卵巣がんの4つの初発症状

卵巣がんは、早期の診断が難しいがんです。
がんがある程度大きくなる、または他の部位に転移するまでには、卵巣がんの症状が現れません。
無症状のうちに進行しますから、卵巣がんはサイレントキラーと呼ばれているわけですね。
2006 年にワシントン大学医学部のグループは、卵巣がんの典型的な4つの症状を研究調査から見出したと報告されています。
4つの症状チェックと腫瘍マーカーの血液検査を組み合わせた検診が、卵巣がんの発見率を向上させることができたというわけです。
卵巣がんに見られる典型的な4つの症状とは、以下の通りです。
1.腹部の膨満感がある、もしくは腹部の周囲サイズが大きくなった。
2.骨盤、または腹部の痛みがある。
3.食事が進まない、またはすぐに満腹感を覚える。
4.トイレが近い。もしくは排尿困難。

上記のどれか1つの症状でも、月に12回以上続く場合は、卵巣がんのリスクが高いとされています。
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卵巣がんの検査

卵巣がんの症状の特徴である下腹部の圧迫感やしこりがあるような違和感があるときは、直ぐに婦人科へ行き診察を受けます。
婦人科ではこのしこりが何のしこりなのかを調べます。婦人科の医師には子宮の腫瘍か卵巣の腫瘍かは、ある程度判断できます。
しこりが何のしこりかより明確にするために、超音波、CT、MRIなどの検査を行います。検査ではしこりが良性か悪性であるか調べ、しこりががんであった場合他への転移がないか調べます。
腫瘍が良性であるか悪性であるかを診断する検査は、CA125という腫瘍マーカーが使われて行われます。このCA125という腫瘍マーカーは、卵巣がんの中に漿液性腺がんというがんがあり、この漿液性腺がんはCA125を生産するようになり、これが血液中に増えるようになります。
CA125の腫瘍マーカーを使用して血液を調べると、CA125が生産されている場合かなり高い数値で上昇しますので、卵巣がんであることが診断できます。
CA125の数値が上昇するケースは、若い女性には異常がなくても上昇することがあり、正確に診断することはできません。卵巣がんは初期症状がほとんどありませんので発見が遅れ、がんが転移していることもあります。
卵巣がんを早期に発見するために、検診を行うように取り組みが行われていますが、検診の有効性が明確に証明されていませんので、今後の研究に期待されます。
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子宮内膜症の下腹部痛

子宮内膜症で、辛いのが下腹部痛といわれるもので、生理痛の重い人は、大なり小なり下腹部痛に悩まされています。
子宮内膜症が子宮から排出される際には、痛みが有るのが正常ですから、その原因が子宮内膜からきていると判断する事は、症状だけでは出来ません。
ただし性行為を行なっている最中に下腹部痛が起きる場合や、生理でもないのに下腹部痛が起こる場合は、子宮内膜症の疑いが十分考えられます。
下腹部痛が肛門まで広がるようであれば、子宮内膜症への疑いは更に強まりますが、子宮内膜症による下腹部痛の原因は、本来排出されるべき子宮内膜が体内に残って、体の組織を圧迫するためで、時間の経過によって不用な子宮内膜の量が増えていきますから、圧迫痛のような下腹部痛の症状は、悪化していきます。
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大腸がんと似た症状:虚血性大腸炎

虚血性大腸炎とは腸の血流が低下して十分に栄養が届かなってしまい大腸の粘膜にむくみやただれ、潰瘍などができる病気です。このため突然の激しい腹痛や下痢、血便などが起こります。
虚血性大腸炎になると心臓に栄養を送る血管が細くなり血流が悪くなってしまう狭心症が起こります。
虚血性大腸炎はそのしくみと似てるため腸の狭心症と呼ばれることもあります。この病気のもっとも大きな原因は動脈硬化です。
大腸の周辺には大腸に栄養や酸素を運ぶ血管が張り巡らされています。この血管に動脈硬化が起きると血管が狭くなったり詰まったりして腸に十分な血液が送られなくなります。
すると腸の組織は酸素欠乏に陥り一部が壊死してびらんや潰瘍ができます。虚血性大腸炎は高齢者に多く見られますが、これは加齢とともに動脈硬化が進んでいるからです。
高血圧、糖尿病、高脂血症など動脈硬化の危険因子を抱かえている人はリスクが大きいです。また便秘も虚血性大腸炎の原因もひとつです。
便秘になると腸官は激しく運動して硬い便を押し出そうとします。大腸内の圧力が高まると腸官内の血管が伸びて細くなり血流が減少します。
その結果、腸官組織が酸素不足となり壊死することがあります。このため虚血性大腸炎は高齢者以外にも便秘しやすい若い女性などにもみられます。
虚血性大腸炎の症状
①数日で症状がおさまり3週間以内にもとの正常な大腸に回復する一過性型と症状が長引き治癒するまでに2~3ヶ月かかり、血流低下を起こした部分は狭くなったままで治癒する狭窄型。
②腸管に栄養を送る血管が完全に詰まりほとんど血液が流れないため腸管が壊死する壊死型がある。
③虚血性大腸炎の特徴はどのタイプでも突然の強い腹痛が特徴で下血や血便もみられます。時に吐き気やおう吐、発熱をともないます。一過性型のこういった症状は軽くたいていは数日で治ります。
これが1週間以上続く場合は狭窄型になってしまったと考えられます。
血管が完全に詰まる壊死型は一過性型、狭窄型とは症状があきらかに違います。
腹痛が激しく下血、血便、吐き気、嘔吐、発熱などの症状が一度に現れます。このため腸に穴があき膿が腸全体に広がり腹膜炎を起こしたりさらに菌が全身に感染し敗血症を招くこともあります。
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前立腺肥大症の手術:開腹手術

前立腺肥大症の開腹手術は、前立腺の内腺の部分を切除し、摘出する手術です。
前立腺を摘出する手術は、3つの方式があります。
恥骨上式前立腺摘出術
下腹部を切開して膀胱(ぼうこう)を開いて、そこから前立腺の肥大した部分を摘出する手術です。
この手術は、手術の後に強い尿意が続いたり、長い間カテーテルを入れておかなければならないなどのデメリットがあるので、今ではあまり行われていない術式です。
恥骨後式前立腺摘出術
恥骨のすぐ上から恥骨の裏側にそって切り開き、前立腺皮膜を露出させます。この状態で前立腺の摘除を行なうので、上で解説した恥骨上式とは違い、肥大している部分を目で把握(はあく)しやすい状態で手術を行なうことができます。
 恥骨上式に比べて出血量が少なく、膀胱を開かなくていいというメリットがあり、もっとも多く実施されている術式です。
会陰式前立腺摘出術
陰嚢と肛門の間を切開して前立腺を摘出します。
この術式は、メスを入れる部分が目立たないところなので、傷跡が人目に触れず、さらにメスで開く部分が小さいなどのメリットがあります。
この術式は技術的に難しいので、あまり行われません。
開腹手術のメリットは、成功率が高いことです。
開腹手術のデメリットは、低侵襲手術にくらべると大きく身体に傷をつけますから、術後の入院期間が長くなります。そして、傷が治るまで痛みも大きいです。
以前は、前立腺肥大症の手術は全て開腹手術を行うのが普通でした。しかし今では開腹手術は、前立腺の肥大がかなり進行して大きくなっている場合に行うかどうかが検討されます。
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人工透析の方法:腹膜透析

腹膜透析とは、患者自身のおなかの腹膜を透析膜として使う方法です。腹膜は胃や腸などの臓器を覆っている薄い膜で、表面は無数の毛細血管が分布しています。
腹膜透析では、持続携帯式腹膜透析という方法が一般的です。持続携帯式腹膜透析を行うには、まず手術でおなかに穴をあけて直径5mmほどのカテーテルを設置します。そして、腹部に入れたカテーテルから透析液を注入して、一定時間後に腹膜で濾過された老廃物などが透析液に排出されます。
透析液を入れたバッグには、1回に必要な分量である約2リットルが注入されます。透析液の交換は、6~8時間ごと、1日4回程度必要です。感染症を予防するために、清潔には注意しなければなりません。
なお、腹膜透析は、以前に外科手術を受けたことのある人で、腹膜が癒着していたり、線維化している人には行うことができません。
腹膜透析の長所(血液透析との比較)
血管や心臓に与える影響が少ない
透析施設にひんぱんに通わなくてもよい
食事制限がゆるい
腹膜透析の短所(血液透析との比較)
手術してカテーテルを体内に入れておかなければならない
透析液の交換に手間がかかる(6時間毎に1日4回)
管理が悪いと腹膜炎を発症することがある
長期間継続していると、腹膜肥厚、被嚢性腹膜硬化症になるおそれがある
腹膜が癒着している人、線維化している人には適応不可
血液透析に比べて普及度が低い
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肝臓がん死亡率は東日本と西日本で違う

長期にわたる大量の飲酒は、アルコール性肝硬変を介して肝がんを引き起こすのではないかとされてきました。
ドイツのレールバッハ博士(1967)が「飲酒量とアルコール性肝障害は密接に関連しており、1日平均180g(日本酒で約7.5合)以上のアルコールを15年以上摂取すると、アルコール性肝炎や肝硬変の発生頻度が非常に高くなる」と報告した。
日本酒換算で1日平均7合以上飲むとアルコール性肝障害を引き起こす、と短絡的に結びつけられました。
しかし日本における肝がんの死亡率には大きな地域差があります。
日本酒など醸造酒を多く飲む東日本と比べて、蒸留酒(焼酎・ウイスキー他)の消費が多いとされる西日本の方が肝がんでの死亡率が高く、これは戦後ほぼ一貫した地域特性となっています。
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食道がんの外科手術:治療法の選択

食道がんの治療には、がんの根治を目的にした治療法と、生活の質を高めるための緩和を目的にした治療法があります。
【根治的治療法】
外科手術
内視鏡的切除
化学療法(抗がん剤)
放射線療法
【生活の質を高める治療法】ステント治療
レーザー治療
バイパス手術
食道がんの治療法の特徴として、抗がん剤がよく効くこと、いくつかの治療法を組み合わせること、外科手術が一般的な方法 などがあります。
外科手術は、取り除く範囲が広いので、患者さんの負担も大きくなりますので、本人の体力や希望を考慮して、納得できるようにしたうえで決定されます。
 病期を目安にした治療法の選択
治療法を決定する際の目安として、食道がんの病期を参考にします。がんの進行度を示す病期ごとに、ある程度の治療法は決められています。
■0期・・・内視鏡的粘膜切除術。がんが粘膜内にとどまっており、転移がない状態なので、内視鏡的切除でがんを取り除くことができます。負担も少なく、食道もすべて残すことができます。
■Ⅰ期・・・外科手術、放射線化学療法。がんが粘膜下層にとどまっているか、転移している場合でも、近くのリンパ節だけとなっているようなときは手術でがんを除去します。放射線化学療法で小さながんを治療することもあります。
■Ⅱ期・・・外科手術、放射線化学療法。Ⅰ期とほぼ同じような状態ですが、ややがんが進行しています。手術や放射線化学療法などで治療します。
■Ⅲ期・・・外科手術、放射線化学療法。がんが食道の外に出ていたり、遠くのリンパ節に転移している状態ですが、周辺臓器には転移がありません。手術でがんを取り除き、放射線化学療法や、化学療法などを組み合わせる場合があります。
■Ⅳ期・・・放射線化学療法、放射線療法、化学療法。がんが周辺の臓器まで転移している状態であり、手術ではがんを取り除くことができません。放射線や化学療法などで、がんを縮小させることが目的になります。
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ピロリ菌の除菌治療での健康保険の適用

ピロリ菌の除菌治療で健康保険が適用されるのは、 2010年8月20日現在は以下の5つの場合です。
胃潰瘍
十二指腸潰瘍
胃MALTリンパ腫
特発性血小板減少性紫斑病
早期胃がん(内視鏡治療後)

どの治療方法に保険が適用されるか1次除菌及び2次除菌に対して保険が適用されます。
3次除菌や上記病気にかかっていない方には、 今現在保険が適用されません。
日本ヘリコバクター学会が「ピロリ菌感染者はすべて除菌すべき」と提唱しているので、 今後保険適用範囲も広がるとみられます。
胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、内視鏡治療後の早期胃がんのピロリ菌除菌保険適用は 最近適用されたものです。
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慢性すい炎との識別

すい臓がんには特有の症状がないといわれる一方で、慢性すい炎の症状との類似性が指摘されています。
すい臓がんの診断を下すには、それが慢性すい炎でないことを明らかにすることが必須条件となります。
慢性すい炎の場合、発病後から禁酒を中心とする食生活をしっかりと自己管理できれば、予後はさほど悪くないといわれます。
しかし、0~5パーセントと、わずかであるとはいえ、慢性すい炎からすい臓がんへと移行することもありますので、慢性すい炎の発症初期に適切な治療を受けることが重要です。
突然、上腹部、特にみぞおちに激痛が走る、急性すい炎と異なり、慢性すい炎の場合は、常に症状のあるものと、年に数回という頻度で急性すい炎のような発作を起こすものの、その間はこれといった症状はない、という二つのタイプがあります。
慢性すい炎の症状は、病気の初期と、病気がかなり進行してしまった時期ではかなり異なります。
病気の初期には、上腹部の激痛があるのがふつうで、急性すい炎に似ています。
しかし病気の進行とともに痛みはかえって緩和します。
代わって問題となるのは、消化吸収障害や抑うつ症状です。
消化吸収障害は体重の減少をもたらします。
症状自体は、すい臓がんと非常によく似ていることから、症状だけではいずれとも識別できません。
診断には超音波検査、Ⅹ線CTなどの画像診断法が必要となります。
特に、内視鏡的水管造影法とすい管造影法が有効とされます。
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癌予防効果のあると言われる食品

· きのこ類・・・・・・・キノコに含まれる「多糖類」には 免疫力を高め 癌予防の効果があると言われています。
· 玉葱・にんにく・・・・「イオウ化合物」が皮膚癌・大腸癌・肝臓癌・肺癌などの予防に役立つと言われています。
· しょうが・・・・・・・健胃や解熱作用で知られますが 最近は癌の予防にも効果があると解ってきました。
· ターメリック・・・・・カレー粉の材料として使われます。黄色の「クルクミン」が皮膚癌・胃癌・大腸癌を予防。
· シソ科のスパイス・・・ローズマリー・セージ・バジルなどに含まれる「テルペン」は皮膚癌・肺癌・大腸癌の予防に効果。
· 緑茶・抹茶・・・・・・渋味成分「カテキン(タンニン)」の主成分「Egcg」に胃や十二指腸・食道癌予防効果。
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卵巣がんの原因

卵巣がんの発生数は年々増加していますが、卵巣がんは特に都心で生活する女性に多くみられる事から、ライフスタイルや食生活の欧米化が卵巣がんの原因の一つになっているのではないかと言われています。
ライフスタイルや食生活の欧米化により女性の初潮は早くなり、逆に閉経は遅くなっています。
一生のうちの排卵の回数が増えて卵巣が疲労する事が、卵巣がんになる原因の一つと考えられています。
卵巣がんになりやすい因子としては、下記のような原因が挙げられます。
1、家族に乳がん、卵巣がん、結腸がんになった人がいると、本人にも卵巣がんが発生する割合が高くなると言われており、特に2親等内に卵巣がんになった人がいると危険性は高くなると言われています。
2、妊娠した経験がない、もしくは妊娠した経験が少ない女性は、妊娠を経験した人よりも卵巣がんになりやすいといわれています。
3、妊娠中と似たホルモンの状態になる経口避妊薬(ピル)を服用している人は、経口避妊薬(ピル)を服用していない人よりも卵巣がんになりにくいと言われています。
4、加齢による高齢化も卵巣がんの発生に関与しているとされ、更年期とも重なる50代以降になると卵巣がんが発生する割合が高くなってきます。
乳がんや子宮内膜がんになった事がある人は、そうでない人よりも卵巣がんになりやすいとされています。
肥満、糖尿病、高血圧症、喫煙の習慣がある、動物性の食品をよく食べるなど、生活習慣の問題も卵巣がんの発生に関与していると言われています。
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子宮内膜症の不正出血

子宮内膜症になると、不正出血が起きるケースが多くなります。
所謂過多月経なども、月経以外で起こる場合は不正出血の可能性が有ります。
不正出血は子宮内膜が消化器系の部位にできるとなり、、子宮に出来る場合とホルモンの影響が起きにくいために、生理とは関係なく不正出血として下血などを生じさせます。
卵道付近に出来た場合も同様で、不正出血もさることながら、不妊の傾向を帯びてきて、深刻な事態になります。子宮内膜の自覚症状は、ある程度症状が進行しないとでないものですが、不正出血の症状があった場合は、医療機関で診察を受けるようにして下さい。
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大腸がんと痔の違い

痔の出血
 じわじわと出血したり、便のまわりに血がつくことはありません。いぼ痔の場合は、排便時の便の通過によって排便直前に真っ赤な鮮血がパーッと出血するため、便器にポタポタと垂れたり、トイレットペーパーに血がついたりします。
 大腸がんの出血
早期の大腸がんでは出血が少量であるため気付きにくいのですが、少しずつじわじわと出血し続けます。出血量が増えると便のまわりに血がつくようになります。
出血の状態はガンの発生場所によって異なり、直腸がんの場合は肛門に近いために血便が多くなるほか、ケチャップのような粘血便になることもあります。
結腸がんでは出血してから排便までに時間が経つので、便の色が黒っぽくなります。
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前立腺肥大症の手術: 経尿道的前立腺手術

経尿道的前立腺手術は、尿道から内視鏡を挿入して、先端についているループ状の電気メスで前立腺の内側を少しずつ切除する手術です。
腹部を切開しないので、負担が少なく、前立腺肥大症の手術はこの方法が多いです。
前立腺を削ると同時に焼き固めるので、出血も少なめです。
削り取った組織は、いったん膀胱内に流し込み、切除終了後に尿道から取り出し、がんが無いかどうか組織検査を行います。
手術は腰椎麻酔で行い、1時間~2時間程度で終了します。
術後は、削り取られた尿道粘膜の保護と切除部の止血などのために、2日~7日間、尿道に先端で風船がふくらむようにした細い管を残しておきます。
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人工透析の方法:血液透析

血液透析は、体内にたまった老廃物を、1回に4~5時間かけて人工腎臓で除去し、血液をきれいにする方法です。
腕の動脈側と静脈側に針を刺し、チューブを通して血液を体外に取り出して、ダイアライザーと呼ばれる透析器に送って血液を浄化します。そして、きれいになった血液を静脈に戻します。
ダイアライザーは、直径0.2ミリほどの半透膜でできた中空糸を約1万本束ねたもので、周囲には透析液が流れています。血液が中空糸を通り抜けるとき、血液中の老廃物や水分、塩分、電解質などは透析液に移動して不要なものは取り除かれます。
血液透析のブラッドアクセスについて
血液透析を効果的に行うには、毎分約200ミリリットルの血液をダイアライザーに循環させる必要があります。これだけの血流量を確保するためには、血液の取り出し口をつくらなければなりません。
これを「ブラッドアクセス」といいます。
ブラッドアクセスは患者の命の綱であるため、これを良好な状態で維持することはきわめて重要となります。
シャントを長持ちさせるための条件
低血圧に注意する
穿刺の失敗をしない
感染症対策を怠らない
血流の保持に注意する  
内シャント
長期間の透析治療が必要になるとき、手首近くの動脈と静脈を手術でつないで血管を太くします。これを「内シャント」といいます。”シャント”とは短絡という意味です。
患者によっては静脈の血管が細い場合がありますが、そのときは人工血管を使います。
内シャントを長期間使用していると、血管が詰まって血液が流れなくなる異常が出てくるため、耳をあてて血液が流れているかを音で確認する必要があります。
なお、動脈と静脈をチューブでつないで皮膚の外に設置する「外シャフト」という方法もありますが、感染症を引き起こすことが多いので、現在ではほとんど用いられていません。
ダブルルーメンカテーテル
患者の血管の状態によっては、足の付け根の大腿動脈にカテーテルを刺してブラッドアクセスにする方法があります。
首に近い内頸静脈、鎖骨下静脈にカテーテルを刺すこともあります。
動脈直接穿刺
内シャントが詰まった患者には、前腕の動脈に針を刺してブラッドアクセスにすることもあります。他に心疾患を合併している場合に検討されます。
血液透析のデメリット(問題点)
透析治療のほとんどを占めている血液透析ですが、いくつかの問題点も存在します。血液透析を受ける人は前もって把握しておくとよいかもしれません。
毎回3~5時間の透析をする必要がある
針を刺すときに痛みがあり、跡もできやすい
透析中に頭痛、吐き気、筋肉のけいれんなどが起こる場合がある
食事制限・水分制限が厳しくなる
長期の透析は合併症を引き起こすおそれがある

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肝臓がんの診断方法

肝臓がんの診断には血液検査と画像診断法が行われます。どちらか一方だけでは不十分です。 また、血液検査や画像診断法を駆使しても「肝臓がん」と診断がつけられないこともあり、 その場合は針生検といって、肝臓の腫瘍部分に針を刺して少量の組織片をとり、顕微鏡で調べることも行われます。
<血液検査>(肝臓癌の検査)
肝臓がんの検査に使用される血液検査と基準値を示します。基準値は施設によって基準値が異なりますので詳しくは検査機関にお問合せ下さい。
◆GOT、GPT 基準値 GOT(AST) 13-35U/l,GPT(ALT) 8-48U/l
肝機能に異常がないかを調べるために血液中の「GOT(AST)」と「GPT(ALT)」の値を調べます。 こららは肝細胞に含まれている酵素で、肝細胞が壊されると血液中に大量に流れでてくるため数値が上昇します。 肝細胞がどの程度障害を受けているのかの指標になります。
◆血小板(Plt) 基準値 12-40万/ul
血小板は血液を固めるために必要な血球成分です。肝硬変になると血液の中の血小板が減ってきてしまいます。 肝硬変の進行具合の指標になり10万/ul以下に低下すると肝臓がんの発症率が高くなります。
◆アルブミン(Alb) 基準値 4.1-5.1 g/dl
アルブミンは血液蛋白の一部で肝臓でしか作られないため肝機能が低下してくるとアルブミンの数値も低下してきます。 著しく低下してくると腹水や浮腫みがでます。
◆総ビリルビン(T-Bil) 基準値 0.3-1.2 mg/dl
肝細胞に障害があるときにあがってくる数値で、血液中の総ビリルビンが増えると黄疸であるといわれます。
◆α-フェトプロテイン(AFP) 基準値 20 ng/ml以下
肝細胞がんのおよそ90%で陽性になる腫瘍マーカーです。元来は胎児の肝臓と卵黄嚢で 産生される糖タンパクで出生後には急速に低下しますが、肝癌になるとこのタンパク質の合成が活発になるため陽性になります。
◆PIVKA-II 基準値 0.1 AU/ml以下(肝臓がんの腫瘍マーカー)
肝細胞がんに特有の腫瘍マーカーで他の疾患では上昇することは少ないのですが、 ビタミンK欠乏の時にも上昇するのでワーファリンなどの薬を服用しているときにも上昇することがあります。
<画像検査>
◆超音波検査(肝臓癌の検査)
肝臓がんを早期に発見するうえで有効な検査になります。超音波診断装置を使用する検査で、 直径が1~2cm程度の小さな肝がんでも見つける事ができる確率が高く一般にも普及している検査です。
◆CT検査(肝臓癌の検査)
CT検査(CTスキャン)はいろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影しコンピュータを使って 非常に鮮明な画像を得ることができます。超音波検査で調べきれなかった場合でもがんを見つけることができます。
◆MRI検査(肝臓癌の検査)
MRI検査は磁場を使っていろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影する検査です。 放射線の被曝がなく超音波検査では見分けの付きにくいがんもMRI検査で診断できる場合があります。
◆肝血管造影検査(肝臓癌の検査)
足の付け根かの動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を肝臓まで挿入し、造影剤を注入してエックス線撮影を行う検査です。
<肝生検>
超音波検査の画像で肝臓がんの位置を確認しながら、体表から細い針をさして癌の組織の一部を採取し顕微鏡で詳しく検査する方法です。
ただし、針を刺すとがんが回りに散ってしまう危険性があるため血液検査や画像検査で診断が付かなかった場合のみ行われる検査になります。
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乳がんと間違えやすい症状:葉状腫瘍

20~30代の人に比較的多く見られるころころとしたしこりです。
最初は線維腺腫に似ていますが、2~3ヶ月で急に大きくなります。葉状腫瘍には良性と悪性、どちらともいえないボーダーライン上のものがありますが、ほとんどは良性です。
悪性と診断されると乳房切除が必要です。葉状腫瘍の95%が治癒しますが、少数ながら遠隔転移することもあります。また、良性でも再発を繰り返すうちに悪性になることもあるので、葉状腫瘍は注意深く経過を見ることが必要です。
 
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食道がんの進行度

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ピロリ菌除菌後の生活上の注意

ピロリ菌と胃ガンの関係に注目が集まっていて、ピロリ菌さえ除菌すれば胃ガンのリスクから完全に解放されたように勘違いする人がいますが、決してそうとは言えません。
ピロリ菌の除菌によって、胃ガンのリスクは3分の1程度に下がることが分かっていますが、しかし、そもそもピロリ菌に感染している人すべてが胃ガンになるわけではありません。
ピロリ菌に感染している人1,000人のうち2~3人です。
 胃ガンの発症リスクは、ピロリ菌のほかに遺伝的な要因や食生活によっても影響を受けるのです。古くから日本人に胃ガンが多いのは、塩分の多い食事のせいだと言われてきました。
塩辛いものを食べると水分が欲しくなって、たくさんの水を飲むようになります。この状態は、浸透圧が高まっているのですが、これが胃の粘膜障害を起こし、胃ガンのリスクが高まるのではないかと考えられています。
 生活習慣と病気の関係について検証するときに、よく移民についての調査が行われます。ハワイに移住した日系2世では、胃ガンの発生率は現地人と同じでした。ピロリ菌に感染していても、冷蔵庫が発達していて塩で貯蔵する必要が無く、また新鮮な野菜や果物を食べることができたためではないかと思われます。
 
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膵臓癌の検査:腹部超音波検査

腹部にゼリーを塗って体表から生体内に超音波パルスを入射し、体内の組織から反射してくる超音波を感知し、その強弱差を画像にする検査方法です。
肝臓、膵臓をはじめとする腹部の検査に欠かせない検査です。
患者さんの身体に負担が少ないというメリットがあります。
超音波検査では、手術前、手術後(再発)、がんの壁外への進展や肝臓への転移などのチェックをするのに役立つ検査法です。
膵頭(すいとう)部がんでは腫瘍部分が黒くなり、膵体(すいたい)部、膵尾(すいび)部の主膵管の拡張がみられます。
デメリットとして、技術の差により映し出される像に差が出やすいことや、身体の構造上、腸管ガスが重なり合いやすく、膵臓全体を見ることができないことがあります。
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肺がんの転移の見つけ方と治療

転移先の部位によって異なります。
脳への転移を見るには造影CTあるいは造影MTを使います。
骨転移は、骨シンチグラフィで調べます。
肝臓や副腎への転移は、CTまたは超音波で調べます。
骨シンチグラフィは、全身の骨を一度に簡単に検査することができます。骨に取り込まれやすい放射性医薬品を使って行います。
シンチグラフィが、骨転移がある部分に多く取り込まれ、黒く映ります。
検査の流れとしては、まず事前に放射性の医薬品を静脈注射し、3時間ほど経つと、薬が骨に取り込まれますから、シンチグラフィの機械にかかります。ベッドに寝ると、シンチカメラがゆっくりと動いて全身を撮影します。
そして、転移先が脳の場合ですが、抗がん剤が効きにくいので、放射線で治します。なぜ、抗がん剤が効きにくいかというと、血液脳関門というものがあって、化学物質である抗がん剤が脳の中にはいっていかないのです。これはもともと、有害な物質が脳に入らないようにするための自然の砦なのです。
脳転移が1個で小さいものなら、手術で取ることもありますが、複数個ある場合は、定位照射ということを行います。あらかじめMRIなどで病巣の位置を確かめておき放射線を照射します。
これとは別に脳転移の症状を緩和するためにステロイドなどを使う場合があります。骨転移の治療は痛みのコントロールと骨折の予防です。
初回治療であれば化学療法で痛みもコントロールできる場合もありますが、痛みがひどい場合は放射線照射を行う場合もあります。
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乳がんと間違えやすい症状:乳腺葉状腫瘍

症状は楕円形のやわらかいころころとしたしこりで、30代から50代によくみられる症状です。
特徴は2~3か月で大きくなり、ほとんどの場合は良性ですが、まれに悪性のものもあり、切除が必要になります。
完治する割合は非常に高いですが、遠隔転移したり、良性でも再発し、悪性になるケースもあるので注意して治療しなければいけません。
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乳がんと間違えやすい症状:乳腺症

エストロゲンとプロゲステロンの分泌のアンバランスにより、乳腺の細胞にいろいろな変化が起こる症状です。
30~40代に多く見られ、乳房内にしこりができたり、乳腺の一部がむくんだり、水がたまったり、痛みや張りを感じたりします。乳頭から分泌物が出ることもあります。
痛みの強いときだけ治療の対象となります。 乳腺症ががん化することはありませんが、乳腺症の下に乳がんが隠れていることもあるので、マンモグラフィーや超音波検査などを定期的に受けることが必要です。
細菌感染によって起こる乳房の病気で、赤く腫れたり、痛み、膿み、しこりなどが見られます。特に、授乳期に、母乳が乳房内にうっ滞して炎症を起こすうっ滞性乳腺炎が多く、ここに乳頭から細菌が進入すると化膿性乳腺炎となって膿みが出るようになります。
乳頭にできた傷から細菌感染が起こることもあります。膿みのあるときは注射器で膿みを吸い出したり切開する他、抗生物質を使います。 
授乳期以外に、乳房の広い範囲に乳腺炎が起こることもあります。原因はよくわかっていませんが、乳頭からわずかに出ている乳汁に、リンパ球などが反応してできるのではないかと考えられています。乳房に膿みがたまり、治療しても繰り返し炎症が起こることもあります。 
また、乳輪の下に乳管膨大部と呼ばれる乳管のふくらんでいるところがありますが、乳輪下膿瘍といって、ここに膿みがたまることがあります。これは、陥没乳頭の人に起こりやすく、直りにくい乳腺炎です。陥没乳頭では、皮膚の表面の角質が乳頭の中まで入り込んでいるために分泌物がたまりやすいのです。
乳頭に穴を開けて、その部分を取り除くと乳腺炎を起こさなくなります。穴は、縫合しないで開いたままにしておくと、自然に閉じてきます。
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肝臓の数値が高い原因

肝臓の数値であるγ-gtpやGOTなどが上がる理由
肝臓は、多くの働きを持っており、様々な理由で肝臓の数値が上がってしまいます。特に、お酒はγの値を上げてしまうのでそれも原因の一つなのですが、コレ以外にも肝臓の働きである解毒や分解などの働きをさせすぎることによって上がってしまうのです。
これらの数値は肝臓以外の内蔵が悪い際にも上がってしまうので、必ずしもというわけではないのですが、肝臓を働かせ過ぎ無いようにすることは健康を維持していく中で非常に大切です。
γ-gtpやGOTが極端に高い原因肝機能の数値が以上に高ければ、まずはウイルス性の肝炎かどうか調べてみるのが良いでしょう。ウイルス性の他にも自己免疫性や薬物性の肝障害もあるのですが、これらはこの数値だけではなんとも言いがたいのでわかりません。
これらではなかった場合は脂肪肝の可能性があります。そういった場合に肝臓の数値が上がる原因となっていますので、しっかりと検診は行ないましょう。
      
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人工透析の方法

透析治療の現状
人工透析(じんこうとうせき)とは、腎臓の機能を人工的に代替する医療行為です。
以前は腎不全に陥った患者は、命を落とす危険のある尿毒症にかかっていましたが、人工透析を受ければ生活を送れるようになりました。
腎不全のために透析治療を受けている患者数は、全国に28万人以上いるといわれています。さらに、毎年1万人前後の人が新たに人工透析を受けているという状況です。
10年以上透析治療を続けている人は、全透析患者の25%にも達しています。
人工透析のはたらきと2つの方法
急性・慢性腎不全、糖尿病腎症などが進行して、腎臓の働きが正常なときの10%以下になってしまうと、血液中に老廃物や毒素がたまるようになります。
尿毒症という病気になり、放置しておくと命の危険にかかわってきます。
このような場合には、人工透析を行って血液中の老廃物や毒素を取り除いていかなければなりません。
人工透析には次のような役割があります。
腎臓の機能低下による血液中の老廃物の除去
尿が出ないことによる体内の水分。塩分の除去
電解質・血液のpH(ペーハー)の異常を治す
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前立腺肥大症の治療:尿道ステント

前立腺部の尿道に2-6cmの短い管を挿入し、狭くなった尿道を広げて排尿を改善するものです。
数種類のステントがあります。
尿道カテーテルのように体の外に出ていません。また交換の必要もありません。
ステントの挿入には技術的には困難は少ないのですが、その後微妙に移動することが多いので、適切な位 置に挿入することが難しい場合もあります。
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大腸がんの治療費用

大腸がんの治療費用は手術や放射線療法、抗がん剤といったものや期間、部位によって異なります。
20日の入院を伴う結腸がん手術でおよそ100万円、直腸がんでは170万円ほどという例があります。
がん全体の平均的な治療費用はおよそ150万円とされていますので、大腸癌の場合にも1つの参考にはなるでしょう。
短期間で完治する早期の場合もあれば、症状が進行していて再発することもあります。個人差が大きいです。
主治医に大腸癌の治療費用を聞いておけば確かな情報が得られますので、早めに確認しておくとよいでしょう。
治療費用とがん保険
がん保険や生命保険に加入している場合には、料金のすべてを自己負担しなくても、保険金が支払われることで経済的な負担を軽減することができます。
保険の契約は複雑です。大腸癌の治療費用のうち、いくら程度の給付を受けることができるのか、そして支払いの時期はいつになるのかを確認しておく必要があります。こうした確認は、家族にしてもらってもよいでしょう。
高額療養費制度
治療費が高額になった場合には、高額療養費制度の活用を検討してください。所得や年齢によって定められた一定額を越えた場合に適用される制度ですので、高額といっても金額は患者さんによって異なります。
70歳未満の方で低所得者や上位所得者ではない一般に分類される場合には、1ヶ月あたりの自己負担限度額が80,100円に総医療費から26,700円を引いた金額の1%を加えたものになります。それ以上の金額については、払い戻しを受けることができます。
大腸がんになると治療費用の問題についても考えなくてはならなくなります。保険や高額療養費の制度を活用することで負担を軽くしてください。
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子宮の病気:子宮内膜症

子宮内膜症という病気が増えています。
原因ははっきりとしてはいませんが、何らかの形で女性ホルモン、環境ホルモン、ライフスタイル、多忙な仕事など、子宮内膜症に影響を与えている要素があると考えられています。
子宮内膜症は良性の病気ですが、生理が続く限りは少しずつ進行する病気で、完治はしないといわれています。
症状の進行する程度によって自分で感じる症状が重く感じてきたり、治療法が変わってきたりしますが、ほっておくと不妊症の原因になることがあります。
子宮内膜症がひどくなるとがん化することが分かってきています。早い段階で薬などを服用して症状が進行しないように治療が大切になります。
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