膵臓癌の検査:PET検査

PET(陽電子放射断層撮影)検査は、がん細胞が正常細胞よりも糖分を多く必要とする性質を活かし、陽電子を放出するブドウ糖に似た薬剤を利用し、体内での薬剤の分布を画像化する診断法です。
CT検査やMRI検査が形態を画像化するのに対し、PET検査は細胞の活動性に応じて薬剤が集まる原理を利用することで、細胞の代謝の状態を画像化する検査です。また、PET検査は1回の検査で全身において、がんの検査を行うことができることが大きな特徴です。
しかし、全てのがんをPET検査で早期に発見できるわけでありません。薬剤の集積が少ない性質のがんもありますし、消化管粘膜に発生する極早期のがんの発見は困難です。また、薬剤は炎症部にも集まる性質をもつため炎症部とがんとの区別が難しいという問題もあります。
PET検査で発見されやすいがんとしては、肺がん、食道がん、膵臓がん、大腸がん、乳がんがあげられ、さらに、いままでの検診では見つけることが困難であった甲状腺がん、悪性リンパ腫、卵巣がん、子宮体がんが発見できることが期待されています。
他胃がん、腎がん、尿道がん、膀胱がん、前立腺がん、肝細胞がん、胆道がん、白血病など場所によっては有用性が低い場合があるともいわれています。
PET検査は平成14年度に一部の疾患(※)の診断に限って保険が適応されるようになりましたが、その他の適応外の疾患や検診は全額自己負担となるため、かなり高額な検査になります。
また、薬剤の製造装置および撮影装置の設備費用が非常に高く、検査可能な医療機関は限られています。
           pet05.jpg

膵臓癌の検査:CT検査

CT検査は身体にあらゆる角度からX線照射し、得られた情報をコンピューターで解析するものです。造影剤を使う場合と使わない場合がありますが、造影剤を用いる方法では病変がより鮮明に描き出され、検査したい臓器やその周辺をミリ単位の断層写真として観察できます。
CT検査の結果はX線検査や内視鏡検査の結果と総合して病気を判定することに役立っています。また、がん治療(化学療法や放射線療法など)の効果の把握などにも用いられています。
膵臓の場合は造影剤を静脈から注射して行うダイナミックCT検査によって、鮮明な画像を映し出すことができるようになりました。膵がんの診断だけでなく、膵がんで心配な肝臓やリンパ節への転移や、周りの臓器への浸潤の確認が可能です。
また、手術の判断にも役立っています。膵頭部がんでは、腫瘍部がやや黒くなり、それより末梢の主膵管がやや拡張します。膵体がん、膵尾部がんでも同じ像が映し出されます。これにより腫瘍部より先にどのくらい正常組織が残っているか推測できます。
         0001.jpg

抗がん剤治療の苦痛

化学療法では、多くの抗がん剤を使いますが、投与量を増やすと、がん細胞をたたく効果が大きくなります。
その分健康な細胞への副作用も大きくなるのです。これは多くの抗がん剤で、まだがん細胞だけに作用する薬が開発されていないために、他の正常な細胞にまで作用してしまうのです。
副作用のない抗がん剤はありません。
非小細胞がんの治療に使われるシスプラチンという注射薬の場合、受けた人のほとんどに吐き気、嘔吐がみられます。
抗がん剤のなかでも、シスプラチンは、特にこの症状が出ます。
このほか、食欲不振、口内炎、下痢、便秘といったことも起きます。
また、腎臓への影響も心配されています。
非小細胞がんに対しては、1日1回注射して3週以上休薬という使い方をしますが、吐き気などは注射してから数時間で始まり、短くて1日、長ければ3、4日続きます。
この吐き気に対しては、オンダンセトロンという薬が効きますが、薬の副作用のために、さらに薬を使うことはつらいものです。
腎臓害に対しては、シスプラチンを中止せざるをえなくなります。
放置しておくと、肺炎などの重い症状が出てくることもあります。
副作用については個人差もあり、我慢の限界も人によって異なりますので、抗がん剤の継続使用については主治医とよく相談して決めるのがよいでしょう。
        m_10bd68ee099.gif