胃がんと食事

まず、胃の役割について考えてみると他の臓器よりも食事とはかなり密接な関係をもっています。
なぜなら摂取した食物を胃液で分解、消化する働きをもつ器官であるから、その部分にがんなどが発生することは胃がんと食事には何らかの因果関係があるのでは?との想像も不思議ではありません。
 そこで胃がんが日本人が最も多くかかるがんであることから食事の分析、研究が進み、胃がんと食事の因果関係が徐々に解明されて健康管理のひとつに食事の見直しが叫ばれ、その必要性が社会に浸透して成果を挙げています。
たとえば具体的な栄養素の知識や食品の料理方法などの専門の料理家の腕を借りて料理方法を紹介したり、ひとたびある食品ががん予防になると話題になればその食品がやたらと持てはやされて、市場の混乱を招くほどになり、少々煽りすぎの傾向さえうかがえます。
 それでは、具体的に胃がんにかからない理想の食事とはどんなものなのか検証してみよう。
 まずは栄養バランスを考えて、塩分を低く抑えたメニューや多くの種類の食物を少しずつ、飲酒も適量になど1日3回取る食事に気を使うことは健康維持に貢献しています。
また、食事ではなかなか取れない栄養素をサプリメントなどで補ってこうした補助食品も上手に取り入れて理想に近い食事を心がけたい。また、最近ではピロリ菌感染が胃がんの温床の原因との研究発表があってからはこのピロリ菌の撲滅のための研究がにわかに注目されてきました。
 ところで、既に胃がんにかかってしまい、がんを切除して胃が小さくなったり、全くなくなってしまうと食事の制約はおおきく摂取量や口にできる食品も限られてきたり、患者にとっては食生活の変化に対応していかなくてはならない。現在ではそうしたダメージを極力抑えた治療方法が考案され、術後も食事の制約を受けることなく、食べる楽しみもあるのは理想的です。
食生活の改善は胃がんや他の病気の予防にもつながるので昨今の食育といった食全般の教育の一環に胃がんと食事をテーマとして盛り込めば子供の頃から胃がんやその他のがんに対する意識も高まり、胃がんの減少の成果の一翼を担うことにもなるでしょう。

食道がんが進行し、手術ができない形で発見されたら

遠隔転移等があり、手術が適していない場合、選択肢としては、
1.化学療法あるいは放射線療法をするか、
2.癌に対する治療はせず、痛みなど症状をとる治療のみ行うかです。
一般的にいって、手術ができないような食道癌のばあいは、化学療法によって腫瘍が治癒したり、大きく寿命が延びることはまれだと考えられます。ただし、食事がまったく通らないばあいは、何らかの処置(バイパス手術やステントチューブの挿入等)をする方が、余命を楽にすごせますし、骨の痛みなどは放射線療法で一時的に症状が軽くなることがあり、個々の場合に応じて判断が必要です。
手術も含めて治療は必ず何らかのマイナス面をもっています。手術では痛みがありますし、化学療法では、(一時的ですが)吐気、おう吐、脱毛、白血球減少などがあり、いずれも生命の危険性も数%あります。根治の可能性がない場合、その治療でもし半年寿命が延びるとしても、そのため1ヶ月入院し、ある程度の痛み、苦しみを伴う治療をうける価値があるかどうか、自らの価値観にてらして考えるべきでしょう。
手術が適していない食道癌の場合は、多くは診断後の余命は半年から1年ぐらいで、場合により2年以上にわたることもあります。一般的には現在症状がなくても半年ぐらいの間には何らかの症状の出現があり、1年後には状態が悪化する可能性が高いので、良好な社会生活ができるのは普通は半年から一年ぐらいでしょう。
なおらないだろう、と判断されれば、気持ちを切り替えて、残された社会生活を有意義に過ごすことに方向転換をすることが、この腫瘍に対するよりよい対処方法だと思います。
なぜ自分がこのような目に、と反問することもあるでしょう。家族に、自分につらくあたってしまうこともあるでしょう。しかしこの問いに対する答えはないのです。自分と家族がこれからいっしょに過ごせる時間が有意義なものになるように努力しましょう。自分が苦しいのだからと、家族に苦しみを転嫁しても楽になるものではありません。今の自分があるのは家族のおかげです。これまで自分をささえてくれた家族に対する感謝の気持ちが大切です。
痛み等が出現すると冷静ではいられませんが、モルヒネなどの麻薬を用い、痛みのない状態で最後を迎えることができるように医学も進歩してきています。またそのための専門病院もありますので手術が適さないと判断された時点で将来のことを考えて判断してください。
漢方や民間療法、温熱療法、遺伝子療法、免疫療法では現在のところ癌を治癒させることは難しいです。新しい治療法の中では血管新生抑制療法が癌をコントロールする(治癒はしないが―これを tumor dormancyとよんでいます)可能性があり、私は個人的には期待しています。免疫療法の一部にはこのような血管新生抑制を介しての効果を持っているものがあると考えられます。これら新しい治療法が確立するにはまだ時間が必要です。
病名告知について ―家族へのアドバイス
多くの場合、病名を告げるほうがよいでしょう。うそをつかなくてすみますし、医療側と患者さん、また家族と患者さんの関係がスムースになります。また患者さんが治療を受け入れるのが容易になります。悪性腫瘍であることを告げずに、手術あるいは副作用のある化学療法が必要であることを納得させるのは大変です。
病名を告げないのは、患者さん本人が病名を知りたくないという希望をもっているときなどに限った方がよいでしょう。家族の方の判断で、この人は癌だとわかると落ち込むに違いないからというので病名に関してうそを言うのは本人の希望を無視することにもなりますし、その後の家族関係を悪化させる原因にもなりえます。診断がつく前に、癌だったら知らせて欲しいかどうか、それとなく聞いておくのもよいでしょう。自分で判断のできる人であれば、自分の病気を知りたいと思うのが普通です。自分の場合を考えるとそうでしょう。自分は知りたいけど、家族の癌は本人に知らせたくないという人が多いのです。基本的には本人の意思を尊重することです。

食道がんの手術後

食道癌の手術では肺へ行く神経を切断することが多く、そのため術後に痰がたくさんでてそのため肺炎になる人が多かったのですが、最近では術後に気管支鏡を用いて呼吸管理をするなどの管理方法が向上し、成績が向上してきました。しかし、術直後はかなり綿密な管理が必要でそのためICU(集中治療室)を使うばあいが多いです。
もちろんICUなしでやっている施設もあります。本人も診断がついたら(もし吸っていれば)たばこをやめ、手術が決まって入院後は、できれば器具を使ったり、運動をして肺機能を高め、術後しっかり咳をして痰を自ら出すための訓練をしておく必要があります。
いずれにしろ術直後は人工呼吸器が使われることが大多数です。また自分で呼吸できるようになっても、痰をとるための細い管を気管に入れたり、気管切開が必要になる患者さんもあります。このようなことを術前によく説明しておいてもらうことが大事です。
術後数日で食道の代わりのものと食道の残りや、咽頭をつないだ場所がほころびることがあり、つばや食事がもれるのでこれが最もやっかいな合併症です。たいていは管をいれたり、傷をすこし開いたりして対処可能ですが、重症となることもあります。
食事ができるようになるまでは2週間ほどかかります。
食事は一度にたくさん食べれないので、自分の食事の仕方を修得する必要があります
退院は術後の治療がなければ術後3週間ー1ヶ月ぐらいから可能となります
術後の発熱が続き、本人の状態もよくない場合は、術後の肺炎または縫い目のほころびによる感染が疑われ、多くは集中治療室での管理が必要です。
人工呼吸、気管切開、気管支鏡による痰の吸引がされることが多いです。敗血症や、ARDS(呼吸状態が悪いこと)の状態であると、生命の危険があり、強心剤を始めとする多くの薬が投与されることが多いです。
このような状態ですと、家族も大変心配ですが、本人の状況について毎日詳しく説明を求めて、状況をよく把握するべきでしょう。このような状態にならないため、またなっても対処が迅速に行われるということで、ある程度症例の多い病院を選ぶべき疾患だといえます。

食道がんの各種治療

食道がん患者さんに対して各種治療法があります。食道がん患者さんに対して各種治療法が適用されます。標準的治療法(現在用いられている治療法)もあれば、臨床試験において検証されているものもあります。治療法についての臨床試験は、現在行われている治療法の改善やがん患者さんの新しい治療法に対する情報を得るために行われるものです。現時点で標準的とされている治療法よりも新しい治療法の方が良いと示された場合、今度は新しい治療法が標準的治療法になる可能性があります。 
臨床試験に参加してみてはどうかと考えてみるのもよいでしょう。いくつかの臨床試験は治療を始めていない患者さんにのみ開かれています。 食道がんの治療中に患者さんに対して特別な栄養管理が必要です。多くの食道がん患者さんは、嚥下困難のため食べることが難しくなっています。
食道は腫瘍により、または治療の副作用のため狭くなっていることがあります。患者さんは静脈から直接栄養素を補給されることもあります。また自力で食べることができるようになるまで、フィーディングチューブ(鼻または口から胃まで通す柔軟性のあるプラスチックチューブ)を必要とすることもあります。
標準的治療法として以下の5種類が用いられます:

外科的療法手術
は食道がんに対する最も一般的な治療法です。食道の一部は食道切除術と呼ばれる手術で摘出されることもあります。患者さんが以前のように飲食物を飲み込むことができるように、医師は残っている食道の健常な部分を胃につなぎます。プラスチックチューブや腸の一部を利用してつなぐこともあります。
食道周囲のリンパ節を取り除き、顕微鏡検査でがんがあるかどうかを調べます。一部の食道が腫瘍により閉塞されている場合は、食道を拡張させておくために食道内に拡張可能な金属ステント(チューブ)を留置することもあります。 放射線療法放射線療法は高エネルギーX線やその他の種類の放射線を用いてがん細胞を殺すか、成長させないでおくがん治療のことです。
放射線療法には2つのタイプがあります。体外照射は体外の機械を用いてがんに放射線を照射する治療法です。体内照射は放射性物質を密封した針、シーズ、ワイヤ、カテーテルをがんの内部またはその近くに直接留置して、がんに放射線を照射する治療法です。放射線療法の方法はがんの種類や病期によって異なります。
放射線療法中に食道を拡張させておくためにプラスチックチューブを食道内に挿入することがあります。これは食道挿管拡張術と呼ばれます。

化学療法化学療法
は、薬剤を用いてがん細胞を殺すかまたは細胞分裂を停止させることでがん細胞の増殖を停止させるがん治療のことです。
口から服用したり、筋肉や静脈内に注入する化学療法では、薬剤は血流を通って全身のがん細胞に影響します(全身療法)。脳脊髄液、臓器、腹部などの体腔に薬剤を直接注入する化学療法では、薬剤は主にこれらの領域中にあるがん細胞に影響します(局所化学療法)。化学療法はがんの種類や病期によって異なります。
レーザー療法レーザー療法は、レーザー光線(強い光の細い光線)を用いてがん細胞を殺す方法です。 電気凝固療法電気凝固療法は電流を用いてがん細胞を殺す方法です。 新しい治療法は現在、臨床試験で有効性を検討中です。現在アメリカで実施されている臨床試験についての情報はインターネットでNCI Web siteにアクセスすれば、入手できます。
臨床試験に参加したいと考える患者さんがいるかもしれません。何人かの患者さんにおいて臨床試験に参加することは最良の治療選択であるかもしれません。臨床試験はがんの研究過程の一つです。臨床試験は新たな治療法が標準的な治療法より安全で有効であるかを見つけ出すために行います。
がんに対する今日の標準的な治療法の多くは早期の臨床試験を基本にしています。臨床試験に参加する患者さんは標準的な治療を受けるか、初めて新しい治療を受けることになるかもしれません。
また、臨床試験に参加する患者さんは未来のがん治療法の改良を助けます。新しい治療法の臨床試験が有効性を示さなくても、しばしば重要な疑問の答えとなり、研究が前進するのを助けます。 がんの治療を始める前、または始めるか、治療を始めた後に患者さんは臨床試験に参加することができます。
いくつかの臨床試験はまだ治療を受けていない患者さんを含んでいます。他の試験はがんが回復していない患者さんに対する治療を評価します。がんが再発する(再起する)のを止めるか、がん治療の副作用を軽減する新しい方法を評価する臨床試験もあります。
臨床試験は国の多くの地域で行われています。治療法の項での現在の治療法の臨床試験へのリンクを参照してください。NCIの臨床試験リストから取り出してきます。
フォローアップ検査が必要になるかもしれません。 がんを診断するために行われた、あるいはがんの病期をみつけるために行われた検査が繰り返されるかもしれません。いくつかの検査は治療がどれぐらいよく効いているかをみるために行われるでしょう。治療を続ける、変更するか止めるかどうかの判断がこれらの検査結果を基に行われるかもしれません。これらはときどき再病期診断と呼ばれます。
いくつかの検査は治療が終わった後に時々継続して行われるでしょう。これらの検査結果は状態が変化したかどうか、またはがんが再発(再起)したかを示すことができます。これらの検査は時々、フォローアップ検査か定期検査と呼ばれます。
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現在行われている臨床試験のリストへのリンクはそれぞれの治療の項目に含まれています。いくつかのがんのタイプや病期に対しては、試験がないかもしれません。リストに載っていない臨床試験をあなたの主治医とチェックすることは、あなたにとって正しいかもしれません。0期(上皮内がん)0期の治療には通常手術が行われます。
現在、米国で0期食道がんの患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。 I期食道がんI期食道がんの治療法には以下のようなものがあります。
手術。
臨床試験。
現在、米国でI期食道がんの患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。 II期食道がんII期食道がんの治療法は次のいずれかになると思われます:
手術。
化学放射線療法(化学療法と放射線療法を併用した治療法)
手術後に行う化学放射線療法の臨床試験
現在、米国でⅡ期食道がんの患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。 III期食道がんIII期食道がんの治療法は次のいずれかになると思われます:
手術。
化学放射線療法(化学療法と放射線療法を併用した治療法)
手術後に行う化学放射線療法の臨床試験
現在、米国でⅢ期食道がんの患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。 IV期食道がんIV期食道がんの治療法は次のいずれかになると思われます:
症状を軽減し、QOLを改善するための緩和療法として食道ステント
症状を軽減し、QOLを改善するための緩和療法として外照射または腔内照射療法。
症状を軽減し、QOLを改善するための緩和療法としてレーザー手術または電気凝固療法。
化学療法。
化学療法の臨床試験。
現在、米国でⅣ期食道がんの患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。 再発性食道がんに対する治療法再発性食道がんの治療法は次のいずれかになると思われます:
症状を軽減し、QOLを改善するための緩和療法としていずれかの標準的治療法の使用。
臨床試験
現在、米国で再発性食道がんの患者さんを受け入れている臨床試験があるかどうかをNCIのがん臨床試験リストから確認してください。 試験の場所、治療の種類、薬剤名など研究の他の特徴から研究を詳細に知ることが出来ます。臨床試験に関する一般的情報はNCI Web siteから入手可能です。

肺がんの種類の分け方

肺がんの種類を分ける基準としては、組織型や病巣の位置、病期分類が用いられます。症状の現れ方や治療方法が変わってきますので、どれに該当するかを知っておくことは重要です。
組織型による種類
一般的に肺がんの種類と言った時には、組織型のことを指すことが多くなっています。これは顕微鏡で見たときの癌細胞の形態で分けるものです。腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんの4つが大部分を占めており、その他のものもわずかに存在しています。
組織型の違いは、悪性度や治療法に大きな影響を与えます。腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんはまとめて非小細胞がんと呼ばれているのですが、これらは抗がん剤や放射線があまり効かないとされています。
これに対し、小細胞がんという種類の場合には、抗がん剤や放射線の効き目は高いものの悪性度が高く、症状の進行速度が速い上に転移もしやすく、手術ができないことが多いことが特徴です。
このように、組織型による種類の違いは治療法の向き不向きに関わってくる重要な要素となります。
病巣の位置による種類
肺の入り口に当たる太い気管支に病巣がある肺門型(中心型)と、奥に当たる末梢部にできる肺野型(末梢型)に分けることができます。位置が違うと、症状の現れ方やレントゲン写真への写り方が変わってきます。
肺門型の場合には初期症状のうちはレントゲン写真にははっきり写らないものの、咳や痰、血痰といった症状が現れやすい傾向にあります。肺野型の場合には、自覚症状は少ないものの、レントゲン写真で発見しやすいことが特徴です。
肺がんの種類が肺門型か肺野型かによって、どのように見つけやすいかが変わってくるのです。
病期分類による種類
病期(ステージ)が何期であるかは、治療法や生存率に関わってきます。初期症状の患者さんと末期の状態では同じように論じることはできません。そのため、該当する病期を知っておく必要があります。

胃がん 再発防止に効果のある食事

胃がんの再発防止には、
どのようなことに気を配れば良いのでしょうか。
胃がんに関しては、
とくに塩分の摂取量を控えることが大切です。
がん予防のために推奨される1日の塩分摂取量は、
6g以下とされています。
しかし、日本人の1日あたりの平均塩分摂取量は、
約13gとなっています。
ですから、意識的に塩分を控えないと、
6gという量に抑えることは困難です。
まずは、この平均値より下げることからでも、
はじめてみましょう。
そこで、塩分を控えるための食事のポイントを紹介します。
まず、みそ汁などの汁物は、1日1杯までにしましょう。
そして、漬物やつくだ煮は、
なるべく避けるように心がけます。
また、調味料は知らないうちに多めに使ってしまう傾向があるので、
計量スプーンなどできっちり計ってから使います。
その他、塩分の高い食品として、加工食品があります。
ハムやソーセージ、練りもの、干物、インスタント食品など、
日常的に食べることを控えることが大切です。
そうはいっても、塩分を使用すると食が進み、
うまみを出すには必要な調味料です。
ですから、献立全てを薄味にするのではなく、
一部はしっかり味のついたものを加えたり、
少しの塩分でも、舌に濃く感じるような調理法を取り入れるなど、
料理の仕方を工夫するようにしましょう。
このように、塩分を控えることは、
胃がんだけでなく、他の成人病にも効果があります。
今までの食生活を振り返って、塩分を摂り過ぎている傾向があれば、
少し控えてみましょう。

胃がん 予防のための食事

胃は、食べ物を消化する働きをする場所であることから、
食生活との関わり方も深く、
胃がん予防には食生活が大きく影響しています。
ですから、胃がん予防の1つとして、
食生活を見直してみましょう。
まず、胃がん予防には、塩分を控えることが大切です。
塩分の過剰摂取は、胃の粘膜を傷つけてしまいます。
この状態を繰り返すと、胃に負担がかかり、
ガン化することもあります。
そして、喫煙、多量のアルコール摂取も、
できるだけ控えましょう。
これらも、たばこを吸わない人や、
お酒を飲まない人に比べ、
胃がんのリスクを高めます。
その差は、約3倍から5倍と言われています。
そして、焦げた食品や、
カビの生えた食品も、避けるようにしましょう。
これらの胃がんの原因となるようなものを避け、
予防効果のあるものを積極的に摂取することで、
がんを予防することにつながります。
がんの予防に良いとされる野菜を、
たくさん食べることも、お勧めします。
野菜に含まれるビタミン、βカロチンなどは、
活性酸素の発生を、抑える効果があります。
野菜を良く食べる人は、食べない人に比べ、
胃がんの発症率が、半分以下となっています。
また、果物においても、食べる人の方が、食べない人に比べ、
がんの発症率が約30%低いというデータがあります。
このように、食生活を見直すだけでも、
胃がんの予防効果は、かなり高まります。

胃がんになりやすい食事

胃がんになりやすい食事とは、
どのような食事なのでしょうか。
胃がんは、日本において、発症率の高いがんの1つです。
その理由として、高塩分の食事が考えられます。
とくに、塩魚や漬物といった塩分の高い食事は、
胃の粘膜に負担をかけてしまいます。
少し前の北陸や東北では、
胃がんの患者さんが、非常にたくさんいらっしゃいました。
それは、この地方特有の食生活にありました。
この地域は、冬が長く、雪におおわれているため、
食物を塩漬けにする習慣がありました。
現在は、新鮮な野菜や果物が年中食べられるので、
そのようなことはありませんが、
以前は、塩分をたくさん使用した食品が、
テーブルに並ぶことが多くあったため、
このような状況でした。
胃がんは、食生活との関わりが大きく、
食生活を見直すことで、予防も可能です。
最近の研究では、野菜や果物の摂取が、
胃がん予防に有効であるというデータもあります。
これらの野菜や果物に含まれるβカロチンやビタミンC、
ビタミンEなどが、細胞に傷がつくのを防いでくれます。
そして、冷蔵庫の普及が、食べ物を塩漬けにしなくても良くなり、
新鮮な野菜や果物が、年中手に入るようにもなりました。
このように、高塩分の食事は、
とくに胃がんに関しては、ハイリスクになっています。
少しでも、塩分を控える食事に切り替え、
さまざまな種類の野菜や果物を食べることが、
胃がん予防につながります。

胃がんの原因 食生活

最近では、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染も、胃がんを起こりやすくすることがわかっています。
 胃がんの原因とされるピロリ菌は、胃の粘膜に作用して胃の中にある尿素を二酸化炭素とアンモニアに分解する酵素を作ります。アンモニアは、粘膜刺激,腐蝕性があり,胃壁を傷つけてしまいます。
 この状態が長く続くと、胃はダメージを受けてしまい、十二指腸潰瘍や胃ガンを引き起こす原因になります。
 他にも発ガン性のある食品添加物があります。日本人の食品添加物摂取量は、1人あたり1日平均で約11グラムと推測されています。
 1年間にすれば約4キログラム、50年間で約200キログラムもの食品添加物を口にしていることになります。注意したほうが良いと思われる食品添加物には次のようなものがあります。
    注意すべき食品添加物
赤色2号 着色料 菓子、清涼飲料水、洋酒、冷菓 発ガン性、アメリカで使用禁止
赤色3号 着色料 和洋菓子、かまぼこ、福神漬け、イチゴ、粉末食品 ドイツ・ポーランド・アメリカで使用禁止
緑色3号 着色料 お菓子、清涼飲料水 ラットで発ガン、染色体異常、EC諸国で使用禁止
青色1号 着色料 お菓子、清涼飲料水 発がん性、EUで使用禁止
赤色104号 着色料 かまぼこ、ソーセージでんぶ・菓子など 遺伝子損傷、変異原性・染色体異常、発ガン性のため多くの国で使用禁止
赤色105号 着色料 かまぼこ・ウインナー・菓子・さくらんぼなど 発癌性の疑いがあるので諸外国では使用禁止です。甲状腺や肝臓に影響が出る可能性あり。
赤色106号 着色料 ハム、ソーセージ、福神漬け、味噌漬け、さくらえび 遺伝子損傷・変異原性・染色体異常、発ガン性のために多くの国が使用禁止
赤色102号 着色料 漬け物、たらこなど 発がん性、ベルギー・カナダ・アメリカで使用禁止
コチニール色素 着色料 清涼飲料水、冷菓、菓子類、ハム、ソーセージ、イチゴ牛乳、ファイブミニ、キャンデー、ジャム、カマボコ DNA や染色体に損傷を与え突然変異を起こす性質あり(変異原性)。
サッカリン・サッカリンナトリウム 甘味料 清涼飲料水、ガム、漬物、アイスクリーム 低純度のものは発ガン性(子宮ガン・膀胱ガン)・カナダで使用禁止
アスパルテーム 甘味料 パルスィート、清涼飲料、ガム、アイス、ゼリー リンパ球の減少・動物実験で脳に腫瘍、、妊婦は特に注意
ソルビン酸カリウム 保存料 かまぼこ、イカ・タコの薫製品、佃煮、煮豆、ジャム、ケチャップ、みそ、たくあん 染色体異常・亜硝酸ナトリウムと一緒に摂ると発ガン性物質ができる
プロピレングリコール 保存料・品質保持剤 生めん、イカ・タコの薫製品、たらこ、ジャム、ケーキ、チ-ズ、ギョーザの皮、など 染色体異常・発ガン・肝臓、腎臓障害・ドイツでは使用禁止
亜硝酸ナトリウム 発色剤 ハム、ソーセージ、ベーコン、コンビーフ、いくら、すじこなど 強い毒性があり、吐き気、下痢、貧血、中枢神経麻痺など。遺伝子にキズ。強力な発ガン物質。
プチルヒドロキシアニソール(BHA) 酸化防止剤 バターなどの酸化防止剤 動物実験でガンがでて禁止になったが、米の圧力で禁止が無期延期に。
臭素酸カリウム イーストフード パン FAO/WHOで小麦処理剤として不適との発表、パン以外は使用禁止。

胃がん 切除後は小分けの食事

胃を切除すると、食べ物が胸につかえる、おなかが張る、下痢をする、めまいや動悸(どうき)が起こるなどの症状が表れやすい。これらを避けるには、
〈1〉1回の食事量を少なくし、食べる回数を1日5、6回に増やす。
〈2〉よく噛んで、ゆっくり食べる。
〈3〉最初は硬い物や脂っこい物は避ける。
〈4〉筋肉が落ちると疲れやすくなるので体を動かす。
などが大切になります。
上手に食べれるようになるまで、少しずつ、きちんと食べていけば、多くは3~6か月で慣れ、1年もたてば手術前の7割程度は食べられるようになるという体験もあります。

胃がん 食事

胃がんと食事の関係は、いろんなデータがあります。どんなデータであってもこれらの結果に過敏に反応することはありません。長い間の生活習慣や個人々の体質などの違いから、そのデータが直接、自分自身に当てはまるとはいえないからです。がん予防の考え方や傾向を掴むには参考になり、大切なことですが、それがそのまま病気に結びつくと考え、神経質になることは、かえってよくありません。
 肝心なことは、食生活の習慣を改善するように心がけることです。これは「胃がん予防」に良いとか、「健康に良い」と聞けば、同じ物ばかり食べたり、健康食品を飲み続けたりすることは、よくありません。がん予防に役立つ食事は、偏らずバランスよく摂取することであって、それを習慣づけることが大切になります。
(1)塩分の摂取は、控えめにする。食塩として1日10g未満、特に塩分濃度の高い食品(10%程度)は、週1回
  以内は控える。
(2)野菜はできるだけ毎日食べるようにする。
  野菜は毎食、果物は毎日食べて、野菜や果物不足(400g/日)にならないようにこころがける。
(3)熱い飲食物、保存肉・加工肉の摂取は、控えめにするなど。
 食事に心がけるほか、自分にできる定期的な運動の継続(30以上歩くなど適度な運動、週1回程度は汗をかくような運動)など、食生活だけでなく、生活習慣を改善することが健康維持には重要になります。

食道がんとタバコ

世界中で知られるように、タバコは多くのがんを引き起こす原因のひとつとなっています。それは、食道がんだけではありません。特に、「咽頭がん」については、がん発症の最大の原因とも言われています。肺がんでも7割以上、食道がんでも約半数がタバコによって引き起こされているのです。ご存知のようにタバコには、「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」など、多数の化学物質が含まれています。
分かっているだけでも、発がん性の成分は60種類も含まれているのです。中でも、特に問題視されいるのが「ニコチン」。ニコチンは中毒性が高く、悪玉コレステロールを増加させる働きがあります。「心筋梗塞」などの重篤な疾病を引き起こすことも。タバコは食道がんにも大きな影響を与えます。タバコによって、のどの粘膜が刺激を受け、細胞ががん化し、食道がんになってしまうことも。

食道がんと日本人

食道がんを発症する日本人の多くは「扁平上皮がん」であると言われています。「扁平上皮がん」というのは、食道粘膜の表面にできるがんです。一方「腺がん」は、分泌液を出す腺細胞で発症するがんのこと。日本人の多くが「扁平上皮がん」患者であるということは、発症する食道がんの種類は人種によって異なるということなのでしょうか。
白人の方の場合、胃液が逆流することが多いため、食道の扁平上皮がダメージを受けやすくなっています。そこから、がんが発症するケースが多いのです。このように、罹患率は人種によって大きく偏りがあると言えるでしょう。食道粘膜の強度は、日本人に比べ、白人の方が強いと言われています。

食道がんと遺伝

遺伝的な理由から、食道がんのリスクが高くなる場合もあります。家系的に、食道がんになりやすい方というワケです。現在、がんと遺伝の関係には、科学的な立証はありません。けれども、遺伝子が影響していることは事実であるという見方が強まっています。実際、家族や親族に食道がんを患った方がいるとしたら、他の家族にも発症することも多いのです。
やはり遺伝的因子があるのではないかと考えられます。食道がんを発症するには、様々な理由が挙げられます。諸々の生活習慣的な要素も関係が深いと言われています。けれども、まだ若い時期に食道がんを発症してしまう方もいることから考えると、遺伝的な要素も関係していると言わざるを得ません。

食道がんとアルコール

食道がんの大きな原因のひとつに、アルコールが挙げられます。アルコールは、のどを痛める元でもあるのです。のどの粘膜がダメージを受け、細胞に過度の刺激を与えてしまいます。その細胞が、がん化するというワケ。昔から「酒は百薬の長」と言われているように、適度な飲酒は健康維持には有効的。
けれども、大量のアルコール摂取となると、話は別です。アルコールの摂り過ぎは、体に大きな負担を与えてしまうことに。また、アルコールの分解機能と食道がんも大きな関連があることが指摘されています。体の中でアルコールを分解するためには、「アルコール脱水素酵素」から、毒性の高い「アセトアルデヒド」へと一旦変化させます。

食道がんの治療成績

食道がんの治療成績は病期別にみますと次のようになっています。ここで示しています数字(%)は5年生存率を表わします。一人の方が5年間生きられる可能性です。食道がんの場合再発はほとんど2年以内です。
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胃潰瘍治療の実際

a. 一般療法
 潰瘍患者さんでは、生活環境と潰瘍の発生・再発に因果関係を認めることが少なくないため、因果関係の推測できるストレス因子があれば、その除去を考えます。
b. 食事療法
 酸分泌抑制薬の適切な内服下では、原則として食事制限は不要です。刺激物を控える程度でよいでしょう。
c. 嗜好習慣
 主として喫煙とアルコールが問題とされてきましたが、ほとんどの例で潰瘍の治癒遷延化・再発因子とは認められません。したがって、再発との関連が濃厚な例に限って制限します。
d. 薬剤
 消炎鎮痛薬では胃潰瘍を引き起こす可能性がありますが、そのほかにも副腎皮質ホルモン、糖尿病薬、抗生物質、降圧薬など多くの薬剤が潰瘍の発生と難治化に関係しうると考えられます。
 しかし、一般的には酸分泌抑制薬が適切に内服されておれば処方を神経質に回避する必要はありません。これら薬剤は基礎疾患に対し継続投与の必要なことが多く、潰瘍との関連性が強い場合には、より胃粘膜障害の少ない薬剤への変更、酸分泌抑制薬の増量または制酸薬、粘膜被覆薬との併用を試みます。ただ消炎鎮痛薬では坐薬でも胃粘膜障害を引き起こす例があることを知っておくべきです。
e. 薬物療法
H2(エッチツウ)プロッカーと言う酸分泌抑制薬が胃潰瘍に使われだして、胃潰瘍の薬物療法は全く変わりました。潰瘍の治癒率もあがり、胃潰瘍で胃の手術を受けることはほとんどなくなりました。
H2プロッカーには、最初のタガメットに始まり、ガスター、ザンタック、アルタット、など多くの薬剤が開発されています。
また最近ではPPIというH2プロッカーよりもっと制酸機能の強い薬剤も発売され早くかつ高い治癒率をもたらしています。
維持療法胃潰瘍に対し防御因子強化薬を初期治療から併用すると質の高い潰瘍治癒が得られ再発の抑制につながるという成績があります。また治癒後の維持療法に用いると再発抑止に有用だといわれています。

胃潰瘍の症状と診断

胃潰瘍の症状
一般症状・局所症状ともに胃潰瘍に特異的なものはありません。
潰瘍の自然歴のなかで、比較的古い、再発を繰り返した潰瘍においては食後の心窩部痛(みぞおちの痛み)、胸やけなどの定型的な症状を示しますが、高齢者では痛みを自覚しない場合もあり、不定愁訴や吐血が初発症状の方もあります。
胃潰瘍の診断
 自覚症状だけでは胃潰瘍の確定診断は出来ませんし、胃癌などでも心窩部痛、胸焼けもありますので、必ず検査が必要です。
 検査としては胃透視と胃内視鏡検査があります。
胃透視はバリウムという液体を飲んでいただき、レントゲンで潰瘍部のバリウムの溜まり(ニッシェ;影)を見つけます。胃透視だけでの診断には限界がありますので、出来れば内視鏡の併用が必要です。

胃潰瘍とは

自分の胃液によって、胃・十二指腸の粘膜を自己消化してしまい、部分的に組織の欠損が起きた状態が、胃・十二指腸潰瘍で、消化性潰瘍とも呼ばれています。
胃潰瘍は、中年以降に多く、また、十二指腸潰瘍は、青年・壮年に多くみられます。
男女差では、男性に多いのが特徴です。消化性潰瘍と一口にいっても、短期間で治るもの、手術が必要なものなど、程度によって治療の方法は異なります。
コントロールしにくい、精神的ストレスが、多くの場合、その主因であるため、胃・十二指腸潰瘍の治療や再発防止には、医師の指示のもとで、しっかりした治療を受けなければなりません。
最近、欧米ではヘリコバクター(Helicobacter pylori)と言う菌が胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発や悪化に関係があるとされ、その除菌治療が十二指腸潰瘍の再発防止に極めて有効とする報告が数多くなされています。ただ、除菌による再発防止のメカニズムにはまだ不明の点が多く、一方、胃潰瘍では除菌と再発防止の関連は十二指腸潰瘍ほどはっきりした成績は得られていません。
現在のところわが国ではヘリコバクター除菌の是非についてのコンセンサスは得られていませんが、ヘリコバクターの影響がある症例も現実で、今後の課題だと思います。

食道がんの治療3

放射線・化学療法
食道癌が気管や大動脈へ直接浸潤しておりすぐには手術で取り去ることが難しい場合には、放射線と抗癌剤(化学療法)を組み合わせた治療を行います。治療に要する期間は4-6週間くらいとなります。その後は、手術を行う方と抗癌剤で維持療法を行う方に分かれます。
また、食道癌が粘膜もしくは粘膜下層にとどまっており・リンパ節転移もなさそうな方には、手術を行わず放射線と抗癌剤を組み合わせた治療も選択肢の1つとなります。
われわれの施設が国立がんセンターと協力して行った研究では、現在までのところ手術に劣らない成績が得られていますが、もう少し先でないと確定的なことは分かりません。

食道がんの治療2

外科的治療
食道癌が粘膜をこえて粘膜下層より深くもぐり込んでいる場合には、原則的に手術が必要になります。手術は、食道の病巣の完全切除と癌が転移しているかもしれないリンパ節を十分な範囲取り去ることから成ります。
手術方法は食道癌の発生部位により異なり、頚部・胸部の上半分に病変がある場合には頚・胸骨(時には腹部も)を切開する手術を行います。胸部の下半分や腹部に病変がある場合には胸(右側の乳首の下あたりを肋骨に沿って横に切る)・腹部(時には頚部も)を切開する手術を行います。このように食道癌の手術は頚・胸・腹部におよぶ広範囲なものとなります。
また、食道を取り去った後には胃(すでに胃を手術しておられる方には小腸や結腸)を持ち上げ、食べ物が通る経路を再建します。これまでは持ち上げた胃を頚でつなぐことが多かったのですが、われわれの施設では胸の中の上の方で胃をつなぐことにより、手術後の良好な食事摂取を可能にしています。

食道がんの治療1

内視鏡治療
食道癌が粘膜にとどまっており・病変のひろがりが3-5cm以内であり・病変の個数が3-4個までである場合には、手術をしなくても内視鏡で病変を取り去り治療を行うことができます。1週間あまりの入院が必要となります。
術前化学療法
CT検査や超音波検査により、頚・胸・腹部のリンパ節がるいるいと腫れているような場合には、手術に先立ち抗癌剤治療を行うことがあります。
術後化学療法
手術で取り去ったリンパ節に癌が転移していたものが多かった方には、退院後外来で抗癌剤治療を行います。

肺がん:脳転移と骨転移

肺がんは脳や骨に転移しやすい性質を持っています。これらの症状が悪化していくと、生活の質を著しく落とすことになります。
脳転移の場合には、脳のどの部分であるかによって異なるのですが、言語障害、感覚の麻痺、めまい、頭痛、吐き気や嘔吐、人格変化といった症状が現われるようになります。
骨転移の症状としては、該当する箇所の痛みや骨がもろくなって病的骨折を誘発することがあります。痛みの場合には、たとえば腰痛として感じられることになります。この場合には、ほかに原因があると考えるのが一般的ですので、整形外科に行って始めて発見されることもあります。
共通して言えるのは、肺がんが脳や骨に転移しているとステージ4期に該当することになり、相当に進行してしまっているということです。癌細胞が他の部位にまで広がってしまっている状況ですので、もはや原発巣を手術によって治療すれば完治するという段階ではありません。
残念ながら、この状況においては末期症状になってしまっていることもあります。ただし、放置すると余命の期間の生活にも支障が出ますので、症状を緩和するための治療も必要です。
治療としては、肺がんの脳転移の場合にはガンマナイフや放射線の全脳照射、手術を行うことが多く、抗がん剤は脳にはあまり届かないため効果は薄い傾向にあります。骨転移の場合には、放射線療法やビスフォスフォネートという薬の使用、鎮痛剤による痛みの緩和が中心となっています。
残された余命を少しでも快適に暮らせるように、最適な治療法を選択していく必要があります。

肺がんの骨転移

肺がんの骨転移が起きている状態になると、余命がそれほど長くないことも出てきます。必ずしも末期とは限りませんが、少なくてもステージ4期にまでは進んでいるのですから、5年生存率は10%程度になります。したがって、場合によっては余命についても真剣に考えなくてはならなくなります。
骨転移の症状としては、痛みを感じることがあります。たとえば、背中や手足、腰に痛みを感じるようになりますので、整形外科に行って調べてもらったら、実は肺がんであることが判明するということもあります。
ほかにも、転移の症状として骨が脆くなり、病的骨折を起こすことがあります。これらの症状は生活の質を著しく落とすものです。寝たきりになるのを防ぐためにも、適切な治療によって進行を食い止める必要があります。
治療としては、放射線療法や薬によるコントロールが行われます。肺がんの骨転移の部分に放射線を照射することによって、強度を回復することや、痛みの緩和に役立ちます。また、薬としては鎮痛剤で痛みを抑えるほか、ビスホスホネート製剤を用いて破骨細胞の働きを抑え、悪化を阻止することができます。
しかし、これらの対策によって完治するわけではありません。血液に乗って体中に癌細胞がばら撒かれてしまっている可能性もありますし、そうではないとしても、原発腫瘍についても治療しなくてはならないのです。
残念ながら、骨転移がある状態の肺がんで完治を目指すのは、厳しい道のりになります。多くの場合、そこまで効果的な治療法はないのです。放射線療法やビスホスホネート製剤によって進行を遅らせることはできても、根本的な解決にはなりません。
抗がん剤なら全身に効果を及ぼすことができますが、それによって癌細胞が完全に死滅することは望めません。化学療法も根治に対して有効な手立てにはなっていないのです。

胃がんの治療 内視鏡手術

内視鏡的粘膜切除術
内視鏡とは、身体の中を先端にレンズのついた管を差し入れて観察し、場合によっては処置・治療をする医療機器です。
胃がん治療による内視鏡の手術(内視鏡的療法)は、口から内視鏡をいれて、胃がんを切除します。これを内視鏡的粘膜切除術といいます。
内視鏡による胃がんの手術は、早期の胃がんにのみ行われる治療方法です。内視鏡で切除できる範囲には限界があるので、絶対にリンパ節に転移していないと判断できる非常に早期の胃がんのみが対象となる治療法です。
内視鏡による手術が適応される条件は、がん細胞が転移しにくいタイプのⅠA型で、ガンのサイズが 2cm以下、リンパ節への転移がない、という場合です。早期がんの中でも 20%ぐらいにしか内視鏡的粘膜切除術は行えません。
腹腔的手術とは?
腹腔的手術とは、お腹に数カ所の小さな穴(5mm~12mm)を開け、そこから腹腔内や胸腔内にカメラと手術器具を挿入して行う手術で、内視鏡下手術ともいいます。
開腹手術に比べて、手術による体への負担が少ない、手術後の回復が早いなどのメリットがあるので、手術件数は増加しています。
しかし開腹手術と比べて、リンパ節の郭清(かくせい)が難しいこと、消化管をつなぎ直す技術の確立が十分とはいえないことなどから、胃がんに対する腹腔鏡手術を行うことはまだ少ないです。
レーザー療法
レーザー療法とは、内視鏡を使いレーザーでがんを治療する方法です。早期がんに対して行われることがあります。
レーザー療法には、高出力レーザーでがんを焼いて、凝固・蒸散させる「腫瘍焼灼法(しゅようしょうしゃくほう)」と、低出力レーザーでがんだけを攻撃する「光線力学的療法(PDT)」があります。

胃がんの末期

胃ガンの末期は、
 ・胃の表面(外側)にがんが出ている上に、他の臓器にも
 がんが続いていて、さらに胃を養う血管に沿ったリンパ節に
 転移がある
 ・肝臓・肺・腹膜など、遠隔転移がある
などの状態で、ステージⅣに分類されます。 5年生存率は約10%前後です。
5年生存率とは、5年間の間に再発しなかった方、または 5年間の間に再発はしたものの生存している方も含まれるので、完治するという意味ではとても厳しいといえます。
緩和医療とは?
胃がんが発見されたとき、すでに末期である、また再発により末期がんになってしまった方に、抗がん剤などの治療をせずに痛みなどの苦痛を取り除く、または緩和することを「緩和医療(ベスト・サポーティブ・ケア)」といいます。
抗がん剤による治療効果と副作用などを考慮して、抗がん剤などによる治療を行うのか、緩和医療のみにするのかを決断することになりますが、大切なのは患者さん本人の意志です。
ですから、患者さんとそのご家族も含め、医師とのしっかりとした相談・コミュニケーションが重要です。

スキルス胃がんとは

スキルス胃がん(スキルス性胃がん)とは、ボールマン分類の 4型の一部のことで、他の胃がんと同じように粘膜から発生しますが、粘膜面の変化をほとんどおこさずに、胃壁の中を広く浸潤(しんじゅん)していきます。特別な進み方をする悪性度の高いガンで、再発率が高いです。
スキルス胃がんの割合
スキルス胃がんのがん全体の割合はそれほど多くはありません。約 1割(12%ぐらい)です。30代、40代の女性に最も多くみられます。
スキルス胃がんの症状
スキルス胃がんは、胃の粘膜層の下に木の根のように広がっていきます。そして最終的には、胃が正常の半分ぐらいにまで収縮してしまいます。
胃が正常な大きさのうちにスキルス性胃がんを見つけるのはとても難しいです。検査では異常がないという診断であったのに、数ヶ月後には腹水(ふくすい)がたまりはじめて、すでに手遅れの状態になってしまうという場合もあります。
この原因は、スキルス性胃がんの発育が速いということではなく、スキルス胃がんが発生してから胃の収縮が始まるまでの時間が短いからです。
スキルス胃がんの診断
通常の胃がん検査である内視鏡検査ではスキルス胃がんの初期症状をみつけることは困難です。その理由は、スキルス胃がんは胃の内側の表面の粘膜部分から起こりますが、その表面に異常が出にくいガンだからです。
スキルス胃がんは発見された時点で、約60%の人が腹膜転移や広い範囲のリンパ節転移が見られます。
スキルス胃がんの転移
スキルス胃がんの転移は、腹膜播腫への転移がよく見られます。「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」とは、お腹の中全体にがん細胞が散らばる状態のことです。
スキルス胃がんの患者さんの約50%の人が腹膜播腫が見られるとされています。
スキルス胃がんの手術と治
スキルス胃がんは転移や浸潤(しんじゅん)を起こしやすいです。腹膜播腫(ふくまくはしゅ)や他臓器への転移がなければ手術できますが、発見時にはすでに手術ができないことが多いです。
手術した場合でも 5年生存率は約15%~20%です。

末期の食道がんの治療

末期の食道がんの治療方法には、医療機関と連携して行う在宅医療があります。この場合は、急変する可能性が高いので、前もって対処法を確認しておいて下さい。
 次に症状を和らげ、苦痛をとる事を目的とした緩和医療があります。次に治癒を目的とした根治治療があります。次に残された日々を安らかにすごしてもらう為に行うターミナルケア(終末医療)があります。
 しかし食道がんは、殆どのケースで根治治療としての外科手術が適応外になります。また化学療法も満足出来ないのが現状です。それを打開するのがNK細胞療法です。食道がんに対して有効である症例が報告されています。
 NK細胞療法には副作用が殆どないものや、免疫力を強化するものなどがあります。また抗がん剤で起こる耐性が起こらないのも特徴です。この治療は点滴で行う全身治療ですので、様々な効果を発揮する可能性があります。
 多くの癌は、早期なら治る可能性が高いですが、自覚症状があまりないので、末期の食道がんにならない為には、定期健診や癌を防ぐ事が重要になります。
 癌を防ぐ為には、毎日バランスのとれた栄養をとる事が大切です。その他にも、食生活に変化をつけたり、食べすぎに注意したり、脂肪は控えめにしたり、お酒はほどほどにしたり、ビタミンや繊維質を多くとったり、塩辛いものは少なくしたり、熱いものはさましたてから食べたり、焦げた部分は食べないようにしたり、かびの生えたものは食べないようにしたり、日光にあたりすぎないようにしたり、適度にスポーツをするようにしたり、体を清潔に保つようにして下さい。

末期の食道がん

人間の身体は約60兆個の細胞で出来ています。正常な細胞は、損傷を受けたときなどは、古くなれば死んで、新しい細胞を増やすためのスイッチが正常に働きますが、癌細胞はそのスイッチが入ったままになってしまうので、増え続けてしまいます。また、癌細胞はまわりの正常な組織に進入し、血管やリンパ管を通り身体の至る所で増殖します。
 癌の進行段階は、病巣の大きさなどや周囲の組織にどの位広がっているか、手術は出来るかどうかなどから診断します。癌の進行が進んで、他の臓器へ転移し、身体じゅうに広がった状態になり、手術などで治す事が出来なくなった状態を末期癌と呼びます。
 食道がんは、消化管や呼吸器粘膜などの臓器を作る上皮細胞から発生し、扁平上皮癌に分類され、他の臓器に転移しやすいのが特徴です。
 末期の食道がんは、激痛を伴い、肉体的にも精神的にも大きな痛みにさらされますので、治療方法と告知について考えることが重要です。
 末期の食道がんの症状は、出血や貧血、嘔吐、下痢、免疫機能の低下、激痛、食欲不振、はきけ、呼吸困難、不眠、便秘、口がかわくなどで、歩いたり話したりする事も困難になります。生還の確率も低く、闘病もつらく、本人も周りの人もとても苦しめられます。
 がんの原因は、発癌性のある化学物質や放射線、ウイルス感染などがありますが、近年、遺伝子の異常や細胞分裂の回数を決める過程の異常が関係している事がわかりました。癌に勝つには、このように進化していく医療と一緒に闘い、望みをもってあきらめない事が大切です。

肝臓がんと抗がん剤

一口に抗がん剤治療といっても、その使用方法により点滴や飲み薬による「全身化学療法」と肝動脈に直接針やカテーテルを通してがんそのものだけに抗がん剤を注入する「局所化学療法」とがあります。
現在の肝臓がんに対する抗がん剤療法の中では「全身化学療法」による治療の生存率も3年生存率で約3%前後と低く「局所化学療法」が主流となっています
「局所化学療法(動注化学療法)」についてはここ数年の間に行われ始めた治療で、一度の注入だけ行う方法と開腹手術により直接肝動脈にカテーテルを挿入または足のつけ根の動脈からカテーテルを肝動脈まで進めてカテーテルを留置し、おなかの皮膚の下に埋め込み抗がん剤を注入する方法とがあります。
しかしながら、今のところ効果の程度がはっきりしておらず、多くの場合は肝動脈塞栓術やエタノール注入などで治療ができない場合の方法として行われているのが現状です。
 よく使われる抗がん剤肝がんで使われる抗がん剤には以下のようなものがありますが、これらは他のがんでも使われるごく一般的な抗がん剤です。
•マイトマイシンC
•5・FU(ファイブ、エフ、ユー)
•シスプラチン
•アドリアマイシン
•ファルモルビシン など
 抗がん剤の副作用と症状抗がん剤とはがん細胞が分裂し増える過程に働きかけ、細胞が成長できず増殖を妨害し死滅させるようにするお薬です。
但し、体の中で細胞分裂をし成長していくのはがん細胞だけではありません。そのため正常な細胞で、分裂速度の速い細胞の血液、口腔(口の中)粘膜、胃腸粘膜、毛根の細胞などは、抗がん剤の作用が大きく影響されるのです。
そういった細胞にも影響を及ぼした結果が副作用となり様々な症状となって現れてきますが、使用する抗がん剤の種類や個人差などによりその症状は様々です。
最も頻繁に現れる副作用としては
•吐き気
•脱毛
•白血球減少
これら3つですが、他にも体の蓄積の度合いから現れる症状も違ってきます。
 抗がん剤の投与と副作用が現れる日数の目安当日:薬物アレルギー反応、吐き気・嘔吐(おうと)、発熱、血圧低下、血管の痛みなど
約2・1週間目:疲れやすさ、倦怠感、食欲不振、吐き気・嘔吐、下痢
約1~2週間目:口内炎、食欲不振、胃もたれなどの不快感、下痢、骨髄の抑制・赤血球減少による貧血・白血球減少により感染しやすくなる・血小板減少により血が止まりにくくなる など
約2~3週間目:脱毛、皮膚の角化やしみ(色素沈着)、手足のしびれなどの神経症状、膀胱炎
このように現れる副作用で予測のつくものもありますので、事前に医師と相談し現れた症状に対して処方できるお薬、環境などを整えておくことが大変重要となってきます。

胃がんの各種治療法とその特徴

胃がんに対する治療法にはいくつかあります。手術療法が一般的ですが、抗がん剤を用いた薬物療法もあります。放射線療法は、特殊な場合には行われていますが、がんに対する治療法としては一般的ではありません。
【手術療法】
手術は胃がんに対して最も標準的な治療法で、がん細胞をすべて取り除くことで治癒を目指します。簡単に言えば、がん細胞のすべてが身体から取り除かれれば、それはすなわち、がんが治ったということになります。ただ、この場合の「すべて」とは、目に見えない細胞のひとつひとつも含めてということです。しかし、手術はあくまで肉眼で見えるものを切除する局所療法ですから、がんがその局所にとどまっていれば最も確実な治療法になりますが、目に見えないレベルでがん細胞がその局所を越えて広がっている場合には、がんをすべて取り除くことはできません。再発が必至ということになります。その場合は再発の状況により再度手術を考慮したり、切除が困難であれば抗がん剤治療や放射線治療が行われます。
  1) 内視鏡的粘膜切除術
一部の早期がんに対して、内視鏡を使ってがんを切除することが行われています。ただし、リンパ節はまったくの手つかずになるため、リンパ節転移の可能性がある人に対しては行えません。胃がんに対する内視鏡的治療には、スネアという金属製のワイヤーを用いるEMR(内視鏡的粘膜切除術:Endoscopic mucosal resection)とESD(内視鏡的粘膜下層剥離術:Endoscopic submucosal dissection)があります。EMRには1)2 channel 法(ストリップバイオプシー法)、2)Cap 法 (先端フード法)があります。後者には、1)ITナイフ切除法、2)先端系といわれるFlushknife、Hookknife、needleknifeなどを用いる方法に2大別されます。
内視鏡的治療の適応は、リンパ節転移の可能性がないことが原則であり、「胃癌治療ガイドライン」上、組織学的には、適応内病変は分化型で2cm以下の粘膜内癌。肉眼型は問わないが、陥凹型では潰瘍を認めないもの、とされています。適応拡大病変に関しては、慎重な術前診断、検討会での検討に基づき、完全一括切除が可能と判断されるものに関しては、治療を行っております。最近では治療器具や内視鏡手技の向上により、大きな病変でも適応を選べば、一括切除できるようになってきました。
  2) 開腹手術
一般的には、みぞおちから臍横まで約20㎝、縦に切開し、胃と周囲のリンパ節を併せて取ってくる手術です。お腹の中を十分に観察でき、あらゆる状況にも対応でき、手術操作が確実にできることから、今でも胃がん治療の重要な手技のひとつです。胃の切除方法には大きく分けて3通りあります。胃の出口(幽門)側を切除する幽門側胃切除、胃を全部切除する胃全摘、胃の入口(噴門)側を切除する噴門側胃切除です。これらは、がんが胃のどこにどれだけの範囲で存在するかやその進行度によって決定します。また同様に胃がんの範囲や進行度によってリンパ節郭清(リンパ節をきれいに取り除くこと)の範囲も変わります。ある程度進行した胃がんに対しては、胃から少し離れたリンパ節まで郭清するD2郭清を行い、早期胃がんの場合にはこれよりも更にリンパ節郭清の範囲を縮小します。高度進行胃がんの場合に薬物療法と組み合わせた更に広い範囲の拡大リンパ節郭清が行われることもあります。
   3) 腹腔鏡下手術
腹腔鏡下の胃がん手術は1990年代にわが国で初めて行われました。腹部に5mm~12mmの穴を数か所開けて、専用のカメラや手術器具を挿入し、モニター画面で腹腔内を観察しながら、器具を操作して胃の切除を行う方法です。腹腔鏡下手術のメリットは、一般的には、傷が小さく手術後の疼痛が少ない、術後呼吸機能の低下が少ない、回復が早いため早期に退院できる、より鮮明に拡大した画像で血管などを確認できる、などが挙げられます。
腹腔鏡下胃局所切除術
腹腔鏡下で胃の局所切除を行います。胃局所切除術では、胃周囲のリンパ節の郭清を行いませんので、リンパ節転移のリスクが極めて低いタイプの腫瘍(胃粘膜下腫瘍など)に限定して行われています。
腹腔鏡下胃切除術
最近では、早期胃がんだけでなく進行胃がんに対しても、腹腔鏡下にリンパ節郭清を伴う胃切除術が行われています。当院では胃がん治療ガイドラインに準じて、Stage Iの胃がんに適応を限定して行っています。
胃は食べたり飲んだりした物を一時的に蓄えておくところです。胃がんに対して手術を受けると、胃が小さくなったり無くなったりしてしまいます。消化や吸収に大きな変化はありませんが、一度にたくさん食べられなくなりますので、1日の食事の回数を増やすなどの工夫が必要になってきます。また、食べたものが早期に腸へ流れ込むことによる症状(下痢、腹痛、冷汗、立ちくらみ等:ダンピング症状といいます)が出たりする場合があります。ゆっくり時間をかけ、よく噛んで食べるようにする必要があります。
※術後補助化学療法について
これまで、胃がんの治癒切除(目に見えるレベルではすべて胃がんを切除できた)後に再発予防に薬物療法を行うこと(これを「補助化学療法」といいます)の有効性をしっかりと示した研究はありませんでしたが、最近、胃がんの治癒切除後にある種の抗癌剤を一定期間内服することにより、再発を予防する効果のあることが示されました。現在では、ステージIIとIII(ただし早期胃がんを除く)の胃がん治癒切除後には、ティーエスワンという抗癌剤を1年間内服することが、我が国における標準治療と考えられています。
【薬物療法】
化学療法は抗がん剤を使用する目的によって、(1)手術で取りきれずに残ってしまった少量のがん細胞を死滅させて再発を予防する(これを術後補助化学療法と言います)、(2)がんに伴う苦痛を改善したり予後を延長させる目的で使用する、の2つに分類されます。
(1)の術後補助化学療法は、手術で完全にとりきれなかったがん細胞を死滅させることで、手術単独では治らない患者さんを治す治療です。 一方、この治療は手術で治ってしまう患者さんにまで抗がん剤を投与することが問題です。使用する抗がん剤の効果と副作用を検討した結果、ティーエスワンの1年間の投与が有効であることが知られています。(2)の目的で用いられる主な抗がん剤は5-フルオロウラシル、シスプラチン、イリノテカン、タキサン系薬剤(パクリタキセルとドセタキセル)です。最初に行うべき治療は5-フルオロウラシル系薬剤であるティーエスワンとシスプラチンを組み合わせた治療法です。この他にも、ティーエスワンにタキサン系薬剤を組み合わせた治療法も期待されていますが、現在までに有効性の証明はされていません。この他、ティーエスワンとシスプラチンにタキサン系薬剤であるドセタキセルを組み合わせた3剤併用療法も検討されていますが、その効果や安全性の十分なデータはありません。
最近の研究で、胃がんの約20%にHER2(ハーツウ)という細胞増殖にかかわるたんぱく質が多く発現していることが分かりました。2009年の米国臨床腫瘍学会において、HER2を多く発現している胃がんにHER2の働きを抑える分子標的治療薬(トラスツズマブ)を併用すると、予後の改善することが報告されました。この薬剤は乳がんの治療薬として使われていますが、近い将来、胃がんにおける治療薬になると期待されています。
また、手術成績向上のため、手術可能な患者さんに対する術前化学療法の研究も進んでいます。高度リンパ節転移症例に対するティーエスワンとシスプラチンによる術前化学療法は、術前化学療法なしに比べて優れている可能性が高いことが示されています。現在、高度リンパ節転移を伴う症例に対して、術前化学療法がおこなわれるようになってきています。
【放射線療法】
放射線は、胃がんに対する効果が弱いうえに正常な大腸や小腸を損傷しやすいため、通常は胃がんに対して放射線を照射することはありません。しかし、脳や骨やリンパ節などに転移が起きたときに、その転移部位に放射線をかけることがあります。

胃がんの名医

胃がんの病院ランキング
  医療機関名         胃がん手術数   内視鏡治療  手術なし   所在地
1 癌研有明病院           296       185     194  東京都江東区
2 国立がん研究センター中央病院   199       207     251  東京都中央区
3 静岡県立静岡がんセンター     183       196     378  静岡県駿東郡
4 国立がん研究センター東病院    132       110     151  千葉県柏市
5 恵祐会札幌病院          118       79      32  北海道札幌市
6 山形県立中央病院         104       73      74  山形県山形市
7 千葉県がんセンター        102       53      32  千葉県千葉市
8 自治医科大学附属病院       99        64      90  栃木県下野市
8 広島市立広島市民病院       99        63      75  広島県広島市
10 四国がんセンター         95       51      123  愛媛県松山市
11 岩手県立中央病院         91       29      53  岩手県盛岡市
11 北里大学東病院         91        115     117  神奈川県相模原市
11 大阪市立総合医療センター    91        50      57  大阪府大阪市
14 東京女子医科大学病院      90        36      73  東京都新宿区
14 新潟県立がんセンター新潟病院  90        45      206  新潟県新潟市
16 大垣市民病院          88        26      121  岐阜県大垣市
17 仙台厚生病院          87        110      80  宮城県仙台市
18 倉敷中央病院          86        52      165  岡山県倉敷市
18 岡山済生会総合病院       86        46      74  岡山県岡山市
20 兵庫県立がんセンター      85        62      151  兵庫県明石市
21 虎の門病院           84        104     118  東京都港区
21 神奈川県立がんセンター     84        66      120  神奈川県横浜市
23 富山県立中央病院        82        75      79  富山県富山市
24 済生会熊本病院         81        70      73  熊本県熊本市
25 東京慈恵会医科大学附属病院   80        47      40  東京都港区
25 静岡県立総合病院        80        54      92  静岡県静岡市
27 埼玉医科大学国際医療センター  79        80      39  埼玉県日高市
28 大阪市立大学医学部附属病院   78        86      26  大阪府大阪市
28 福井県立病院          78        44      93  福井県福井市
28 新潟県立新発田病院       78        57      35  新潟県新発田市
31 順天堂大学医学部附属順天堂病院 77        54      87  東京都文京区
31 愛知県がんセンター中央病院   77        44      152  愛知県名古屋市
31 高知医療センター        77        28      22  高知県高知市
34 獨協医科大学病院        75        31      45  栃木県下都賀郡
34 大阪府済生会中津病院      75        90      38  大阪府大阪市
34 新潟市民病院          75        102      83  新潟県新潟市
37 横浜市立大学附属市民総合医療センター 74     90      51  神奈川県横浜市
37 大阪赤十字病院         74        70      120  大阪府大阪市
37 札幌厚生病院          74        68      67  北海道札幌市
40 長岡中央総合病院        73        81      110  新潟県長岡市
40 都立駒込病院          73        67      180  東京都文京区
42 岐阜大学医学部附属病院     72        49      35  岐阜県岐阜市
42 和歌山県立医科大学附属病院   72        82      25  和歌山県和歌山市
42 日立総合病院          72        26      65  茨城県日立市
42 大阪府立成人病センター     72        131     119  大阪府大阪市
42 北九州市立医療センター     72        49      -  福岡県北九州市
47 関西医科大学附属枚方病院    71        66      87  大阪府枚方市
47 久留米大学病院         71        31      38  福岡県久留米市
47 九州大学病院          71        51      81  福岡県福岡市
47 大阪医療センター        71        30      67  大阪府大阪市

肺がん治療・手術の最高の名医

氏名(敬称略)病院名
呉屋朝幸 杏林大学病院
外科教授 1974年鹿児島大学医学部卒。国立がんセンター等を経て現職。
「患者に最大の利益を還元する」をモットーに治療に取組んでいます。近い将来肺がん外科分野の中心になる人物と評されています。
土屋了介 国立がんセンター中央病院
副院長 1970年慶應義塾大学医学部卒。防衛医科大学校等を経て現職。
肺がんの手術件数で日本一の症例数を誇る国立がんセンター中央病院の中心的人物です。人当たりのよさに定評があり、話しやすい良い先生と評判です。
西脇裕 国立がんセンター東病院
臨床検査部長 1971年京都大学医学部卒。国立療養所松戸病院勤務等を経て現職。
肺がんの化学療法の治療にいち早く取組み、着実に研鑽を重ねてきたドクターです。肺がん治療の分野において、国立がんセンター東病院の中心人物の一人です。
淺村尚生 国立がんセンター中央病院
呼吸器外科医長 1983年慶應義塾大学医学部卒。米国留学等を経て1999年より現職。
年間700件の肺がん手術を三人の医師で行っている同病院の中でも、中心的な役割を果たしているドクターで、外科医としてトップレベルの技術を持っています。
一瀬幸人 国立病院機構九州がんセンター
呼吸器科部長 1978年長崎大学医学部卒。テキサス大学MDアンダーソン病院等を経て現職。
患者とのスキンシップを大切にしており、実際の肺がん診療の際には患者に直に接し、スキンシップをはかる診療を心がけています。
岡田守人 兵庫県立成人病センター
呼吸器外科長 1995年神戸大学大学院医学研究科修了。2002年より現職。
肺機能温存術式である難易度の高い気管支形成術や血管形成術によって、出来る限り肺摘除を回避する治療を行っています。
川原克信 大分大学医学部附属病院
腫瘍病態制御講座外科第二教授 1971年長崎大学医学部卒。福岡大学第二外科助教授を経て現職。
肺がん、食道がんの外科的治療を専門としており、腹腔鏡を用いた手術を積極的に取り入れ、低侵襲で根治的な縮小手術を行うことを目指しています。
佐々木康綱 埼玉医科大学病院
臨床腫瘍科教授 1980年昭和大学医学部卒。国立がんセンター病院等を経て現職。
大学病院としてはまだ珍しい腫瘍内科(臨床腫瘍科)があり、また専門病院とは違って様々な合併症を有する肺がん患者に対する治療が可能です。
中川健 癌研究会癌研有明病院
副院長 呼吸器外科部長 1966年東京大学医学部医学科卒。結核予防会結核研究所附属療養所等を経て現職。
治療する科の主体性で治療方針が決まるのではなく、「キャンサーボード」と呼ばれる臓器別診療グループで患者の病状を詳細に検討し、最適な治療を提供しています。

食道がん治療・手術の最高の名医

大津敦国立がんセンター東病院
内視鏡部長 1983年東北大学医学部卒。いわき市立総合磐城共立病院等を経て現職。
食道がんに対する放射線化学療法など、化学療法の面に力を入れています。診療の際には、外科・化学・放射線療法の良い点、悪い点を患者にしっかり伝えています。
鶴丸昌彦順天堂大学医学部附属順天堂医院
食道・胃外科教授 1970年東京大学医学部卒。虎の門病院消化器外科等を経て現職。
外科医としてのセンスとバランス感覚に優れたドクターで、「患者は家族と同じ」という意識で診療にあたる食道がんの名医です。
幕内博康東海大学医学部附属病院
病院長・外科学主任教授 1970年慶應義塾大学医学部卒。国立がんセンター等を経て現職。
食道がんの名医として知られており、特に食道の内視鏡的粘膜切除では、わが国の第一人です。専門医に「食道がんになったら是非この人」と言わしめるほどの名医です。
大杉治司大阪市立大学医学部付属病院
第二外科助教授 1975年大阪市立大学医学部卒。英国マンチェスター大学研究員等を経て現職。
腹腔鏡手術の技術の応用により、低侵襲の食道がん根治術を可能にしており、患者の術後QOLの向上に大きく貢献しています。
金子和弘昭和大学病院
消化器内科 1989年昭和大学医学部卒。国立がんセンター中央病院等を経て現職。
食道がんの早期発見のため、電子内視鏡・超音波内視鏡を常備しており、早期発見率の向上により内視鏡治療が行えるよう対処しています。
塩崎均近畿大学医学部附属病院
病院長 1970年大阪大学医学部卒。西ドイツ・ハイデルベルク大学留学等を経て現職。
食道がんで入院する患者に対して、最も適する治療法を外科、放射線科、腫瘍内科の合同会議で検討し決定しています。
篠田雅幸愛知県がんセンター中央病院
胸部外科部食道外科診療科医長 1976年金沢大学医学部卒。愛知県がんセンター社会復帰部部長等を経て現職。
食道がんの外科治療の成績は、リンパ節転移ありの進行症例が75%を占めるにも拘らず、5年生存率で60%を超す高い実績を残しています。
藤田博正久留米大学病院
外科・食道グループ教授 1972年慶應義塾大学医学部卒。産業医科大学第二外科等を経て現職。
食道がんの進行度に応じて、通常開胸、小開胸、非開胸(腹腔鏡視下)の各種の治療法が可能です。レーザーを用いた光線力学療法にも力を入れています。
細川正夫恵佑会札幌病院
理事長・院長 1968年北海道大学医学部卒。国立がんセンター病院外科等を経て現職。
可能な限り機能を残すための努力をしており、頸部食道がんでは、摘出後に顕微鏡を使い、1~2ミリの血管を吻合して「遊離空腸移植術」で頸部食道を再建しています。
室圭国立がんセンター中央病院
消化器内科 1990年東北大学医学部卒。国立がんセンター東病院等を経て現職。
消化管がんの内科治療を専門としており、中でも食道がんの治療を数多く手がけています。化学放射線療法により食道の温存に努めています。

食道がん 名医11人

加藤抱一(特殊病棟部長) 国立がんセンター中央病院(東京都)
                   ℡03-3542-2511
内視鏡部、放射線科との連携で、縮小、合併治療などの選択も可
井上晴洋(第1外科) 東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都)
                   ℡03-3813-6111
食道ガンに対する内視鏡下食道切除と再建術を併用しQOLに配慮
宇田川晴司(消化器外科部長) 虎ノ門病院(東京都)
                   ℡03-3588-1111
ガンの縮小治療・機能温存と根治性の両立を目指し、治療を個別化
吉田 操(食道外科部長) 都立駒込病院(東京都)
                   ℡03-3823-2101
他の医療機関からの難治患者も多く、根治手術で世界からも注目
大津 敦(5A病棟医長) 国立がんセンター東病院(千葉県)
                   ℡0471-33-1111
食道がんに対する放射線化学療法で非切除治療。根治手術と同等成績
落合武徳(第2外科教授) 千葉大学医学部付属病院(千葉県)
                   ℡043-222-7171
遺伝子治療も視野に入れた広範な臨床姿勢。根治手術と縮小手術も
幕内博康(消化器外科教授) 東海大学医学部付属病院(神奈川県)
                   ℡0463-93-1121
内視鏡下で身体的負担の少ない手術。早期ガンは100%社会復帰

田中乙雄
(外科部長) 新潟県立がんセンター新潟病院(新潟県)
                   ℡025-266-5111
縮小、拡大手術まで集学的治療を併用して良好な実績を収める
伊藤勝基(第2外科) 名古屋大学付属病院(愛知県)
                   ℡052-741-2111
腹腔鏡下の切除術に定評がある。術後の化学療法の導入にも積極的
中尾昭公(第2外科) 名古屋大学付属病院(愛知県)
                   ℡052-741-2111
内視鏡補助下における食道の切除、および再建術を強力に推進する
甲 利幸(第1外科医長) 大阪府立成人病センター(大阪府)
                   ℡06-6972-1181
進行ガンも含め、3段階の治療法で5年生存率46%は全国一の成績

痛みを伴う肺がんの骨への転移

肺がんは、転移しやすいがんといわれ、主に転移する場所では、リンパ節、骨、脳に転移しやすいです。
 肺がん転移について、骨への転移を考えてみます。
 肺がんの骨の転移はがんが進行するにつれて、転移していく箇所が決まっています。
 肺がんの骨の転移はまず、肋骨や胸椎に転移します。更に肺がんが進行すると腰椎や骨盤に転移します。
 この骨の転移する順番は、肺がんの発症している肺の部分の中心から広がり始めます。
 肺がんがなぜ骨に転移しやすいのか、その原因は骨の細胞が常に新陳代謝を繰り返しているからです。
 骨は骨にある骨芽細胞と破骨細胞が、新しい骨と古い骨の新陳代謝のサイクルを作っています。
 肺がんのがん細胞は、この古くなった骨を壊す破骨細胞を利用して増殖します。
また、骨に転移する原因には、がん細胞を活性化する物質が骨から分泌されていることもあります。
 肺がんは骨に転移すると骨を壊します。また、骨を形成することもあります。
これを、骨を壊す方を溶骨型といい、骨を形成する方を造骨型と呼びます。
 肺がんが骨に転移した時の症状はどのようなものでしょう。
 肺がんが骨に転移すると、強い痛みに襲われます。
 この痛みはいつも襲いかかり強い痛みを感じ、その場所はいろいろと変わります。
 肺がんが脊椎に転移すると、ここを通る神経が圧迫され神経障害が起き、手足にしびれが起き身体に麻痺が起きることもあります。
 また、骨が壊れやすくもろくなっていますので、骨折することもあります。
 骨のカルシウムはがん細胞の転移で溶解し、この影響で強い眠気やのどの渇きを訴える方もいます。
 肺がんの骨への転移は、十分な治療計画が重要で、一度、肺がんが改善した場合は、再発しないように経過観察が大切になります。

肺がんと女性ホルモンに関わる要因

女性の喫煙率は男性よりも低いです。この事から女性の肺がん罹患率は少ないとも言われていますが、喫煙しない女性にも肺がんは発症します。
喫煙以外にも生殖関連要因やホルモン剤使用が、肺がんの発生と関係があるのではないかと考えられています。
厚労省が40~69歳までの喫煙していない女性約45000人を対象に、女性ホルモンに関わる要因と肺がんリスクとの関連を調べたところ、対象となった約45000人のうち、153人が2002年までに肺がんを発症したのですが、そのうち閉経していた111人をさらに詳しく調べたところ、月経のある期間が長いと肺がんになる危険が約2倍~2・5倍高いことがわかりました。
女性ホルモンが具体的にどのようにして肺がんに関わるのかは、まだ正確には分かっていないようですが、女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、肺のがん細胞の増殖を直接促進したり、肺がん細胞中のエストロゲン受容体に、エストロゲンがつくことによってがん化を促進し、肺がんの発生に関わるのではないだろうかと考えられています。
さらに、ホルモン剤の使用と肺がん発生率との関係では、自然閉経でホルモン剤を使用したことのない人と比較して、人工的に閉経しホルモン剤を使用したことのある人では肺がんの発生率が2倍以上高いそうです。
この他の要因として喫煙率に出てこない隠れ喫煙者の存在(女性は自分が喫煙者だと言うことを隠したがる)とヘビースモーカーの配偶者の存在も指摘されています。

胃がんの検査

胃がんの病期を決定するのに不可欠なのが、検査です。
「胃がんの検査で大事なのは、がんの大きさや形よりも、がんの深さです。それに、転移の具合を確かめることです。この2つの要素で病期が決まります」(山口さん)
 胃は、食べ物を一時的に貯蔵するための袋になっています。袋は筋肉で作られ、その一番内側は粘膜という柔らかい組織で内張りされています。がんはこの粘膜にでき、大きくなると、胃の内側に飛び出したり、胃の壁の中に深く食い込んでいきます。そしてこの壁を破ると、近くの大腸や膵臓などの臓器に広がったり、お腹の中に散らばったりします。壁の厚みは5ミリぐらいの薄さですが、この壁のどこまでがんが達しているかががんの深さで、これを深達度といい、T(腫瘍に由来)で表します。
 胃がんは壁の中を進んでいくばかりではありません。胃のリンパ管や血管の中に入り込んで、リンパ液や血液の流れに乗ってリンパ節や遠くの臓器にも飛んでいきます。これが転移です。この深さと転移の2つの要素でがんの病期が決まるのです。
 その深さと転移を調べる検査にはどんなものがあるのでしょうか。
 内視鏡検査、バリウムによるX線検査、CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査等、いろいろあります。
 内視鏡は、患者さんの口から入れて胃の内部を調べる検査です。粘膜の異常な凹凸や色の変わったところを調べるのですが、もう1つ重要なのが、がん組織の一部を採取し、顕微鏡で調べて、がんかどうかを最終的に判定する(確定診断)ことです。
 一方のCTは、X線被曝の難点はありますが、最近の装置は解像度がすばらしく、お腹の中の血管の走行やある程度のリンパ節転移も検出できるそうで、転移を調べるのに有力な武器です。これに対して、超音波内視鏡は、理論的には深さを見るのにいいのですが、潰瘍の痕とがんとの鑑別が難しいなど、精度が落ちるのが難点です。PET(陽電子放出断層撮影)も精度がよくなく、胃がんではその検査の意義もまだわかっていないそうです。

病期(ステージ)別治療

食道がんは非常に早期に発見された場合、治癒の可能性が高いです。しかし食道がんと診断された時に、すでに病気が進行した状態である場合があります。進行した病期では、食道がんに対して治療は行えますが、治癒する可能性は低くなります。
0期(上皮内がん)内視鏡治療
外科療法(手術)
化学放射線療法(放射線療法と抗がん剤の併用療法)
粘膜にとどまるがんでは、食道を温存できる内視鏡治療が可能です。がんの範囲が広いために内視鏡的に切除できない場合には、手術で切除します。
Ⅰ期外科療法(手術)
化学放射線療法(放射線療法と抗がん剤の併用療法)
化学放射線療法により、手術をせずに臓器を温存しつつ手術とほぼ同等の治癒率が得られるという報告もあります。化学放射線療法と外科療法の効果を比較検討する研究も行われておりますが、まだその結果ははっきりとはしておらず、現状での標準治療は手術です。
Ⅱ期・Ⅲ期外科療法(手術)
手術と化学療法または化学放射線療法の合併療法
化学放射線療法(放射線療法と抗がん剤の併用療法)
手術が標準治療です。治療前の検討で、手術によって完全にがん病巣をとり除くことができると判断され、体力(心臓や肺の機能、あるいは重い合併症の有無など)も手術に耐えうると判断された場合には手術が選択されます。再発・転移の防止のために手術前後に化学療法または化学放射線療法を行うこともあります。一方、治療前の検討で体力が手術に耐えられないと判断されたり、手術療法を希望されなかった場合には、化学放射線療法もしくは放射線療法のみが選択されます。
Ⅳ期化学療法
化学放射線療法(放射線療法と抗がん剤の併用療法)
放射線療法
痛みや他の苦痛に対する症状緩和を目的とした治療
通常、Ⅳ期では手術を行うことはなく、化学療法や化学放射線療法が行われます。明らかながんの縮小を認めることもありますが、すべてのがんを消失させることは困難です。高齢者や全身状態が不良な場合には化学療法ができないこともあり、その場合は放射線療法が行われます。
Ⅳ期ではがんによる症状を認めることが多く、痛みや呼吸困難などの症状を緩和するための治療が重要になります。症状緩和の治療技術はかなり進歩してきており、多くの症状を軽減することが可能となっています。

食道がんの治療

治療方針
外科療法(手術)手術は食道がんに対する最も一般的な治療法です。
放射線療法放射線療法は放射線を用いてがん細胞を殺すがん治療のことです。放射線をがんの局所に照射してがん細胞を殺します。放射線療法の方法はがんの種類や大きさ、病期によって異なります。
化学療法(抗がん剤治療)化学療法は薬剤を用いてがん細胞をおさえる治療のことです。口から服用したり、静脈内に注射する化学療法では、薬剤が血液の流れに乗って全身のがん細胞に影響します。薬剤の種類や組み合わせはがんの種類や病期によって異なります。
化学放射線療法文字通り化学療法と放射線療法を組み合わせた治療法です。化学放射線療法の方法はがんの種類や病期によって異なります。
内視鏡治療(EMR:内視鏡的粘膜切除術; ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術)食道壁の粘膜下層までにとどまる「表在型」のがんのうち、粘膜層にとどまりリンパ節転移のない食道がんを早期食道がんと呼びます。内視鏡治療は、この粘膜にとどまったがんを内視鏡(胃カメラ)で見ながら食道の内側から切り取る治療法です。切除したがんを顕微鏡で詳しく調べた結果、もし治療前の診断より深く拡がっていたりした場合、がんが食道の外側のリンパ節などに拡がっている(転移している)可能性があるため、追加の手術や放射線療法、化学放射線療法が必要になります。

肺がんを予防する効果がある食べ物

肺がんの予防に効果があるといわれる食べ物では、フルーツや野菜やお茶が良いといわれています。中でもキャベツやブロッコリーが効果的といわれています。
 肺がんの研究において予防に効果がある食べ物は、「抗変異原性」「抗発がん性」がある食べ物が良く、これはフラボノイドを含む野菜やフルーツが効果があるといわれます。
 フラボノイドは高酸化作用を持つポリフェノールの一種で、植物の色素のことをいいます。
 フラボノイドは細胞の活性化作用があり、活性酸素を抑制し免疫機能を高めます。
 また、コラーゲン合成を強化し、殺菌消炎作用と高ストレス作用があり、これらは人の身体にとって大切な成分になります。
 フラボノイドはいくつか性質によって分類され、これにはカテキン、イソフラボン、アントシアニンとよく聞く名前がありますが、これらはすべてフラボノイドに含まれます。
そして、フラボノイドを含む食品を取ると、肺がんにかかりにくいことが、研究によってわかっています。
 また、フラボノイドと同様にお茶が効果的に肺がんの予防に役立ちます。
 お茶にはカテキンという物質が多く含まれています。
 このカテキンは、良く名前の知られたもので、さまざまな効果を持っています。
 カテキンは肺がんにおいても、これをお茶で取ることで発症リスクを減少させます。
 カテキンの一日の摂取の目安は、4mg取ることで肺がんの予防に効果的に働き、あるデータでは、肺がんの発症リスクが51%抑えられた結果があります。
 この他にも肺がんの発症リスクを抑える効果があるものでは、イチゴ、リンゴ、サツマイモ、玉ネギ、豆類、ホウレンソウ、ワインや紅茶なども肺がん予防に効果的といわれます。
 肺がんの予防に効果的といわれる食べ物は、これほど多くあります。

上部消化管X線造影検査とは?

一般にいうバリウム検査のことで、X線を透過しない硫酸バリウムの乳化剤を飲んで、食道から胃・十二指腸までの上部消化管を造影し、テレビモニターで観察するとともに、X線撮影して、それらの臓器の病変を診断します。また、手術後の経過観察にも使われます。
      GIS.jpg    
 上部消化管X線造影検査で何がわかるのか?
 食道、胃、十二指腸の病気の発見と診断のために行なわれます。特に食道がん、胃がん、胃・十二指腸潰瘍の診断に欠かせない検査です。通常のX線検査と違うのは、バリウムを飲んで、さらに発泡剤で胃を膨らませて撮影するという点です。胃を膨らませて、その内面にバリウムを塗りつけた状態になるので、胃壁などに生じた病変を早い段階から発見することができます(二重造影法)。
 上部消化管X線造影検査はどのように行なうのか? 当日の朝食を抜き、一切の飲食をしない状態で検査に臨みます。検査前には、胃の蠕動運動を抑えて鮮明な画像を得るため、上腕部に鎮痙剤の筋肉注射をします。バリウムと発泡剤を飲むと、胃の中では発泡剤から発生した炭酸ガスで胃が膨らみ、バリウムが内壁のほうへ押しやられて付着します。二重造影法で消化管の内壁をはっきりと写し出すためには、内壁に薄くまんべんなくバリウムを付着させる必要があります。そのため、機械で透視台を動かしたり、患者さん自身に体の向きを変えてもらったりして、バリウムを胃の中で動かし、内壁全体に行き渡るようにしているのです。
 検査にかかる時間はおよそ10~15分です。バリウムが少し飲みにくい(フルーツ味などがありますがやはり不味い)のと、ゲップを出したくなるくらいで、検査中の苦痛はありません。
 検査結果の判定 消化管X線造影写真は、粘膜に付着したバリウムが白く映り、空気(発泡剤で発生したガスなど)は黒く映り、消化管粘膜の微細部までわかるコントラストのはっきりした二重造影となります。
異常の有無は、消化管の形状に狭窄や周囲の臓器のよる圧迫、偏位、変形がないか、がんや潰瘍、炎症はないかなど、X線撮影された消化管像の形状で診断します。
 胃潰瘍の場合は胃粘膜がえぐれるため、側面像ではニッシェ(欠損部へのバリウムの溜まり)が見えたり、二重造影ではバリウムのたまりや、雛壁の集中像がみられます。胃がんの場合は、不整なニッシェや大きな隆起像がみられます。胃ポリープはいぼ状の突起物のため、小さな円形の抜けた像としてみられます。十二指腸潰瘍は十二指腸球部の変形やニッシェがみられます。
 異常があったらどうするか? 
 異常が見つかった場合は、再度、X線検査を受けたり、上部消化管内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)などでさらに詳しく検査します。がんが疑われる場合は、内視鏡検査で組織を採取する生検を行なったり、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)検査などを行ないます。
 異常な場合に疑われる病気
 食道がん、食道炎、食道静脈瘤、胃潰瘍、胃がん、胃炎、胃ポリープ、十二指腸潰瘍など

胃透視(バリウム検査)

受診の際の留意事項
検査前日まで
◆ 検診日の2日位前からは、アルコール類を控えて下さい。
◆ 検診前日の夕食は、消化の悪い物は避けて下さい。また、午後10時までに食事を済ませ、それ以降は飲食をしないで下さい。当日、撮影の際、胃に食物が残っていると検診を中止することになりますので注意して下さい。
検査当日
◆ 検診当日は絶食でお願いします。たばこ・ガムも厳禁です。胃の壁を刺激して、胃液がたくさんでてしまい、胃の壁にバリウムがつきにくくなり、精密検査が必要という結果になることもありますので検査が終了するまでは、食べたり飲んだり吸ったりしないで下さい。
◆ 胸の周り・おなかの周りにボタン・カギホック・ファスナー等が付いていれば検診衣(ガウン)にあらかじめ着替えて準備をお願いします。
検査の手順
① 問診を行います。
② 発泡剤(顆粒)を口の奥の方に入れ少量の水と一緒に飲み込みます。おなかが張りゲップがでそうになりますが、唾を飲み込む要領で検査が終わるまでゲップを出さないで下さい。
③ バリウムをひとくち口に含み、指示により空気と一緒に飲みます。(食道二重造影像を撮影する場合のみ)
④ バリウムを全て飲みます。こぼさない様に飲んで下さい。こぼして服に付くと検診衣(ガウン)を着替えていただきます。
⑤ 撮影を行います。台が倒れ、体を仰向けやうつぶせ、左右に回転させるなどの指示が出され様々な角度から撮影を行います。胃の動きを止めるため「息を止めてください。」という指示があります。胃が動いているとボケた写真になってしまいますので、しっかりと息を止め、おなかを動かさないようにお願いします。
◇人間ドック 撮影時間 …… 約 7 分
◇住民検診 撮影時間 …… 約 3 分
バリウム(造影剤)・発泡剤(炭酸)はなぜ必要か?
◆ 胃は、透明なしぼんだ風船のような物ですから胃の内壁にバリウムを塗り付ける必要があります。また、発泡剤は、胃を膨らます薬です。胃を膨らますことによって1mm単位の病変を発見することが可能になります。膨らんでない胃袋では胃の中を観察することができません。バリウムはX線を多く吸収し、発泡剤はX線の吸収が少なく、胃内壁の濃淡画像を作り撮影する方法のため必要です。
検診終了後の注意◆ 検診終了後多めに水(コップ2杯位)を飲み、30分ぐらい時間をおいてから緩下剤を服用して下さい。
◆ 検診終了後24時間経過しても、バリウム便(白い便)が全く出なく腹痛を伴うようであればすみやかに医療機関にご相談下さい。また、検診の次の日から2日を過ぎても排便をみない場合は、腹痛を伴わなくても医療機関を受診して下さい。
◆ バリウムは体内に吸収されることなく、胃から小腸、大腸へ進み最終的に肛門から身体の外に排泄されます。そのため、水分をたくさんとって早く白い便を出すようにして下さい。そうしないと、腸の中で固まって、出にくくなり最悪の場合、セメントのように固まる場合もありますので注意して下さい。

食道がん病期:ステージ

0期(上皮内がん)
がんが粘膜にとどまっており、リンパ節や他の臓器にがんの転移・浸潤が認められないものです。いわゆる早期がん、初期がんと呼ばれているがんです。
Ⅰ期
がんが粘膜にとどまっていますがすぐ近くのリンパ節のみに転移があると判断された時、あるいはがんが粘膜下層まで拡がっていますがリンパ節や他の臓器にがんが認められなければⅠ期と分類します。
Ⅱ期
がんが筋層を越えて食道の壁の外にわずかに出ていると判断された時、あるいは食道がんが筋層にまで拡がり、すぐ近くのリンパ節のみにがんがあると判断された時、そして他の臓器にがんが認められなければⅡ期と分類します。
Ⅲ期
がんが筋層を越えて食道の壁の外に明らかに出ていると判断された時、あるいは食道のがんから少し離れたリンパ節にがんがあると判断された時、そして他の臓器にがんが認められなければⅢ期と分類します。
Ⅳ期
がんが食道周囲の臓器に喰い込んでいる(浸潤している)か、がんから遠く離れたリンパ節にがんがあると判断された時、あるいは他の臓器にがんが認められたらⅣ期と分類します。

食道がんの進行度

食道がんの治療法を決めたり、また治療によりどの程度治る見込みがあるかを予想したりする時に、どれくらい病気が進行しているかをあらわす進行度分類(病期:ステージ)を使用します。
日本では日本食道学会の「食道がん取扱い規約」に基づいて進行度分類を行っています。
最近では欧米を中心に国際的な分類であるUICCのTNM病期分類も使われる場合もあります。
各検査で得られた所見、あるいは手術時の所見により、深達度(がんの深さ)、リンパ節転移、他の臓器の転移の有無にしたがって病期を決定します。
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食道がんの再発の可能性

がんの治療や切除手術を受け、治療や手術後にはまったく見られなくなったがん細胞が、また、増殖し始めることを再発といいます。
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がん細胞は、切除できる大きさのものから、顕微鏡で見なければわからないほどの小さながん細胞もあります。
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 食道がんが再発する場合、最初に手術で食道を取り除いている場合も多く、リンパ節、肺、肝臓、骨などに転移している場合が多いそうです。
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 また、食道がんには、頸部食道がん、胸部食道がん、腹部食道がんがありますが、がん病巣が大きかった場合に、その部位から再発する可能性も高いという説もあります。
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 食道がんの再発の早期発見は、治療後に定期的に受ける診察によるものも大きいです。
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 通常は、食道がんの治療や手術後に、1ヶ月に1度程度の診察を受け、病後の体調や再発していないかなどをチェックします。
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 それからしばらくすると、3ヶ月に1度、6ヶ月に1度というように、診察の回数も減ってきます。
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 ただし、食道がんの進行度合いが重度であった場合は、早期の食道がんに比べ、再発の可能性が高いため、定期的に診察を受ける必要があります。
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 また、食道がんの再発は、再発した部位ががん細胞に侵されていることによる自覚症状によりわかることもあります。
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 食道がん自体は自覚症状の少ないがんですが、たとえば、リンパ節に転移すると、転移したリンパ節の場所にもよりますが、痛みや腫れを感じることがあります。
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 また、骨に転移した場合には痛みを感じます、食道がんの治療後、手術後には、身体の少しの変化でも気をつけるようにし、違和感を覚える場合、痛みを伴う場合は、早急に担当医の診断を受けるようにしましょう。
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 食道がんが再発した場合には、残念ながら、治る可能性はとても低いものになってしまいます、余命は早ければ3ヶ月で、治療効果にもよりますが、食道がん再発後の余命は半年から1年といわれています。

食道がんが再発した場合の治療

初回の治療で完全に治ったように見えても、食道がんが再発することがあります。同じ部分だけではなく、リンパ節や肺、肝臓、骨などへの転移として発見されることもあり、こちらが主流と言えます。
 再発食道がんの症状は、部位によって異なります。たとえば、首のリンパ節の場合には声が枯れてくることや、首の腫れを感じることがあります。
 骨転移の場合には該当部分の骨の痛みを感じます。肺や肝臓の場合には症状が目立たない傾向がありますが、悪化すると腹部の張りや咳、胸の痛みといった症状が見られるようになります。
 残念ながら、再発した場合には良好な予後が望めることは少なく、余命が半年ほどに限られてしまうのが一般的です。このような厳しい現状がありますので、できるだけ初回の治療によって完治させておくことが大切です。
 また、食道がんが再発した場合に早めに発見するためには、こまめに経過観察を行う必要があります。
 治療が終わったのに病院に頻繁に通うのは気が進まないかもしれませんが、必要なことですので指定された時期に通院してください。
 治療の方法は部位や初回に行った治療法によっても異なり、一概には言えません。ただし、手術できることはまれで、放射線療法や化学療法を行うことが中心になります。
 鎮痛剤によって痛みを軽くすることも行われています。
 現状として、再発食道がんが治癒する確率は非常に低いと言わざるをえません。
 非常に死亡率が高くなってしまうので、末期に向けての覚悟をしなくてはならないことが多く、余命とも向き合っていくことになります。
 再発に影響を及ぼすたんぱく質が特定されたというニュースがありますので、今後はこの研究から派生した治療法が開発されることによって、克復への道が開けることになるかもしれません。
 医療においては、現在の状況が続いていくだけではなく、どんどん水準が向上していきますので、未来に向けて最新の方法は進歩しています。

食道がんの再発について

食道がんの初回治療としての策として内視鏡的治療、科学放射線治療、根治的手術などいくつかの治療法、完治にむけての方法がありまた、再発食道がんの治療も種類により個別に考えなくてはならない。
 また再発の種類によっても治療が異なる。遠隔臓器再発、リンパ節再発、局所再発すべて治療法が異なる。初回治療が完璧に完治としても再発となる場合は多いようである。
 だが再発治療の場合、治療はもちろん積極的治療を望むが腫瘍増悪を抑える治療あるいは、QOLの改善を目的とした治療が多くなります。
 また再発がおこらないためには術後のフォローが必要と考えます。まず退院から二週間ほどしたら受診なさること。退院後、自宅でスムーズな生活ができているか、食事分量など、風邪、肺炎の危険はないかなどの確認をする。
 大体退院後の受診の場合は原則として三ヶ月毎と決まっています。質疑応答、腫瘍マーカーなどの受診はこの様な進行ですが転移などのCTなどは大体六ヶ月毎としています。次に内視鏡検査は年一回ペースで行なう。
 このように術後、退院後のケアは非常に大切で再発を防ぐためにはもっとも重要です。
 また外来抗がん剤治療や短期間での入院での抗がん剤治療なども再発防止に大きく役立っていますし、万が一に再発の場合にも積極的治療を行い、より患者の症状に適した治療法で最適な治療を行なっています。
 患者自身も根治したからと喫煙などは死亡とまでに及ぼす原因となりますからおやめになることが再発防止の手段でもあります。

スキルス胃がん治療方法

特殊な治療法が取られているわけではなく、手術や化学療法、放射線といった胃がんに用いられている方法がスキルス性の場合にも用いられています。
 ただし、症状が進行していたり、末期になっていたりすることが多いために、なかなか良好な結果は出ていません。
 手術は病巣を取り除くために有効な治療法となるのですが、広範なリンパ節転移や多臓器への遠隔転移、腹膜播種という腹腔内に癌細胞が広がっていることが多いため、根治手術が適用されるケースは限られており、半数にも満たないとされています。予後も良好とは言えず、術後に再発することも多くあります。
 転移している場合にも使える治療法として、抗がん剤による化学療法があります。ただし、以前は有効な薬剤が存在しませんでした。
 しかし、現在ではTS-1という薬が使用できるようになり、効果が有望視されています。
 このことは、化学療法を単独で用いる場合に希望をもたらしただけではなく、手術の補助療法として術前に用いることで腫瘍を縮小させて切除を適用できる範囲にしたり、術後にTS-1を使用することで再発を予防することにもつながっています。
 完治させることは容易ではなく、克服できたように見えても、時間が経過すると再発してしまうことが多いのも事実です。

スキルス胃がんの余命

末期になってしまうことが多いため、余命について考えなくてはならなくなるケースが多い病気であると言えます。
 患者さん本人に告知することによって生きる気力を失わせてしまうこともあるため、あえて宣告は避けることもありますが、昔と比べると事実を伝えることが増えているようです。
 余命が限られた状態であれば、残された時間で後悔や心残りのないように人生を終える準備をしておきたいと願う方も多いため、告知は悪いことではありません。
 ただし、心理的な負担は大きいため、慎重に行うべきものであることは言うまでもありません。
 気持ちを落ち着かせて前向きに生きることができれば、スキルス胃がんが末期症状になり、余命が長くはない状態であっても、価値のある時間を過ごすことができます。
 そのためにも家族や、病院の医師や看護士の支えが求められます。
 考え方によって、余命が分かっていることは唐突な事故死のようなものよりも期間に猶予を与えられたことになりますので、やり残したことがない状態を整えるためのチャンスであり、準備期間にもなります。
 その反面、死を意識せざるをえない残酷な時間でもあります。受け止め方は人によってまちまちですが、やはり心理的なプレッシャーは計り知れないものですので、できるだけ周囲の協力が必要です。
 主治医から余命を告げられたとしても、それは平均的な目安に過ぎません。
 実際には、教えられた時期が過ぎても長く生き続ける方もいますので、絶対視することはありません。
 あくまでもおよその見当と考えておきましょう。

スキルス胃がんの生存率

命に関わる病気ですから、生存率という概念が重要な意味を持ってきます。これが高ければ、一定期間が経過しても生きていられることが多くなりますし、低くなれば残念ながら死亡する確率が高いことになります。
 胃がん全体の5年生存率の目安として、ステージ3期であれば40%、4期であれば10%を切ることになります。ステージは病期とも呼ばれており、症状の進行度を表しており、4期がもっとも進行した状態になります。
 したがって、どの程度悪化した状態であるかによって、生存率も変わってくるのです。
 スキルス性の場合にも症状の進行度によって生存率は変わりますが、決して楽観できる数字ではないことは、上記の目安からもうかがい知ることができます。

スキルス胃がんの自覚症状

腹痛や腹部が重苦しくなる感覚、吐血や下血、長引く吐き気、食欲不振、腹膜播種という転移による腹水の貯留や腸閉塞といったものがあります。
もっとも、自覚症状というよりも、進行してから自覚できるようになることが多いため、残念ながらこれらの兆候が現れたら、早期ではない可能性が高いと言えます。
スキルス胃がんに特有の症状ではないため、まったく異なる病気が原因である可能性もあります。
多いのが胃潰瘍や胃炎ですが、その他にも様々な疾患が同様の症状を引き起こすことがあるため、気になる時には早めに病院に行って診断を受けておきましょう。

スキルス胃がんは画像診断で見つけづらい

定期的に検診を受けてバリウムを飲み、レントゲン写真を撮影している方もいます。
X線検査という名前で呼ばれることもあります。死亡率を下げる効果が確認されている有効な検診の手段なのですが、残念ながらスキルス胃がんは胃壁の表面に異常がすくないため、画像を見ても分かりづらいことが特徴となっています。
つまり、症状がよほど進行してしまわない限り、画像診断では発見するのが難しいのです。これによって早期発見が困難になり、悪化してしまうことにつながっています。
レントゲンの画像よりも詳細な情報が得られる内視鏡検査であっても、残念ながら見落とされてしまうことが多く、早期発見に有効とは言えません。
結局、自覚症状がないうちには発見が困難なのですが、進行するまでは明確な兆候が現れることもなく、転移が進んで治療が難しくなるまで見つからないことが多いのです。

スキルス胃がんとは

スキルス胃がんの特徴は生存率が低く、発見された段階で残されている余命が長くないことが多いことです。悪性度が高いため、治療が難しい状態になっているのです。
スキルスとは、硬がんの意味です。進行すると胃が縮み、その名の通り硬くなります。胃壁の中で癌細胞が横に広がっていくのですが、一般的な胃がんのように粘膜の表面に潰瘍や隆起を形成することが少なく、検査を行っても見つけづらい傾向にあります。
そのため、初期症状の段階で見つけることは難しく、進行して転移がある状態で見つかることが多いのです。
日本胃癌学会という専門医等によって構成されている学会がまとめた取り扱い規約に基づくと、肉眼型分類が4型に分類される進行胃がんがスキルス性と呼ばれています。
スキルス性が胃がんの全体に占める割合は1割ほどです。そのため、かなり限られた割合となるのですが、胃がんの患者数が癌の中でも多いために、決して珍しい病気ではありません。
胃がんは中高年の男性に多く見られる疾患ですが、スキルス性の場合には30代から40代の女性に多く見られます。
女性ホルモンが関わっているという説もありますが、関係は明確になっていません。比較的若い世代ですので病気になるという危機感も強くないことが多く、発見が遅れる原因の一つになっています。

食道がん進行度診断のための検査

がんの種類およびがん細胞が食道内にとどまっているか、それとも体の他の部分まで拡がっているかを調べるために行われる検査を「病期診断」といいます。
 病期診断のために行われた検査から得られた情報から、疾患の病期が決定されます。治療計画を立てるためには病期を把握することが重要であり、病期診断のために行われる検査や方法には次のようなものがあります。
CT検査食道がんの大きさ・周囲への浸潤・リンパ節への転移の有無・肺や肝臓などへの遠隔転移の有無を評価します。
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PET検査(陽電子放射断層撮影検査)体内にあるがん細胞をみつけるための検査です。悪性のがん細胞は正常の細胞よりも活発で、グルコース(糖)をより多く吸収します。PET検査では、少量の放射性グルコースを静脈内に注射し、その取り込みの分布を撮影して悪性がん細胞を検出します。糖の取り込みが多い部位は強く染まることで全身の転移の有無を検索し、食道がんの病期決定に役立てます。特にCT検査による判断が困難な転移の評価に有用な場合があります。
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超音波内視鏡検査(EUS)外見上は内視鏡(胃カメラ)と変わりないのですが、食道内壁の粘膜を観察する内視鏡検査と異なり、内視鏡の先端についた超音波装置を用いて粘膜下の状態、食道の壁や食道壁外の構造などを観察することができます。つまり、食道がんがどのくらい深く進展しているか、周りの臓器(気管や血管)へ喰い込んでいないか、食道の外側にあるリンパ節が腫れていないか(リンパ節転移の有無)などについてのより詳細な情報を得ることができます。これは、治療方針の決定に非常に重要な役割を果たします。

生検

生きている人間、すなわち生体から組織の一部を採取し、その組織学的形態像から病気の診断を行う方法で、バイオプシーbiopsyともいう。
 皮膚生検のように体表から生検を行う場合には、その方法は比較的簡単であるが、体内の臓器から生検をする場合には、ファイバースコープを代表とする内視鏡を介して生検する。
 たとえば食道、胃、小腸および大腸のような消化管では、ファイバースコープによる直視下生検が行われている。
 また、肝臓に対しては腹腔(ふくくう)鏡直視下に行う肝生検のほか、内視鏡を使わない盲目的な肝生検も行われている。
 なお、胃癌(がん)とくに早期胃癌の診断には胃生検が不可欠である。また、従来生検が困難であった膵臓(すいぞう)に対しても、膵生検が試みられるようになった。

内視鏡検査

胃の電子スコ-プは、病変を詳しく調べるために、直接テレビ撮影し、ビデオにも記録できる、最新の検査装置です.レントゲン検査よりもはるかに,また以前の胃カメラやファイバ-・スコ-プよりもいっそう詳しく病変が観察できるのが特徴です.
この検査では,食道,胃,十二指腸の形態の変化,潰瘍,腫瘍あるいは各種の炎症性病変の診断ができます.生検といって病変の一部を採取し,病理検査によって手術が必要な病変か,そのままお薬で経過を見てよい病変なのかを鑑別することもできます.
 以前の装置に比べ検査中の苦痛も少なくなりました.特に反射が強く、つらい経験をした方は、軽く眠っている間に終わってしまう方法も選べます.安心して検査をお受け下さい.
 検査前日まで(前の晩)の注意
 抗血栓薬(ワーファリン、パナルジン、プロサイリン、プレタール、バイアスピリン等)を服用中の方は、休薬と再開の時期を主治医と相談して決めてください.休薬しなくても検査はできますが、生検(病理検査)は出来ないことがあります.通常は検査前約1週間の休薬が必要です.
 前日の夕食は,普通に食べて下さい(海苔、昆布、ワカメなど消化の悪いものはさけて下さい).
 その後,就寝まで水分(お茶,水)を充分摂取して下さい.
 検査当日(朝)の注意
 検査の日は朝食を食べずに来院して下さい.
 糖尿病の薬、抗血栓薬以外で、いつも朝に服用している薬は少量の水で服用してかまいません.
 歯も磨いて結構です.少量のお水は飲んでも大丈夫です.
 入れ歯のある方、特殊なお薬を服用している方、アレルギーや体の具合いの悪い方は看護婦に申し出て下さい.
 反射が強いため以前の検査で苦しい思いをされた方は、安定剤で軽く眠っている間に検査を受ける方法も選べますので申し出て下さい.(その方は、車の運転をしないで来院して下さい)
 検査前の処置
 ゼリー状の麻酔薬とスプレーでのどを麻酔し、ベッドに仰向けに寝ます.
 腕に胃の緊張を取る注射をします.反射の強い方には安定剤で軽く眠っている間に検査ができる注射をします.
 
 検査の後は
 検査の後、約2時間は,のどの麻酔がきいていますから,飲んだり食べたりしないでください.その間は,下を向いて軽く口をすすぐ程度にして下さい.
 2時間位経って、のどがいつものような感じになったら、少量の水を飲み、むせずにうまく飲込める事を確かめてから飲食をはじめて下さい.
 安定剤の注射をした方は,少し長めに休んでもらいます.念のため帰宅後もしばらく安静にして下さい(その日は車の運転をしないで下さい).
 結果はビデオにより、その場でごらんになれます.
 色素散布をされた方は、検査後尿や便が青みがかることがありますが、色素が排泄されるためで、すぐに元に戻りますから心配しないで下さい.
 生検(病理検査)の標本を採取された方は、胃粘膜から少量の出血がありますので、検査当日は刺激物(香辛料、柑橘類等)や酒類の摂取は控えて下さい.翌日の便が、少し黒っぽくなることがあります.その後も、黒いタール様の便が続くようでしたら、すぐにご連絡下さい.
 組織の生検をされた方は、病理検査の結果が10日から2週間後には出ますので、必ず結果を聞きに来院して下さい.
検 査後、大量の血を吐いたり、黒いタール様の便が出るときは、すぐに病院に連絡して下さい.

食道・胃・十二指腸造影検査(GIS)

目的
 バリウムと空気による二重造影法によって,食道・胃・十二指腸などの消化管の粘膜の病変をX線写真として,撮影します。
◆検査の方法  検査の始まる2~3分前に,胃や腸の蠕動(動き)をおさえる筋肉注射をします。
少量のバリウムを飲んでから,胃を軽く圧迫しながら,撮影します。
一口バリウムを口の中にほおばっていただき,合図と同時に飲み込んでください。食道の撮影をします。( 数回くりかえします。)
 発泡剤という薬をのんでいただきます。このお薬は胃の中で溶けて,ガスとなり胃を膨らませます。バリウムを約150ml飲んでいただきます。
 胃が膨らんだ状態で,うつ伏せから,仰向けになたりして体を回転させて,胃の粘膜上にバリウムをコーティングして,X線写真を撮影します。(二重造影法といいいます。)
  したがって,できるだけ合図にしたがて,右をむいたり,左を向いたりして,体位変換をしていただきます。このようにして,X線写真を撮影します。
 検査時間は人によって異なりますが,およそ20~30分程度です。
◆前処置(検査のために必要な準備事項)
検査前日の夕食は,8時までにすませ,その後は食べないでください。
検査当日は一切の飲食物・タバコ・ガムなどとらないでください。 (ただし,医師から処方された血圧・心臓・喘息などのお薬は飲んでください。)
 このように,胃の中をからっぽにした状態で,検査をすることが最も重要です。 胃の中に,食べ物が残っていたりすると,胃粘膜上の病変と重なったりしますと, 正確な診断に差し支えますので,前処置を必ず守ってください。
 ◆注意事項
緑内障・前立腺肥大症・心臓疾患などのある方は,また食物・薬物アレルギーのある方は,検査当日にあらかじめ看護師に申し出てください。
 検査当日に,飲食された場合は,あらかじめその旨を看護師に伝えてください。
 妊娠のあそれのある方は,検査できませんので申し出てください。

食堂がん発見のための検査

食道造影検査
 食道と胃のX線像です。バリウム(銀白色の金属化合物)を飲んで、X線撮影を行い、食道病変の有無を確かめます。ただし、がんができてから間もない早期病変の診断は困難です。
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 内視鏡検査(胃カメラ)
 内視鏡(細く、ライトの付いたチューブ)を口または鼻から胃まで挿入して胃・食道内部を観察し、食道病変の有無を確かめます。進行したがんのみならず粘膜面にとどまる早期がんの診断に有用です。
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 生検
 食道がんの疑われる部位の細胞または組織の一部を取って顕微鏡で観察し、がんの有無を調べます。通常、生検は内視鏡検査中に行われます。

飲酒喫煙でリスク上昇

なぜ飲酒と喫煙が食道がんのリスクを高めるか
 食道がんの中でも、日本人に多いのが「食道扁平上皮癌」です。
 お酒にふくまれるエタノールは、体内で分解されてアセトアルデヒド(二日酔い物質)となります。
このアセトアルデヒドには発がん作用があるため、食道が長期間高濃度のアセトアルデヒトにさらされると、食道がんになりやすくなります。
 またアセトアルデヒドがたまりやすい体質の人は、食道癌の危険が高い(食道癌高危険群)ということになります。
 飲酒によって顔が赤くなるのはアセトアルデヒドによる作用ですので、少量の飲酒で顔が赤くなる(または若いことは赤くなった)人は、アセトアルデヒドがたまりやすい体質です。
 このような体質の人で、以前は余り飲めなかったのにだんだん慣れてきて、お酒を飲めるようになり、ほぼ毎日にように大量の飲酒を続けると、食道癌になりやすいということになります。
 飲酒に喫煙が加わると、食道癌の発がんリスクがぐんと上昇します。
飲酒と喫煙を止めれば、食道がんののリスクは5年で4分の1に減るといわれています。
 飲酒喫煙の習慣がある人は、食道がんにかかるリスクが高いのは明確です。
早期発見のために、人間ドックを受けましょう

食道がん・お酒が弱い人も要注意

食道がん発症のリスクを高める原因「飲酒・喫煙・遺伝子タイプ」
 食道がんになるリスクが高くなるのは、「飲酒」「喫煙」「遺伝子タイプ」の3つが重なった人。
こんな研究結果が出されました。
 大阪大学と九州大学の共同研究によるもので、「飲酒」「喫煙」が高リスクなのはすでに知られていますが、問題は3番目の「遺伝子タイプ」。
 遺伝子タイプとは、体内のアルコール処理能力が高いタイプか低いタイプかという意味です。
 お酒を飲んで体内に入ったアルコールは、酵素の働きで「アセトアルデヒド」に分解され、別の酵素の作用で、無毒の「酢酸」に変わります。

食道がんの死亡率

食道がんは悪性度が高いといわれていますが、
 早期発見できれば、内視鏡的粘膜切除術で切除された後の5年生存率は100%です。
 内視鏡的粘膜切除術で切除できない場合でも、手術で切除できれば
5年生存率はほぼ100%です。
 ただ食道がんは転移しやすいという特徴があり、頸のリンパ節などへ転移しやすいといわれています。
 リンパ節への転移があった場合、生存率は大幅に低下し20%程度とも言われています。
 食道がんはリンパ節から、早期に肝臓、肺、骨、脳などに転移します。
 いったんこのような臓器に転移すると、化学療法を行うしか方法がありません。
 よって、食道がんは何より早期発見が重要です。
 特に食道がんは、いったん進行すると急に治癒率が下がります。
 人間ドックでの検査を恐れず、少しでもおかしいな?という自覚症状があったら検査を受け、
早期発見・早期治療を行いましょう。

食道がんの原因を知った上での予防対策

食道ガンというのはなぜ起こるのでしょうか。なぜ起こるのかという原因などを知っておくことで、がん予防やガン対策なども考えていけるようになります。
 そもそも、食道がんというのは重荷食道粘膜の刺激によって引き起こされると言われています。
 具体的にどういうことかというのを解説してみると、まず1つめとしての原因がたばこの摂取に当たります。
 これは、タバコに含まれている有害物質によって、食道の粘膜が刺激されてしまい、食道がんになってしまう可能性が高まるのです。
 またタバコだけでなく、アルコールも適量ではなく過度に摂取してしすぎると、食道粘膜を傷つけてしまう事になりますので、この事から食道がんになってしまう可能性が高まるといえます。
 さらには、食道粘膜を傷つけるという観点から言って見れば、熱い飲み物などに関しても同様の事が言えますので食道がんになってしまうリスクというのは少なからず高まると言えます。
 そして、食道がんになる可能性が高い状態においては、バレット食道と呼ばれるものがあります。
このバレット食道というのは、胃液が逆流する事によって食道の粘膜が障害を受けてしまい、その再生と障害が長期間にわたって繰り返されてしまっていくうちに、食道の粘膜が胃の粘膜に似た構造へとなってしまうことを言います。
 こういった危険因子が食道がんには存在します。
タバコは吸うだけでもそうですし、アルコールなどの摂取も、適量に抑えておくように心がけたいところです。

自覚症状なども含めた食道癌の症状について

食道がんは、先ほども述べたように、発見が遅れやすいガンでもあります。
そのため、どういった症状が食道がんの症状としてあるのかを知っておき、不安や何か思う事があれば、確認をして早期発見に努めなければなりません。
 では、食道ガンの症状としてどういったものが挙げられるかというと、まず1つ目としては、何か物を食べた際に、つかえを感じたり、しみる感じを覚えるという事が挙げられます。
 これは食道がんにおける初期症状に当たるのですが、何か熱いものを食べたというような場合でもしみるような感じを覚えたりする事が挙げられます。
 また、がんが少し進行して大きくなってくると、食道の内腔が、ガン細胞の増殖によって狭まれてしますため、食べ物を飲み込もうと思った際に多少つっかえた感じがするようになってきます。
 また、食道ガンの2つ目の症状としては、嘔吐が挙げられます。
これがなぜ起こるのかというと、そもそも食道癌が大きくなり、食道を塞ぐ程までの大きさになってくると、当然ながら食べ物や飲み物を飲み込もうと思ってもなかなか飲み込めなくなってしまい、そのために吐いてしまうのが原因となります。
 そして3つめの症状としてが、咳や血痰というのがあります。
 これは食道ガンが進行してしまって、その範囲が気管や肺にまで達してしまった場合に、それらを刺激して咳や血痰が出るといった症状が見られる場合があります。
 4つ目としては、胸痛が挙げられます。
これも、食道がんが進行してしまって、その範囲が背骨や肺にまで達してしまった場合に、胸の痛みであったり、背中の痛みという症状が見られる場合があります。
 そして5つ目の症状として挙げられるのに、嗄声があります。これは「させい」と読みますが、もともと食道の横には、声帯の動きを調節してくれる神経が通っているのですが、食道ガンが進行してしまって、それらの神経までも侵してしまうと、嗄声が起こるといった事があります。
 そして、食道がんになると、食事がまともになかなか取れなくなるという事の影響で、体重が減少するという症状も見受けられます。

食道がんの初期症状と進行具合

食道がんの初期症状は「沁みる感じ」
 喉が沁みる感じや詰まる感じは、よくある症状。しかし長引く場合やいつも起きる場合は注意が必要です
 食道がんの代表的な初期症状の1つが沁みる感覚。食道がんも他のがんと同様に粘膜から発生するため、最初の症状は粘膜の荒れに伴う感覚異常から起きます。
 例えばかなり熱い物を食べた時など、いわゆる喉元からお腹にかけてツーッと食べ物が落ちていく感じの経験がある人は多いと思います。普段は意識しないものの、人間の食道の感覚は鋭敏で比較的正確なのです。ここに異物があると「何だか沁みる」という自覚症状として異変に気づくことができます。
 進行した食道がんでは「詰まる感じ」
 また初期症状から少し進行すると、食道の内側に向かって腫瘍が盛り上がったり、食道の壁が固くなったりするので、食べたものが通りづらくなります。具体的には、食べ物が喉元や胸のあたりで詰まるような違和感が出てきます。
 喉が詰まる感じは他のさまざまな疾患でも起こる症状で、心配ないものがほとんど。しかし食道がんの「詰まる感じ」は、再現性があることが特徴です。
 普段は違和感がないが、たまに詰まる感じがする程度なら通常は心配ありません。「液体は通るが、固形物が詰まる」「これぐらいの量のご飯を食べると、毎回必ず詰まる感じになる」など、毎回同じ症状がある場合は、早めに内科を受診することをお勧めします。
 声がれや咳・血痰にも要注意症状がもう少し進むと声を出す神経が影響を受けるため、声がかれたり、かすれたりする場合があります。食道にできた腫瘍が隣接する臓器である肺や気管支へと浸潤することで、咳や血の混じった痰が出てくることも。
 もちろん声がれや咳は風邪でも見られる症状なので、心配しすぎることはありません。しかし、通常の風邪なら数日から10日ぐらいで軽快していくのが普通。声枯れや咳が長引く場合や、風邪症状を伴わなかったり、上記のような沁みる感じや詰まる感じを伴う場合は、やはり内科を受診するようにしましょう。

食道がんの初期症状

もし、自分に食道がんかもしれないという自覚があるのでしたら、迷うことなくまずは診断を受けることをオススメします。
 発症する年齢は50歳から多くなり、60歳でピークを迎えるようですが、初期症状は一体どのようなものなのでしょうか。
 食道がんの初期症状は殆ど無いでしょう。
 食道がんになる人は10対1の割合で男性が多いようです。なかでも食道がんになる人の多くは、お酒やタバコが好きな人、熱い食べ物や塩辛い食べ物が好きな人が多いです。
 食道がんの初期症状は先ほども述べた通り、自覚症状がないのが多いですが、中には胸の奥がわずかにしみるような初期症状を経験する方もいます。食物が通過する感じを自覚する方もいます。
 食道がんの初期症状から中期へと移行すると、物を食べた時の固形物が通過困難になると共に、痛みを感じるようになるでしょう。食道がんにも無症状食道がんが20%であると言われています。
 食道がんの初期症状が発症して1年以内に死亡してしまう人が多い病気で、5年以上の生存率も5%と、とても死亡率の高い病気なのです。
 食道がんの初期症状が殆どないので、がんが転移して初めて食道がんであるとわかる場合が多いのです。食道がんの初期症状を早期発見するためにも、定期検診などを受けるようにしましょう

食道がんの自覚症状

初期のうちには食道がんの自覚症状はほとんどありません。そのため、この時期に発見される場合には、検診によって見つかることが多くなります。この段階で治療を開始することができれば、治癒できる可能性が高く生存率も高くなります。
 進行した食道がんは自覚症状として、食事の時に喉に痛みやイガイガした感じが残ったり、熱い物を食べた時(飲んだ時)に胸がしみる、固形物が飲み込みづらいといった兆候が現われるようになります。さらに進行していくと、食べ物がつかえる度合いがひどくなり、やがては飲み物さえ喉を通らなくなることもあります。
 食事の場面以外では、声が嗄れることによって症状を自覚するケースもあります。また、転移が起きている場合にはそれによって生じた兆候で気付くこともあります。たとえば、肺転移の場合には呼吸困難や咳といったものがあります。転移がある状態になると、一般に予後が悪いことが多くなります。
 喫煙習慣のある方は食道がんになりやすいのですが、自覚症状は喉に関するものが多いため、タバコの影響で喉の調子が悪いだけと錯覚してしまうこともあります。長く続くような場合には、特に要注意だと考えておいてください。
残念ながら、自覚できる時には進行してしまっていることが多くなりますので、早期発見の期待は薄くなります。それでも、病院を受診しておくのは少しでも早いほうが望ましいので、迷ったら念のため病院に足を運びましょう。

食道がんと食事

食道がんは、その名の通り食道で発生するがん。そのため、食事との関係も深いもの。当然です。栄養バランスのとれた食事で健康を維持することは、当然ですが、「がんになりやすい食べ物」というのがあることも分かってきました。発がん性があると言われているのが、肉や魚の焦げです。
 焼きすぎで焦がしてしまうと、「ニトロソアミン」という有害物質が生成されるのです。「焦げた部分がおいしい」という方もいるかもしれませんが、焦げは、できるだけ食べないようにしましょう。また、刺激の強い食べ物も食道がんを誘発してしまう可能性も。カフェインやスパイス、カプサイシンが含まれる唐辛子や、高すぎる塩分は粘膜にダメージを与えてしまうことに。がん化を促してしまうのです。
 また、熱すぎる食べ物も、食道の粘膜には、あまりよくありません。お茶、お味噌汁、かけそばなど、熱々のまま口にすると、非常においしいのですが、温度が高すぎると粘膜を痛めることもあるのです。熱いものを飲み込んだ後、のどの奥が痛いと思うことはありませんか?そんな方は要注意なのです。食道の粘膜を傷めている可能性大。
 食道がんを予防するために、適温に冷ましてから口にするよう心掛けましょう。食道がん予防のためには、濃い味つけのお料理は避け、ビタミン・ミネラルが豊富な食事を適度に冷ましてから頂くように心がけましょう。坑酸化作用の高い食べ物を積極的に摂るように心掛けることも大切です。食事に関しては、食後、食べ物が逆流しやすい体質の方も要注意。
 食べ物が逆流して、食道の内側の粘膜がダメージを受け、がん化することもあるからです。1回の食事量を少なめにして、食事の回数を増やすようにしましょう。そうすれば、吐き気が起きることも少なくなるでしょう。食道がん予防のために、食事にちょっと気をつけてみましょう。その心掛けが、結果的に予防効果を高めてくれるのです。

食道がんになりやすい人

食道がんになりやすい人もあります。言いかえれば、食道がんになりやすい生活を送っている方ということ。もし、あなたも当てはまる項目があれば、改善できるように努力しましょう。食道がんになりやすい方とは、まず、喫煙、飲酒の習慣がある方。
 このどちらか一方でも、がん発症の原因となり得るのです。ましてや、どちらも習慣化している方となると、非常にハイリスクを背負っていることに。お酒を飲んだら、すぐに顔が赤くなるのに、付き合いでアルコールを飲む機会が多いという方。しかもタバコを吸いながら飲むことも多い・・・。こんな方は、高いがんのリスクを背負っていると自覚する必要があります。
 お酒の弱い方が飲み続けるということは、一般の方よりも食道がんの発症率を12倍にもアップさせるということ。要注意です。また、50才以上の方も注意が必要です。50才を過ぎると、体内にはかなりのダメージが蓄積されているものです。加齢による体の老化に伴って、蓄積されたダメージが一気にがん細胞化する可能性も高くなるのです。
 また、「逆流性胃炎」にないやすいという方も注意しましょう。炎症が長引くと、食道がん発症へと繋がる、「バレット粘膜」になってしまうことも。逆流性胃炎は見逃されやすい症状ですが、実は徹底的な検査を受ける必要がありますよ。さらに、性格的に心配性な方、イライラしやすい方も、食道がんになりやすいと言われています。このような性格は、免疫機能へも影響をもたらすことがあります。
 性格的なものもそうですが、日頃の食事も関係が深いと言われています。塩分の高い食事、辛い食事を好む方、野菜や果物の摂取量が少ない方は食生活を見直す必要があるでしょう。のどや食道の粘膜に負担を掛ける食事、ミネラル不足は、食道がんの原因となるのです。
 食道がんは、意識していれば、ある程度予防できるがんです。リスクの高い方や食道がんになりやすい性格の方などは、改善することを心掛けましょう。改善できる点は、しっかり見直す。これが一番簡単な、食道がん予防策と言えるのです。

食道がんとアルコール

食道がんの大きな原因のひとつに、アルコールが挙げられます。アルコールは、のどを痛める元でもあるのです。のどの粘膜がダメージを受け、細胞に過度の刺激を与えてしまいます。その細胞が、がん化するというワケ。昔から「酒は百薬の長」と言われているように、適度な飲酒は健康維持には有効的。
 けれども、大量のアルコール摂取となると、話は別です。アルコールの摂り過ぎは、体に大きな負担を与えてしまうことに。また、アルコールの分解機能と食道がんも大きな関連があることが指摘されています。体の中でアルコールを分解するためには、「アルコール脱水素酵素」から、毒性の高い「アセトアルデヒド」へと一旦変化させます。
 次に、「アルデヒド脱水素酵素」の作用で「酢酸」へと変化し、徐々に体に無害な成分へと分解していくという仕組みなのです。ところが、「アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」が先天的に欠落している、または機能が低下している状態においては、上手く分解されずアルコールによって発がんを招いてしまうことになるのです。
 「アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」欠損も、食道がんの原因になり得るということなのです。この酵素(ALDH2)が不活性な方は、日本人には意外に多く40%を占めているとも言われています。食道がんは日本人に多いがんであることからも、アルコールとの関係は、特に注意が必要なのです。アルコールに弱く、お酒を飲むとすぐに顔が赤くなってしまうという方は要注意です。
 顔が赤くなるのは、アルデヒドが分解されず溜まってしまっている結果。分解されず、顔の血管が拡張している状態なのです。ですから、お酒を飲んで顔が赤くなりやすい方は、ALDH2が不活性という方が多く、食道がんへのリスクも高いということが指摘されています。アルコールによるがん発症を予防するためにも、飲酒は適量に抑えるようにしたいもの。
 もし、がんのリスクが高いのならば、禁酒をススメられる場合もあるのです

熱い飲食物が食道がんの原因に

食べ物や飲み物が熱いまま飲み込むと、食道がんのリスクが高まります。飲食物の通り道ですので、ダメージを受けることは想像できると思います。日常的な習慣の問題ですので、食事の時には気をつけておきましょう。
 極端に熱い状態のままでは飲み込めても病気になる危険が高いため、少し冷ましてからにすることが、予防につながります。
 このほかにも、喫煙や飲酒の習慣もリスクを高める原因になります。したがって、禁煙やアルコールを適量に控えることも、予防になるのです。

食道とは

喉と胃の間をつないでいるのが食道で、太さは2cmから3センチほどの管です。食べ物が通るため、粘液を分泌する粘膜で覆われており、食事の際には口から飲み込んだ食べ物を、今で送り込む働きを果たしています。
 重力の力だけでは、横になって食事をしたら食べ物が今で到達しないはずですが、寝ながらでも食事できるのは、こうした食道の働きがあるからです。

食道がんの基礎知識

他の癌と比較しても、食道がんは死亡率が高い部類に入ります。したがって、症状があるなら早期発見し、治療を開始することが必要です。悪化してから見つけるよりも、早めに対処することが生存率を向上させるための鉄則です。
年齢で見ると、40歳代後半以降になると増加し、男性は女性のおよそ5倍の罹患率となっていますので、男性は特に注意が必要です。食道がんの原因としては、飲酒と喫煙が関係していますので、両方に当てはまる方はリスクが高いことを意識してください。また、熱い物をそのまま飲み込むことも、罹患率を高くすると考えられています。
初期症状のうちは目立った兆候がほとんどありません。検診によってこの段階で発見できれば、早期がんであることが多いため、根治できる可能性が高い状態と言えます。進行していくと、食べ物を飲み込む時にしみることや、食べ物がつかえる感覚が出るようになります。他にも、咳や声のかすれといった症状が出る場合があります。
残念ながら、食道がんの症状が出るようになっている状態では、すでに進行してしまっていることが多くなります。したがって、初期症状を見逃さないためには、何も兆候がなくても人間ドックや健康診断を受けておき、体の状態をチェックしておく必要があります。
検査の方法としては、レントゲンや内視鏡、超音波検査、CT、MRI、PET、腫瘍マーカーなどがあり、それぞれに向き不向きがあります。検査によって食道がんであることが分かったら、ステージを判定する必要があります。食道がん取扱い規約によってステージ分類の基準が示されていますが、この他にもTNM分類が使われることがあります。日本と欧米を比較すると、細胞の種類(日本では扁平上皮がんが多いが、欧米では腺がんが多い)などがことなりますので、分類の仕方も多少異なります。
取扱い規約の分類では、0期から4期にステージが分かれ、4期が最も進行したもので、末期のケースもあります。ステージが4期になると他の臓器や原発巣から離れたリンパ節にまで転移している状態になります。
当然ながら、早期のステージは末期に近づいた場合よりも生存率が高い傾向があります。また、生存率は病院によっても差がありますので、食道がんの名医がいる病院を選んでおきたいものです。
治療は内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線治療が中心となります。外科手術による機能障害や、それぞれの治療による副作用といった負の側面についても、事前によく把握しておきましょう。症状の改善は重要ですが、闘病生活においては副作用に悩まされることも多くあります。その時になって戸惑わないようにあらかじめ理解を深めておく必要があります。
食道がんの治療法を始めとした基本的な知識を得るなら、ガイドラインを読んでみるのもお勧めです。ガイドラインによって理解を深めておけば、不要な心配をしなくて済みます。実像が見えないことが恐怖心をあおる要因でもあるのですから、まずは正しい知識を持っておくことが大切です

肺がんは痛みが出てからでは遅い

肺がんの初期症状は咳や痰から始まります。
 血痰や喀血なども場合によってはあります。
 それ以外にも、熱が出て、胸や背中の痛みが出たり、突然、呼吸困難が起きるケースもあります。
これらの症状になった場合には、肺がんかもしれません。
 肺がんは、初期の段階では、悪いことに症状が出ないことも多いと言われています。
 そのため、自分ではまったく自覚がないのです。
 検査を定期的に受けている人は、レントゲン撮影をしますから少しは安心ですが、そうでない人は、肺がんの症状が出てくるまで、放置してしまいます。

 れによって、がんが進行してしまう危険性があるのです。
 中でも、たばこを吸う人は、常に肺にダメージを与えていることになります。
 ですから、喫煙がそれだけでもリスクが高いのです。
 喫煙者は定期健診だけでなく、頻繁に検査することをお勧めします。
 進行してしまった肺がんを治療することはとても難しいと言われていますから、初期の段階で早めに発見し、治療にかかることが大切なのです。
 実際に、肺がんの発見が遅れれば遅れるほど、生存率が低下しているというデータがあります。
 ですから、初期症状に少しでも気がついた時は、すぐに検査を受けて下さい。
 
 風邪だろうなどと、素人判断をしないことです。
 ご自分の体は自分自身で気をつけて行くしかないのです。
 肺がんという病気は呼吸器がダメージを受けますから、胸、背中が痛んでくるケースもあります。
ですが、痛みや呼吸困難が出てからでは遅いくらいなのです。
 そのころはすでにがんが進行していることが多く、痛みが出てからでは遅いのです。
 症状についての認識を持ち、少しでも疑いがあったら早めに受診しましょう。

喫煙以外の肺がんの要因

受動喫煙タバコの副流煙に含まれる発がん性物質の量は、喫煙者の本人が吸っている煙(主流煙)の3~20倍というデータがあります。ですので、自分が吸っていなくても、よく喫煙している人の側にいれば肺がん発生のリスクは高まってしまいます。
遺伝遺伝も肺がんの発生に大きく関わっています。家族に肺がんの患者さんがいるだけで、そのリスクは約3倍にも高まってしまいます。遺伝子の修復能力の違いや、体に入ってきた発がん性物質を無効化する酵素の働き具合の違いなどが要因です。
大気汚染車の排気ガスや工場の煙に接する機会の多い方は、肺がんのリスクも高くなるといわれています。
アスベスト(石綿)石綿の粉じんを吸い込んでしまうと、「じん肺」という肺が線維化してしまう状態になり、肺がんが発生するおそれがあります。石綿は昔は建築材になっており、現在建物の取り壊しがすすんでいますが、ごく一部の建造物の中にはまだ使われている場合があります。
その他大きなストレスに長期間さらされていたり、栄養状態が悪く体の抵抗力が弱い状態が続いていたりすると、肺の病気にも関係してきます。

肺がんを防ぐ12カ条

1.バランスのとれた栄養をとる食物は、生命の根源。私たちの健康を守る第1のカギが、毎日の食事であることはいうまでもありません。栄養のバランスがくずれると、さまざまなかたちで体に支障があらわれ、さらには病気の原因にもなります。今や日本人の死亡原因の第1位となった病気、がんもその例外ではありません。最近、食物のかたよりと発がんの関係が、疫学調査や動物実験によって明らかになってきました。わかってきたのは、私たちが日々食べている食品群の中に、がんを引きおこす物質とがんを抑える物質がともに存在しているということです。
発がんを抑える栄養素として、ビタミンAやビタミンC、Eなどがクローズアップされ、食物繊維にも発がん抑制の効果が知られています。ですから、食事の際はできるだけ多くの種類の食品をとり、食物中の発がん物質の作用を相殺していくことが大切です。
最近では、調理済み食品の利用が高まり、材料の種類も限られるせいか、栄養の面でかなりのアンバランスをきたしていることが、国民栄養調査の結果にもでています。脂肪の摂取は昭和30年当時の約3倍に増える一方、食べる野菜の量は少なくなってきています。野菜料理をどんどん食卓に加え、偏食せずにいろいろなものをバランスよく食べることは、栄養の面ばかりではなく、発がんの危険を低下させるという点からも大切なことです。
2.毎日、変化のある食生活を多くの人は特定の食物に対して嗜好があるので、好きなものを繰り返し食べがちです。問題は度がすぎることです。食物中の発がん物質の濃度は、たいていはそれほど高くないのですが、同じ食品ばかり食べ続けることは、体をいつもがんの危険にさらすことになります。バランスのよい栄養をとること、ただ、それも、にんじんにカロテンがあっていいからと、そればかり食べるのではなく、できるだけ多くの緑黄色野菜からカロテンをとることが望ましいのです。バランスよく、そしてバラエティーのある食生活を心がけてください。同じものを繰り返さないという注意は、薬にもいえます。医師の指示で必要とされる場合以外は、同一の薬を飲み続けることは極力さけたほうが賢明です。
○3.食べすぎをさけ、脂肪はひかえめに「長生きの秘けつは腹八分目にあり」とよくいわれますが、がんについても同じことがいえそうです。ネズミの実験によると、好きなだけ食べさせたグループと、食事量を60パーセントくらいに制限したグループとでは、制限グループのほうが発がん率が低く、長生きしているという結果がでています。食べすぎの中でも、とくに問題とされるのが脂肪の量で、脂肪をとりすぎると乳がんになりやすいという報告があります。食べすぎと脂肪のとりすぎには、十分気をつけましょう。
4.お酒はほどほどにお酒が健康を害するといえば、一般に肝臓を考えますね。でも、飲みすぎが及ぼす悪影響は、肝臓だけにはとどまりません。WHO(世界保健機関)の調査では、過度の飲酒と、口腔がん、喉頭がん、食道がんは関係があるという報告がなされています。アルコールの多量摂取と肝臓がんの発生にも関係がみとめられています。また、酒好きの人は、つまみを食べずにお酒だけを飲むことが多いので、栄養のバランスがくずれて、がんになりやすい体の条件をつくる可能性も高いわけです。とくに、飲みすぎのうえにたばこが重なると、悪い因子が相乗的にはたらいて、がんの危険も増します。飲酒中のたばこは極力ひかえるよう努力し、強いお酒は薄めて飲むか、水といっしょに飲むようにしましょう。まずはお酒をほどほどに。
5.タバコは吸わないようにタバコと肺がんの間に深い関係があることはみなさんもご存知でしょう。40歳以上の日本人男性、12万人以上を、長期間にわたって調査した結果、1日 25本以上たばこを吸う人は、吸わない人に比べて、喉頭がんが90倍以上、肺がんが7倍の死亡比になることがわかっています。しかし、禁煙すればがんになる危険はそれ以上増えず、禁煙後5年くらいたつとほとんど吸わない人と同じくらいの状態に近づきます。最近は、吸っている本人だけでなく、周囲の人に与えるたばこの害が問題になっています。紙巻たばこの火のついているほうから出る紫色の煙は、吸い口のほうから出る煙よりも、ある種の発がん物質については含有量が高いことが知られています。
妻が吸わなくても、夫が1日20本以上吸うヘビースモーカーの場合、喫煙しない夫をもつ妻と比べて、肺がんの死亡率が2倍も高いという報告もあります。日本でも諸外国と同様、肺がんが年々増え、平成10年(1998年)には、胃がんを抜いてがん死亡のトップになりました。肺がんの予防のために禁煙を心がけましょう。どうしてもというなら、できるだけ本数を減らしてください。また、たばこを吸いはじめる年齢が低いほど肺がんにかかりやすいということもわかっています。未成年の喫煙にはまわりでも気を配って、絶対に止めるようにしていきたいものです。
6.食べものから適量のビタミンと繊維質のものを多くとるビタミン類は、人間の体にとって「潤滑油」のようなもの。なかでも、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEには、発がんを防ぐはたらきもあることが知られています。また、野菜などに含まれる繊維質にも、同じような効果があることは、第1項でもお話ししたとおりです。
<ビタミンA・カロテンを多く含む食品>
にんじん、ほうれん草、小松菜、春菊、にら、レバー、うなぎ、バター、チーズ
<ビタミンCを多く含む食品>
パセリ、ブロッコリー、ピーマン、たか菜、ほうれん草、いちご、キウイフルーツ、柿、レモン
<ビタミンEを多く含む食品>
落花生、胚芽米、大豆、ごま油、えんどう、いわし、うなぎ、卵
<食物繊維を多く含む食品>
干し柿、ひじき、ライ麦パン、甘栗、ファイバーパン、いんげん豆(乾)、そら豆(乾)、ポップコーン、糸引納豆、おから
7.塩辛いものは少なめに、あまり熱いものはさましてから日本人の代表的ながんといえば、胃がんがあげられます。その割合は、少しずつ減ってきているとはいえ、肺がんをわずかに下回る状況であり、大腸がん、肝臓がんや乳がんなど他のがんに比べるとまだ圧倒的に多いのが現状です。この胃がんの発生に密接な関係があると指摘されているのが、塩分の摂取です。1日にとる食塩の望ましい量は、10グラム以下とされています。食塩のとりすぎが脳卒中や心臓病などの循環器疾患を起こしやすく、一般に塩をひかえる傾向にあり、胃がんの死亡率も確実に下がってきていますが、全国平均1人1日当たりの食塩摂取量は、下図に示すとおり、まだ10グラム以下にはなっていません。特に最近では摂取量の下がり方が鈍ってきています。また、胃がん死亡率には地域差があることが知られていますが、この差も塩分の摂取との間に密接な関係があります。しおからなど塩分の多い食品を大量に食べないことと、できるだけ塩味を抑えた調理を心がけましょう。また、熱い茶がゆをよく食べる地方に食道がんが多いという報告もあり、食塩の場合と同じように、熱いものはがんが発生しやすい状況をつくります。あまり熱いものはさましてから食べることをおすすめします。
8.焦げた部分はさける魚や肉を焼いて焦がすと、細菌などに突然変異を引きおこす物質が生じることが、最近明らかになってきました。この焼け焦げに含まれる発がん物質は、調理温度が高く、調理時間が長くなるほど、量が増え、とくに、肉や魚、野菜などを直火で焼いたり、フライパンの上で熱を加えて焦がした場合に多くできます。普通、焦げた魚や肉の1食分で口に入る発がん物質の量は、ごくわずかです。しかし、焼け焦げの中に含まれる発がん物質は数種類が確認されていますし、また、でんぷんや糖などの炭水化物のお焦げにも、細菌の変異を引きおこすもとになる物質が含まれています。あまり神経質になる必要はありませんが、焦げた部分を大量に食べることはさけたほうがいいでしょう。
9.かびの生えたものに注意ひとくちにかびといっても、いろいろな種類があります。有害なのは、ピーナッツなどのナッツ類やとうもろこしにつくかびで、これには強い発がん性が認められています。東洋人に肝臓がんが多い理由として、B型肝炎ウィルスなどのほかに、このかびもが関わっているのではないかと疑う学者もいるほどです。外国のある地域で売られているピーナッツのほぼ50パーセントに、微量ながら発がん性のあるかびが認められたという報告もあります。日本では輸入の際に厳重にチェックされているので危険はありませんが、一応、食べる前によく確かめましょう。日本産のピーナッツは安全です。また、ある種のチーズのように意図的にかびを用いた食品については発がんの心配はありません。
10.日光に当たりすぎないかつて、海や山で太陽の日ざしを浴びて肌をかっ色にやくことが、健康のシンボルであるかのようにいわれた時期がありました。ところが、最近では、紫外線が皮膚に有害であることがわかって、肌のやきすぎはなるべく避けたほうがいいといわれています。紫外線でやけた肌は、一種のやけどの状態にあります。炎症が続くと、細胞の遺伝子が傷つけられ、がんを誘発する可能性も高いわけです。人種的にみると、紫外線に過敏に反応するのは、メラニン色素の少ない白人で、熱帯地方にすむ白人には皮膚がんや悪性黒色腫が多いといわれます。それに比べると黒人はずっと紫外線に強く、日本人も黒人並みに耐性があります。そのため、わが国では比較的、皮膚がんや悪性黒色腫が少ないのですが、まっ黒に日焼けするほど肌をやくことは、なるべくなら避けましょう。
11.適度にスポーツをする「栄養」、「運動」、そして「休養」は健康な生活をおくるための条件といえます。疲労がたまれば、気分も憂うつになりがちです。さらに疲労が慢性化し、ストレスが続くと、体のいろいろな生理機能が低下して、病気にかかりやすくなります。がんになる危険も高いわけです。最近、1日中いすに座って仕事をしている人々の間に大腸がんが多いという研究結果もだされています。気分転換のためにも、そして健康づくりのためにも、積極的に機会をつくって、適度なスポーツを楽しみたいものです。
12.体を清潔に毎日、シャワーを浴びたり、入浴したりして体を清潔に保つことで、皮膚がんや陰茎がん、子宮頸がんなどがある程度予防できることをご存知ですか?200年ほど前のイギリスでの話ですが、煙突掃除を職業としている人々の間に陰嚢の皮膚がんが発生し、問題になりました。その後、煙突のススの中に皮膚がんの原因となるものが見つかり、仕事をしたあとは体を洗うようになって、この皮膚がんはみられなくなりました。これは、体を清潔にすることでがんの発生が予防できたいい例です。皮膚の汚れのたまりやすい部分を、いつも清潔に保つよう心がけましょう。

ピロリ菌検査とは?

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の強い酸の中でも生きることができる菌です。
螺旋状の形をしていて、胃の粘膜に住みついています。胃の中に入ってきた細菌は通常、胃酸によって殺菌されますが、ピロリ菌は持っている酵素によって、胃の中にある尿素をアンモニアに変え、アルカリ性のアンモニアで胃酸を中和して、胃酸の殺菌作用を逃れています。
 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の90%異常でピロリ菌が陽性を占めているといわれ、胃がんにも大きく関係していると考えられています。ただしピロリ菌が陽性でも潰瘍にならない人、陰性でも潰瘍になる人がいて、ピロリ菌だけが胃・十二指腸潰瘍の原因とはいえません。ストレス、暴飲暴食、喫煙、体質などのほかの因子も深く関係していると考えられています。
 
 ピロリ菌検査で何がわかるのか?
 胃・十二指腸潰瘍を繰り返して再発する人に、その原因としてピロリ菌が関与しているかどうかを調べます。陽性と出ればピロリ菌の関与が濃厚になります。また、最近の研究では胃がんの発生との関連も注目されており、陽性の場合はさらに検査をすることが望ましいでしょう。
 ピロリ菌検査はどのように行うのか?
 検査方法には、ピロリ菌が尿素をアンモニアに変えるときに二酸化炭素が発生する性質を利用して、尿素の入ったカプセルを服用する前と、服用後10~20分に、吐く息を採取してそこに含まれる二酸化炭素の量を調べる「呼気検査」、血液を採取して、そこにピロリ菌に対抗する抗体が含まれているかどうかを調べる「血液検査」、内視鏡で潰瘍を調べるとともに、胃粘膜も採取してピロリ菌を培養して調べる「内視鏡検査」の3つがあります。なかでも、呼気検査は簡単なうえに、信頼性も高いため広く行われています。
 異常があったらどうするか?
 除菌治療を行ないます。胃酸分泌抑制薬のプロトンポンプ・インヒビター(PPI)とアモキシシリン、クラリスロマイシンの抗生物質をあわせて1週間服用します。この3剤併用で、90%以上が除菌できるとされています。
 除菌治療では逆流性食道炎など色々な副作用が見られますが、自分で判断して薬を中止すると直りにくくなります。また、併せてペプシノーゲン検査を行なうと、慢性胃炎や萎縮性胃炎の進行が判別できます。

進行・再発胃がんの最新抗がん剤治療

拡大手術は生存を延長しない
 進行・再発胃がんに対する治療法が掲載されている『胃癌治療ガイドライン 第2版』 胃がんの最大の特徴は発見が早ければ内視鏡やメスを使った手術で比較的簡単に治る反面、転移性進行がん、再発がんの段階に入ると、とたんに「治らないがん」になってしまうことだ。治癒が望める治療法はあまりなく、治療は状況や症状に応じて行われる。
 日本胃癌学会がまとめた『胃癌治療ガイドライン 第2版』(2004年4月改訂)には進行・再発胃がんの治療法として、次の5つが紹介されている。
・拡大手術
・緩和手術(姑息手術)
・放射線治療
・化学療法
・緩和医療
 拡大手術というのは、切除するリンパ節の範囲を拡大したり、大腸、膵臓など、がんが転移した周辺臓器まで併せて切除する手術のことを言う。拡大手術が適応となるのは、あるレベル以上のリンパ節転移(N2)がある場合や、原発巣、転移巣が胃の周辺臓器に直接拡がり、一緒に切除しないと治癒が望めない場合だ。
 手術の最大のメリットは治癒を望めることにありますが、治癒を目指すには、がん細胞を最後の1つまで取らないと意味がない。そのため、拡大手術も検討されるわけですが、胃がんの場合、転移性進行がん、再発がんのレベルに入ると、それでは対応しきれない。理由は、遠隔転移がある胃がんの場合、検査画像あるいは術中の肉眼的に確認できる転移巣以外にも顕微鏡的レベルですでに拡がっていることが多く、同時多発的に何箇所にも出る傾向が強いからです。そのため拡大手術をしてもすぐ再発することが多く、生存期間を延ばすことにつながらないケースが多いのです
 実際に、リンパ節を拡大郭清する手術と、通常に郭清する手術との生存日数を比較した臨床試験でも、生存日数に統計学的な差はないとの結果が出ている。
 拡大手術は体に与えるダメージも大きく、長時間に及ぶ手術による出血量の増大、術後合併症などのリスクも増えるので、今後は選択されるケースが減少するものと思われる。
 一方で、がんの根治手術が望めないケースでは、緩和手術という選択もある。とくに進行胃がんでは狭窄、出血、低栄養などの切迫した症状を伴うことが多いため、食事摂取期間や在宅期間の延長などのQOL(生活の質)を高める目的で緩和手術が行われることがある。
 放射線治療が普及しなかった理由
 わが国では進行・再発胃がんの治療に積極的に放射線を使う機会は少なく、骨転移がある場合やがんの浸潤による疼痛がひどい場合に緩和的治療として行う程度だ。しかし、海外では手術と放射線治療を組み合わせた治療が標準治療になっている。その辺の事情を佐藤さんはこう話す。
 「海外で放射線治療が広く行われている背景には、海外の外科手術のレベルが日本ほど高くないという事情があります。日本は、胃がんの手術では世界のトップレベルにあり、海外なら放射線を併用するケースでも、手術のみで十分な成績が得られていた。日本で放射線治療が普及しなかった背景にはそんな事情があるのです」
 このように進行・再発胃がんに関してはどの治療法も一長一短があり、これまで生存期間の延長につながる有効な治療法がなかった。化学療法に関してもこれまで様々な取り組みがされてきたが、つい最近まで標準治療となるような有効な治療法がなかった。
 抗がん剤治療をしたほうが生存によい
 これまでわが国では切除不能の進行・再発胃がんの患者に対しては、60年代からずっと5-FU(一般名フルオロウラシル)を中心とした抗がん剤治療が行われてきた。
 しかし、はっきりとした効果が認められないケースが多かったため、80年代には、そもそも抗がん剤治療をする必要があるのかという声が上がり、抗がん剤治療をしたグループと、対症療法のグループの生存期間を比較する研究が行われた。
 その結果、やはり抗がん剤治療をしたほうが明らかに生存期間が伸びるという結果がでた。その後も様々な抗がん剤を組み合わせて生存期間の延長を目指す取り組みがなされてきたが、がんを縮小する面では一定の効果を上げたものの、患者さんの生存期間(中央値)を1年以上延ばすような顕著な延命効果を上げられるものはなく、標準と言えるような治療法は存在しなかった。
「抗がん剤の併用療法に関しては5-FUやその経口剤として開発されたUFT(一般名テガフール・ウラシル配合剤)などのフッ化ピリミジン系の抗がん剤やシスプラチン(商品名ブリプラチンなど)、アントラサイクリン系薬剤などを組み合わせる形で様々な研究がなされ、がんの縮小効果が50パーセント前後に達するものもありましたが、最終目標である生存期間の延長にはなかなか結びつかないのが実情でした」(佐藤さん)
『胃癌治療ガイドライン 第2版』では、切除不能進行胃がんに関しては標準治療と見なすことができるものはないと書かれているのもそのためだ。

化学放射線治療は胃がんにも有効

胃がん治療というと、誰もが思い浮かべるのが手術による外科治療だろう。じっさい胃がんに対しては抗がん剤も効きにくく、放射線治療にいたっては、ただ危険なだけと治療そのものが否定的に捉えられている。
 しかしこの数年で、そうした固定的ながん治療の捉え方に風穴をあけるような動きが見られ始めている。ごく少数の病院で、限られた症状の患者に対してだが、胃がん治療にも他の臓器のがんと同じように、放射線と抗がん剤を併用する化学放射線治療を導入され始めているのだ。
 そのひとつ、慶応大学病院では4年前から、病態がステージ4以上(一部ステージ3Bを含む)で手術不能と判断される胃がん患者を対象に同じ治療が行われている。腹腔鏡手術でも有名な同外科教授の北島政樹さん指導のもとでの新しい治療だ。
 現在にいたるまでの間に慶応大学病院で化学放射線治療を受けた胃がん患者は約40名に上っている。治療成績は従来の抗がん剤の単独治療によるそれをはるかに上回っており、現時点でのがんの完全消失率は10パーセントにも達している。同じく現時点での平均生存期間は18カ月。なかにはすでに4年以上、命を生き延びている患者もいるという。
 もっとも欧米では胃がんに対する化学放射線治療の可能性は、ずっと以前から注目されていた。たとえば01年5月に米国医学誌に発表されたマクドナルド医師らの臨床研究では、ステージ1B~ステージ4の胃がん患者556人を対象に根治手術後に化学放射線治療を施したグループ(281人)と、根治手術を単独で行った人たち(275人)の生存期間中央値、5年生存率を比較しているが、それぞれ35カ月と27カ月、50パーセントと41パーセントと明確な差異が生じていることが明らかになっている。慶応大学病院での取り組みはこうした胃がんに対する化学放射線治療の効果を裏づけるものといえるだろう。

胃がんの原因は本当にピロリ菌?

私たちの胃や腸には多くの細菌が生息しており、多くは病原性がなく、消化を助けるなどの有用な働きを持っています。ところが、胃の粘膜に生息するピロリ菌は、胃炎をはじめ、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどの様々な病気を引き起こすと問題視されています。
 現在、世界で約半数がピロリ菌の感染者だと考えられ、日本では約6千万人が感染しているとされています。とくに50歳以上に感染者が多く、60~70パーセントが感染者であるとする調査結果もあります。
 日本では毎年20万人から25万人が新たに胃がんと診断されています。6千万人がピロリ菌に感染しているのに、25万人しか胃がんにならないのであれば、ピロリ菌と胃がんの関係を疑問視する声が上がるのもしかたがないのかもしれません。
 「ピロリ菌に感染しているからといって、高い確率で胃がんになるわけではありませんが、疫学研究により、胃がん患者の胃粘膜に高頻度にピロリ菌が確認されています。発がんメカニズムはまだ明らかになっていませんが、ピロリ菌が産生するタンパク質(CagAというタンパク質)を胃の粘膜細胞に注入しがんを誘発するのではないかとの仮説が提唱されています」
 ピロリ菌が産生する毒素(VacAタンパク質)には胃粘膜の免疫を弱める働きがあるとの指摘もあり、間接的に胃がんの発症を促進するとも考えられているのです。
 1994年、ピロリ菌感染は胃がんの確実発がん因子であると世界保健機関(WHO)によって認定されました。最高の危険性を示す「グループ1」に分類されました。強力な発がん性で知られるタバコやアスベストと同じ分類です。神谷さんはこう続けます。
 「ピロリ菌による感染が進むと萎縮性胃炎になります。病理学の見地からは、萎縮性胃炎は、前がん病変と考えられています。また、粘膜上皮細胞ががん化する胃がんに加え、胃のリンパ節にがんができる胃MALTリンパ腫もピロリ菌の関連が疑われています。胃潰瘍、十二指腸潰瘍を引き起こすという問題もありますから、ピロリ菌に感染しているなら、除菌することをお勧めします」

胃がんの活性リンパ球治療

がん細胞を直接攻撃する免疫細胞は、活性化リンパ球です。
この活性化リンパ球は、進行がんから末期がんへのがんとの闘いが長期化することにより不足していきます。 赤血球なら家族や他人から輸血することはできますが、活性化リンパ球は、GVHDという拒絶反応を起こすため、自分のリンパ球しか使えません。
そこで、自分のリンパ球を取り出し、試験管の中で、1000倍に増やしてから、そのリンパ球を投与する方法が活性化リンパ球治療です。
 体内のリンパ球が不足すると、がんに対する攻撃と防御の療法が低いため、がんの進行が急速になります。
また、細菌やウイルスに対する抵抗力も低くなり、肺炎や腸炎になりやすくなります。
検査でリンパ球の不足を調べ、無駄なく活性化リンパ球治療をしましょう!
リンパ球数・活性が低下する時とは…
・ がん患者さん
・ 肝転移、肺転移、腹膜播種、局所再発
・ 肺がん・胃がん
・大腸がんなどのがんでステージ3期、4期、再発時
・ 骨盤に放射線治療を行う前立腺、子宮頸がん、直腸がん
・ 抗がん剤治療・放射線治療
・ 身体的ストレス(手術・過労)や精神的ストレス(痛み・がん)
 血液検査の時と同じ様に、腕の静脈から血液を8mlか16mlを採取。
遠心分離で白血球の層を採取し、細胞培養液と一緒に、培養用バッグに入れます。
リンパ球にとって最高の環境にしてある培養液の中で、最適な温度と酸バランスのインキュベーター(培養装置)で37.0℃に保ちます。
1000倍に増やすには、11日から14日かかり、個人差があります。
増えていくと培養液を増やしていき、1000mlから2000ml以上まで増やしていきます。
血液検査の時と同じ様に、腕の静脈から血液を8mlか16mlを採取。
遠心分離で白血球の層を採取し、細胞培養液と一緒に、培養用バッグに入れます。
リンパ球などの免疫細胞の不足を調べる血液検査血液検査の白血球数(WBC)で免疫細胞の総数がわかります。 それに、血液像で、好中球数やリンパ球数など%や数でわかります。
リンパ数は、通常、1000-1500 個/μL必要です。 がんがある場合、1500個/μL以上必要です。 1000個/μL以下になると疲労感やだるさがでて、肺炎や腸炎などになりやすくなります。 500個/μL以下になるとがんに対する免疫不全状態で、がんの進行が急速になり、生命を維持する日和見感染などの危険も高くなります。
活性化リンパ球治療では、1500個/μL以上を維持することを目標のひとつとします。
グラニュライシン(リンパ球活性量)は、活性化リンパ球が分泌するケモカインの一種で、がん細胞や細菌の膜に穴を空け、細胞をこわします。
このグラニュライシンは、健康な中高年で、4.0ng/ml以上持っているため、健康維持には欠かせないものです。 このグラニュライシンは、がん患者さんでは、平均値 2.7ng/ml、胃がんの再発では、2.2ng/mlとがんの進行で低下していきます。 この数値が3.0ng/mlを切るとだるさや疲労感を訴えることが多く、4.0ng/ml以上で元気になりましたといわれることが多く、免疫治療の評価として有用です

胃がん治療の有名病院(九州地区)

福岡県
国立病院機構九州がんセンター 消化器外科  福岡県福岡市南区野多目3-1-1 ℡092-541-3231 
胃癌や大腸癌の外科治療では、すぐれた治療成績をあげており、九州地区では大変評価の高い病院。
国立病院機構九州医療センター 外科  福岡県福岡市中央区地行浜1-8-1 ℡092-852-0700 
胃がんのみならず、がん治療の実力病院として高い評価を得ており、書籍等でも常に取り上げられている。
小倉記念病院 外科  福岡県北九州市小倉北区貴船町1-1 ℡093-921-2231 
心臓血管外科で大変有名な病院だが、胃がん治療においてもその実力は高く評価されている。
麻生飯塚病院 外科  福岡県飯塚市芳雄町3-83 ℡0948-22-3800 
九州で初めて、自宅や職場で胃がん等の検診ができる「検診宅配便」のサービスを始めた病院。
済生会福岡総合病院 外科  福岡県福岡市中央区天神1-3-46 ℡092-771-8151 
各専門医の指導のもとにチーム医療を実践。胃がん等の消化器癌に対する集学的治療、特に化学療法を充実させ、外来化学療法を行っている。
佐賀県
佐賀県立病院好生館 外科  佐賀県佐賀市水ヶ江1-12-9 ℡0952-24-2171 
「地域がん診療拠点病院」に指定されており、胃がんの手術件数では佐賀県でトップ。地域医療を確保し、地域の人々が質の高いがん診療を受けることができる体制確保を目指す。
長崎県
佐世保市立総合病院 外科  長崎県佐世保市平瀬町9-3 ℡0956-24-1515 
胃がんの手術件数では長崎大学病院に続いて県内第2位。胃がん治療のガイドラインに準じた治療を実施。
長崎市立市民病院 外科  長崎県長崎市新地町6-39 ℡095-822-3251
長崎で胃がん治療のお勧め病院として名前が上位に挙がる病院。早期胃癌では内視鏡切除や腹腔鏡下切除を実施。

胃がん治療の有名病院(中国、四国)

岡山県
倉敷中央病院 外科 岡山県倉敷市美和1-1-1 ℡086-422-0210 
胃がんの手術は、岡山県内トップクラスの175例(2004年)。内訳は胃全摘出67例、胃の一部切除108例あり、実力度の評価は高い。
岡山済生会総合病院 外科  岡山県岡山市伊福町1-17-18 ℡086-252-2211 
手術症例数、治癒率など治療実績は岡山県内トップクラス。多くの書籍やネット情報における胃がんの実力度ランキングで上位にランクされている。
広島県
国立病院機構呉医療センター中国がんセンター 外科  広島県呉市青山町3-1 ℡0823-22-3111 
中国地方の胃がん治療の実力病院として評価が高い。正確な診断と最先端の治療を行うことを目指す。
広島市民病院 外科  広島県広島市中区基町7-33 ℡06-6929-1221 
腹腔鏡手術の件数において全国的にも上位にランクされている。実力度も高い評価を受けている。
広島市立安佐市民病院 外科  広島県広島市安佐北区可部南2-1-1 ℡082-815-5211 
病気の進行の程度に基づき、腹腔鏡を用いた局所切除、幽門輪および自律神経を温存した幽門保存手術、標準的胃切除術さらには左開胸開腹下の下部食道胃全摘術や膵頭十二指腸切除術等の術式を行っている。
 徳島県
徳島赤十字病院消化器外科  徳島県小松島市中田町新開28-1 ℡08853-2-2555
ある書籍の「全国病院実力度ランキング」の胃がん部門で堂々の全国第1位にランクされた病院。ケア・リハビリ体制も充実している。
香川県
香川県立中央病院 外科  香川県高松市番町5-4-16 ℡087-835-2222 
2005年に「地域がん診療拠点病院」に指定された病院。早期胃がんでは腹腔鏡下手術や機能温存手術、高度進行癌では拡大手術や術前化学療法と組み合わせた手術なども取り入れている。
香川労災病院 外科  香川県丸亀市城東町3-3-1 ℡0877-23-3111  
胃がんの手術は年に100例以上。西讃地区の基幹病院の外科としてだけでなく、香川県の指導的な病院と認められている。
 愛媛県
国立病院機構四国がんセンター 上部消化管外科  愛媛県松山市堀之内13 ℡089-932-1111 
内視鏡を用いての手術から広い範囲を切り取る手術まで、すすみ具合によって手術方法を選び、日々がんを治す努力を続けている。

肺がん手術の高額な治療費を軽減する制度

高額な医療費の負担を軽くするために、健康保険には高額療養費制度が設けられています。これは2006年10月から施行された制度で、月ごとに一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分がもどってくるという内容になっています。
 同じ月に、同じ医療機関に支払った医療費が対象となり、外来と入院とを別にして計算します。(計算式は所得によって異なっています。)
 また、1年間に4回以上高額療養費制度を利用する場合には、4回目からの自己負担額は定額となります。一般世帯で4万4400円、高額所得世帯は8万3400円となります。
 自己負担限度額(70歳未満、2006年)
 一般世帯
  8万100円+(かかった医療費-26万7000円)×1%
 高額所得世帯
  (15万円+(かかった医療費-50万円)×1%
 生活保護世帯など
  3万5400円
 なお、入院中の食事代や差額ベッド代、診断書などの書類作成費用は、高額療養費の対象とはなっていません。
 また、月ごとの計算になるので、入院の日数が同じでも複数月にわたる場合は、払い戻し額が違ってくることに注意しましょう。払い戻し申請は、原則として本人がする必要があります。
 70歳以上の人は、70歳未満の人と自己負担限度額が異なります。70歳以上で一般所得の人が外来にかかった場合、ひとつの医療機関で同月に1万2000円以上支払うことはありません。
 入院の場合も、同じようにして4万4400円を超えることはありません。(ただし、食事代や差額ベッド代は除く。)
当座の支払い費用を貸し付ける制度なども
 当座の支払いにあてる費用を無利子で貸し付ける制度もあります。貸付額は高額療養費として払い戻される額の8割相当になります。
 また、同じような制度として、受領委任払いがあります。これは、高額療養費の分は保険者が医療機関に納めて、本人は最終的な自己負担分だけを医療機関の窓口に納める方法です。
差額ベッド代も大きな費用となる
 治療費以外に大きな出費となるのが、入院時の差額ベッド代(室料差額)です。都市部の個人病院の場合、4人以上の部屋でも1日あたり数千円かかるところが多くあります。個室になると、どこの病院でも1日あたり1万円~5万円かかるようになります。
ただし、症状によって病院から個室に入るように指示された場合は、全額自己負担とはなりません。本人が個室を希望した場合は、全額自己負担となってしまいます。
他にかかる費用として、通院のための公共交通機関の料金、車のガソリン代、駐車料金などがあります。遠方からくる人は、宿泊料も考慮しなければなりません。
退院後には、かかりつけ医に紹介状を書いてもらう場合がありますが、その際には文書作成料がかかります。抗がん剤の副作用で脱毛が起こった場合には、かつらを買うための費用も発生します。

肺がんとアスベスト

近年問題になっているのはアスベスト(石綿)による肺がんです。
 アスベストとは天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で昔は「いしわた」と呼ばれていました。
 繊維が極めて細いため、研磨機、切断機などを使用して建物を解体したり、吹付け石綿などの除去等において必要な措置を行わないと石綿が飛散して人が吸入してしまう恐れがあります。
 以前はビル等の建築工事において、保温断熱の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが、肺がんや中皮腫がんなどの問題がわかってきました。
 その後も断熱材、保温材などとして製造されましたが今は禁止されています。
 アスベストと肺がんの因果関係ははっきりとは解明されていませんが、非常に細い粒子なのでそれによる物理的刺激で肺がんが発生するのではないかと言われています。
 一般的に問題とされている中皮腫がんよりも肺がんの確立のほうが高いという研究結果もあるようです。
 特に長年アスベストを吸っていたような人に多く発生する事がわかってきています。
 問題になるのは、アスベストを使う作業環境の方が喫煙者であれば、肺がんの発症リスクは、何と53倍にもなるといわれています。
 アスベストはそこに存在するだけでは危険性は少ないのですが、解体などで粉砕される事で広い範囲に散らばって被害を拡大させます。
 今後、2020年頃を中心に懸念されていることが、肺がん患者が急増するのではないかということです。
 これは、アスベストの需要がまだ高かった頃に、これを使う環境で作業をされていた方が、潜伏期間の30年から40年経つ頃がこの時になることです。
 はっきりとした指針が示されたのが近年である事により、それ以前にアスベストに関わっていた人は必ずがんの検査を受ける事が必要です。
 またアスベストに関連する地域に住んでいた人も積極的にがん検診を受けるようにしましょう。国の援助もあるようですので保健所や地域の行政機関に相談してみる事が一番です。

胃がん治療の有名病院(関西地区)

胃がん治療の有名病院(関西地区)
吉村平  三重県立志摩病院 三重県志摩市阿児町鵜方1257℡0599-43-0501
河野幸裕  滋賀県立成人病センター 滋賀県守山市守山5-4-30℡077-582-5031
高橋滋  近江八幡市立総合医療センター 滋賀県近江八幡市土田町1379℡0748-33-3151
宮代勲・竜田正晴・飯石浩康・矢野雅彦  大阪府立成人病センター 大阪府大阪市東成区中道1-3-3
℡06-6972-1181 
辻仲利政  国立病院機構大阪医療センター 大阪府大阪市中央区法円坂2-1-14
℡06-6942-1331
山下好人  大阪市立総合医療センター 大阪府大阪市都島区都島本通2-13-22 ℡06-6929-1221 
谷川允彦  大阪医科大学付属病院 大阪府高槻市大学町2-7 ℡072-683-1221
瀧口修治  大阪大学医学部付属病院 大阪府吹田市山田丘2-15 ℡06-6879-5111
永井祐吾  泉大津市立病院 大阪府泉大津市下条町16-1 ℡0725-32-5622 
古河洋
今村博司
  市立堺病院 大阪府堺市南安井町1-1-1 ℡072-221-1700
平塚正弘  市立伊丹病院 兵庫県伊丹市昆陽池1-100 ℡072-777-3773
松本智  天理よろづ相談所病院 奈良県天理市三島町200 ℡0743-63-5611

肺がんの遺伝子療法

遺伝子の中でがん抑制遺伝子p53に異常がある患者に限られ行うことのできる、肺がんの治療法があります。
 これは遺伝子療法といい、p53がん抑制遺伝子を肺がんに注入して、がん細胞を抑制し縮小させる新しい治療法で、近年、注目を集めています。
 注目のp53遺伝子はがん抑制遺伝子の一種で、この遺伝子の働きは、無制限に細胞が増殖することを抑え、がん細胞のような異常な細胞は、細胞の自殺といわれるアポトーシスを行うように働きます。
 遺伝子療法はこの働きを利用して、p53がん抑制遺伝子を組み込んだベクターというウィルスを、肺がんに注射して行う治療法です。
 投与して副作用など患者に異常がなければ、その後2回から3回の投与を行い経過を診ます。
 この遺伝子療法は臨床治療の段階で、今だ確立された治療法ではありません。
しかし、肺がん治療が行えるすべての治療法が効果的に経過が診られず、また、肺がんの再発で治療法が見つからない患者に効果的と考えられています。
 遺伝子療法は有望な治療法であることは、過去に行われた治療において、患者15人に対して遺伝子療法を行い、そのうち11人に肺がんの増大を止める効果が現れ、最も高い効果が現れた例では、肺がんの腫瘍が半分になった例があります。
 遺伝子療法は現在まだ臨床の段階にあって、条件に合った患者であることや、患者本人の意志で希望者のみに行われ、この治療が行われるには厳しい規則と管理体制が必要で、まだまだ確立した治療法になるには時間が必要です。
 この遺伝子療法は今後の研究が進み、肺がんの治療法として確立することが期待されます。

一般的な肺がんの初期症状

「しつこい咳が長く続いている」 ・ 「胸が痛い(胸痛)が続いている」 ・ 「ゼーゼーとした呼吸(ぜん鳴)をする」 ・ 「息切れする」 ・ 「声がかすれる」 ・ 「肩こりや背中の痛みがある」 ・ 「むくみがある」 ・ 「血痰が出た」
特に注意すべき徴候(サイン)「血痰が出た」「たばこを吸っている」
という方は、肺がんの危険が高いため、早急に検査が必要と言われています。
初期症状より重要なこととは?
また上記のような肺がんの初期症状がないからといって安心はできません。なぜなら、肺がんの初期症状は、自覚症状がないことが多いと言われているためです。
とくに喫煙の習慣がある方は、早めの検査が絶対に大切です。早期発見された場合は、治癒する可能性が十分にあるためです。けっして 治らない病気ではないのです。
2通りの検査方法
肺がんの検査を受けるには、お近くの医療機関に行くか、郵送によるスクリーニング検査の2通りの方法があります。医療機関でのガン 検診やドッグは、安いもので2万円程度から行われているようです。詳しくは、お近くの医療機関にお問い合わせください。
郵送によるスクリーニング検査について
ここでは、「病院はちょっと怖い」「忙しくてなかなか病院に行けない」「費用が心配」といった方のために、郵送によるスクリーニン グ検査について説明します。この検査は、通常の病院でも、最初に行うのが一般的なスクリーニング検査です。
郵送で肺がん検診を行うことができます。検査キットを購入 > 自宅で検体物(痰)をとります。 > クリニックへ郵送 > 結果 が送られてきます。
この検査は、「喀痰細胞診」と言われ、痰(たん)の中にあるガン細胞を探すというものです。もしこの検査で陽性となり、がん細胞が 確認されても、原因となる病巣はわかりません。従って、陽性が確認された場合は、精密検査を受けるなどする必要があります。

肺がんの生存率

小細胞がんの生存率
 肺がんの小細胞がんでは、再発が 3年なければほとんど治っていると考えられています。
 がん病巣が原発巣に限られている限局型(げんきょくがた)の場合の3年生存率が約30%、全身に転移してしまう進展型の場合の 3年生存率が約10%と言われています。
非小細胞がんの生存率
 肺がんの非小細胞がんの生存率は下記の通りです。
 
・Ⅰ期-
 リンパ節への転移がないⅠ期では 5年生存率は 50%~70%(10年生存率は約90%)、がんの直径が 1cm以下で切除した場合はほぼ 100%治ります。
・Ⅱ期-
 5年生存率は 30%~50%です。
・Ⅲ期-
 切除ができないⅢ期では、放射線治療をしても 2年生存率が 30%~40%です。
・Ⅳ期-
 化学療法(抗がん剤治療)をおこなった場合は、1年生存率が 30%~40%です。
 肺がんは様々な治療を駆使しても治る確率が高いとは言えません。ですから完治するには、早期発見・早期治療が大切です

胃がん治療の有名病院【中部・北陸・東海】

石川県 2病院
石川県立中央病院★診療科目
一般消化器外科 石川県金沢市鞍月東2-1 ℡076-237-8211 
胃がんⅡ期・Ⅲ期の手術実績において「AAAA」に評価された数少ない病院の一つ。地域の中核病院として多くの患者が診療を受けている。
金沢医科大学病院★診療科目
一般消化器外科 石川県河北郡内灘町大学1-1 ℡076-286-2211 
平成6年に北陸地方で初めて特定機能の指定を受けた地域の基幹病院。
福井県 1病院
福井県済生会病院★診療科目
呼吸器外科
福井県福井市和田中町舟橋7-1 ℡0776-23-1111 
診断からチーム医療で対応しており、胃がんの治療成績で全国でベスト10に入るほどの高い評価を受けている。
岐阜県 2病院
大垣市民病院★診療科目
外科
岐阜県大垣市南頬町4-86 ℡0584-81-33411 
胃がんの手術の症例数や手術後5年間の生存率、入院日数についての調査で、全国的にも高く評価されている病院。
岐阜市民病院★診療科目
外科
岐阜県岐阜市鹿島町7-1 ℡058-251-1101 
胃がんの手術を全国的に見てもかなり多く実施している。早期がんに対しては患者のQOL向上をめざした自律神経温存術式や腹腔鏡下手術を取り入れている。
静岡県 4病院
静岡県立
静岡がんセンター
★診療科目
胃外科 静岡県駿東郡長泉町下長窪1007 ℡055-989-5222 
2002年にがん専門病院として開院した新しい病院だが、正確な診断・的確な治療とケアで、胃がん実力病院診断で全国でも最上位にランクされている。
聖隷三方原病院★診療科目
外科 静岡県浜松市三方原町3453 ℡053-436-1251 
早期治療から末期ケアまで継続的な医療を展開し、胃がんの実力病院として静岡県内はもとより、全国的にも高い評価を得ている。
静岡県立総合病院★診療科目
消化器センター外科 静岡県静岡市葵区北安東4-27-1 ℡054-247-6111 
胃がんの治療成績で全国的にも上位にランクされている病院。名古屋大学との提携による根治的治療法が評価されている。
愛知県 2病院
名古屋第一赤十字病院★診療科目
呼吸器外科 愛知県名古屋市中村区道下町3-35 ℡052-481-5111 
胃がんを含む一般外科の年間の手術件数は約1400例で、県下でも1~2位を争う症例数。医師全員がPHSによる24時間オンコール体制をとって、緊急時に即応している。
藤田保健衛生大学病院★診療科目
上部消化管外科 愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1-98 ℡0562-93-2111 
胃がんの腹腔鏡下手術の名医として有名な宇山一朗助教授がいる病院で、腹腔鏡下手術では国内トップクラスの手術数を行っており、開腹手術と全く変わらないレベルのリンパ節郭清を行っている。
愛知県がんセンター
中央病院
★診療科目
胸部外科 愛知県名古屋市千種区鹿子殿1-1 ℡052-762-6111 
胃がんの治療成績が良いことで全国的にも有名。胃がん患者に投与する抗がん剤量を1/200に減らせる新技術を開発し、2005年9/14日本癌学会で発表を行った。