肺がん 放射線治療

がんの放射線治療にはライナックなどの大型治療装置で体の外から放射線を照射する方法(外部照射法)と、線源を入れた容器を臓器の中に入れ照射する方法(小線源治療)とがあります。肺がんの放射線治療は高エネルギーX線を外部照射することが多いが、最近は定位放射線治療や粒子線治療(陽性線や重粒子線)への期待も高まっています。
 IIIA/IIIB期の局所進行非小細胞肺がんに対して80年代までは放射線単独療法が行われていました。しかし多くの臨床試験の効果、放射線単独より化学療法の併用が優れ、さらに逐次併用より同時併用が優れていることが明らかにされ現在ではこれが標準治療となっています。放射線治療の多くは一日一回、週5回、一回2グレイを照射して、合計で非小細胞肺がんで60-70グレイ、小細胞肺がんでは一日二回の多分割照射で45グレイ照射することが一般的です。副作用には食道炎、肺臓炎、皮膚炎などがあります。しかし、有害事象も強いので患者さんの状態も考慮すべきです。
 肺門部早期例に対する気管支腔内照射は肺門部早期がんにおいて肺機能を保ちつつ手術例の治療成績と遜色のない結果が得られつつあります。また、このような肺がんにはPDT(Photo Dynamic Therapy;腫瘍に選択性のある薬剤を投与し、レーザーにより化学反応を起こし、腫瘍のみを選択的に障害を傷害する治療)等も行われています。
 また、肺がん脳転移に対しては通常は全脳照射を行われますが、大きさが3cm以下、数が3個以下であれば、ガンマナイフ治療や様々な方向から放射線を集中させる治療(SMART)が行われます。
 
 肺がんの治癒と言うより症状(疼痛や神経障害)の緩和目的・予防目的で骨や脳へ照射が行われることもあります。