痛みを伴う肺がんの骨への転移

肺がんは、転移しやすいがんといわれ、主に転移する場所では、リンパ節、骨、脳に転移しやすいです。
 肺がん転移について、骨への転移を考えてみます。
 肺がんの骨の転移はがんが進行するにつれて、転移していく箇所が決まっています。
 肺がんの骨の転移はまず、肋骨や胸椎に転移します。更に肺がんが進行すると腰椎や骨盤に転移します。
 この骨の転移する順番は、肺がんの発症している肺の部分の中心から広がり始めます。
 肺がんがなぜ骨に転移しやすいのか、その原因は骨の細胞が常に新陳代謝を繰り返しているからです。
 骨は骨にある骨芽細胞と破骨細胞が、新しい骨と古い骨の新陳代謝のサイクルを作っています。
 肺がんのがん細胞は、この古くなった骨を壊す破骨細胞を利用して増殖します。
また、骨に転移する原因には、がん細胞を活性化する物質が骨から分泌されていることもあります。
 肺がんは骨に転移すると骨を壊します。また、骨を形成することもあります。
これを、骨を壊す方を溶骨型といい、骨を形成する方を造骨型と呼びます。
 肺がんが骨に転移した時の症状はどのようなものでしょう。
 肺がんが骨に転移すると、強い痛みに襲われます。
 この痛みはいつも襲いかかり強い痛みを感じ、その場所はいろいろと変わります。
 肺がんが脊椎に転移すると、ここを通る神経が圧迫され神経障害が起き、手足にしびれが起き身体に麻痺が起きることもあります。
 また、骨が壊れやすくもろくなっていますので、骨折することもあります。
 骨のカルシウムはがん細胞の転移で溶解し、この影響で強い眠気やのどの渇きを訴える方もいます。
 肺がんの骨への転移は、十分な治療計画が重要で、一度、肺がんが改善した場合は、再発しないように経過観察が大切になります。

肺がんと女性ホルモンに関わる要因

女性の喫煙率は男性よりも低いです。この事から女性の肺がん罹患率は少ないとも言われていますが、喫煙しない女性にも肺がんは発症します。
喫煙以外にも生殖関連要因やホルモン剤使用が、肺がんの発生と関係があるのではないかと考えられています。
厚労省が40~69歳までの喫煙していない女性約45000人を対象に、女性ホルモンに関わる要因と肺がんリスクとの関連を調べたところ、対象となった約45000人のうち、153人が2002年までに肺がんを発症したのですが、そのうち閉経していた111人をさらに詳しく調べたところ、月経のある期間が長いと肺がんになる危険が約2倍~2・5倍高いことがわかりました。
女性ホルモンが具体的にどのようにして肺がんに関わるのかは、まだ正確には分かっていないようですが、女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、肺のがん細胞の増殖を直接促進したり、肺がん細胞中のエストロゲン受容体に、エストロゲンがつくことによってがん化を促進し、肺がんの発生に関わるのではないだろうかと考えられています。
さらに、ホルモン剤の使用と肺がん発生率との関係では、自然閉経でホルモン剤を使用したことのない人と比較して、人工的に閉経しホルモン剤を使用したことのある人では肺がんの発生率が2倍以上高いそうです。
この他の要因として喫煙率に出てこない隠れ喫煙者の存在(女性は自分が喫煙者だと言うことを隠したがる)とヘビースモーカーの配偶者の存在も指摘されています。

胃がんの検査

胃がんの病期を決定するのに不可欠なのが、検査です。
「胃がんの検査で大事なのは、がんの大きさや形よりも、がんの深さです。それに、転移の具合を確かめることです。この2つの要素で病期が決まります」(山口さん)
 胃は、食べ物を一時的に貯蔵するための袋になっています。袋は筋肉で作られ、その一番内側は粘膜という柔らかい組織で内張りされています。がんはこの粘膜にでき、大きくなると、胃の内側に飛び出したり、胃の壁の中に深く食い込んでいきます。そしてこの壁を破ると、近くの大腸や膵臓などの臓器に広がったり、お腹の中に散らばったりします。壁の厚みは5ミリぐらいの薄さですが、この壁のどこまでがんが達しているかががんの深さで、これを深達度といい、T(腫瘍に由来)で表します。
 胃がんは壁の中を進んでいくばかりではありません。胃のリンパ管や血管の中に入り込んで、リンパ液や血液の流れに乗ってリンパ節や遠くの臓器にも飛んでいきます。これが転移です。この深さと転移の2つの要素でがんの病期が決まるのです。
 その深さと転移を調べる検査にはどんなものがあるのでしょうか。
 内視鏡検査、バリウムによるX線検査、CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査等、いろいろあります。
 内視鏡は、患者さんの口から入れて胃の内部を調べる検査です。粘膜の異常な凹凸や色の変わったところを調べるのですが、もう1つ重要なのが、がん組織の一部を採取し、顕微鏡で調べて、がんかどうかを最終的に判定する(確定診断)ことです。
 一方のCTは、X線被曝の難点はありますが、最近の装置は解像度がすばらしく、お腹の中の血管の走行やある程度のリンパ節転移も検出できるそうで、転移を調べるのに有力な武器です。これに対して、超音波内視鏡は、理論的には深さを見るのにいいのですが、潰瘍の痕とがんとの鑑別が難しいなど、精度が落ちるのが難点です。PET(陽電子放出断層撮影)も精度がよくなく、胃がんではその検査の意義もまだわかっていないそうです。

病期(ステージ)別治療

食道がんは非常に早期に発見された場合、治癒の可能性が高いです。しかし食道がんと診断された時に、すでに病気が進行した状態である場合があります。進行した病期では、食道がんに対して治療は行えますが、治癒する可能性は低くなります。
0期(上皮内がん)内視鏡治療
外科療法(手術)
化学放射線療法(放射線療法と抗がん剤の併用療法)
粘膜にとどまるがんでは、食道を温存できる内視鏡治療が可能です。がんの範囲が広いために内視鏡的に切除できない場合には、手術で切除します。
Ⅰ期外科療法(手術)
化学放射線療法(放射線療法と抗がん剤の併用療法)
化学放射線療法により、手術をせずに臓器を温存しつつ手術とほぼ同等の治癒率が得られるという報告もあります。化学放射線療法と外科療法の効果を比較検討する研究も行われておりますが、まだその結果ははっきりとはしておらず、現状での標準治療は手術です。
Ⅱ期・Ⅲ期外科療法(手術)
手術と化学療法または化学放射線療法の合併療法
化学放射線療法(放射線療法と抗がん剤の併用療法)
手術が標準治療です。治療前の検討で、手術によって完全にがん病巣をとり除くことができると判断され、体力(心臓や肺の機能、あるいは重い合併症の有無など)も手術に耐えうると判断された場合には手術が選択されます。再発・転移の防止のために手術前後に化学療法または化学放射線療法を行うこともあります。一方、治療前の検討で体力が手術に耐えられないと判断されたり、手術療法を希望されなかった場合には、化学放射線療法もしくは放射線療法のみが選択されます。
Ⅳ期化学療法
化学放射線療法(放射線療法と抗がん剤の併用療法)
放射線療法
痛みや他の苦痛に対する症状緩和を目的とした治療
通常、Ⅳ期では手術を行うことはなく、化学療法や化学放射線療法が行われます。明らかながんの縮小を認めることもありますが、すべてのがんを消失させることは困難です。高齢者や全身状態が不良な場合には化学療法ができないこともあり、その場合は放射線療法が行われます。
Ⅳ期ではがんによる症状を認めることが多く、痛みや呼吸困難などの症状を緩和するための治療が重要になります。症状緩和の治療技術はかなり進歩してきており、多くの症状を軽減することが可能となっています。

食道がんの治療

治療方針
外科療法(手術)手術は食道がんに対する最も一般的な治療法です。
放射線療法放射線療法は放射線を用いてがん細胞を殺すがん治療のことです。放射線をがんの局所に照射してがん細胞を殺します。放射線療法の方法はがんの種類や大きさ、病期によって異なります。
化学療法(抗がん剤治療)化学療法は薬剤を用いてがん細胞をおさえる治療のことです。口から服用したり、静脈内に注射する化学療法では、薬剤が血液の流れに乗って全身のがん細胞に影響します。薬剤の種類や組み合わせはがんの種類や病期によって異なります。
化学放射線療法文字通り化学療法と放射線療法を組み合わせた治療法です。化学放射線療法の方法はがんの種類や病期によって異なります。
内視鏡治療(EMR:内視鏡的粘膜切除術; ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術)食道壁の粘膜下層までにとどまる「表在型」のがんのうち、粘膜層にとどまりリンパ節転移のない食道がんを早期食道がんと呼びます。内視鏡治療は、この粘膜にとどまったがんを内視鏡(胃カメラ)で見ながら食道の内側から切り取る治療法です。切除したがんを顕微鏡で詳しく調べた結果、もし治療前の診断より深く拡がっていたりした場合、がんが食道の外側のリンパ節などに拡がっている(転移している)可能性があるため、追加の手術や放射線療法、化学放射線療法が必要になります。