胃がん手術後の食生活

胃を切除した後にまず心配になるのが毎日の食事についてです。ただ、食事の内容自体は、それほど変更する必要はありません。
軽い注意点としては、脂肪分をとり過ぎないことです。それよりも重要なのは、「食べ方」をよく心がけることになります。
手術前と同じように早食いなどをしようとすると、さまざまな不快な症状があらわれてくるからです。胃の機能は以前と同じではなくなっているので、それに合わせた食べ方も必要になってきます。
胃切除のあとに起こりがちなこと
すぐにおなかがすく
少しずつしか食べられない
早食いすると苦しくなる
食事のあと、動悸やめまいがする
下痢をしやすい
おならがよく出る
空腹時に低血糖症状があらわれる

食後の不快な症状の多くは、ダンピング症候群と呼ばれるものです。これは、胃の幽門を切除した場合や、全部摘出した場合などに起こりやすいとされています。
食後30分以内:早期ダンピング症状
症状:めまい、動悸、発汗、眠気、下痢など
腸の消化液の分泌が増して、水分やホルモン量のバランスが崩れることから生じます。
食後2、3時間後:後期ダンピング症状
症状:倦怠感、脱力感、めまい、冷や汗、ふるえなど
食後の急激な高血糖状態に対し、血糖を下げるホルモンである「インスリン」が膵臓から大量に分泌されます。その結果、血糖が下がりすぎて症状が発生します。
ゆっくり少しずつよく噛むことが大切胃の切除後は、少しの食事でもすぐにおなかがいっぱいになります。このときに食事を取りすぎると、ダンピング症状が起こりやすくなってしまいます。
はじめは1日5食を目標にして、徐々に量を増やしていくというスタンスをとりましょう。
食事中の心がけ
1回の食事は30分の時間をかける
胃の働きが悪くなっているので、早食いは消化不良やつかえ、苦しみの原因になります。食べる量は減っていても、食事にかける時間は最低でも30分はとるようにしましょう。飲食物が流れるペースを自分で調整しましょう。
少量でとどめる術前はまだまだ食べれたかもしれませんが、控えめにしましょう。食べられる量にも個人差がありますが、さっきも述べたように、食べすぎはダンピング症状のもとにもなります。
食べていかないと体力がつかないと心配するかもしれませんが、食べすぎも体に良くありません。
一口ごとに箸をおく飲み込んだ飲食物が流れていったのを確認してから、次の一口へ手を出すには、毎回箸を置いて休憩するのがよい方法です。一気に食べるのを防ぐこともできます。
食後の過ごし方ですが、しばらくは横たわって休むようにしましょう。小腸への飲食物の流れをゆっくりにすることができます。また、飲食物がつかえて苦しいときは、思い切って吐いてしまうと、楽になることがあります。
人によっては、食後に軽い運動をしたほうがよい場合もあります。
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