前立腺肥大症の治療:尿道カテーテル

前立腺肥大症が進行して膀胱の出口が塞がれ、いよいよ尿がでなくなった場合、狭くなった尿道を通 して膀胱の中に管(カテーテル)を挿入し、尿を出すことです。
尿道カテーテルは2-4週間で交換します。カテーテルをしたまま風呂に入ることもでき、普通 とあまり変わらない生活を送れます。 しかし、長期間の留置は結石形成しやすくなり、膀胱炎を生じることになります。
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前立腺肥大症の治療:高温度治療

患者の負担の少ない、日帰りでできる手術です。手術時間は約1時間、効果は半年から1年くらい続きます。
尿道の表面に麻酔をしてから、カテーテルを挿入し、マイクロ波をあてて、前立腺を45度~55度に加熱します。焼けた前立腺は組織破壊をおこし、縮小します。発想は電子レンジで食べ物を温めるのと同じです。
このとき尿道がやけどをするのではないかと心配になりますが、挿入したカテーテルに絶えず水を還流させて冷やしますので、やけどの心配はありません。
■メリット
①日帰りでできる
②逆行性射精が10パーセント弱の確立でしかおきない
■デメリット
①治療後症状の改善に1~2週間かかる、治療直後はかえって尿はでにくくなる
②効果が1年くらいしかもたない
治療中は前立腺を温めるため、オシッコガしたくなります。しかし、尿道にはカテーテルが入っていますので、おしっこはできません。また、麻酔をしますが痛みを訴える人もいます。
治療後は、前立腺が焼けているため刺激があり一晩中尿意を感じる人もいます。
治療後2日間は尿道にカテーテルを挿入したままなので、不快感があります。その間ペニスの先から4、5cmカテーテルがでたままです。カテーテルには蓋がついていますので尿が漏れることはありません。
カテーテルは2日後に病院で取り除きます。
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前立腺肥大症の治療(薬)

植物エキス剤:エビプロスタット、パラプロスト、 セルニルトン:
症状を緩和する作用があり、夜間頻尿・残尿感・切迫尿意などを軽減し、時には症状が消失するほどの効果 もあります。前立腺そのものを小さくするほどの効果は少ない。副作用が少なく、使いやすい薬です。
漢方薬:八味地黄丸、牛車腎気丸 :上記の薬物のように症状を緩和します。症例によっては非常に効果 があります。量が多いのが飲みにくいこともあります。
交感神経抑制剤(α-ブロッカー):ミニプレス、ハルナール、 フリバス、デアタントール :
膀胱の出口が前立腺によって塞がれて狭くなっているので尿がでにくいが、ここを広げる作用があります。排尿効率がよくなり、尿の勢いがよくなります。全身の血管も広げるので血圧が低下するため、起立性低血圧を生じ立ち上がるときふらふらすることがあります。
女性ホルモン剤:プロスタール、パーセリン:
前立腺そのものを少し小さくする作用があります。副作用があり、女性化し、勃起障害になることがあります。食欲がでてくることで太り、心臓に負担がくることもあります。
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大腸がんの治療:開腹手術

内視鏡や腹腔鏡手術もさかんに行われるようになりましたが,大腸がんではリンパ節への転移が見られることが多く,現在でも大腸がんではリンパ節廓清のしやすい開腹手術が主流です。
 
 大腸がんの根治手術は転移からの発症を防ぐため病巣から約10cmくらい離れたところまでを切除し,腸管に近い1群のリンパ節だけでなく2群,~3群までのリンパ節を廓清し,腸管を縫合する方法が一般的です。また結腸がんの場合このような方法でも,手術後の機能障害はほとんど起こりません。
 直腸がんの根治手術は進行がんの場合,多くの問題を克服しなければなりません。それは直腸の周囲には,膀胱や尿道,前立腺,子宮,膣などの泌尿器,生殖器などがあり,さらに肛門など重要な器官があるからです。
 直腸がんの根治手術は,大きくわけて2種類あります。その一つは直腸とともに肛門も切除し,S状結腸に人工肛門(ストーマ)をつくる方法であり,もう一つは肛門括約筋を残して,直腸を切除し,腸管を縫合して肛門をそのまま機能させる括約筋温存直腸切除術です。
 現在では直腸がんの手術で約70%が肛門が温存され,下部の直腸がんでも約50%が温存されるようになってきています。
 さらに最近では泌尿器や生殖器の機能に関係する自律神経を温存させる手術も確立し,術後のQOLの低下を抑えることができるようになりました。
 これはがんの進行状態に応じて,個々の神経を見分け,自律神経をできるだけ残しながら病巣だけを切除していくというもので,この日本の直腸がん手術のレベルは世界最高水準にあるといわれています。
 しかし,病期が3期以降では骨盤内臓器全摘出手術が行われることもあり,この場合,排尿機能や性機能は温存できなくなります。
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大腸がんの治療:腹腔鏡手術

早期がんでも,内視鏡的治療が困難な大きながんには腹腔鏡手術が行われます。また最近では進行がんでも腹腔鏡手術が行われるようになりました。この方法は開腹手術に比べ,患者の負担が少ないというメリットがあります。
 しかし,進行がんに対しても開腹手術と同等の安全性や治療成績が得られるかどうかは評価が定まらず,現在,国内では進行がんに対する腹腔鏡手術と開腹手術の臨床比較試験が実施されています。
 今後,患者への負担の少ない腹腔鏡手術はその適応範囲が拡大されると予想され,腹腔鏡手術を行う病院も増加しています。
 開腹手術と比較した場合,痛み止めは開腹手術が平均して3~5日に対し,腹腔鏡は2~3日ですみます。また退院までの日数は開腹手術が10日前後に対して,腹腔鏡は1週間前後といわれています。
 確かに,このように患者の負担が少ないことは事実ですが,高度なリンパ節郭清は技術が要求されるだけでなく,腹腔鏡手術は歴史が浅いため,病院や医師によっては経験が不足している点も否定できません。
 日本内視鏡外科学会の調査では,2006年からの2年間で大腸がんの腹腔鏡手術で縫合不全や出血などが原因で11人が死亡したと報告しています。
 したがって,腹腔鏡手術を受ける際には,その医療機関の実績などをよく調査しておくいことも必要でしょう。
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大腸がんの治療:内視鏡手術

がんが粘膜下層まで浸潤しておらず,リンパ節への転移がないものは早期がんに分類されこの場合約60%が内視鏡手術で治療できます。
 現在では早期がんは適切な治療を施せば100%治癒すると言われています。早期がんと診断されるのは大腸がんと診断される人の20~30%です。
 大腸早期がんで20mmまでのポリープ状のものは大腸ファイバースコープを入れ,スネアというリング状の器具でポリープを締め上げ,高周波電流で焼き切るポリペクトミーと呼ばれる治療が一般的です。
 また扁平なポリープには生理食塩水を注射し患部を浮き上がらせてスネアで締め上げ焼き切るストリップバイオプシーと呼ばれる治療法もあります。
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ピロリ菌の除菌方法

胃・十二指腸潰瘍のある人に限って、2000年11月からピロリ菌の除菌療法が保険適用になりました。
 一次除菌法
 PPI(プロトンポンプ阻害薬)+AMPC(アモキシシリン)+CAM(クラリスロマイシン)の3種類の薬を、朝夕の食後に1週間服用します。PPIはランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾールナトリウムのうち、どれか1種類を使います。
一次除菌で除菌が成功しなかった場合、使用する抗菌薬の種類を変えて二次除菌を行います。一次除菌で使ったものと同じ薬剤の量を増やして繰り返しても、成功率は極めて低いので、必ず種類を変えて行うことが必要です。
 二次除菌法
 PPI(プロトンポンプ阻害薬)+AMPC(アモキシシリン:商品名はサワシリンなど)+MNZ(メトロニダゾール:商品名はフラジールなど)の3種類の薬を、朝夕の食後に1週間服用します。
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肺がんの最新治療法:光線力学的療法(PDT)

光線力学的療法(PDT)とは、気管支鏡を挿入してレーザー光線を発射し、がんを破壊することができる肺がんの治療法です。
従来の方法では、レーザー光線を当てるだけではがんを完全に破壊できなかったり、他の正常な細胞まで傷つけるおそれがあったのですが、がんに集まりやすく、レーザー光線に反応しやすい特殊な物質を新たに使うことでピンポイントで治療ができるようになりました。施行するには諸条件がありますが、メリットも多くあります。
PDTのメリットは、体への負担が軽くてすむという点です。胸を切らないで治療が可能なため、患者さんの身体的・心理的な負担がかなり軽くなります。呼吸機能も損なう心配がありません。
また早期の肺がんならほぼ完治できます。直径1cmまでの早期肺がんならば、完治する割合は9割以上という報告があります。
PDTを受けるための条件
PDTでもすべての種類の肺がんが治療できるわけではなく、早期の中心型肺がんに限られています。PDTは気管支鏡の挿入ができる範囲内のがんでなければならないのです。他に細かい条件をあげると以下のようなものがあります。
がんの大きさが1cm以下
正常な組織との境目がはっきりと分かること
肝機能が正常なこと
外科手術が困難であること(呼吸機能が低下している)
非小細胞肺がんであること

健康保険も1996年から適用されているため、経済的な負担も軽い治療法です。
PDTでの治療後には、強い日焼けに注意が必要です。レーザー照射時に光に反応する物質を注射されますが、太陽の光などの強い紫外線にさらされると、日焼けを起こす場合があります。光線過敏症の検査に通るまでは、病室でもカーテンを閉めて直射日光を防ぐようにします。
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