腎臓の病気:腎不全

腎不全は、腎臓が機能低下または機能不全を起こす病気です。腎臓の機能は、私たちが考えているよりも非常に重大な役目を持っているので、腎不全を患うと健康への影響は計り知れないほど大きくなるのです。
種類
一般的に腎不全と呼ばれている病気は、二種類に分けられます。一つは数日から数週間という短いスパンで腎機能が急速に低下する「急性腎不全」、もう一つは数ヶ月から数年という長いスパンで腎機能がじわじわ低下していく「慢性腎不全」です。基本的には、後者の慢性腎不全が一般的な腎不全として扱われています。
原因
腎不全の原因にはいくつかあります。腎臓内のろ過機能ユニットであるネフロンに血液を循環させる毛細血管の塊である「糸球体」が何らかの原因で詰まってしまうこと、腎臓から膀胱に尿を送る尿管が結石などで詰まってしまうこと、糖尿病からの合併症など様々な原因によって腎不全は引き起こされるのです。
症状
急性・慢性問わず腎不全では腎機能の低下による弊害が表面化してきます。尿量の増加または減少が現れます。体内の水分のコントロールが出来なくなるので浮腫みが顔などにも表れるようになります。老廃物の排出が出来なくなることで血液の酸性化が起こり、倦怠感や虚脱感が現れ高血圧になってきます。
身体の痺れやかゆみなども出てきます。腎臓の持っていたカルシウム吸収促進機能も低下するので骨が弱くなり骨格にゆがみが出やすくなります。症状が悪化すると脳障害を起こすこともあります。
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肝臓の病気:ウィルソン病

ウィルソン病とは
体内の微量金属である銅が肝細胞などに異常に沈着する代謝疾患です。
13番染色体の遺伝子異常があり、肝細胞で銅はアポセルロプラスミンと結合して、セルロプラスミンとなって胆汁中や血液中に排泄されますが、このたんぱく質との合成障害が原因です。
肝臓以外に、脳、腎臓、角膜などにも沈着して、それぞれの器官に障害があらわれます。
発症はすべての年齢にみられますが、10~20歳と50~60歳にピークがあります。
 ウィルソン病の症状は肝障害、動作や言語の緩慢、構語障害、不随意運動、運動失調、振戦、不安定、無気力、うつ状態、カイゼル・フライシェル角膜輪など多彩ですが、症状には、肝型、神経型、混合型があります。
肝型は肝障害、神経型は中枢神経症状、混合型は肝障害と神経症状があらわれます。
肝型は子供に多くみられ、徐々に進行し、思春期すぎには肝硬変になる場合が多くみられます。
 ウィルソン病の治療にはペニシラミンなどの銅と結合する薬を服用します。
尿中に銅の排泄を促すキレート薬を内服します。
銅の含有量が多いチョコレート、貝類、レバー、海藻類などを摂ることを控えます。
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乳がん最新治療法:センチネルリンパ生検

リンパ節へがん細胞が転移しているかを知るにはリンパ節を切除して調べてみないとわかりません。リンパ節というのは30~50個くらいあり、腋窩リンパ節廓清によりリンパ節を20個ほど切除する方法もありますが、腋窩リンパ節廓清は、むくみなどの後遺症を伴います。
がん細胞がリンパ節へ転移する際に、一番最初にがんが転移するリンパは決まっているとされ、そのリンパ節を調べてがん細胞が転移していなかったら、他のリンパ節へも転移していない可能性が高く、リンパ節郭清を行わなくともよくなるのです。
これを調べる方法が、センチネルリンパ生検法というものです。
センチネルリンパ節とは、がん細胞の侵入を監視しているリンパ節です。がん細胞は一番最初にセンチネルリンパネル節へ転移する可能性がとても高いのです。
検査の方法は、色素とアイソトープをしこりの周辺に注射で注入し、それらがセンチネルリンパ節についたころあいに、脇に少しの切開をしてセンチネルリンパ節を探します。
見つけたセンチネルリンパ節を摘出し、がん細胞の転移がないかを調べます。この検査でセンチネルリンパ節に転移がない場合、腋窩リンパ節廓清をする必要がなくなってきます。
このセンチネルリンパ生検によって半数近くの患者さんがリンパ節郭清による後遺症をもたずにすんでいるそうです。
センチネルリンパ生検法でがん細胞がないからといって、リンパ節への転移の可能性は0%ではないですが、転移していない可能性は非常に高くなります。
わきの下にしこりがなくリンパ節へ転移しているかわからない場合、腋窩リンパ節廓清で20個ほどリンパ節をとるより、後遺症の少ないセンチリンパネル生検法で転移の有無を調べるほうがリンパ節の切除が最小限で済み、体への負担がすくないと言えるでしょう。
しこりが大きかったり、皮膚までがん細胞が出ていたり、脇のリンパが腫れているなど、転移の可能性が初めから高い場合は、リンパ節郭清を行った方がよいでしょう。
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食道がんの抗がん剤治療

抗がん剤とはがんを死滅させる薬で、その投与方法も、飲み薬や点滴、注射などいくつかあります。手術や放射線治療は、体の限られた場所に効く局所療法ですが、抗がん剤治療では、血液にのって全身に流れるので、全身に効果を発揮します。
がんが大きく全身に広がっている場合や、遠くの臓器に転移しているような場合の治療法として用いられています。また、手術後の再発予防や、再発してしまったがんに対しての治療にも使われています。
抗がん剤治療の方法
抗がん剤の点滴を4~5日続ける
   ↓
数週間の休みをおく
   ↓
もう一度点滴を4日~5日続ける
   ↓
効果があればくり返して、なければ抗がん剤を切り替えたり、他の治療法にかえる。
抗がん剤と副作用の問題
抗がん剤は放射線と組み合わせることもでき、より高い治療効果を得ることに成功しています。
抗がん剤の使用で副作用の発生が気にかかります。効果が高い半面、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも多少のダメージを与えてしまいます。
代表的な副作用には、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢などがあります。
他のがん治療の抗がん剤の場合、全身の毛が抜けるという副作用もありますが、食道がんの抗がん剤の場合は、毛髪への影響は少なく、髪の毛がすべて抜け落ちるということはありません。
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すい臓がん 慢性すい炎との識別

すい臓がんは慢性すい炎ととても似た症状があります。
すい臓がんと診断する場合、それが慢性すい炎ではなこと、逆に慢性すい炎と診断する場合、それがすい臓がんではないことを明らかにする必要があります。
慢性すい炎の場合、発病後に禁酒など食生活をしっかり守れば、そう悪くはなりません。
わずか5%ではありますが、慢性すい炎からすい臓がんへと移行する場合があります。
慢性すい炎は初期症状のうちにきちんとした治療を受けることがとても大切です。
急性すい炎は、突然、上腹部のみぞおちあたりに激痛が走ります。
慢性すい炎は、常に症状がある場合と、年に数回程度、急性すい炎のような激痛があり、その後は普通通りに過ごせるという2種類の症状があります。
慢性すい炎の初期と後期とでは、その症状はずいぶんと違います。
初期に起こる主な症状は、急性すい炎と似た腹部の激痛です。
これは病気が進行していくにしたがい、逆に痛みが治まってきます。
その代わり、新たに問題が出てくるのが消化吸収障害や抑うつなどの症状で、体重の減少などが起こります。
これらの症状が、すい臓がんととてもよく似ているため、症状だけでの診断は難しいものです。
確かな診断には、超音波検査、X線CTなどの画像診断が必要になり、その中でも内視鏡的すい管造影法とすい管造影法が特に有効といわれています。
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