大腸ポリープとは

大腸ポリープとは、大腸の粘膜から大腸の内側の内腔に向かって突き出したイボのようなもののことです。
大腸ポリープは、腫瘍性のものと非腫瘍性のものに大きく分類することが出来ます。
大腸ポリープの約8割は腫瘍性ポリープです。
腫瘍性ポリープ自体は良性なのですが、将来的にがんになってしまう可能性もありますので注意が必要です。
非腫瘍性ポリープの場合は、がんになる恐れはありません。腫瘍性ポリープは、4つのタイプに分類することができ、がんになる可能性もそれぞれ違ってきます。
表面隆起型は、大腸の粘膜から少し盛り上がっているような形をしています。
表面陥凹型は、表面隆起型とは逆に、大腸の粘膜から少しへこんでいます。
表面型のポリープは、がんになる可能性が高く、早期の治療が必要です。
真ん中がへこんでいる表面陥凹型の場合は、他臓器に転移しやすいので注意が必要です。
表面隆凹型のポリープの場合は、たとえ小さなものでも発見次第、すぐに治療することが大切です。
有茎型ノタイプは、きのこのような形状で、大腸の粘膜から盛り上がっているものです。
この有茎型の大腸ポリープは、直径1センチ以上のものは大腸がんになりやすいと言われていて、すぐに治療が必要です。5ミリ未満の大きさでは、がん化しているということはほとんどありませんので、様子をみることもあります。
無茎型のタイプは、大腸の粘膜からドーム状に盛り上がっています。この無茎型のポリープは、有茎型と比較するとがんになる可能性が高くなります。
無茎型の場合は、大きさは特に関係ありませんので、発見したらすぐに治療する必要があります。
一方、非腫瘍性のポリープは3タイプに分類することが出来ます。
一つ目は若年性ポリープで、幼児、小児の直腸に出来やすく、出血しやすいという特徴があります。
二つ目は、炎症性ポリープと言い、一般的に大腸炎が治る過程で出来るポリープです。
三つ目は、過形成性ポリープといい、加齢が原因で出来るポリープです。なので、高齢者に多くみられます。
   42-1.jpg

大腸内視鏡検査について

大腸がんの検査では、まず、便潜血反応検査などでその可能性を検査します。
陽性の結果が出た場合、また、大腸がんや大腸ポリープの疑いが強い症状がある場合など、大腸がんや大腸ポリープである可能性が高いと疑われる場合には、大腸内視鏡検査を受ける必要があります。
大腸内視鏡検査は、肛門から大腸内に内視鏡を入れ、大腸の中の様子を観察するというものです。
内視鏡の先端にはカメラが取り付けられていますので、そのカメラが捕らえる映像がモニターに映し出されます。
この大腸内視鏡検査なら、大腸がんや大腸ポリープが合った場合、すぐに発見することが出来ます。
最近では、ポリープの種類や、がんであるかどうかをより詳しく判別するため、内視鏡の管から色素を入れる検査方法を採用するケースもあります。
大腸内にポリープを発見し、その大きさからがん化の疑いが強い場合や、初期段階のがんが発見された場合などは、その場でがんやポリープの切除をします。
突起していないポリープの場合は、ポリープの下に生理食塩水を注射し、病巣を持ち上げるようにしてからループ状のワイヤで引っ掛けるようにして取り除きます。
大腸内にポリープが何個も発見された場合、数個程度であればその場で器具を何度か出し入れして切除してしまいます。
ポリープの数が多い場合は、大腸がんになりそうなものをまず取り除いてしまい、その後、残りのポリープを数回に分けて取り除くのが一般的です。
そして、切除したポリープは良性か、それとも悪性のがんであるか、詳しい検査をします。
ポリープが良性だった場合は、3年間は大腸内視鏡検査を受けなくても大丈夫でしょう。
最近の医療機関では、大腸内視鏡検査をする場合、軽い麻酔をかけるのが一般化しています。
   polypoid.jpg

大腸がんの手術 早期がん

大腸がんの治療は、基本的に手術によってがんの部分を切除するという方法が用いられます。
また、大腸がん手術の具体的な方法については、がんの進行の程度や、がんが出来た場所などによって変わってきます。
大腸がんの進行程度については、大腸の壁のどの部分にまでがんが拡がっているか、という点で判断されます。
大腸の壁の構造は、内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)下層、漿膜(しょうまく)という順で形成されています。
大腸がんは、一番内側の粘膜にでき、次第に外側へと拡がっていきますガ、大腸がんが粘膜、または粘膜下層までにとどまっているものを早期がんと言います。
早期がんの段階であれば、がん部分の切除によって9割以上の確率で治るといわれています。
粘膜までにとどまっているがんであれば、ほぼ100パーセント治るとも言われています。
早期がんの中でも、粘膜までにがんがとどまっていて、がんの直径が2センチ以内であれば、内視鏡による切除によって治療を行うことが可能です。
内視鏡での治療であれば、大腸がん検査時にそのまますぐ治療をすることができますので、患者さんの肉体的な負担が比較的軽いというメリットがあります。
     c2011071915140617_2.jpg

大腸がんの手術 進行がん

大腸がんが粘膜下層より外側の層に達しているものを進行がんと言います。
進行がんでは、開腹手術という治療方法がとられ、周囲にあるリンパ節も取り除きます。
大腸は大きく分けて、結腸と直腸があります。直腸は肛門に近い部分を指し、結腸はそれ以外の部分です。
結腸は、大腸がんの手術などで部分的に取り除いたとしても機能的にさほど影響はありません。
しかし、直腸の場合は、手術方法などによって、その後の生活の質がかなり変わってきますので、直腸の大腸がん手術をする場合は注意が必要です。
直腸のがん手術をするときは、経験豊富な専門医探しに努力を惜しまず、インターネットや雑誌、書籍、口コミなどあらゆる手を尽くしましょう。
進行がんの治療方法で、最近では、開腹手術の代わりに腹腔鏡という特殊な器具を使った腹腔鏡下手術という方法も用いられるようになっています。
腹腔鏡は内視鏡の一種で、患者のお腹に複数の穴を開け、そこから内視鏡を入れて手術を行うという方法です。
内視鏡の先端には、小型のカメラが取り付けられていて、それが映し出す映像をモニターで見ながら医師が手術を行います。
進行した大腸がんの手術としては、開腹手術に比べ傷跡が小さくてすみ、術後の痛みも少なく、入院期間も短くてすむなど、患者さんの負担はかなり軽くなるというメリットがあります。
    110702pic1.jpg

大腸がんの手術 直腸がん

大腸がんの中でも、直腸がんについては、治療や手術には注意が必要です。
直腸は、骨盤内の深く狭いところにあるので、部位によっては、開腹手術であっても決して簡単に切除できるというわけではありません。
直腸の周囲には、子宮や卵巣、膀胱や前立腺などがあり、これらは自律神経という細い神経繊維によって、排便や排尿、性機能など日常生活を送るうえでは欠かすことが出来ない機能がコントロールされています。
大腸がんでも直腸にできたがんの手術をすると、少し前まではこれらの自律神経を傷つけてしまうことが多く、排便や排尿、性機能に大きな障害が残ってしまっていました。
最近では、自律神経温存術という自律神経をできる限り残しつつ、がん部分を取り除くという方法が用いられています。
直腸がん患者で自律神経温存術を行った人のうち、約8割以上の人が人工肛門を付けずに済んでいます。
男性の場合では、勃起機能や射精機能を残すことも可能となりました。
直腸がんの手術では、このように自律神経を温存出来るかが、その後の日常生活を左右する要因でもありますが、がんが自律神経のすぐ近くに出来てしまった場合など、自律神経を犠牲にしてでもがんを取り除かなければならないケースもあります。
直腸がんでも、早期発見・早期治療が出来た場合には、開腹手術ではなく、肛門と仙骨付近の皮膚や直腸を切開してがん部分にまでたどり着き、がんを取り除くという局所切除をいう方法を用いる場合もあります。
        untitled.bmp

子宮がんの治療:放射線治療の副作用(晩期)

子宮がんの治療の放射線治療で頻度は高くありませんが、治療後、数ヶ月~数年たった後に現れる副作用があります。
膀胱炎・直腸炎
子宮頸部と膀胱・直腸は近い位置にあるため、照射の影響で膀胱炎・直腸炎がみられることがあります。具体的な症状には、血尿や血便、腸管の閉塞・通過障害、腹痛、下痢、便秘などがあります。対処法は、食事を工夫して、止血剤や整腸剤などを使用していきます。高圧酸素療法が効果的な場合もあります。重症化すると、人工肛門の造設や尿路変更手術が必要になることもあります。
卵巣機能の消失外部照射で卵巣に放射線が当たった場合、卵巣機能が損なわれることがあります。すると、女性ホルモンが減少して、頭痛、冷や汗、動悸、息切れ、肩こり、倦怠感などの更年期症状があらわれることがあります。
漢方薬で対処したり、子宮体がん以外ならホルモン補充療法が有効です。
腟の委縮
放射線が当たることで腟が委縮して、かたくなることがあります。セックスするときに痛みなどの症状としてあらわれます。
専用の腟潤滑クリームやゼリーなどで対応することができます。
足のリンパ浮腫(むくみ)
珍しい症状ですが、リンパ管に閉塞が出ることにより、リンパ浮腫が起こることがあります。
リンパマッサージ、弾性包帯・ストッキングによる圧迫が有効です。
   10.gif

子宮がんの治療:放射線治療の副作用(急性期)

子宮がんの放射線治療の急性期の副作用
急性期に副作用が起きるのは、主に照射した部位(骨盤部)になります。副作用の多くは一時的で、治療を休むことで回復できます。ただし、自分勝手に休むのではなく、医師と相談して決めましょう。
放射線宿酔放射線治療を開始して、数回ほど照射すると起こるようになります。吐き気、倦怠感、食欲不振、頭が重くなるなど、酔っているかのような不快な症状があらわれます。
症状が軽い場合は、吐き気止めの薬を処方しながら、消化の良い食べ物を食べるようにします。脱水症状の予防のために、こまめに水分をとることも必要です。
症状が強い場合は、一時的に放射線治療を中止することもあります。担当医と相談してください。
白血球減少・貧血
背骨や骨盤に放射線が当たると、血液をつくる元となる幹細胞が破壊されます。すると、白血球・血小板の減少、貧血がみられることがあります。白血球数の減少が著しい場合は、感染症を引き起こすこともあります。白血球数を上げる薬剤を注射したり、治療そのものを中断することがあります。
下痢・腹痛下腹部に放射線を照射すると、一部が腸を通過して腸の粘膜が影響を受けて下痢を起こしやすくなります。放射線治療後2週間から徐々に現れることが多いです。
症状が軽い場合は、下痢止めの内服薬を服用していきます。症状が激しい場合は、点滴を行うこともあります。
皮膚炎
外部照射を行う場合、照射された部位の皮膚に日焼けのような症状が出てきます。炎症を起こして、乾燥、かゆみ、皮膚がはがれ落ちる、などの症状が出ます。
対処法は、かゆみ止め、ステロイドのクリームなどを使用していきます。皮膚がただれて痛いときは、照射を中断することもあります。
   shyoseki02_img2.gif

子宮がんの治療:放射線治療の方法

子宮がんの放射線治療には、体の外からリンパ節や骨盤内の病巣に照射する「外部照射」と、腟から放射線の線源を子宮内に入れて、直接病巣に照射する「腔内照射」の2つの方法があります。
放射線だけで治療する場合はこれらを併用していきます。
外部照射
一般的な放射線治療法で、骨盤リンパ節が照射範囲になります。CT画像などを用いて、なるべく周囲の臓器や細胞に影響を与えないように照射されます。
痛みを感じることはありません。1回の治療時間は10~20分程度になります。治療スケジュールは週5回で、全体で約30回となります。
腔内照射
子宮内線源と腟内線源による照射で、子宮頸がんの完治を目指していきます。まず、子宮腔内にアプリケーターと呼ばれる器具を挿入して、その後に放射線の出る小さな線源を挿入します。
直腸や膀胱などの臓器への影響は少なく、病変部には多くの放射線を当てることができます。
1回の治療時間は30分~1時間程度で、治療スケジュールは週1回、全体で3~5回ほど行われます。
     radiation015.gif

子宮がんの治療:放射線治療

子宮がんの放射線療法とは、X線、電子線、ガンマ線などの放射線を用いて、体にメスを入れることなく、安全にがんを治療する方法です。
放射線を照射されたがん細胞の遺伝子(DNA)は破壊されて、増殖できなくなって死滅します。放射線が当たると正常な細胞にもダメージを受けますが、なるべく正常組織を避けて治療計画を立てていきます。体への負担は最小限に食い止めます。
放射線治療は、子宮がんのなかでも子宮頸がんの治療に効果を発揮します。完治を目指した根治照射のほかにも、がんによる出血や痛みなどの症状の緩和に有効です。手術のあとに再発予防の目的で照射する場合もあります。さらに、再発や転移した病巣にも効き目があります。
放射線治療は体力的な問題で手術療法を受けることができない高齢者が対象となります。
そして、高度の肥満がある場合や、重大な合併症がある場合も、放射線治療が優先されます。
手術に対する恐怖心が強い場合や、術後の合併症に不安をもっており、手術を受けることに同意できない場合も該当します。
      23_fig1.jpg

子宮がんの手術法:準広汎子宮全摘出術

広汎子宮全摘出術と単純子宮全摘出術の中間的な切除範囲の手術です。
切除する範囲をできるだけ小さくして、後遺症を少なくするために考案されました。
尿管と子宮頸部の間で子宮を切断します。膀胱への影響が少ないことがメリットです。
初期の子宮がん(Ⅰ期以上の子宮体がん、Ⅰa期の子宮頸がん)に適応しています。
  
    03.gif

子宮がんの手術法:広汎子宮全摘出術

子宮、卵管、卵巣、腟および子宮周囲の組織と、骨盤壁のリンパ節を広範囲で摘出する手術です。
切除する範囲が大きいため、手術に伴う大出血や後遺症(合併症)がしばしばみられます。
後遺症には次のようなものがあります。
尿路損傷
腸管損傷
足の浮腫(むくみ)
リンパ嚢腫
尿管狭窄
尿路感染症
性交障害
便秘
      
子宮体がんのⅡ期、子宮頸がんのⅠb期・Ⅱ期で、手術の負担に耐えられる場合に適応されます。
           CDR0000612116.jpg

子宮がんの手術法:単純子宮全摘出術

子宮がんに侵された子宮のみを摘出する手術です。次の2つの方法があります。
腹式単純子宮全摘出術 お腹を切って子宮を摘出する方法。腹部の臓器を直接みながら手術を行うので、癒着などの状態が分かる。ただし、患者の負担が大きい。
腟式単純子宮全摘出術 お腹を切らずに腟から子宮や卵巣・卵管を摘出する方法。手術後の痛みが少なく、腸閉塞などの合併症が起きにくい。ただし、腹腔内に癒着があったり、出産経験がなく腟の伸びが悪い人は行えない場合もある。
子供がいて子宮摘出を希望している人、子宮頸部の奥に腫瘍がある人などに行われます。
       
        AW2QD5KCA9F7C4WCADL1JXMCA5CHDZHCASTR9OWCA3DRP6DCAG921O2CAN62VKKCAVONN9GCA2EIS0GCAKCDPJPCAEYAYYQCAO9NAA7CAEWNLS2CAOJZIEICAOG6K9CCACU88KKCA55O5NVCAYJVWOICAPIYW86.jpg

子宮がんの手術法:円錐切除術

子宮がんの円錐切除術とは、病変部を含めた子宮頸部の組織を円錐状に切除する方法です。切開には、通常のメスのほか、高周波電流やレーザーなどを用いる場合があります。
高度異形成や子宮頸がんの0期/Ⅰa期の手術療法として、よく行われている方法です。
円錐切除術後には、後遺症として早産や流産をしやすくなるという報告もあります。
(妊娠中に円錐切除術は行われません)
     
        untitled.bmp

子宮がんの治療:入院期間の目安

子宮がんは治療法ごとにおおまかな入院日数が決まっています。参考にしてください。
単純子宮全摘出術
準広汎子宮全摘出術 7~14日程度
広汎子宮全摘出術 14日~1ヶ月以上(手術後の障害の程度により異なります)
手術+放射線治療 2~3ヶ月(子宮頚がんの広汎子宮全摘出術の後、全骨盤放射線療法を行った場合)
手術+化学療法 化学療法によって異なります。化学療法だけで2~3日の入退院を繰り返す場合もあれば、化学療法は外来で行われることもあります。
同時化学放射線療法 病状によって異なりますが、2~3ヶ月になります。
         f0201402_17364723.jpg

子宮がんの治療:病院選びのポイント

満足できる病院を選ぶたのポイントは以下のようです。
医療レベルが高く、治療に必要な設備が整っている(放射線治療の設備など)
必要な情報を開示している
退院後の通院に便利である
患者の訴えを聞いて、質問に答えてくれる
自分の希望する治療法を行っている
手術・治療実績が豊富である
いくつかの治療法を提示し、患者の最終決定を尊重してくれる
患者のプライバシーの配慮がある
病院と診療所の連携ができている
治療後の副作用や後遺症の対策が万全である
対応できない場合は、他の医療機関を紹介してくれる
患者の精神的サポートをしてくれる
セカンドオピニオンに応じてくれる

また、医師との相性がよいことも重要なポイントです。がんの治療は長期間に及ぶため、医師との信頼関係がないと、納得できる治療が続けられません。
 
        kaisetsu_01.jpg

子宮がんの治療:治療のための病院選び

子宮がん治療は長い間病院にお世話になるので、適切な病院選びが必要です。
病院の情報収集の手段には、病院ランキングや症例数が多い病院を掲載した医療系の雑誌、がん関連の書籍、インターネットの検索などが利用できます。
かかりつけ医がいれば、子宮がん治療の名医に紹介状を書いてもらいます。
子宮がんと診断されたときは、「産婦人科外来または婦人科外来」を掲げている入院施設がある病院を探してみましょう。婦人科がんの専門医がいればベストです。
     untitled.bmp