咽頭は鼻の奥から食道に至るまでの食物や空気の通り道で、上・中・下の3部位に分けられる。下咽頭がんは、酒好き・たばこ好きの男性に多く、頭頚部のがんの中でも最も治りにくいがんの一つだ。このがんの治療で定評のある病院は?
●癌研有明病院(東京都)
癌研有明病院の頭頚科は、世界トップクラスのマイクロサージャリーによる再建手術を生かした下咽頭がん手術で実績を持つ。マイクロサージャリーとは肉眼ではなく、顕微鏡をのぞきながら行う微小外科手術のことだ。
「下咽頭の進行がんでは、咽頭と喉頭、食道を切除します。この場合、主に空腸を使って食道を再建し、同時に声を出すための音声再建手術もします。また、がんが小さい場合には喉頭の一部を残す喉頭温存手術を行います。この場合も同様の音声再建手術などを行います。再建手術は血管を上手につなぐなどの高度な技術が求められます。
この再建手術にマイクロサージャリーの実績が役立っています」と川端一嘉部長。
下咽頭がんの年間手術数は40~60例で、そのうち約10%に喉頭温存手術を行っている。
同科での術後5年生存率は喉頭全摘手術が43~44%、喉頭温存手術は68~80%ほどでいずれも好成績だ。
「温存手術で切除範囲を小さくしても、5年生存率は下がらないことがわかってきました。切除範囲が少なければ、術後に起こりやすい誤嚥(食べた物が食道ではなく気道に入る)などを軽減することもできます」(川端部長)
●大阪府立成人病センター(大阪府)
大阪府立成人病センターの耳鼻咽喉科は、下咽頭がんの年間患者数45~50例で全国トップクラスだ。特に「食べる」「声を出す」などさまざまな機能を温存することに積極的に取り組んでいる。
「早期がんには放射線治療か喉頭温存手術のいずれかを選択して、喉頭の機能の温存を図っています。放射線治療による機能温存率はT1(がんが下咽頭のある部分に限られ、最大径2センチ以下)なら約68%、T2(最大径2センチを超え4センチ以下)では約61%です」と吉野邦俊部長。
放射線治療による機能温存率では全国有数の好成績だ。また、喉頭の一部を温存する
喉頭温存手術(T1、T2対象)でも機能温存率は約70%と高い治療成績を誇る。
下咽頭がんは進行した状態で見つかることが多く、声帯を含む喉頭も手術で取らなければならない場合がほとんどだ。しかし、同病院では喉頭温存手術の適応の拡大も検討中である。
「下咽頭がんで再発した場合などにも、可能なら喉頭温存手術を行っています。治療後のリハビリにも力を入れています」(吉野部長)
●北海道大学病院(北海道)
北海道大学病院耳鼻咽喉科では、「超選択的動注化学療法」と呼ばれる最新治療法で、進行した下咽頭がんの治療に取り組んでいる。
「この治療法は90年代初めに米国で開発されたものです。当科では99年からこれまでに24例の下咽頭がん(頭頚部がん全体では120例以上)に実施し、奏効率は100%と好成績です」と福田諭教授。
細い管(カテーテル)を太ももの付け根の動脈から挿入し、下咽頭がんに栄養を送る細い動脈まで運び、抗がん剤を大量に注入してがんのみに集中的に作用させる。
同時に抗がん剤を中和する薬を鎖骨下の静脈に注射する。がんをたたいてから
静脈に流れてきた抗がん剤の作用を減らして、全身への副作用を抑えるという治療法である。
治療期間は約7週間。抗がん剤は週1回、合計3、4回実施。同時に放射線治療も行う。
「効果を得るのに十分な量の抗がん剤を投与しているにもかかわらず、副作用が少ないのがこの治療法の大きなメリット。かなり高い効果が期待できます。手術のできない進行した下咽頭がんや、手術を希望されない方には、有効な治療法の一つです」(福田教授)
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●北海道大学病院 耳鼻咽喉科
福田諭教授 (電話)011・716・1161(北海道)
根治手術、放射線化学同時併用療法、超選択的動注の各治療法を病期と患者の状態に合わせて適切に選択し、優れた成績を得ている
●東北大学病院 耳鼻咽喉・頭頚部外科
志賀清人講師 (電話)022・717・7000(宮城県)
喉頭温存を目的に下咽頭部分切除術や化学放射線療法で好成績。進行例も化学放射線療法とサルベージ手術で生存率の向上を目指す
●栃木県立がんセンター 頭頚科
横山純吉副主幹兼医長 (電話)028・658・5151(栃木県)
手術不能進行例に抗がん剤を用いた超選択的動注を実施。全身への副作用を軽減し、音声や嚥下機能温存と治療成績の向上を得る
●国立がんセンター東病院 消化器内科
田原信医師 (電話)04・7133・1111(千葉県)
下咽頭がんを含む頭頚部がんの治療には頭頚科医と放射線科医、腫瘍内科医が協力し、チーム医療として行っている
●癌研有明病院 頭頚科
川端一嘉部長 (電話)03・3520・0111(東京都)
世界トップクラスのマイクロサージャリーを駆使した再建手術で実績。
年間手術数40~60例。温存手術にも積極的に取り組む
●国立がんセンター中央病院 頭頚科
大山和一郎医長 (電話)03・3542・2511(東京都)
初発例、再発例を問わず、適応のある症例には喉頭を温存した下咽頭がん手術を行う。治療成績と術後のQOLの向上に取り組む
●横浜市立大学付属病院 耳鼻咽喉科
佃守部長 (電話)045・787・2800(神奈川県)
強い抗腫瘍性を持ち、かつ高い放射線増感作用を示す化学療法と放射線治療を併用し、喉頭の機能温存と予後の向上に努めている
●金沢大学病院 耳鼻咽喉科
吉崎智一講師 (電話)076・265・2000(石川県)
超選択的動注と放射線療法による臓器温存治療を実施し、従来の咽頭・頭頚部・食道摘出術に匹敵する生存率を得ている
●大阪府立成人病センター 耳鼻咽喉科
吉野邦俊部長 (電話)06・6972・1181(大阪府)
下咽頭がんの年間患者数45~50例で全国有数。特に喉頭機能温存手術に積極的に取り組む。放射線治療科等の他科との連携も緊密だ
●久留米大学病院 耳鼻咽喉科
中島格教授 (電話)0942・31・7622外来(福岡県)
形成・消化器・放射線とのチーム医療により、国内最高レベルの生存率。初期がんに対する音声保存治療に向けて新たな取り組み中
乳がんに強い病院ベスト10
乳がんにかかる女性は、1年で3~4万人で、毎年1000人ずつ増えています。
かかる年代としては30~65歳までの年齢層に多く、以前からすると若い年代の層にも無関係ではなくなってきています。
胸は女性にとってとても大切なものです。
発見や病院の設備などで、結果が大きく変わってくる、乳がんの治療に強い病院をご紹介します。
●聖路加国際病院 (東京)
ブレストセンター乳腺外科 中村清吾(なかむらせいご)センター長、津川浩一郎(つがわこういちろう)副医長、矢形寛(やがたひろし)医幹 (電話)03-3541-5151
2005年5月に乳がんの診断と治療を専門に行うブレストセンターができ、診療を始めました。名医・中村清吾センター長らの乳腺外科チームと放射線科、腫瘍内科、形成外科など、専門医たちが連携して、早期がんに対する日帰り手術を含む外来療法、先進的なチーム医療にも積極的に取り組んでいます。
「乳がんとわかったときは、まず慌てないことです。がんは急にできたものではありません。その出発点は、実は、何年も前からじわじわと進んできたものです。だから、そう慌てることはないし、時間に余裕はあります。周囲の力を借り、じっくり対策を考えましょう」(中村清吾センター長)
●亀田総合病院 (千葉県)
乳腺センター 福間英祐(ふくまえいすけ)センター長、阿部聡子(あべさとこ)部長代理
(電話)04-7092-2211
福間英祐センター長は最新治療に精通するとともに、乳腺内視鏡手術のパイオニアで累計手術数750例は圧倒的に世界一です。2004年の年間手術数156例中、乳腺内視鏡手術が127例(乳房温存99例を含む)を占めています。患者本位の姿勢を貫き、都内3ヶ所のクリニックでは精力的に「乳がんの出張外来」をこなしています。
「乳腺センターとして診断、治療、ケア、検診など、乳房の健康と病気にかかわるすべてについて、最新かつ多くの選択肢を提供します。とくに、乳腺内視鏡手術と、乳がんに対する凍結療法は、病気の根治と低い負担を両立させる治療だと考えています」(福間英祐センター長)
●国立がんセンター中央病院 (東京都)
乳腺外科 福富隆志(ふくとみたかし)医長、乳腺外科 木下貴之(きのしたたかゆき)医長、明石定子(あかしさだこ)医師 (電話)03-3542-2511
術前化学療法による乳房温存療法(過去1年間に約200例)の定期王の拡大と、CTやMRIによる至適切除範囲の設定などに力を入れる。患者全体の生存率は82.2%。
「乳がん治療では多くの選択肢があります。まず医師の話をよく聞きましょう。そのあとは『先生におまかせします』ではいけません。自分の考えをもち、『私はこうしたいと思います』という考えが重要です」(福富隆志医長)
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●星総合病院 (福島県)
外科・乳腺センター 野水整(のみずただし)副院長、片方直人(かたがたなおと)外科部長、 山田睦夫(やまだむつお)外科部長 (電話)024-923-3711
県内唯一の高性能マンモトーム政権施設であり、乳がん治療の実績では東北トップクラス。野水整お福院長(福島医大臨床教授)らの日本乳癌学会認定医3人が、「すべては患者さんのために」を基本姿勢に治療を行っています。
●栃木県立がんセンター (栃木県)
乳腺グループ医長 安藤二郎 (電話)028-658-5151
●聖マリアンナ医科大学病院 (神奈川県)
乳腺・内分泌外科教授 福田護 、緒方晴樹 講師 (電話)044-977-8111
●静岡県立総合病院 (静岡県)
乳腺外科 遠山和成(とおやまかずしげ)副院長、中上和彦(なかがみかずひこ)医長、
常泉道子(つねいずみみちこ)医長 (電話)054-247-6111
「5年生存率は、あくまでひとつの目安でしかありません。患者さんの生死や予後を完全に把握することは今の社会では困難です。したがって予後調査がまじめにできている施設ほど生存率は悪くなる可能性がある、ということを知っておいていただきたいと思います」(中上一彦医長)
●藤田保健衛生大学病院 (愛知県)
内分泌科 岩瀬克己(いわせかつみ)教授、放射線科 小林英敏(こばやしひでとし)教授、
血液内科・化学療法科 丸山文夫(まるやまふみお)助教授
(電話)0562-93-2111
日本乳癌学会認定の乳腺専門施設。乳がんを中心とした乳腺の病気に対し、最先端の検査と治療を行っています。関連するほかの診療部門との連携を重んじたチーム医療を目指しています。
●国立病院機構 四国がんセンター (愛媛県)
乳腺外科 高嶋成光(たかしましげみつ)院長、大住省三(おおすみしょうぞう)医長、青儀健二郎(あおぎけんじろう)医師 (電話)089-932-1111
年間245例の乳癌手術は、愛媛県のすべての乳がん患者の60%以上にあたる。全体の10年生存率もステージⅡで93.5%と好成績です。乳房温存療法(2004年度は147例)を主として行い、形成外科の協力のもと、『きれいな乳房』を残すべく努めています。
●鳥取大学医学部付属病院 (鳥取県)
乳腺内分泌外科(第二外科)講師 石黒清介 (電話)0859-33-1111
●北九州市立医療センター (福岡県)
総括副院長 光山昌珠、外科部長(乳腺)阿南敬生 (電話)093-541-1831
かかる年代としては30~65歳までの年齢層に多く、以前からすると若い年代の層にも無関係ではなくなってきています。
胸は女性にとってとても大切なものです。
発見や病院の設備などで、結果が大きく変わってくる、乳がんの治療に強い病院をご紹介します。
●聖路加国際病院 (東京)
ブレストセンター乳腺外科 中村清吾(なかむらせいご)センター長、津川浩一郎(つがわこういちろう)副医長、矢形寛(やがたひろし)医幹 (電話)03-3541-5151
2005年5月に乳がんの診断と治療を専門に行うブレストセンターができ、診療を始めました。名医・中村清吾センター長らの乳腺外科チームと放射線科、腫瘍内科、形成外科など、専門医たちが連携して、早期がんに対する日帰り手術を含む外来療法、先進的なチーム医療にも積極的に取り組んでいます。
「乳がんとわかったときは、まず慌てないことです。がんは急にできたものではありません。その出発点は、実は、何年も前からじわじわと進んできたものです。だから、そう慌てることはないし、時間に余裕はあります。周囲の力を借り、じっくり対策を考えましょう」(中村清吾センター長)
●亀田総合病院 (千葉県)
乳腺センター 福間英祐(ふくまえいすけ)センター長、阿部聡子(あべさとこ)部長代理
(電話)04-7092-2211
福間英祐センター長は最新治療に精通するとともに、乳腺内視鏡手術のパイオニアで累計手術数750例は圧倒的に世界一です。2004年の年間手術数156例中、乳腺内視鏡手術が127例(乳房温存99例を含む)を占めています。患者本位の姿勢を貫き、都内3ヶ所のクリニックでは精力的に「乳がんの出張外来」をこなしています。
「乳腺センターとして診断、治療、ケア、検診など、乳房の健康と病気にかかわるすべてについて、最新かつ多くの選択肢を提供します。とくに、乳腺内視鏡手術と、乳がんに対する凍結療法は、病気の根治と低い負担を両立させる治療だと考えています」(福間英祐センター長)
●国立がんセンター中央病院 (東京都)
乳腺外科 福富隆志(ふくとみたかし)医長、乳腺外科 木下貴之(きのしたたかゆき)医長、明石定子(あかしさだこ)医師 (電話)03-3542-2511
術前化学療法による乳房温存療法(過去1年間に約200例)の定期王の拡大と、CTやMRIによる至適切除範囲の設定などに力を入れる。患者全体の生存率は82.2%。
「乳がん治療では多くの選択肢があります。まず医師の話をよく聞きましょう。そのあとは『先生におまかせします』ではいけません。自分の考えをもち、『私はこうしたいと思います』という考えが重要です」(福富隆志医長)
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●星総合病院 (福島県)
外科・乳腺センター 野水整(のみずただし)副院長、片方直人(かたがたなおと)外科部長、 山田睦夫(やまだむつお)外科部長 (電話)024-923-3711
県内唯一の高性能マンモトーム政権施設であり、乳がん治療の実績では東北トップクラス。野水整お福院長(福島医大臨床教授)らの日本乳癌学会認定医3人が、「すべては患者さんのために」を基本姿勢に治療を行っています。
●栃木県立がんセンター (栃木県)
乳腺グループ医長 安藤二郎 (電話)028-658-5151
●聖マリアンナ医科大学病院 (神奈川県)
乳腺・内分泌外科教授 福田護 、緒方晴樹 講師 (電話)044-977-8111
●静岡県立総合病院 (静岡県)
乳腺外科 遠山和成(とおやまかずしげ)副院長、中上和彦(なかがみかずひこ)医長、
常泉道子(つねいずみみちこ)医長 (電話)054-247-6111
「5年生存率は、あくまでひとつの目安でしかありません。患者さんの生死や予後を完全に把握することは今の社会では困難です。したがって予後調査がまじめにできている施設ほど生存率は悪くなる可能性がある、ということを知っておいていただきたいと思います」(中上一彦医長)
●藤田保健衛生大学病院 (愛知県)
内分泌科 岩瀬克己(いわせかつみ)教授、放射線科 小林英敏(こばやしひでとし)教授、
血液内科・化学療法科 丸山文夫(まるやまふみお)助教授
(電話)0562-93-2111
日本乳癌学会認定の乳腺専門施設。乳がんを中心とした乳腺の病気に対し、最先端の検査と治療を行っています。関連するほかの診療部門との連携を重んじたチーム医療を目指しています。
●国立病院機構 四国がんセンター (愛媛県)
乳腺外科 高嶋成光(たかしましげみつ)院長、大住省三(おおすみしょうぞう)医長、青儀健二郎(あおぎけんじろう)医師 (電話)089-932-1111
年間245例の乳癌手術は、愛媛県のすべての乳がん患者の60%以上にあたる。全体の10年生存率もステージⅡで93.5%と好成績です。乳房温存療法(2004年度は147例)を主として行い、形成外科の協力のもと、『きれいな乳房』を残すべく努めています。
●鳥取大学医学部付属病院 (鳥取県)
乳腺内分泌外科(第二外科)講師 石黒清介 (電話)0859-33-1111
●北九州市立医療センター (福岡県)
総括副院長 光山昌珠、外科部長(乳腺)阿南敬生 (電話)093-541-1831
食道がんに強い病院ベスト10
食道がんは近年になって生存率が高くなった。
食道がん全体の5年生存率は約15~35%で、20年前の10%以下に比べてかなり改善されている。
手術と並んで、化学療法と放射線療法を併用する化学放射線療法も
注目されてきた。優れた治療実績のある病院?
●東海大学病院(神奈川県)
内視鏡治療の5年生存率が97%越す 。東海大学病院の消化器外科は、食道がんの
治療数が年間約200例、累計2400例を超え全国トップクラスの症例数を誇る。
がんが粘膜内にとどまる早期がん(粘膜がん)では内視鏡的粘膜切除術(EMR)を
年間70~80例、がんが粘膜上皮を越えて粘膜下層に入った1~3期では手術を年間
80~90例、さらに進行して周囲の臓器に転移した場合では化学放射線療法を含む
治療を年間約40例行う。
特に早期がんの内視鏡治療では88年にチューブを用いたEEMRチューブ法を開発
したことで知られる。
「がんを含んだ粘膜をチューブ内に吸引して切除しやすく工夫したのが、EEMRチューブ法
です。簡単にできる治療法なのでかなり普及しています。89年に本格的に開始し、
これまで820~830例に治療しています。EEMRチューブ法を含む内視鏡治療の
5年生存率は97.2%で全国トップです」と幕内博康教授。
治療時間は15~30分。入院期間は3日間。退院後、半年ごとに検査を行い、
早期なら何度でも治療できる。現在、がんが粘膜下層の表層にあって、リンパ節転移の
ない場合(1b期)にもEEMRチューブ法を行う。
●大阪市立大学病院(大阪府)
胸腔鏡手術数は全国トップクラス。大阪市立大学病院の第2外科では、他臓器への
浸潤や遠隔転移のない胸部の食道がんに対して胸腔鏡手術を行っている。
96年からこれまでに約170例の治療を行い、胸腔鏡手術数では全国トップクラスだ。
胸腔鏡手術とは胸部に小さな穴を数カ所開け、そこから小型ビデオカメラや手術器具を
挿入して、モニターに映し出された映像を見ながら、食道を切除したり、リンパ節を
取り除く手術法である。同病院では日本内視鏡外科学会の技術認定を受けた医師が
胸腔鏡手術を行う。
「さまざまな手術器具を開発して手技を改良した結果、通常の食道がんの開胸手術と
同じ時間で完了し、合併症も少なく、安全です。また開胸手術との治癒率にも差は
ありません」と大杉治司助教授。
通常の開胸手術では胸部を開いて食道を切除し、同時に腹部と頚部(けいぶ)も開いて、
リンパ節を取り除く大手術となる。
「胸腔鏡手術では胸の傷が小さいだけでなく、カメラで術野が拡大されて見えるため、
より精度の高い手術が可能です。出血量も少なく、完全無輸血で行っています」
(大杉助教授)
術後にマラソンを楽しむ患者もいるという。
●国立がんセンター東病院(千葉県)
科学放射線療法で日本の中心的役割を果たす。国立がんセンター東病院内科は、
92年頃から食道がんに対する化学放射線療法を本格的にスタートさせ、日本の中心的
役割を果たす。現在、年間約200例に行っている。食道がんの化学放射線療法は、
放射線を1回1.8グレイずつ合計28回行う。同時に、5―FUとランダかブリプラチンの
2種類の抗がん剤を併用する。
「がんが粘膜下層まで入った1期に対する放射線化学療法の2年生存率は93%で、
手術に匹敵する治療成績が得られています」と大津敦部長。
また、食道がんの2~3期にも化学放射線療法を積極的に行っている。
「国内の臨床試験では、がんが完全に消失した比率は68%です」(大津部長)
ただし、化学放射線療法でがんが完全消失した人の40%近くは再発する。その場合、
内視鏡的粘膜切除術、レーザーを用いた光線力学的治療、手術のうちから適切な治療法を
選択するという。こうした再発治療を加えることで、手術にほぼ匹敵する治療成績が
得られているのだ。
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●恵佑会札幌病院 消化器外科
細川正夫院長 (電話)011・863・2101(北海道)
年間の食道がん患者数は230例。内科、外科、耳鼻咽喉科、放射線科、形成外科、
病理が一団となって医療を行っている
●国立がんセンター東病院 内科
大津敦部長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
化学放射線療法を積極的に推進。1期、2~3期の臨床試験で手術に匹敵する成績。
手術不能の4期にも多数の臨床試験を実施・計画
●国立がんセンター中央病院 食道外科
加藤抱一部長 (電話)03・3542・2511(東京都)
04年の治療数333例(うち手術135例)。外科、内科、放射線科、診断部門で合同協議。
患者の意思を尊重、科学的根拠をもとに治療決定
●順天堂大学順天堂医院 消化器外科
鶴丸昌彦教授 (電話)03・3813・3111(東京都)
食道がん切除手術は年間100~120例。進行がんには精緻なリンパ節郭清を行う。
早期のものには内視鏡治療を積極的に行っている
●東海大学病院 消化器外科
幕内博康教授(院長) (電話)0463・93・1121(神奈川県)
合計症例数は2400例を超えて全国有数。術後の5年生存率は内視鏡治療は97.2%、
手術では62.5%で、いずれも全国トップ
●愛知県がんセンター中央病院 胸部外科
篠田雅幸副院長 (電話)052・762・6111(愛知県)
進行度に応じた的確な標準治療を提供。手術は術式、術中・術後の管理の工夫で
負担の軽減を図り、好成績。最先端の臨床試験も実施
●大阪市立大学病院 第2外科
大杉治司助教授 (電話)06・6879・5111(大阪府)
胸腔鏡手術数で全国トップクラス。通常の開胸手術と同等の治癒力があり、
良好な成績。胸部の傷が小さく、術後のQOLが高い
●大阪府立成人病センター 消化器外科
矢野雅彦医長 (電話)06・6972・1181(大阪府)
早期には内視鏡治療、進行には集学的治療を行い好成績。年間手術数70例。
術後の嚥下機能などのQOL保持を重視した手術を行う
●大阪市立総合医療センター 消化器外科
東野正幸副院長 (電話)06・6929・1221(大阪府)
低侵襲手術として胸腔鏡手術300例。胸部操作、腹部操作とも内視鏡下で行う。
内視鏡下の術野拡大効果でより精緻な手術が可能
●久留米大学病院 外科
藤田博正教授 (電話)0942・35・3311(福岡県)
診断から内視鏡的粘膜切除、光線力学療法、手術(内視鏡下手術を含む)、
化学放射線治療、緩和医療まで、あらゆる病態に対応
食道がん全体の5年生存率は約15~35%で、20年前の10%以下に比べてかなり改善されている。
手術と並んで、化学療法と放射線療法を併用する化学放射線療法も
注目されてきた。優れた治療実績のある病院?
●東海大学病院(神奈川県)
内視鏡治療の5年生存率が97%越す 。東海大学病院の消化器外科は、食道がんの
治療数が年間約200例、累計2400例を超え全国トップクラスの症例数を誇る。
がんが粘膜内にとどまる早期がん(粘膜がん)では内視鏡的粘膜切除術(EMR)を
年間70~80例、がんが粘膜上皮を越えて粘膜下層に入った1~3期では手術を年間
80~90例、さらに進行して周囲の臓器に転移した場合では化学放射線療法を含む
治療を年間約40例行う。
特に早期がんの内視鏡治療では88年にチューブを用いたEEMRチューブ法を開発
したことで知られる。
「がんを含んだ粘膜をチューブ内に吸引して切除しやすく工夫したのが、EEMRチューブ法
です。簡単にできる治療法なのでかなり普及しています。89年に本格的に開始し、
これまで820~830例に治療しています。EEMRチューブ法を含む内視鏡治療の
5年生存率は97.2%で全国トップです」と幕内博康教授。
治療時間は15~30分。入院期間は3日間。退院後、半年ごとに検査を行い、
早期なら何度でも治療できる。現在、がんが粘膜下層の表層にあって、リンパ節転移の
ない場合(1b期)にもEEMRチューブ法を行う。
●大阪市立大学病院(大阪府)
胸腔鏡手術数は全国トップクラス。大阪市立大学病院の第2外科では、他臓器への
浸潤や遠隔転移のない胸部の食道がんに対して胸腔鏡手術を行っている。
96年からこれまでに約170例の治療を行い、胸腔鏡手術数では全国トップクラスだ。
胸腔鏡手術とは胸部に小さな穴を数カ所開け、そこから小型ビデオカメラや手術器具を
挿入して、モニターに映し出された映像を見ながら、食道を切除したり、リンパ節を
取り除く手術法である。同病院では日本内視鏡外科学会の技術認定を受けた医師が
胸腔鏡手術を行う。
「さまざまな手術器具を開発して手技を改良した結果、通常の食道がんの開胸手術と
同じ時間で完了し、合併症も少なく、安全です。また開胸手術との治癒率にも差は
ありません」と大杉治司助教授。
通常の開胸手術では胸部を開いて食道を切除し、同時に腹部と頚部(けいぶ)も開いて、
リンパ節を取り除く大手術となる。
「胸腔鏡手術では胸の傷が小さいだけでなく、カメラで術野が拡大されて見えるため、
より精度の高い手術が可能です。出血量も少なく、完全無輸血で行っています」
(大杉助教授)
術後にマラソンを楽しむ患者もいるという。
●国立がんセンター東病院(千葉県)
科学放射線療法で日本の中心的役割を果たす。国立がんセンター東病院内科は、
92年頃から食道がんに対する化学放射線療法を本格的にスタートさせ、日本の中心的
役割を果たす。現在、年間約200例に行っている。食道がんの化学放射線療法は、
放射線を1回1.8グレイずつ合計28回行う。同時に、5―FUとランダかブリプラチンの
2種類の抗がん剤を併用する。
「がんが粘膜下層まで入った1期に対する放射線化学療法の2年生存率は93%で、
手術に匹敵する治療成績が得られています」と大津敦部長。
また、食道がんの2~3期にも化学放射線療法を積極的に行っている。
「国内の臨床試験では、がんが完全に消失した比率は68%です」(大津部長)
ただし、化学放射線療法でがんが完全消失した人の40%近くは再発する。その場合、
内視鏡的粘膜切除術、レーザーを用いた光線力学的治療、手術のうちから適切な治療法を
選択するという。こうした再発治療を加えることで、手術にほぼ匹敵する治療成績が
得られているのだ。
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●恵佑会札幌病院 消化器外科
細川正夫院長 (電話)011・863・2101(北海道)
年間の食道がん患者数は230例。内科、外科、耳鼻咽喉科、放射線科、形成外科、
病理が一団となって医療を行っている
●国立がんセンター東病院 内科
大津敦部長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
化学放射線療法を積極的に推進。1期、2~3期の臨床試験で手術に匹敵する成績。
手術不能の4期にも多数の臨床試験を実施・計画
●国立がんセンター中央病院 食道外科
加藤抱一部長 (電話)03・3542・2511(東京都)
04年の治療数333例(うち手術135例)。外科、内科、放射線科、診断部門で合同協議。
患者の意思を尊重、科学的根拠をもとに治療決定
●順天堂大学順天堂医院 消化器外科
鶴丸昌彦教授 (電話)03・3813・3111(東京都)
食道がん切除手術は年間100~120例。進行がんには精緻なリンパ節郭清を行う。
早期のものには内視鏡治療を積極的に行っている
●東海大学病院 消化器外科
幕内博康教授(院長) (電話)0463・93・1121(神奈川県)
合計症例数は2400例を超えて全国有数。術後の5年生存率は内視鏡治療は97.2%、
手術では62.5%で、いずれも全国トップ
●愛知県がんセンター中央病院 胸部外科
篠田雅幸副院長 (電話)052・762・6111(愛知県)
進行度に応じた的確な標準治療を提供。手術は術式、術中・術後の管理の工夫で
負担の軽減を図り、好成績。最先端の臨床試験も実施
●大阪市立大学病院 第2外科
大杉治司助教授 (電話)06・6879・5111(大阪府)
胸腔鏡手術数で全国トップクラス。通常の開胸手術と同等の治癒力があり、
良好な成績。胸部の傷が小さく、術後のQOLが高い
●大阪府立成人病センター 消化器外科
矢野雅彦医長 (電話)06・6972・1181(大阪府)
早期には内視鏡治療、進行には集学的治療を行い好成績。年間手術数70例。
術後の嚥下機能などのQOL保持を重視した手術を行う
●大阪市立総合医療センター 消化器外科
東野正幸副院長 (電話)06・6929・1221(大阪府)
低侵襲手術として胸腔鏡手術300例。胸部操作、腹部操作とも内視鏡下で行う。
内視鏡下の術野拡大効果でより精緻な手術が可能
●久留米大学病院 外科
藤田博正教授 (電話)0942・35・3311(福岡県)
診断から内視鏡的粘膜切除、光線力学療法、手術(内視鏡下手術を含む)、
化学放射線治療、緩和医療まで、あらゆる病態に対応
大腸がんに強い病院ベスト10
大腸がんは、全長約1.5mの腸に発生するがんで、腸から肛門に続く長さ約15cmの「直腸」にできるがんが、大腸がんの全体のうちの約半分を占めています。また、上行・横行・下行・S状の4つに区分される結腸部分にもがんができます。
急増する大腸がんの新規患者数は年間約9万人、2005年に国立がんセンターがまとめた最新の統計では、男性で4位、女性で3位が大腸がんが原因で亡くなっています。
以前の直腸がんの手術は、命の代わりに男性は性機能を失ったり、女性は尿が漏れやすくなったり、と、病気と戦いながら日常生活を送るにあたって、大変な苦しみがありました。
今日では、できるだけ、自然の肛門と神経機能を温存する手術テクニックが普及して、この10年間でその苦しみを味わうことなく、がん治療に大きな貢献をもたらしています。
それに加えて、大腸がんの「腹腔鏡下手術」、おなかに5mm~10mm程度の小さな穴を数箇所開け、腹腔鏡を入れて大腸を切除するがん手術が登場して、患者さんの体にかかる負担が大幅に減りました。
増加をたどる大腸がん、新しい治療をはじめている日本全国の病院をご紹介します。
●北里大学病院 外科 (神奈川県)
外科 渡邊昌彦(わたなべまさひこ) 教授・國場幸均(こくばゆきひと)講師
(電話)042-778-8111
腹腔鏡下手術の第一人者・渡邊昌彦教授は、累積手術数1000例以上。2003年12月に教授になってからは、2004年に268例、2005年に298例と大腸がんの手術が急増しました。(年間に同じ部位のがんの手術が200例を越えることはまれ)そのうち、渡邊教授、國場幸均講師らが得意とする腹腔鏡下手術が半数を占めています。その腕を求めて、東北や、関西、九州からも患者さんが来院するほどです。
●新潟県立がんセンター 新潟病院 (新潟県)
消化器外科 瀧井康公(たきいやすまさ)外科部長、
消化器内科船越和博(ふなこしかずひろ)内科部長 (電話)025-266-5111
内視鏡的切除が可能な早期がんは消化器内科の船越和博部長で担当し、切除が必要な早期がんや進行がんに対する手術を瀧井康公部長らの大腸外科が引き受ける、といった分担が出来ている。2004年の年間手術数218例のうち、直腸は74例、その他の結腸は144例でした。専門外来は毎週水曜日、新患は月~金曜日の毎日受け付ける体制を整えています。
●国立がんセンター東病院 (千葉県)
下腹部外科 齊藤典男(さいとうのりお) 手術部長、杉藤正典(すぎとうまさのり) 病棟医長、
消化管内科 大津敦(おおつあつし) 内視鏡部長 (電話)04-7133-1111
大腸がん手術287例中、直腸126例、結腸161例をこなす。消化器内科が手がける内視鏡的粘膜切除は150例あり、そのうちの95%は日帰りの手術、平均入院日数は2日ほどです。開腹手術は160例、平均入院日数は15日ほどです。また、腹腔鏡下手術117例でも、平均入院日数は10日ほどです。年間の外来数も、大腸がんだけで、1万3500人にもなります。
「大腸がんに対するもっとも効果的な治療は、いまだに手術による切除(または内視鏡下切除)です。しかし、がんの進行状況に合わせて機能温存手術や、低侵襲手術といった手術が可能になってきました。各治療法のメリットとデメリットをよく理解し、ご本人に合った治療法を選びましょう。」(杉藤正典医長)
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●札幌厚生病院 (北海道)
外科 近藤征文(こんどうゆきふみ)副院長、益子博幸(ますこひろゆき)部長、消化器科 今村哲理(いまむらあきみち)副院長 (電話)011-261-5331(北海道)
がんの完全切除と確実なリンパ摘出に取り組みます。消化器科の今村副院長と、黒川聖医長らは、大腸がんの内視鏡治療を得意としています。
●山形県立中央病院 (山形県)
外科 佐藤敏彦(さとうとしひこ)副部長、消化器内科 間部克裕(まべかつひろ)医師
早期大腸がんの場合、内視鏡を使った粘膜切除術や、腹腔鏡を使った手術で術後平均10日の退院を可能にしています。進行再発がんに対しては、拡大手術を施行します。
●自治医科大学付属 さいたま医療センター (埼玉県)
一般・消化器外科 小西文雄 教授、河村裕 講師 (電話)048-647-2111
●愛知県がんセンター中央病院 (愛知県)
消化器外科 加藤知行(かとうともゆき)院長、平井孝(ひらいたかし)外来部長、金光幸秀(かねみつゆきひで)医長 (電話)052-762-6111(愛知県)
加藤知行院長は日本を代表する大腸外科医の一人。結腸の早期がんには腹腔鏡下手術を慎重に行い、早期結腸がんに対しては、東海地方で唯一「経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー(TEM)が行える装置を導入しています。」
●大阪府立成人病センター (大阪府)
消化器外科 大植雅之(おおうえまさゆき) 医長、能浦真吾(のうらしんご)診療主任、消化器内科 飯石浩康(いいいしひろやす)部長 (電話)06-6972-1181(大阪府)
進行直腸がんにもっとも力を入れており、可能な限り肛門温存手術に挑んでいます。早期の直腸がんでは経肛門的切除などの、「おなかを切らない手術」も行っています。
●広島大学病院 (広島県)
消化器外科(内視鏡外科)岡島正純(おかじままさずみ)教授、小島康知(おじまやすとも)講師、池田聡(いけださとし)講師 (電話)082-257-5555(広島県)
大腸外科全般にわたり「患者さんにやさしい治療」を合言葉に、よりレベルの高い医療を目指しています。中国・四国地方ではトップクラスの病院で、岡島正純教授は大腸がん手術の名手として知られています。
●久留米大学病院 (福岡県)
外科 白水和雄(しろうずかずお) 主任教授、緒方裕(おがたひろし)助教授、赤木由人(あかぎよしと)講師 (電話)0942-35-3311
大腸がん年間手術数118例(直腸62例、結腸56例)とくに直腸肛門がんに対しては、内視鏡手術を取り入れ、「究極の肛門温存手術」として注目されています。
●高野病院 (熊本県)
大腸肛門科 山田一隆院長 (電話)096-384-1011(熊本県)
急増する大腸がんの新規患者数は年間約9万人、2005年に国立がんセンターがまとめた最新の統計では、男性で4位、女性で3位が大腸がんが原因で亡くなっています。
以前の直腸がんの手術は、命の代わりに男性は性機能を失ったり、女性は尿が漏れやすくなったり、と、病気と戦いながら日常生活を送るにあたって、大変な苦しみがありました。
今日では、できるだけ、自然の肛門と神経機能を温存する手術テクニックが普及して、この10年間でその苦しみを味わうことなく、がん治療に大きな貢献をもたらしています。
それに加えて、大腸がんの「腹腔鏡下手術」、おなかに5mm~10mm程度の小さな穴を数箇所開け、腹腔鏡を入れて大腸を切除するがん手術が登場して、患者さんの体にかかる負担が大幅に減りました。
増加をたどる大腸がん、新しい治療をはじめている日本全国の病院をご紹介します。
●北里大学病院 外科 (神奈川県)
外科 渡邊昌彦(わたなべまさひこ) 教授・國場幸均(こくばゆきひと)講師
(電話)042-778-8111
腹腔鏡下手術の第一人者・渡邊昌彦教授は、累積手術数1000例以上。2003年12月に教授になってからは、2004年に268例、2005年に298例と大腸がんの手術が急増しました。(年間に同じ部位のがんの手術が200例を越えることはまれ)そのうち、渡邊教授、國場幸均講師らが得意とする腹腔鏡下手術が半数を占めています。その腕を求めて、東北や、関西、九州からも患者さんが来院するほどです。
●新潟県立がんセンター 新潟病院 (新潟県)
消化器外科 瀧井康公(たきいやすまさ)外科部長、
消化器内科船越和博(ふなこしかずひろ)内科部長 (電話)025-266-5111
内視鏡的切除が可能な早期がんは消化器内科の船越和博部長で担当し、切除が必要な早期がんや進行がんに対する手術を瀧井康公部長らの大腸外科が引き受ける、といった分担が出来ている。2004年の年間手術数218例のうち、直腸は74例、その他の結腸は144例でした。専門外来は毎週水曜日、新患は月~金曜日の毎日受け付ける体制を整えています。
●国立がんセンター東病院 (千葉県)
下腹部外科 齊藤典男(さいとうのりお) 手術部長、杉藤正典(すぎとうまさのり) 病棟医長、
消化管内科 大津敦(おおつあつし) 内視鏡部長 (電話)04-7133-1111
大腸がん手術287例中、直腸126例、結腸161例をこなす。消化器内科が手がける内視鏡的粘膜切除は150例あり、そのうちの95%は日帰りの手術、平均入院日数は2日ほどです。開腹手術は160例、平均入院日数は15日ほどです。また、腹腔鏡下手術117例でも、平均入院日数は10日ほどです。年間の外来数も、大腸がんだけで、1万3500人にもなります。
「大腸がんに対するもっとも効果的な治療は、いまだに手術による切除(または内視鏡下切除)です。しかし、がんの進行状況に合わせて機能温存手術や、低侵襲手術といった手術が可能になってきました。各治療法のメリットとデメリットをよく理解し、ご本人に合った治療法を選びましょう。」(杉藤正典医長)
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●札幌厚生病院 (北海道)
外科 近藤征文(こんどうゆきふみ)副院長、益子博幸(ますこひろゆき)部長、消化器科 今村哲理(いまむらあきみち)副院長 (電話)011-261-5331(北海道)
がんの完全切除と確実なリンパ摘出に取り組みます。消化器科の今村副院長と、黒川聖医長らは、大腸がんの内視鏡治療を得意としています。
●山形県立中央病院 (山形県)
外科 佐藤敏彦(さとうとしひこ)副部長、消化器内科 間部克裕(まべかつひろ)医師
早期大腸がんの場合、内視鏡を使った粘膜切除術や、腹腔鏡を使った手術で術後平均10日の退院を可能にしています。進行再発がんに対しては、拡大手術を施行します。
●自治医科大学付属 さいたま医療センター (埼玉県)
一般・消化器外科 小西文雄 教授、河村裕 講師 (電話)048-647-2111
●愛知県がんセンター中央病院 (愛知県)
消化器外科 加藤知行(かとうともゆき)院長、平井孝(ひらいたかし)外来部長、金光幸秀(かねみつゆきひで)医長 (電話)052-762-6111(愛知県)
加藤知行院長は日本を代表する大腸外科医の一人。結腸の早期がんには腹腔鏡下手術を慎重に行い、早期結腸がんに対しては、東海地方で唯一「経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー(TEM)が行える装置を導入しています。」
●大阪府立成人病センター (大阪府)
消化器外科 大植雅之(おおうえまさゆき) 医長、能浦真吾(のうらしんご)診療主任、消化器内科 飯石浩康(いいいしひろやす)部長 (電話)06-6972-1181(大阪府)
進行直腸がんにもっとも力を入れており、可能な限り肛門温存手術に挑んでいます。早期の直腸がんでは経肛門的切除などの、「おなかを切らない手術」も行っています。
●広島大学病院 (広島県)
消化器外科(内視鏡外科)岡島正純(おかじままさずみ)教授、小島康知(おじまやすとも)講師、池田聡(いけださとし)講師 (電話)082-257-5555(広島県)
大腸外科全般にわたり「患者さんにやさしい治療」を合言葉に、よりレベルの高い医療を目指しています。中国・四国地方ではトップクラスの病院で、岡島正純教授は大腸がん手術の名手として知られています。
●久留米大学病院 (福岡県)
外科 白水和雄(しろうずかずお) 主任教授、緒方裕(おがたひろし)助教授、赤木由人(あかぎよしと)講師 (電話)0942-35-3311
大腸がん年間手術数118例(直腸62例、結腸56例)とくに直腸肛門がんに対しては、内視鏡手術を取り入れ、「究極の肛門温存手術」として注目されています。
●高野病院 (熊本県)
大腸肛門科 山田一隆院長 (電話)096-384-1011(熊本県)
乳がんに強い病院ベスト10
肝臓がんは年々増加傾向にあり、平成16年には約3万5000人が死亡している。肝臓がんの多くは肝硬変を伴っているので治療が難しいが、いろいろな治療法が開発され、治療の選択肢は広がりつつある。定評のある病院はどこなのか。
●東大病院(東京都)
東京大学医学部付属病院の消化器内科では、ラジオ波焼灼療法をこれまでに
約2300例、昨年は約500例行っている。合計数、年間数ともに世界トップを誇る。
ラジオ波焼灼療法とは超音波装置などでがんの位置を確かめながら、長さ20センチ、
太さ1.5ミリの針状の電極をがんに刺して、その電極に電磁波の一種であるラジオ波を
流して、100度前後の熱でがんを焼き切る治療法である。
肝臓がんが「3センチ以下で3個以内」が治療にはよい条件だが、これを超えても
肝機能が良ければ治療対象になる。
「がんが多発していたり、肝硬変を合併していたりするため、肝臓がんを切除できるのは
20~30%です。しかも、手術ができても1年で20%、5年で80%が再発します。
このため、体への負担が少なく、根治性が高く再治療が容易なラジオ波療法が広く
行われるようになったのです」(椎名秀一朗講師)
また、「ラジオ波療法は転移性の肝臓がんにも有効です」と椎名講師は言う。
大腸がんの肝転移36例にラジオ波焼灼療法を行い、5年生存率が76%という
驚くべきいい成績を挙げている。今後、ラジオ波療法と全身化学療法を組み合わせた
治療も行っていく予定だ。
●国立がんセンター中央病院(東京都)
国立がんセンター中央病院の肝胆膵グループが行う肝臓がんの切除手術は、
年間約180例に上り全国トップクラスだ。がんを含めて肝臓の一部を切除する治療で、
がんを確実に取り除くことができるのが長所だ。肝機能が十分に保たれていて、
がんが1~3個の場合などがいい対象になる。
「切除手術では出血量を極力少なくし、スピーディーに行い、在院日数を短くするように
取り組んでいます」と島田和明医師。
切除手術の80%は輸血なしで行うことができる。入院日数も10日から2週間ほどと短い。
「手術時間を短くすることで、患者さんの体への負担を軽減することができます」(島田医師)
難易度の高い症例も含めて、すべてのステージ(進行度)を合わせた5年生存率は
約50%だ。
●京都大学病院(京都府)
京都大学病院の移植外科は、肝臓がんに対する肝移植手術で先駆的な役割と
実績を誇る。これまでに肝臓がんに対する生体肝移植を123例(05年10月1日現在)
実施している。
特に04年1月からは一定の条件内での生体肝移植手術が保険適用となり、
手術数が増えている。
「生体肝移植が保険適用となるのは、“がんの直径が3センチ以下のものが3個以内”、
あるいは“がんが1個なら直径5センチ以下”です。ただし遠隔転移やリンパ節転移がなく、
門脈や肝静脈にも浸潤がないことが条件となります」(江川裕人助教授)
生体肝移植ではドナー(臓器提供者)が必要となる。一般的にはドナーは3親等以内の
親族で健康な肝臓を持つ65歳以下の人で、肝移植を受ける患者と血液型が同じか
適合すること(輸血が可能な組み合わせ)が原則だ。
患者の手術時間(切除と移植)は10~12時間。入院期間は約1カ月。ドナーの
手術時間は6、7時間。入院期間は約2週間。
「肝臓がんの生体肝移植の5年生存率は60~70%です。進行がんなどの患者さんに
とって有力な治療の選択肢の一つになりつつあります」(江川助教授)
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●北海道大学病院 第1外科
藤堂省教授(電話)011・716・1161(北海道)
これまでの方法では治療困難だった症例に対しても積極的に肝切除を行う。
肝移植も肝臓がんの治療法として組み込んでいる
●武蔵野赤十字病院 消化器科
泉並木部長(電話)0422・32・3111(東京都)
ラジオ波穿刺針は確実性と安全性を考慮した特殊な針を使用。
ラジオ波療法延べ1150例で5年生存率67%。腹腔鏡も使う
●国立がんセンター中央病院 肝胆膵グループ
島田和明医師(電話)03・3542・2511(東京都)
切除手術の年間数で全国トップクラス。「治療ガイドライン」に基づいて
切除手術を実施。難易度の高い症例にも対応している
●東京女子医科大学病院 消化器病センター外科
高崎健教授(電話)03・3353・8111(東京都)
肝臓がんの年間手術数200例。手術のみならず、免疫療法、
化学療法も組み合わせる。ラジオ波療法120例、肝動脈塞栓療法350例
●東京大学医学部付属病院 消化器内科
椎名秀一朗講師(電話)03・3815・5411(東京都)
ラジオ波療法の合計数、年間数で世界トップの実績。原発性肝がんだけでなく、
大腸がんの肝転移などにも積極的に取り組んでいる
●名古屋大学付属病院 消化器外科I
二村雄次教授(電話)052・741・2111(愛知県)
手術不能例が多い胆管細胞がん(肝臓がんの一つ)の患者が全国から来る。
切除症例数160、切除率約80%は世界でもトップクラス
●京都大学病院 移植外科
江川裕人助教授 高田泰次助教授(電話)075・751・3111(京都府)
肝臓がんの生体肝移植手術数で全国一。95年に移植外科、99年に
臓器移植医療部を発足。生体肝移植手術で先駆的役割を果たす
●大阪府立成人病センター 消化器外科
佐々木洋部長(電話)06・6972・1181(大阪府)
肝臓がんの年間手術数90例。個々の状態に応じて肝切除と開発工夫した
補助療法の複合治療を行う。ラジオ波を含む最適治療を実施
●近畿大学病院 消化器内科
工藤正俊教授(電話)072・366・0221(大阪府)
99年以後のラジオ波療法延べ2000例。3センチ以下3個以内の5年生存率76%。
ラジオ波後のインターフェロン併用では5年生存率100%
●久留米大学病院 肝がんセンター・第2外科
佐田通夫教授(電話)0942・35・3311(福岡県)
外来診察、治療は肝がんセンターで内科、外科、放射線科が共同で実施。
月約500人受診。ラジオ波、肝動注化学療法を積極的に行う
●東大病院(東京都)
東京大学医学部付属病院の消化器内科では、ラジオ波焼灼療法をこれまでに
約2300例、昨年は約500例行っている。合計数、年間数ともに世界トップを誇る。
ラジオ波焼灼療法とは超音波装置などでがんの位置を確かめながら、長さ20センチ、
太さ1.5ミリの針状の電極をがんに刺して、その電極に電磁波の一種であるラジオ波を
流して、100度前後の熱でがんを焼き切る治療法である。
肝臓がんが「3センチ以下で3個以内」が治療にはよい条件だが、これを超えても
肝機能が良ければ治療対象になる。
「がんが多発していたり、肝硬変を合併していたりするため、肝臓がんを切除できるのは
20~30%です。しかも、手術ができても1年で20%、5年で80%が再発します。
このため、体への負担が少なく、根治性が高く再治療が容易なラジオ波療法が広く
行われるようになったのです」(椎名秀一朗講師)
また、「ラジオ波療法は転移性の肝臓がんにも有効です」と椎名講師は言う。
大腸がんの肝転移36例にラジオ波焼灼療法を行い、5年生存率が76%という
驚くべきいい成績を挙げている。今後、ラジオ波療法と全身化学療法を組み合わせた
治療も行っていく予定だ。
●国立がんセンター中央病院(東京都)
国立がんセンター中央病院の肝胆膵グループが行う肝臓がんの切除手術は、
年間約180例に上り全国トップクラスだ。がんを含めて肝臓の一部を切除する治療で、
がんを確実に取り除くことができるのが長所だ。肝機能が十分に保たれていて、
がんが1~3個の場合などがいい対象になる。
「切除手術では出血量を極力少なくし、スピーディーに行い、在院日数を短くするように
取り組んでいます」と島田和明医師。
切除手術の80%は輸血なしで行うことができる。入院日数も10日から2週間ほどと短い。
「手術時間を短くすることで、患者さんの体への負担を軽減することができます」(島田医師)
難易度の高い症例も含めて、すべてのステージ(進行度)を合わせた5年生存率は
約50%だ。
●京都大学病院(京都府)
京都大学病院の移植外科は、肝臓がんに対する肝移植手術で先駆的な役割と
実績を誇る。これまでに肝臓がんに対する生体肝移植を123例(05年10月1日現在)
実施している。
特に04年1月からは一定の条件内での生体肝移植手術が保険適用となり、
手術数が増えている。
「生体肝移植が保険適用となるのは、“がんの直径が3センチ以下のものが3個以内”、
あるいは“がんが1個なら直径5センチ以下”です。ただし遠隔転移やリンパ節転移がなく、
門脈や肝静脈にも浸潤がないことが条件となります」(江川裕人助教授)
生体肝移植ではドナー(臓器提供者)が必要となる。一般的にはドナーは3親等以内の
親族で健康な肝臓を持つ65歳以下の人で、肝移植を受ける患者と血液型が同じか
適合すること(輸血が可能な組み合わせ)が原則だ。
患者の手術時間(切除と移植)は10~12時間。入院期間は約1カ月。ドナーの
手術時間は6、7時間。入院期間は約2週間。
「肝臓がんの生体肝移植の5年生存率は60~70%です。進行がんなどの患者さんに
とって有力な治療の選択肢の一つになりつつあります」(江川助教授)
●病院名・診療科・医師名・電話・治療方針・特徴
●北海道大学病院 第1外科
藤堂省教授(電話)011・716・1161(北海道)
これまでの方法では治療困難だった症例に対しても積極的に肝切除を行う。
肝移植も肝臓がんの治療法として組み込んでいる
●武蔵野赤十字病院 消化器科
泉並木部長(電話)0422・32・3111(東京都)
ラジオ波穿刺針は確実性と安全性を考慮した特殊な針を使用。
ラジオ波療法延べ1150例で5年生存率67%。腹腔鏡も使う
●国立がんセンター中央病院 肝胆膵グループ
島田和明医師(電話)03・3542・2511(東京都)
切除手術の年間数で全国トップクラス。「治療ガイドライン」に基づいて
切除手術を実施。難易度の高い症例にも対応している
●東京女子医科大学病院 消化器病センター外科
高崎健教授(電話)03・3353・8111(東京都)
肝臓がんの年間手術数200例。手術のみならず、免疫療法、
化学療法も組み合わせる。ラジオ波療法120例、肝動脈塞栓療法350例
●東京大学医学部付属病院 消化器内科
椎名秀一朗講師(電話)03・3815・5411(東京都)
ラジオ波療法の合計数、年間数で世界トップの実績。原発性肝がんだけでなく、
大腸がんの肝転移などにも積極的に取り組んでいる
●名古屋大学付属病院 消化器外科I
二村雄次教授(電話)052・741・2111(愛知県)
手術不能例が多い胆管細胞がん(肝臓がんの一つ)の患者が全国から来る。
切除症例数160、切除率約80%は世界でもトップクラス
●京都大学病院 移植外科
江川裕人助教授 高田泰次助教授(電話)075・751・3111(京都府)
肝臓がんの生体肝移植手術数で全国一。95年に移植外科、99年に
臓器移植医療部を発足。生体肝移植手術で先駆的役割を果たす
●大阪府立成人病センター 消化器外科
佐々木洋部長(電話)06・6972・1181(大阪府)
肝臓がんの年間手術数90例。個々の状態に応じて肝切除と開発工夫した
補助療法の複合治療を行う。ラジオ波を含む最適治療を実施
●近畿大学病院 消化器内科
工藤正俊教授(電話)072・366・0221(大阪府)
99年以後のラジオ波療法延べ2000例。3センチ以下3個以内の5年生存率76%。
ラジオ波後のインターフェロン併用では5年生存率100%
●久留米大学病院 肝がんセンター・第2外科
佐田通夫教授(電話)0942・35・3311(福岡県)
外来診察、治療は肝がんセンターで内科、外科、放射線科が共同で実施。
月約500人受診。ラジオ波、肝動注化学療法を積極的に行う
胃がんに強い病院ベスト10
胃がんの死亡率は肺がんに次いで第2位、死亡者数は年間5万人に上る。
がんの進行度によって治療の選択肢も異なるが、胃がんの治療で専門家の評価が高い病院はどこなのか。
●国立がんセンター中央病院(東京都)
国立がんセンター中央病院の内視鏡部は、早期胃がんに対する内視鏡治療数が年間約450例で全国トップを誇る。
内視鏡治療とは胃カメラを介して行う治療。がんの根元にワイヤをかけ高周波電流を流して焼き切る内視鏡的粘膜切除術(EMR)と、ITナイフ(高周波針状ナイフの先端にセラミック製のチップを付けたもの)などを用いてがんをまくり上げるように切除する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)がある。
同病院では96年に胃壁を傷つけないように工夫したITナイフを開発し、2000年からESDを本格的に始めた。
「現在、内視鏡治療の99%はESDです。EMRは最大径2センチまでのがんが対象で、がんを焼き切るため、大変大事な病理判定を不正確にすることがあります。しかし、ESDの対象は最大径2センチ以上のがんと広く、しかもがんの組織を傷つけないように切除する方法なので、病理判定が正確にできるという利点があります」(斉藤大三部長)
ESDは通常、全身麻酔で行われるが、患者が検査室のベッドに寝いいる時間は30分~3時間、平均60~70分だ。開腹手術より体への負担ははるかに少なく、入院も4~7日間ですむ。
●大阪市立総合医療センター(大阪府)
胃がんの進行度にはステージⅠ期からⅣ期まである。大阪市立総合医療センターの消化器外科は手術後の5年生存率がすべての病期で全国平均を上回る。I期が96・2%(全国平均91.4%)、II期が75.7%(68.6%)、III期が56.8%(39.7%)、
IV期が25.8%(6.7%)で、全体でも全国トップだ。
同科での胃がんの年間手術数は約200例で、そのうち60~70%は腹腔鏡手術。 「おなかに0.5~1.2センチの穴を数カ所開け、その穴から手術用具を入れて、従来の開腹手術と同じ操作をするものです。原則としてII期以下の患者さんを対象にしています」(谷村愼哉副部長)
この腹腔鏡手術のメリットは(1)手術後の痛みが少ない(2)傷がほとんど目立たない
3)手術の翌日に歩ける(4)術後の内臓の癒着や腸閉塞などの合併症が少ない
5)入院期間が短く、短期間で仕事に復帰できる――などである。
「腹腔鏡手術の術後の治療成績は、通常の開腹手術と比べてまったく遜色ありません」(谷村副部長)
III期以上では病状と進行度に応じて、開腹手術や化学療法が行われる。
●都立駒込病院(東京都)
都立駒込病院化学療法科では、手術ができないほど進行した胃がんや、手術後に再発した胃がんに、抗がん剤治療を実施し、治療効果を上げている。症状の改善や生存期間の延長が目的だ。
「現在、経口抗がん剤のTS―1(一般名テガフール・ウラシル)を基本にし、ほかの抗がん剤も併用して治療効果を高めています。がんが半分以下に縮小し、その状態が1カ月以上続いた患者さんの割合(奏効率)は50%程度です。ここ2、3年で、抗がん剤治療の奏効率は飛躍的に向上しています」(佐々木常雄副院長)
抗がん剤治療でがんを縮小させてから手術を行うケースもあるという。 抗がん剤治療のために短期入院中の進行・再発胃がんの患者は常時20人ほど。外来通院で治療を受けている患者は50人ほどだ。
「患者さんが元気なら、最初に用いた抗がん剤が効かなくなったら次の抗がん剤、さらに別の抗がん剤といくつものメニューが選べるようになりました。その結果、かなりの延命効果が得られるようになっています」と佐々木副院長。
●埼玉県立がんセンター 消化器外科
田中洋一部長 (電話)048・722・1111(埼玉県)
年間症例数は350例を超え、うち手術は180~200例で良好な5年生存率を得ている。
術式や術前化学療法の臨床試験も行う
●国立がんセンター東病院 上腹部外科
木下平外来部長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
治療方針はすべて腫瘍内科医とのカンファランスで決定。ガイドラインに基づき、
進行度に応じた治療を選択。臨床試験も多数実施中
●国立がんセンター中央病院 内視鏡部
斉藤大三部長 (電話)03・3542・2511(東京都)
早期胃がんのESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は年間約450例で全国一。
斉藤部長はESD研究会の代表世話人で技術向上に尽力
●癌研究会有明病院 消化器センター外科
山口俊晴部長 (電話)03・3520・0111(東京都)
延べ症例数は1万5000例に達し日本一。内科、外科などが合同で診療にあたる
チーム医療を推進。患者負担の少ない腹腔鏡手術にも熱心
●都立駒込病院 化学療法科
佐々木常雄副院長 (電話)03・3823・2101(東京都)
1975年、全国で初めて発足した化学療法科。抗がん剤の専門医7人が治療。
抗がん剤の臨床試験、新薬開発の治験にも力を入れる
●新潟県立がんセンター新潟病院
外科 梨本篤部長 (電話)025・266・5111(新潟県)
術後合併症が低率で治療成績はトップレベル。機能温存縮小手術、根治を目指す
拡大手術、高度進行がんへの化学療法を中心に治療
●静岡県立静岡がんセンター 胃外科
米村豊副院長 (電話)055・989・5222(静岡県)
QOLを保証するため、進み具合に応じて、内視鏡的粘膜切除・腹腔鏡的胃切除・
最も適切なリンパ節郭清による胃切除術を行う
●大阪府立成人病センター 消化器外科
矢野雅彦医長 (電話)06・6972・1181(大阪府)
内科とも連携して早期から進行まで進行度に応じたあらゆる治療を提供。
年間症例数300例以上。研究的な治療も積極的に取り組む
●大阪市立総合医療センター
消化 器外科 東野正幸副院長 谷村愼 哉副部長(電話)06・6929・1221(大阪府)
手術数は年間約200例、そのうち60~70%は腹腔鏡手術で行う。
III期以上には病状と進行度に応じた治療でQOLを向上
●九州大学病院 消化器・総合外科(第二外科)
前原喜彦教授 (電話)092・642・5466(福岡県)
進行度に応じた手術と抗がん剤感受性試験に基づく化学療法を実践。
新規の抗がん剤による最適個別化療法を実施している
がんの進行度によって治療の選択肢も異なるが、胃がんの治療で専門家の評価が高い病院はどこなのか。
●国立がんセンター中央病院(東京都)
国立がんセンター中央病院の内視鏡部は、早期胃がんに対する内視鏡治療数が年間約450例で全国トップを誇る。
内視鏡治療とは胃カメラを介して行う治療。がんの根元にワイヤをかけ高周波電流を流して焼き切る内視鏡的粘膜切除術(EMR)と、ITナイフ(高周波針状ナイフの先端にセラミック製のチップを付けたもの)などを用いてがんをまくり上げるように切除する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)がある。
同病院では96年に胃壁を傷つけないように工夫したITナイフを開発し、2000年からESDを本格的に始めた。
「現在、内視鏡治療の99%はESDです。EMRは最大径2センチまでのがんが対象で、がんを焼き切るため、大変大事な病理判定を不正確にすることがあります。しかし、ESDの対象は最大径2センチ以上のがんと広く、しかもがんの組織を傷つけないように切除する方法なので、病理判定が正確にできるという利点があります」(斉藤大三部長)
ESDは通常、全身麻酔で行われるが、患者が検査室のベッドに寝いいる時間は30分~3時間、平均60~70分だ。開腹手術より体への負担ははるかに少なく、入院も4~7日間ですむ。
●大阪市立総合医療センター(大阪府)
胃がんの進行度にはステージⅠ期からⅣ期まである。大阪市立総合医療センターの消化器外科は手術後の5年生存率がすべての病期で全国平均を上回る。I期が96・2%(全国平均91.4%)、II期が75.7%(68.6%)、III期が56.8%(39.7%)、
IV期が25.8%(6.7%)で、全体でも全国トップだ。
同科での胃がんの年間手術数は約200例で、そのうち60~70%は腹腔鏡手術。 「おなかに0.5~1.2センチの穴を数カ所開け、その穴から手術用具を入れて、従来の開腹手術と同じ操作をするものです。原則としてII期以下の患者さんを対象にしています」(谷村愼哉副部長)
この腹腔鏡手術のメリットは(1)手術後の痛みが少ない(2)傷がほとんど目立たない
3)手術の翌日に歩ける(4)術後の内臓の癒着や腸閉塞などの合併症が少ない
5)入院期間が短く、短期間で仕事に復帰できる――などである。
「腹腔鏡手術の術後の治療成績は、通常の開腹手術と比べてまったく遜色ありません」(谷村副部長)
III期以上では病状と進行度に応じて、開腹手術や化学療法が行われる。
●都立駒込病院(東京都)
都立駒込病院化学療法科では、手術ができないほど進行した胃がんや、手術後に再発した胃がんに、抗がん剤治療を実施し、治療効果を上げている。症状の改善や生存期間の延長が目的だ。
「現在、経口抗がん剤のTS―1(一般名テガフール・ウラシル)を基本にし、ほかの抗がん剤も併用して治療効果を高めています。がんが半分以下に縮小し、その状態が1カ月以上続いた患者さんの割合(奏効率)は50%程度です。ここ2、3年で、抗がん剤治療の奏効率は飛躍的に向上しています」(佐々木常雄副院長)
抗がん剤治療でがんを縮小させてから手術を行うケースもあるという。 抗がん剤治療のために短期入院中の進行・再発胃がんの患者は常時20人ほど。外来通院で治療を受けている患者は50人ほどだ。
「患者さんが元気なら、最初に用いた抗がん剤が効かなくなったら次の抗がん剤、さらに別の抗がん剤といくつものメニューが選べるようになりました。その結果、かなりの延命効果が得られるようになっています」と佐々木副院長。
●埼玉県立がんセンター 消化器外科
田中洋一部長 (電話)048・722・1111(埼玉県)
年間症例数は350例を超え、うち手術は180~200例で良好な5年生存率を得ている。
術式や術前化学療法の臨床試験も行う
●国立がんセンター東病院 上腹部外科
木下平外来部長 (電話)04・7133・1111(千葉県)
治療方針はすべて腫瘍内科医とのカンファランスで決定。ガイドラインに基づき、
進行度に応じた治療を選択。臨床試験も多数実施中
●国立がんセンター中央病院 内視鏡部
斉藤大三部長 (電話)03・3542・2511(東京都)
早期胃がんのESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は年間約450例で全国一。
斉藤部長はESD研究会の代表世話人で技術向上に尽力
●癌研究会有明病院 消化器センター外科
山口俊晴部長 (電話)03・3520・0111(東京都)
延べ症例数は1万5000例に達し日本一。内科、外科などが合同で診療にあたる
チーム医療を推進。患者負担の少ない腹腔鏡手術にも熱心
●都立駒込病院 化学療法科
佐々木常雄副院長 (電話)03・3823・2101(東京都)
1975年、全国で初めて発足した化学療法科。抗がん剤の専門医7人が治療。
抗がん剤の臨床試験、新薬開発の治験にも力を入れる
●新潟県立がんセンター新潟病院
外科 梨本篤部長 (電話)025・266・5111(新潟県)
術後合併症が低率で治療成績はトップレベル。機能温存縮小手術、根治を目指す
拡大手術、高度進行がんへの化学療法を中心に治療
●静岡県立静岡がんセンター 胃外科
米村豊副院長 (電話)055・989・5222(静岡県)
QOLを保証するため、進み具合に応じて、内視鏡的粘膜切除・腹腔鏡的胃切除・
最も適切なリンパ節郭清による胃切除術を行う
●大阪府立成人病センター 消化器外科
矢野雅彦医長 (電話)06・6972・1181(大阪府)
内科とも連携して早期から進行まで進行度に応じたあらゆる治療を提供。
年間症例数300例以上。研究的な治療も積極的に取り組む
●大阪市立総合医療センター
消化 器外科 東野正幸副院長 谷村愼 哉副部長(電話)06・6929・1221(大阪府)
手術数は年間約200例、そのうち60~70%は腹腔鏡手術で行う。
III期以上には病状と進行度に応じた治療でQOLを向上
●九州大学病院 消化器・総合外科(第二外科)
前原喜彦教授 (電話)092・642・5466(福岡県)
進行度に応じた手術と抗がん剤感受性試験に基づく化学療法を実践。
新規の抗がん剤による最適個別化療法を実施している
肺がんの検査方法 2(喀痰細胞診)
剥がれ落ちて痰に混じったがん細胞を検出しようとする方法です。機械で痰を分析しようという喀痰細胞診の自動化は残念ながら実用化されておらず、人間の目でチェックします。専門のスクリーナーという技師がおり、熟練したスクリーナーの判断は相当正確です。
検査の手順は、できるだけ早朝の喀痰を容器に入れて乾かないようにして提出するだけです。苦痛のない簡単な検査なのですが、肺がんがあれば必ず痰にがん細胞が混じっているとは限りません。
気管支鏡で見える範囲に肺がんがあった人(おそらく確実に痰にがん細胞が出てくるであろうと予測される人)でも1回だけの検査では55%の人の痰にしかがん細胞は検出されませんでした。
この数字は2回繰り返すことにより70%、3回で84%となり、喀痰細胞診は3回必要ということが言われています。
医療施設から遠方の人、忙しい人などに自宅で3日間痰をためてもらう方法もありますが、どうしても細胞が変性してしまうため、少し見にくい標本になってしまうようです。
繰り返しになるかもしれませんが、喀痰細胞診が正常であったからといって肺がんがないという証拠にはなりません。
検体(この場合痰のことです)をスライドグラスに伸ばしてアルコールで固定し、染色して顕微鏡で見る。怪しければもう一度医師が確認するという手順を踏みますので結果が出るまで数日かかります。
検査の手順は、できるだけ早朝の喀痰を容器に入れて乾かないようにして提出するだけです。苦痛のない簡単な検査なのですが、肺がんがあれば必ず痰にがん細胞が混じっているとは限りません。
気管支鏡で見える範囲に肺がんがあった人(おそらく確実に痰にがん細胞が出てくるであろうと予測される人)でも1回だけの検査では55%の人の痰にしかがん細胞は検出されませんでした。
この数字は2回繰り返すことにより70%、3回で84%となり、喀痰細胞診は3回必要ということが言われています。
医療施設から遠方の人、忙しい人などに自宅で3日間痰をためてもらう方法もありますが、どうしても細胞が変性してしまうため、少し見にくい標本になってしまうようです。
繰り返しになるかもしれませんが、喀痰細胞診が正常であったからといって肺がんがないという証拠にはなりません。
検体(この場合痰のことです)をスライドグラスに伸ばしてアルコールで固定し、染色して顕微鏡で見る。怪しければもう一度医師が確認するという手順を踏みますので結果が出るまで数日かかります。
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