肺がんと間違えられ易い病気:気管支拡張症

血痰が出たり口から血を吐いたりしたら、肺がんではなく気管支拡張症かもしれません。
気管支拡張症は、肺がんなど他の気道の病気によく似た症状が表れる病気です。
気管支拡張症の原因や症状
気管支が拡張し元に戻らなくなる!
口や鼻から吸い込んだ空気が、肺へ届くまでの通り道となるのが気管支です。
この気管支が風船のように拡張し、元に戻らなくなってしまう病気が気管支拡張症です。
気管支の拡張は、肺の一部に起きる場合と、肺全体に起きてしまう場合とがあります。
気管支拡張症は人間だけがかかる病気ではありません。
犬や猫などの動物にもみられることがあり、特に牛に多いと言われています。
つまりあなたが今飼っているペットも、この病気を発症する可能性があるということです。
感染症や免疫異常など原因はいろいろ
気管支が拡張する原因には、感染症、免疫異常、気道閉塞など色々あります。
先天病が原因疾患となっている場合もあり、例としてはインモータイル・シリア症候群やカルタゲナー症候群などが挙げられます。
インモータイル・シリア症候群は、菌などの異物から気道を守る役目のある気道粘膜の線毛が正常に働かないため、しばしば肺感染症を引き起こす病気です。
後者のカルタゲナー症候群は、たいへん珍しい遺伝性疾患であり、気管支拡張症のほかにも副鼻腔炎や、すべての内臓が左右逆に配置される内臓逆転症などの原因となる病気です。
1日に100mlの血痰が出る
気管支が拡張すると、血管が増えて浄化作用が弱くなり、血痰や喀血が起こります。
慢性の咳が表れるのもこの病の特徴であり、スムーズに呼吸をすることができません。
病状がひどい場合は、1日に100mlもの痰が出ることもあります。
合併症として最もよく併発するのは慢性副鼻腔炎ですが、慢性副鼻腔炎のほかにも肺炎、気管支炎、膿胸、肺膿瘍といった病気を発症しやすい状態になります。
画像検査や呼吸機能検査などで診断
診断のためには、胸部エックス線検査や、胸部CT検査などの画像検査を行います。
気管支の壁が厚くなっている様子や、拡張した気管支に水がたまっている様子などが映し出された場合は、気管支拡張症の可能性が強いです。
もし気道閉塞が原因となっていた場合は、呼吸機能検査で異常がみつかります。
他にも気管支鏡検査などがありますが、この検査は出血している場所を特定したり、組織の採取により細菌の種類を調べたりするのに役立ちます。
治療にはさまざまな薬が使われます
治療は主に薬物療法ですが、病状に合わせてさまざまな処置を行います。
使用される薬には、痰を排出するための喀痰調整薬や、気管支拡張薬、マクロライド薬などさまざまなものがあります。抗菌剤を投与することもありますが、これは感染症を合併している場合です。
また薬以外にも、薬剤を肺に届きやすくするための吸入療法や、体を傾けて痰を出しやすくする体位ドレナージが行われることもあります。
血痰や喀血があまりにも長く続くようであれば、内視鏡的止血法や気管支動脈塞栓術、外科手術などを検討しなければなりません。
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