が増えています。
 大豆は、前立腺がんや乳がんの予防に効果的といわれるファイトケミカルの一種の“イソフラボン”を含んだ優れた食品なので、積極的に取りましょう。
 味噌汁は塩分の取り過ぎにつながるということもあり、日に3度摂取する必要はないと思いますが、納豆や豆腐、豆乳などの大豆製品は積極的に摂りたいものです。
毎日の食事に大豆製品を意識的に採り入れることが大切。朝食では味噌汁か豆乳のどちらかを摂取し、昼は納豆そばや大豆のサラダ、五目豆などを選びましょう。

前立腺がんを予防する食品

積極的に摂取することで前立腺がんを予防するといわれる食品もあります。
それは緑黄色野菜全般に言えるのですが特にリコピンが豊富なトマトが良いといわれています。今では一般的に認知されている抗酸化物質といわれている栄養素全体ががん抑制に効果があるのは広く知られてますがその中でも前立腺がんにはトマトのリコピンが良いといわれています。
それと豆腐や豆乳を摂取することで大豆イソフラボンが女性ホルモンの代替の役割を果たし過剰な男性ホルモンの働きを抑制してバランスを整えてくれます。

前立腺がんの予防

日本の男性に前立腺がんが増え始めたのは寿命が延びてがん全体の罹患率が上がったり、検査のや精度の向上等の条件的な理由もありますが、前立腺がんは食事との関連性が顕著であるとの指摘があります。
欧米型の食生活による高カロリー・高タンパクな食事が前立腺がんだけでなくがん全体の罹患率を上げると指摘がありますが特に前立腺がんのリスクを上げる食物に、精製された食品類・乳製品カルシウム・飽和脂肪酸等があげられます。
やわらかいパンやまったくの白米・乳製品全般(マーガリン・バター・マヨネーズ・クリーム・お菓子等)・肉の脂や乳製品からの過剰なカルシウムの摂取も前立腺がんリスクとして指摘されています。

末期腎不全と治療法「腎移植」

腎移植とは、末期腎不全で腎臓が機能しなくなった患者様に他人の腎臓を移植し、その人の腎臓として働きをさせる治療です。
適合する腎臓が提供されると、移植を受けることができます。腎移植がうまくいけば透析療法は不要になり、患者様の生活の質は大きく向上します。
しかし、拒絶反応を抑える免疫抑制剤を飲み続けながら、自己管理を続ける必要があります。腎移植には、肉親が腎の提供者となる生体腎移植と、亡くなられた方が腎の提供者となる献腎移植があります。

末期腎不全と治療法「腹膜透析」

お腹の中(腹腔)に入れた透析液に血液中の毒素や余分な水分を移行させ、それを1日通常4回入れ替えることによって治療をします。
血液透析では血液を体外に取り出し血液を浄化しますが、腹膜透析ではお腹の腹膜を利用して24時間連続した透析を行うので、最も生体腎に近い治療法といえます。
腹膜透析には1日数回、患者さんご自身でより清潔に接続できる機械を用いて透析液バッグを交換するCAPDと、夜間就寝中に自動的に透析液を交換する機械(自動腹膜灌流装置)を用いて、透析をするAPDという方法があります。

末期腎不全と治療法「血液透析」

血液透析
血液透析(Hemo Dialysis:略称HD)は、機械でからだにたまった水分や尿毒素(にょうどくそ)などを取り除く方法で、日本で現在最も広く行われている透析療法です。血液を体外に取り出し、ダイアライザーと呼ばれる透析器(人工の膜)に通すことによって、血液中の不要な老廃物や水分を取り除き、血液を浄化します。きれいになった血液は、再び体内に戻されます。
血液透析では、血管に針を刺して血液を連続的に取り出す必要があるため、簡単な手術によって、前腕の動脈と静脈を皮下でつなぎ合わせてシャントと呼ばれる血液の取り出し口を作ります。

腎不全の治療「食事療法」

初期段階から食事療法を行うことにより、腎不全の進行を遅らせることができます。
食事の成分中で注意深く管理しなければならないのは、塩分・水分、タンパク質、エネルギー(カロリー)、カリウム、リンなどです。
食事療法で最も重要な事は、1日3度の食事をきちんととる事です。
 タンパク質の制限
タンパク質を摂りすぎると腎臓に無理がかかります。タンパク質を制限すると腎不全の進行を遅らせる事が知られています。
しかし余り制限しすぎると栄養状態が悪くなって、ばい菌などに対する抵抗力が低下する場合があります。タンパク質を制限しすぎるとカロリー不足になりがちです。
十分なカロリーを摂ってタンパク質を制限するには、低タンパクご飯などの特殊栄養食品を使う必要があります。しかし勝手に行うのは危険ですので、主治医や栄養士さんに相談しましょう。
 カリウムの制限
一般に腎不全の患者さんでは、カリウムの排泄が低下し体内に蓄積してきます。血液のカリウム濃度が高くなりすぎると非常に危険で、不整脈が起きたり心臓が止まることさえあります。
また腎臓の保護作用の強い降圧薬の中にはカリウム濃度を上げる副作用を有する物があります。これらの薬を十分に使用して腎臓を守るためにもカリウムの制限が必要です。
カリウムは、タンパク質の多い食品や果物、野菜に多く含まれています
 リンの制限
リンは体内のカルシウムと結合して、骨や歯を丈夫にします。腎機能が低下すると、血中にリンがたまり、血管や腎臓に石灰化が起こり、動脈硬化や腎不全を悪化します。
体はリンのバランスを保つために副甲状腺ホルモンを分泌して、腎臓からリンを排泄する代償機能が働きますが、皮肉にも副甲状腺ホルモンは骨を溶かす作用もあり、骨がもろく弱くなります。
従って、リンの摂取量を減らすことが必要です。健康な方はリンやカルシウムの多い乳製品や小魚を食べると骨が丈夫になりますが、腎機能の低下した患者さんでは全く逆で、これらの食品を食べると骨がもろくなります。
骨を丈夫に保つためにも、動脈硬化や腎不全の進行を予防するためにも、リンの制限が必要です。一般にタンパク質の多い食品にはリンも多いので、タンパク質を制限すればリンの制限にもつながります。
 塩分の制限
大部分の腎不全患者さんは腎臓から塩分を排泄する力が落ちています。従って塩分を普通に摂ると体の中に貯まり、血圧が上昇します。高血圧は腎不全にとって最も悪い要因ですから、塩分制限は極めて重要な食事療法です。
また浮腫の強い患者さんでは、塩分の摂りすぎは浮腫を悪化します。しかし稀に塩分喪失性腎炎という病気による腎不全の患者さんがいます。この様な患者さんが塩分制限をすると、逆に脱水となって腎不全が悪化する事があり注意をする必要があります

腎不全の治療「一般療法」

一般療法には、安静、禁煙、異常時の対応などが挙げられます。運動が腎臓に悪いという確たる証拠は有りません。
しかし実験的に横になった状態から立ち上がると、腎臓に流れる血液量がかなり減少します。この様な状態を長く続けると尿量も減ります。
腎不全の患者さんが昼に長く立ち仕事をするとその間は尿量が少なく、夜間寝ている間に何回もトイレに行くことになります。
ですから余り長く立ち仕事や運動を行う事は腎臓にとって負担になる可能性が有る訳です。時々足を高くして横になったりするのが良いのかも知れません。
タバコが腎臓に悪い事は証明されているので、頑張って禁煙しましょう。
異常時の対応とは、例えば風邪を引いて食欲が落ちたり、下痢をしたりすると、腎不全の患者さんは容易に脱水になり、腎不全が急に悪化する事をよく経験します。この様な時には直ちに受診して、脱水(体重が急に減っている)の場合には、点滴を受ける必要があります。

腎性急性腎不全

腎臓に流れる血液が減少すると、腎臓の細胞が生きていくのに必要な酸素の運搬も出来なくなります。この場合、特に酸素不足に弱い尿細管細胞が死んでしまいます(尿細管壊死)。尿細管が働かなくなれば、いくら糸球体が正常でも、ネフロンとしての働きが出来ず、急性腎不全となります。いくら血圧を上げて十分な血液を腎臓に流しても手遅れで、新しい尿細管細胞が生まれるまで、腎臓の働きは停止します。このような状態を腎性急性腎不全と呼びます。
心臓が止まってから腎臓を取り出し、腎機能を失った透析患者さんに移植する、献腎移植の場合も尿細管壊死が起こります。この場合、取り出された腎臓の尿細管は死んでいるため、移植が成功してもすぐには尿は出ません。尿細管が再生して尿が出るまで1週間程度かかります。もし、脳死状態で腎臓を摘出すれば、尿細管細胞は生きていますから、移植後すぐに尿が出ます。
尿細管細胞は毒性物質にも弱く、阪神大震災の時にはガレキの下敷になって筋肉が傷害され、筋肉の中から遊出した様々な物質が尿細管細胞を傷害して急性腎不全をきたした、いわゆる挫滅症候群(クラッシュ症候群)が発症しました。

腎前性急性腎不全

急性腎不全の最も多い原因の1つにショックがあります。
これは、精神的なショックではなく、例えば、心筋梗塞や大出血などによって血圧が急激に下がる状態を言います。
このような場合、腎臓を流れる血液が極端に減少し、尿を作ることが出来なくなります。急性腎不全の原因が腎臓に十分な血液が流れてこないことにありますから、腎前性急性腎不全と呼びます。
血圧を上げて、腎臓に十分な血液が流れるように治療すれば、急性腎不全も治ります。

腎後性急性腎不全

前立性肥大などで尿の通り道が閉塞すると、当然尿が出なくなり、腎臓の尿を作る働きもストップし、急性腎不全となります。
しかし、治療も簡単でこのような閉塞を取り除けば治ります。ネフロンの項で述べたように、腎臓の働き、すなわち尿を作る過程はネフロンと言う管状の構造で行われているため、ネフロンの一部が傷害されても全体の働きが出来なくなり、尿を作ることが出来なくなります。
このような傷害が突然、しかもすべてのネフロンに起こると急性腎不全状態となります。

急性腎不全の原因

狭心症などの心臓病の診断や治療時によく行われる造影検査の際、もともと腎機能が低下している患者さんや、高齢者、糖尿病の患者さんなどではこの造影剤が尿細管の細胞を傷害し、一時的に急性腎不全の状態になることがあります。
主に糸球体が急激に傷害される病気として急性糸球体腎炎や溶血性尿毒症症候群(一時期全国的に多発したO-157大腸菌感染によることが多く、糸球体だけではなく尿細管も傷害される)などがあり、やはり急性腎不全の原因となります。
見過ごされやすい原因として、抗生物質や鎮痛剤など、様々な薬剤に対するアレルギーが腎臓に起こる薬剤性急性腎不全の場合があります。アレルギー反応は主にネフロンや血管の間を埋めている間質という部分に起こることが多く、急性間質性腎炎と呼びます。直接ネフロンの働き、すなわち尿を作るのに影響は無いように思われますが、間質に炎症に伴う無数の細胞が集まると、ネフロンや血管が圧迫され、尿を作ることが出来なくなり、急性腎不全の原因となります。しかし、血尿や蛋白尿の出ることも少なく、余程尿の量が減少して、強い浮腫でも現れなければ、体がだるい程度の症状で見過ごされることも多いのです。自然に治ってくれれば問題無いのですが、後遺症を残すことが多いと考えられています。

急性腎不全とは

急性腎不全とはその名の通り急激に腎機能が低下する状態です。
通常、尿の出が悪くなったり、あるいは全く出なくなったりします。一般には余りなじみの無い病気のように思われがちですが、高齢者や糖尿病、高血圧など動脈硬化の強い人が増加しつつあるわが国では、ちょっとしたことでも急に腎臓の働きが低下することも多いのです。死亡率の高い病気です。

慢性腎不全の薬物療法

腎不全を治す特効薬はありません。目標は慢性腎不全の進行を遅らせる事と、合併症を予防する点にあります。
降圧薬
慢性腎不全になると高血圧となることが多くなります。先に述べたように高血圧は、腎不全進行の最も重要な増悪因子であるとともに、生命にかかわる合併症の原因にもなります。このため、慢性腎不全の薬物療法の中で最も重要なものと考えられています。
最近は多くの有効な薬剤が開発され、血圧をコントロールするのも楽になっています。特にアンジオテンシン変換酵素阻害薬と、アンジオテンシン受容体拮抗薬は血圧を下げるだけでなく、腎機能を保護する作用も優れています。
利尿薬
むくみ(浮腫)のある場合や、血圧が高いにもかかわらず塩分制限の守れない場合には利尿薬が必要となります。しかし、不用意に利尿薬を飲むとかえって腎機能を悪くすることがあります。
クレメジン
経口吸着炭薬クレメジンは、特殊な活性炭を薬にしたものです。腸の中でいろいろな物質を吸着します。腎不全が進行して現れる症状を尿毒症といいますが、腎不全の患者さんの体には腎臓に負担となるような尿毒症毒素が蓄積します。クレメジンは尿毒症毒素を吸着し、腎機能の低下を抑える働きがあります。
この薬はカプセルと細粒の二つの剤型があります。カプセルの場合には、1日30カプセルという大量を服用しなければなりません。なお、毒素だけでなく同時に服用した他の薬も吸着する可能性があるので、食事や他の薬を服用してから少なくとも30分以上時間をずらして服用する必要があります。通常、食間に服用することになります。
活性型ビタミンD
腎臓の働きの項で述べたように、腎不全になると活性型ビタミンDの産生が低下し、骨がもろくなることがあります。このため活性型ビタミンD製剤(アルファロール、ロカルトロールなど)が投与されます。
しかし使い方が難しく、多すぎるとカルシウムの吸収が過剰となり、高カルシウム血症をきたすことがあります。高カルシウム血症は、腎機能を低下させる副作用があるため、十分注意しながら服用する必要があります。
リン吸着薬
腎機能が低下するとリンの排泄も低下し、高リン血症となると、低カルシウム血症、副甲状腺ホルモンの過剰分泌(副甲状腺機能亢進症)をきたします。これを予防するためにはリンの摂取制限が必要となります。
そこで、食物中のリンを結合し吸収されないようにするリン吸着薬(カルタンなど)が投与される場合があります。一般には炭酸カルシウムが用いられます。食事中のリンと胃の中で結合するするため、食中あるいは食後すぐに服用しないと十分効果が得られません。気を付けなければならないのは、活性型ビタミンD製剤と炭酸カルシウムの併用です。これは理にかなった治療法ですが、高カルシウム血症の危険があり、十分注意する必要があります。
カリウム吸着薬
腎臓からのカリウムの排泄が低下することにより、高カリウム血症をきたします。高カリウム血症は不整脈をきたし、突然死の原因となることがあります。このため、食事療法の項で述べたような注意が必要ですが、どうしてもカリウム値が5.5mEq/L以上となる場合には、カリウムを腸の中で吸着し、便に排泄する薬が必要となります。カリウム吸着薬(ケイキサレート、カリメート)は便秘などの副作用があり、これを予防するためにソルビトールなどの粉薬を併用することがあります。ゼリー状の薬(アーガメイトゼリー)には、カリウムを吸着する成分と便秘を予防する成分が含まれています。
エリスロポエチン製剤
程度の差はあれ、ほとんどの腎不全の患者さんは貧血になります。
腎臓は造血ホルモン(エリスロポエチン)を産生しています。エリスロポエチンが骨髄に赤血球を作るように指令を出しているのです。エリスロポエチンが欠乏すると骨髄での赤血球の産生(造血)が低下し、貧血になるわけです。貧血の状態が長く続くと、心臓に負担となり、心不全の原因となります。
このエリスロポエチンが遺伝子工学の発達により薬として使えるようになりました(エポジン、エスポー、ネスプ)。一般にはヘマトクリット値が30%以下(正常値;40-45%)に低下した場合に使用します。しかし、エリスロポエチンは注射薬で、1~2週間毎に注射する必要があります。
日常生活では貧血と言うと頭がフラツとするような脳貧血のことを思い浮かべますが、これとはまったく違います。医学的には身体中に酸素を運ぶ赤血球が少なくなることを貧血と呼びます。
重炭酸ナトリウム
人間の体は弱アルカリ(pH7.4)に保たれています。腎臓の働きが落ちてくると、アルカリ性を保持する重炭酸の濃度が低下します。このため身体が酸性に傾きます。医学的に言うと、アシドーシスという状態になります。アシドーシスになると、骨がもろくなったり、栄養状態が悪くなったり、様々な悪影響を及ぼします。またアシド-シスが腎機能を低下させるとの報告もあります。これを防ぐためにアルカリ化剤として重炭酸ナトリウム(重曹)を1日1-3g服用します。
ステロイド・免疫抑制剤
慢性糸球体腎炎で慢性腎不全となった患者さんの多くはステロイドや免疫抑制剤は無効です。ネフロ-ゼ症候群を合併している場合でも効果の期待できないことが多く、副作用の面からいつまでも使用すべき薬剤では有りません。腎不全だけでも免疫能が低下しやすいので、これらの薬でさらに免疫能が低下すると、抵抗力が非常に弱くなります。
漢方薬
現時点で有効性が確認されている漢方薬は無いと考えて頂いて良いと思います。かえって、変な漢方薬による副作用が懸念されます。

慢性腎不全の治療

慢性腎不全の治療目標の1つは慢性腎不全の進行を予防し、少しでも透析療法への移行を遅らせることにあります。慢性腎不全は進行性の疾患です。多少の変動はあるものの、良くなることはありません。従って、薬物療法や食事療法、安静療法により、少しでも進行を遅くさせることが目標です。
慢性腎不全治療のもう1つの治療目標は合併症の予防です。慢性腎不全の進行とともにいろんな合併症が現れます。中には、生命をおびやかすようなものもあります。
慢性腎不全が進行しても、透析療法が有りますからすぐに生命にかかわる事はありません。しかし、例えば高血圧が持続するような場合には、もちろん腎臓にも悪影響を及ぼしますが、生命にかかわる心臓病や脳卒中などの合併症の原因となるわけです。さらに生命にかかわることはなくても、不適当な食事療法などを行うと骨がもろくなる、などの合併症が現れます。
腎機能の低下を予防する1つの方法は、腎臓の負担を減らすことです。
腎臓を会社に例えますと、慢性腎不全では、10人いた社員が5人以下に減ったとします。会社の仕事量が同じであれば、残った5人には今まで以上に仕事の量が増え、ついには過労死し、ますます社員は減っていきます。残った社員が減らないようにするには仕事量を減らす必要があります。これが食事療法や安静療法、薬物療法の目的です。

慢性腎不全の治療は早い段階から

腎機能が3分の1以下に低下した状態を慢性腎不全と呼びますが、現実にはこの時期にはかなり進行した状態で、むしろ正常の70%以下に低下すれば、慢性腎不全の予備群として適切な治療が必要となります。
一般に腎機能が1/3程度に低下した段階を慢性腎不全と呼ぶのは、ちょうどこの頃から、血液中にクレアチニンや尿素などの老廃物が蓄積するためです。

慢性腎不全の病態

腎臓は2個ありますが、片方を摘出しても腎機能はほとんど低下することは有りません。腎臓に大きな予備力があるためです。逆に腎機能が正常の半分くらいしかない、という場合には、働いているネフロンの数は既に約6分の1程度に減少しています。
慢性腎不全では糸球体のろ過圧が上昇していることが知られています。これによって、ネフロン数が減少しても糸球体ろ過量(腎機能)は保たれます。しかし糸球体ろ過圧が上昇するのは、糸球体内の血圧が上昇している(糸球体内高血圧)からです。糸球体毛細血管の動脈硬化が進行し、糸球体が過労死することになります。

慢性腎不全に至る病気

両方の腎臓を同時に傷害する病気はすべて慢性腎不全の原因となり、慢性透析療法に至る疾患でもあります。
慢性腎不全の原因を透析療法を必要とする疾患で見ると、糖尿病患者が急激に増加しており、1998年には慢性糸球体腎炎に代わって糖尿病性腎症が第一位となっています。慢性腎不全と言う名前は病名ではなく、腎臓の働きが低下していると言う病態名です。

慢性腎不全の原因

原因は主に糸球体を傷害する慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症、間質を傷害する間質性腎炎、血管を傷害する高血圧などが上げられます。
病状も急性腎不全とは違い、末期に到るまでほとんど症状が無いのが特徴です。もちろん尿も十分に作られます。しかし、末期となれば慢性透析療法が必要となります。
急性腎不全と異なり、治ることは期待出来ません。腎機能が正常の10%以下に低下した末期腎不全に至ると、腎移植を受けない限り一生透析療法を受けなければなりません。

腎臓がんの予防

腎臓がんを予防するには、食生活や生活習慣を見直すことによってある程度予防することは可能であると思われます。
腎臓がんになりやすい人をみていくことによって、腎臓がんをいかに予防するかということもわかるというものです。
その一つに、腎臓がんは男性の方がなりやすいということです。男性の方が多いわけですから特に男性は気を付けなくてはいけません。
そして、食生活でいえば脂っぽいものを多く食べている人は、腎臓がんになりやすいため、なるべく脂っぽいものを控えることは予防になると思われます。体重が重く肥満と診断されている人も注意が必要ですので、太り過ぎないように体重を管理するのも予防になります。
また、生活習慣としては、喫煙をしている人は腎臓がんを発症しやすくなるので、禁煙をしていた方が予防になります。
前にも触れましたが、糖尿病で人工透析を受けている方は腎臓がんになる確率が増しますから、恐らく医師にも言われると思いますが、検査を常にする必要性が出てきます。
遺伝性の問題も無視はできません。自分の家系に腎臓がんを発症した人がいる場合は、他の家系と比べて腎臓がんになる確率が増しますから、常に検査を定期的に受けることが予防につながると思われます。

慢性膵炎の食事療法

慢性膵炎では、食欲不振、嘔吐、黄疸が出る。
食事のポイント
●高タンパク、低脂肪の食事にする
脂肪の少ない良性タンパク質で膵臓機能を回復し、脂肪制限で急性膵炎発作を防止する。
●ビタミン、ミネラルを摂取する膵臓機能回復に有効である。
●酒、香辛料はとらない腹痛の原因となるので、とらない。

急性膵炎の食事療法

急性膵炎は、腹と背に痛みがある
食事のポイント
●急性期には絶食する
絶食、水も絶ち、膵臓を休める。
●脂肪を制限する
肉、魚をはじめ、植物油もとらない。
●タンパク質を制限する
急性期には1日10グラム以下にし、回復後に50グラム程度に戻す。
●ビタミンC、E、ミネラルをとる肝臓機能の回復をする。

急性膵炎の原因と治療について

急性膵炎は、様々な原因で活性化された膵臓の消化液により自分の膵臓が消化されてしまい、膵臓や他の臓器に炎症と障害が引き起こしてしまう病気です。
膵臓の働きには消化酵素を含んだ膵液を製造し、できた消化酵素を十二指腸に送り、胆汁と一緒に、タンパク質、糖質、脂質などの栄養素を分解し、消化をしていく大切な役割を行っています。
他の働きとしてブドウ糖の代謝に必要なホルモン(インスリン)を分泌して、血中のブドウ糖の値をコントロールして血糖値を安定させるなど、生命維持を行うのに大事な役目を果たしています。
急性膵炎は、脂質異常症や、細菌感染、胆のう炎、胆石、胆管炎、胆管閉塞などの胆道系疾患、血行障害、また、アルコールや高脂質の食べ物を多量に食べることから起こります。
急性膵炎で良く見られる症状は、腹部上部の激しい痛みです。急性膵炎から起こる腹痛は、みすおちから始まり、肋骨の下のへりに沿って左側腹部、背部に放散する痛みです。その痛みの多くはかなり激しい痛みとなります。
急性膵炎の症状が重くなると、腹部の激しい痛みに加えて発熱、悪寒、冷や汗、嘔吐、頻脈、チアノーゼ、血圧降下などからおこるショック症状があります。
一般に膵炎を判断していく検査法には、血液検査を行ってアミラーゼの値を検査する、また腹部超音波や腹部CT検査などにより、膵臓の炎症症状や腹部CT検査などにより、膵臓の炎症の状態を確認するなどを行いトータルで判断することが必要になります。
急性膵炎で行われる治療では、発作を起こした後は、特に2~3ヶ月は絶食する必要があります。点滴を行いながら、水分と栄養を補いながら身体の状態を観察します。
症状が安定してきたら、低脂肪食を主体にした食事療法が行われます。尚、腹部の激しい痛みに対しては、鎮痛薬の投与や消化酵素の働きを抑える薬など使用して、症状の改善を図る治療が行われます。

急性膵炎の原因と症状

急性膵炎は、急激な炎症が膵臓に発生する疾患です。その症状が重い場合は、生命に深く関係する病気で、高脂肪で高たんぱくなどの欧米化した食事、そして、アルコール分の過度な摂取などが関係しているようです。
事実、急性膵炎で主な原因とされているのは、アルコールで、膵炎発生原因の37パーセントとされています。次に多いのが胆石との関連、そしてその他の原因が特定できないものとなっています。
アルコール分の飲みすぎ状態になったり、脂肪分の多い食べ物を食べ過ぎたりすると、数時間後に激しい腹痛を起こしたりするのが特徴的な症状です。みぞおち周囲から左の腹部、背中にかけて、突き刺すような激しい痛みが起こるようになります。
症状の現れた方は、時間をかけてじっくり現れることもあれば、突如現れることもあります。また、気付かないうちに痛みが消失していたりすることもあります。人により意識障害やショック症を引き起こす人もいます。
痛みの特徴は、重苦しく、だんだんと強まっていきます。重症化すると膝を抱えないとこらえられないほど、非常に激しく痛みを伴います。痛みは継続して続き、発熱や嘔吐を伴う場合もあります。
急性膵炎が重症化した場合、消化酵素により破壊された膵臓の組織から有害物質が血中に流出して、腎臓、肺、肝臓、心臓などにトラブルを起こし、多臓器不全の症状が起こるといったケースもあります。
急性膵炎の処置法として、症状が起こったら、急激に悪くなるケースがあるので、早期にに医療機関を受診する必要があります。継続して激しい腹痛を起こしている場合は、救急車を手配をして対応することが大切です。

慢性膵炎の症状

代表的な症状としては、上腹部痛と腰背部痛があげられます。痛みは頑固で持続性ですが、間欠的に生じるものもあり、痛みの程度も個人差ががあります。そのほかの症状としては、吐き気・嘔吐・腹部膨満感などがあげられます。
診察時には、上腹部を押されるといやな痛みを感じます。背中の中央をぽんぽんとこぶしで叩かれると背部から脇にかけて放散するような痛みを感じる事もあります。
痛みは食後(油の多い食事)や、飲酒後に比較的多く見られます。
これらの症状は、比較的膵臓の機能が保たれている代償期に起こるもので、膵臓の機能が著しく低下した非代償期ではかえって見られなくなります。しかし、非代償期では膵臓の外分泌機能不全による消化吸収障害による、脂肪性下痢や体重減少、内分泌機能不全による糖代謝障害(膵性糖尿病)が認められるようになります。

慢性膵炎の原因に応じた治療方法

慢性膵炎の原因がアルコール性、あるいは胆石性と判明している場合は、それらの要因を取り除きます。
アルコール性が原因の場合は習慣性になっていることが多く、症状が悪化するとすい臓の機能不全や糖尿病、果ては膵臓がんにまで発展することが考えられるので、アルコールの禁止が大前提です。
胆石性の場合は、結石の除去手術などを行います。
病気の状態や進行度によって薬物治療をはじめ、継続的治療(生活習慣改善:食事療法・運動療法などを含めた総合的治療)が必要になってきます。