胃がん治療後の生活:胃切除後の胆石

胆石とは、胆嚢にたまった胆汁の成分が固まってできた結石です。胆嚢には、胆汁をためておき、必要に応じて圧縮したり放出したりする働きがあります。
【胆汁ができる流れ】
・肝臓で胆汁がつくられる。
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・食事により、胆汁の分泌を促すホルモンが出る。肝臓から大量の胆汁が放出される。
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・胆汁が脂肪分の消化吸収を助ける働きをする。
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・胆汁のほとんどは腸から再吸収されて、再び肝臓に運ばれる。
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・胆汁の一部は、便として排出される。

【手術による影響】
胃がんの手術をした影響で、胆嚢の動きにかかわる神経が切断されて、胆嚢の働きが鈍くなります。すると、飲食物が十二指腸を早く通り過ぎてしまうため、ホルモンの分泌が不十分になります。
その結果、胆嚢の収縮力が低下し、胆汁がたまったままになります。このまま濃縮がすすむと、胆石ができてしまいます。
広い範囲のリンパ節郭清をおこなって、胆嚢の神経を完全に切った場合には、胆石ができる可能性も高くなります。そのような場合に備えて、あらかじめ胆嚢を摘出してしまうこともあります。
胆石があると、激しい腹痛の他に、胆嚢炎、黄疸、急性膵炎などを起こす場合があります。症状がなければ、治療をする必要はありません。
腹痛や発熱、黄疸などの症状がみられる場合は、胆嚢の摘出手術を考えることになります。再度、開腹手術となることもあります。なお、胆嚢がなくなっても、生活にはとくに支障はきたしません。
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