卵巣がんの発見と診断:CTスキャン(CATスキャン)

体内の領域を様々な角度から撮影し、精細な連続画像を作成する検査法です。
この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。
臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さまに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。
この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。
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卵巣がんの発見と診断:静脈性腎盂造影法(IVP)

腎臓、尿管、膀胱をX線で連続撮影し、これらの臓器に癌が拡がっていないかを確かめる検査法です。
まず造影剤を静脈内に注射します。
その後、造影剤が腎臓、尿管そして膀胱へと移動する様子をX線で撮影し、途中で塞がっている部分がないかを調べます。
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卵巣がんの発見と診断:バリウム注腸検査

下部消化管の一連のX線造影検査です。
まずバリウム(銀白色の金属化合物)を溶かした液体を直腸内に注入します。
その後バリウムが下部消化管の表面を覆ったところで、X線撮影を行います。
この検査法は下部消化管造影とも呼ばれます。
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卵巣がんの発見と診断:腫瘍マーカー

血液検査により測定しますが,卵巣がんに特徴的なものとしてCA125があります。
上皮性卵巣がんで陽性になることが多いですが,他の疾患(子宮内膜症,腹膜炎,肝疾患,腎不全,膵炎)や妊娠中,月経中でも陽性になることがあります。
逆に陰性の場合でも癌ではないと言い切れません。
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卵巣がんの発見と診断:超音波検査

高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法です。
このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。
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卵巣がんの発見と診断:内診

膣、子宮頸部、子宮、卵管、卵巣、直腸を調べる診察法です。
医師が、手袋をはめて潤滑剤を塗った片方の手の指を1~2本膣内に挿入し、もう片方の手を下腹部に置いて、子宮と卵巣の大きさ、形、位置などを手と指の感触で調べます。
さらに、膣鏡を膣内に挿入して、膣や子宮頸部に癌の徴候がないかも調べます。
通常はここで、子宮頸部のパパニコロウ試験ないしパパニコロウ塗抹検査が行われます。
さらに医師は、手袋をはめて潤滑剤を塗った指を直腸内にも挿入し、しこりや異常な部分がないかを指の感触で調べていきます。
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卵巣腫瘍と卵巣がん―性索間質腫瘍

卵巣は卵巣の表面を覆う表層上皮、ホルモンを作る細胞である性索間質、卵子のもとになる卵細胞(胚細胞)という組織から形成されています。
卵細胞を性索間質が取り囲み、卵胞を形成しています。
卵巣腫瘍のうち、性索間質にできる性索間質腫瘍は次のものがあります。
性索間質腫瘍は卵巣腫瘍のうち5%です。
性索間質腫瘍にも、良性腫瘍・悪性腫瘍(がん)・良性と悪性の中間の性質を持つ中間群(境界悪性)があります。
セルトリ・間質細胞腫瘍
高分化型は良性として扱われますが、中分化型は中間群、低分化型の悪性腫瘍に分類されています。
発生した組織に近ければ近いほど高分化と言われ、反対に低分化とは発生した組織との類似点が少ないものを指します。
顆粒膜細胞腫
中間群に分類される腫瘍です。
線維腫
線維芽細胞(せんいがさいぼう)からできる腫瘍で、良性腫瘍に分類されています。
莢膜(きょうまく)細胞腫
莢膜細胞からできる腫瘍で良性です。
莢膜とは卵巣の卵胞を包む結合組織の層で、莢膜細胞とは、卵胞内で性ホルモンを作り、卵子の発育に重要な役割を果たしている細胞です。
線維肉腫
線維芽細胞からできる腫瘍で、悪性腫瘍に分類されています。
線維芽細胞とは、コラーゲン繊維をつくる細胞のことです。
卵巣腫瘍は多くの種類に分かれていますが、85%は良性です。
ただし、卵巣がんは発生関連する強い要因がありません。
卵巣がんは自覚症状も少なく進行した状態で発見される事が多く、注意が必要ながんなのです。
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卵巣腫瘍と卵巣がん―胚細胞腫瘍

卵巣は卵巣の表面を覆う表層上皮、ホルモンを作る細胞である性索間質、卵子のもとになる卵細胞という組織から形成されています。
卵巣腫瘍の1つである胚細胞腫瘍は、胚細胞である卵細胞由来の腫瘍です。
幼年期を含む若年層に多い腫瘍です。
良性腫瘍・悪性腫瘍(がん)・良性と悪性の中間の性質を持つ中間群(境界悪性)があります。
胚細胞腫瘍には下記のような種類があります。
成熟嚢胞性奇形腫
胎児が発生する段階の細胞が卵巣の中で腫瘍を形成したもの。
嚢胞内部に皮脂、毛髪、歯、軟骨などを含んでいます。
大きさは通常、直径10cm以下です。
皮様嚢胞腫、類皮嚢腫とも言います。
手塚治虫の漫画、ブラックジャックの中で、ブラックジャックがピノコを作ったのがこの腫瘍です。
良性の腫瘍です。
未熟奇形腫
未熟な体細胞組織由来の奇形腫で、悪性と中間群にまたがる腫瘍です。
卵黄嚢腫瘍
悪性腫瘍に分類されます。
10歳代にみられる腫瘍で、切除と化学療法による治療により、80%以上の生存率です。
絨毛がん
絨毛細胞からなる悪性腫瘍です。
絨毛とは胎盤の外にある細い糸状組織で、これを通じて赤ちゃんは母親から酸素と栄養を受け取っています。
絨毛がんは流産や死産、正常分娩の後に残った絨毛などから発生します。
未分化胚細胞腫
悪性腫瘍に分類されています。
思春期にみられる腫瘍で、卵巣卵管切除による腫瘍摘出と化学療法の併用により、約90%の生存率です。
この他にも、胚細胞腫瘍には様々な種類があります。
多くの種類のある卵巣腫瘍のうち85%は良性であり、卵巣がんではありません。
しかし、卵巣がんは進行が早く自覚症状が乏しいので、注意の必要ながんなのです。
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