肺がんとアスベスト

近年問題になっているのはアスベスト(石綿)による肺がんです。
 アスベストとは天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で昔は「いしわた」と呼ばれていました。
 繊維が極めて細いため、研磨機、切断機などを使用して建物を解体したり、吹付け石綿などの除去等において必要な措置を行わないと石綿が飛散して人が吸入してしまう恐れがあります。
 以前はビル等の建築工事において、保温断熱の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが、肺がんや中皮腫がんなどの問題がわかってきました。
 その後も断熱材、保温材などとして製造されましたが今は禁止されています。
 アスベストと肺がんの因果関係ははっきりとは解明されていませんが、非常に細い粒子なのでそれによる物理的刺激で肺がんが発生するのではないかと言われています。
 一般的に問題とされている中皮腫がんよりも肺がんの確立のほうが高いという研究結果もあるようです。
 特に長年アスベストを吸っていたような人に多く発生する事がわかってきています。
 問題になるのは、アスベストを使う作業環境の方が喫煙者であれば、肺がんの発症リスクは、何と53倍にもなるといわれています。
 アスベストはそこに存在するだけでは危険性は少ないのですが、解体などで粉砕される事で広い範囲に散らばって被害を拡大させます。
 今後、2020年頃を中心に懸念されていることが、肺がん患者が急増するのではないかということです。
 これは、アスベストの需要がまだ高かった頃に、これを使う環境で作業をされていた方が、潜伏期間の30年から40年経つ頃がこの時になることです。
 はっきりとした指針が示されたのが近年である事により、それ以前にアスベストに関わっていた人は必ずがんの検査を受ける事が必要です。
 またアスベストに関連する地域に住んでいた人も積極的にがん検診を受けるようにしましょう。国の援助もあるようですので保健所や地域の行政機関に相談してみる事が一番です。